ユーザーエクスペリエンス(UX)とは?改善方法を4ステップで解説!

ユーザーエクスペリエンス(User eXperience)とは、ユーザーが一つの製品・サービスを通じて得られる体験を意味しています。Webサイトを例に考えると、「情報が探しやすく、使いやすい」「パターンが統一されていて見やすい」「表示速度が速く快適である」サイトはUXが優れていると言えます。
Webサイトの運用やWebマーケティングの考え方が普及している現在、マーケターの方がUX(ユーザーエクスペリエンス)という言葉を聞かない日はないことでしょう。しかし、「UX」とは何なのか、理解できているでしょうか?
今回は、マーケターの方に向けてユーザーエクスペリエンス(UX)を徹底解説します。UXと一緒に語られることの多い「UI」との違いや、UXにおいて重視されるユーザーへの「共感」について、さらにUXを向上させるための考え方について知りましょう。
- ▼この記事でわかること
- ・ユーザーエクスペリエンス(UX)の基本的な意味と重要性
- ・UXとUIの違いと両者の関係性
- ・UXを改善するための4つのステップ
- ・Googleの事例に見るUXの具体的な活用例
UX(ユーザーエクスペリエンス)とは?
ユーザーエクスペリエンス(User eXperience)の「エクスペリエンス」は「体験・経験」のことで、ユーザーエクスペリエンスとは「ユーザーが一つの製品・サービスを通じて得られる体験」を意味しています。このユーザーの体験を改善することで、利用者にとって製品・サービスを向上させることを目的としています。
たとえば、
- ・情報が探しやすく、使いやすいサイトだった
- ・パターンが統一されていて見やすいデザインだった
- ・表示速度が速く、快適なサイトだった
このような感想は、ユーザーがWebサイトを利用した体験・経験であり、UXとなります。上記の感想は、全て良いことが書かれておりUXの優れたサイトであるといえます。
ユーザーエクスペリエンス(UX)が重要とされている背景
マーケティング活動の変化
日本の市場の変化やテクノロジーの進歩などによって、人々の価値観や購買行動は大きく変化しています。企業は従来の「モノを作って売る」発想だけでは成果を出しづらくなり、マーケティング活動も進化を迫られています。
こうした変化の中で、ユーザーが製品やサービスを通じて感じる体験 =ユーザーエクスペリエンス(UX)の重要性が一層高まっているのです。
「いいモノ」から「価値提供」の時代へ
かつては「品質の良い製品を作れば自然と売れる」という時代がありました。その後は「ニーズ」のある人を見つけてアプローチすることで成果が出せる時代へと移行しました。しかし現在は、それだけでは十分ではありません。
ユーザーが求めるのは、製品そのものの機能ではなく「その製品を使うことで得られる体験」や「自分にとっての価値」です。UXを通じて価値を提供できるかどうかが、競争の分かれ目になっています。
情報社会におけるユーザー主体性の高まり
現代の日本社会は豊かで、モノでも情報でも、何でも手に入れることができます。また、技術の進歩によって製品の機能や特徴では、他社製品・サービスと差別化ができなくなってきました。さらに、インターネットの普及により、人々は情報を能動的に取得・発信することができるようになっています。
このように、情報が何でも手に入る上に差別化の要因が少ない今、人々は「使いやすい」「わかりやすい」といった「体験」そのものを重視するようになってきているのです。
UXとUIの違い
UXとUIは、Webサイトやアプリ開発、さらにはマーケティングの現場でも頻繁に使われる言葉です。しかし、「UXとUIは同じものでは?」と混同している方も少なくありません。実際には、UX(ユーザーエクスペリエンス)はユーザーが得る体験全体を指し、UI(ユーザーインターフェース)はその体験を支える画面デザインや操作方法を意味します。
この2つの違いを正しく理解することで、より質の高いサービス設計や顧客満足度向上につなげることができます。
UI(ユーザーインターフェース)とは
UIは User Interface(ユーザーインターフェース) の略で、ユーザーと製品・サービスをつなぐ「接点」のことを意味します。Webサイトやアプリでいえば、画面のレイアウト、ボタンの配置や色使い、フォントの選び方、メニュー構造などがUIにあたります。
直感的に操作できたり、デザインが分かりやすいと感じるのはUIが適切に設計されている証拠です。
UXとUIの関係性
UIはUXの一部であり、両者は密接に関係しています。UIが使いやすく魅力的であれば、ユーザーが抱く体験(UX)も向上します。一方で、どれほどサービスや商品の品質が高くても、UIがわかりにくいとユーザー体験は損なわれてしまいます。
つまり、UIはUXを実現するための重要な要素であり、UXを高めるにはUI改善と体験設計の両面が欠かせません。
UX改善の手法|共感を生み出す4つのステップ
では実際にUXの向上を目指す!となった際にはどのようなポイントを意識すればよいのでしょうか?
