今さら聞けない「リードナーチャリング」。基礎から手法まで徹底解説!

BtoBのマーケティング手法として「リードナーチャリング」が日本に紹介されてから早いもので数年経ちました。しかし、国内市場ではまだまだ「リードジェネレーション」、つまり「新規開拓」や「見込み顧客獲得」に注力する企業が多く、ナーチャリングには取り組めていないというケースが多いのが現状です。
この記事では、改めて「リードナーチャリングについて」と「リードナーチャリングが重要視されている背景」、「リードナーチャリングに取り組むメリット」についてお伝えします。
また、「手っ取り早くリードナーチャリングについて知りたい!」という方向けに、「リードナーチャリング実践ガイド」もご用意していますので、ぜひダウンロードしてご覧ください。
リードナーチャリングとは?
リードナーチャリングとは、直訳すると「見込み顧客の育成」です。展示会やWeb広告などで集めたリードに対し、メールなどで継続的なコミュニケーションを取ることで、検討度が上がったタイミングを判別し、商談につなげることができます。
今までは営業活動をするうえで、テレアポやWeb広告などを利用して「案件につながりそうな見込み顧客情報を獲得し、アプローチする」という活動が一般的でした。
一方でリードナーチャリングは、潜在的ニーズを抱える見込み顧客(=リード)に対して、メルマガやセミナー、Webコンテンツなどを通して有益な情報を中長期的かつ適切なタイミングで提供し、結果として自社の製品やサービスへの購買意欲を高めていくための手法やプロセスを指しています。
なぜリードナーチャリングが注目されているのか
では、なぜアメリカ発祥のこのマーケティング手法が日本でも注目を浴びつつあるのでしょうか。その背景には、
- ・日本の市況の変化や購買プロセスの長期化
- ・休眠顧客の増加
という2点があります。
1.リードの購買プロセスの厳格化と長期化
リードの購買プロセスが変化した理由には次の3つがあります。
- ・インターネットの普及で能動的に情報が入手しやすくなった
- ・購買プロセスの厳格化
- ・リード獲得方法の多様化
- 原因①:能動的に情報収集できる環境
- これまでは「営業から説明を受け、商談後その場で発注した」という営業が当たり前だったのではないでしょうか。インターネット普及期やそれ以前は、世の中の商品やサービス、新しい情報を取得する方法が限られていました。
しかし、現在ではインターネットが普及し、通信環境の改善やデバイスの多様化、SNSの普及やキュレーションサ―ビスの登場など、欲しい情報を取得したり共有したりする環境が整ってきました。
営業と商談をする前の情報収集期間が長くなったことで、購入・契約といった受注までの期間全体が長くなる傾向にあるのです。 - 原因②:購買プロセスの厳格化
- また、Web上の情報量が飛躍的に増え、「Webサイトでの情報収集の一般化」と合わせて、市況の変化により、購買行動が厳格化され始め、比較検討や稟議・決裁の重要性が高まってきました。
特に大企業であればあるほど、稟議・決裁の手順が多く、更に購買プロセスは長期化します。 - 原因③:リード獲得方法の多様化
- インターネットの普及でホワイトペーパーのダウンロードや製品比較サイト等、リード獲得をする手段も圧倒的に増加しました。同時に、直近では案件とならないような、確度が低いリードの数も増えてきました。
結果として、現在では獲得したリードのうち、営業活動をするに値しない割合が75%にものぼると言われています。
出典:Forrester Research
ちなみに、展示会でリードを獲得する企業も多いと思いますが、なんと展示会来場者の94%はただの情報収集目的なのです。
それもそのはずです。AISCEAS(アイシーズ)の視点から考えれば、資料ダウンロードをしたり、展示会に来場したりする方は、まだまだInterest(関心)や Search(検索)の段階で留まっています。
ここからAction(購買)までもっていくためにはやはり時間が必要であるため、必然的に購買プロセスは長期化しているといえます。
2.休眠顧客の増加
休眠顧客とは、過去に見込み顧客リストに加わったものの営業案件に繋がらず、放置してしまっているリードのことです。長年リードジェネレーションを実施してきた企業であれば、このようなリードの情報も多く溜まっているのではないでしょうか。
再度アプローチもしたいが、新規獲得も行っているので営業マンのリソースも割けないし、割けたとしてもどこから当たればよいか見当も付かない。このような状況だと、休眠顧客は年々増加していく一方です。
リードナーチャリングの重要性
リードナーチャリングを行わないと、様々な機会損失が生み出されます。リードの購買プロセスは長期化・厳格化しているため、営業でフォローをしても直近で案件化するリードはわずか15%とされています。
しかし、リードを長期的にフォロー出来なかった場合、なんとその80%は2年以内に競合から製品・サービスを購入しているという調査結果がでています。これは大きな機会損失です。
リードナーチャリングは休眠顧客から