UXを向上させるためにはユーザーに「共感」することが非常に重要です。製品・サービスを提供する側は、製品・サービスの「価値」を自分たちの視点から勝手に決めてしまいがちです。
しかしそれでは、ユーザーの状況や本当のニーズを理解できないままです。実際に利用してくれるユーザーへの共感がないと、価値を感じてもらうことはできません。そうならないための「伝わる」仕組みを考えることが、UXでは重要になります。
ここでは、ユーザーに共感するための手法を4つのステップで学びましょう。
STEP1:改善の目的を明確にする
UXの改善を行うためには、何のためにUXの改善を行うのか目的を明確にしておく必要があります。そこで、まずは課題やニーズがどこにあるのか洗い出しましょう。
課題やニーズが明確になることで、そのニーズに応えるためにはどのようなUXの変更や、改善が必要なのか見つけだすことができるのです。
STEP2:ユーザーの分析を行う
つぎに、自社の製品やサービスを利用してくれるユーザーがどのような人物なのか、いわゆる「ペルソナ」を設定します。ペルソナを詳しく設定することで、ユーザー目線に立ちその「人物」にとって価値のある体験を考えることができるようになります。
ペルソナについて詳しく知りたい方はこちら:Webコンテンツを考える前にまずペルソナを考える
STEP3:ユーザー体験の全体像を掴む
ユーザーが自社の製品やサービスを利用するにあたって、まだ自社を認知していない段階からどのような体験をしているのかを明らかにしてみましょう。
ここで使用するのが、カスタマージャーニーマップです。これはユーザーが製品やサービスを認知し購入するまでに想定される、すべての思考や行動を時系列でまとめ可視化するツールです。マップを作成することで、ユーザーがどのようにサービスに接し、体験をしているのかを理解し、改善できる点を見つけることがことができます。
カスタマージャーニーマップ作成時に注意すべきことは、2点あります。
- 注意点①マップ作成の目的を定めること
- ユーザーの体験から問題点を見つけることがゴールなのか、理想の体験を設計することがゴールなのか、まずはどのような目的を設定するのか決めておく必要があります。
- 注意点②「すべての体験」を可視化すること
- 製品やサービスが利用されている期間だけでなく、利用前、利用中、利用後、一連の流れのマップを作成することで他にどのようなサービスに接しているのかなどを考慮できるようになります。
カスタマージャーニーマップの作り方について詳しく知りたい方は、こちら:カスタマージャーニーマップで、顧客視点に立ったマーケティング施策を立案する方法
STEP4:ユーザー視点で体験してみる
さいごに、あなた自身がユーザーの視点に立って、製品・サービスを体感してみましょう。
ここで使用するのが、ヒューリスティックマークアップという手法です。ヒューリスティックマークアップとは、「ユーザーになりきって、製品・サービスを利用したときに感じたことや発見したことを全て記録し、改善点を把握する」方法で、特にWebのサービスの改善で活用しやすい手法です。
手順は簡単で、これから改善すべきフローを決め、その流れの中で行ったこと、感じたことをすべて記録していきます。それを資料にまとめるだけです。この資料を作成することで、実際にユーザーが感じていることを知ることができます。
UX改善の具体的施策
ユーザーへの共感をベースに課題を把握したら、次は具体的な改善施策に取り組む段階です。UXの向上は一度の設計で完結するものではなく、日々の運用や検証を通じて継続的に磨き上げていく必要があります。
ここでは、Webサイトやアプリの体験価値を高めるために効果的な代表的施策を紹介します。
ページ速度の改善
表示速度が遅いとユーザーの離脱率が高まります。画像や動画の圧縮、不要なスクリプトの削除、キャッシュの活用などでパフォーマンスを最適化しましょう。
モバイル最適化
スマートフォン利用が主流の現在、モバイルで快適に使えるかどうかはUXに直結します。レスポンシブデザインやモバイル専用のUI設計を取り入れることが重要です。
アクセシビリティ対応
色覚多様性や音声読み上げなど、誰でも使いやすい設計を意識することでUXが向上します。WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)に準拠した改善を取り入れるのも有効です。
ナビゲーションの改善
情報構造を整理し、ユーザーが迷わず目的のページにたどり着けるようにします。メニューの階層を減らす、検索機能を強化するなどの工夫が効果的です。
A/Bテストやユーザビリティテストの実施
仮説だけで改善を進めるのではなく、実際のユーザー行動を検証することが不可欠です。複数のデザインや導線を比較することで、最適なUI・UXをデータに基づいて判断できます。
パーソナライゼーション
ユーザーの属性や行動履歴に基づき、コンテンツやレコメンドを最適化します。個々のニーズに合った体験を提供することで満足度や再訪率が高まります。
UXの活用事例:Google
さて、ここまでUXについて説明を行ってきましたが、なかなか理解しにくい概念であるかと思います。そこで、みなさんご存じGoogleを例にUXを考えてみましょう。たとえばGoogle検索で「マーケティングとは?」と検索したときには以下のようなボックスが表示されるようになりました。
これはGoogleの強調スニペットと呼ばれる新しい機能なのですが、このアンサーボックスが表示されることで、「すぐに欲しかった情報が手に入るようになった」と思いませんか?このような、「知りたかったことがすぐわかった」のような快適な体験を追求することがUX向上のための改善なのです。
UXが高いと感じられる理由
この機能によって、ユーザーは「知りたいことがすぐにわかる」という快適な体験を得られます。リンクをクリックして長い記事を読む必要がなく、最小のアクションで目的を達成できるのです。まさにUXの「効率性」「わかりやすさ」「快適さ」が体現されています。
UX改善のヒント
Googleの事例から学べるのは、ユーザーの目的達成をいかに短時間でスムーズに実現するかがUX向上につながるということです。自社のWebサイトやサービスでも「ユーザーが求めている情報や機能に素早くたどり着ける仕組み」を整えることがUX改善の第一歩になるでしょう。
まとめ:製品やサービスはUXで選ばれる時代に
いかがでしたか?今回は、「ユーザーエクスペリエンス(UX)」についてご紹介しました。良いモノであるだけでは売ることができない時代、気持ちのいい「体験を売る」という意識は非常に重要です。ユーザーの体験していることを知り、ユーザーが感じていることに共感することで、より良い製品・サービスを提供していくことができます。
BtoBマーケターのみなさん、今回の4ステップで、改めて「ユーザー」のことを考えてみませんか?
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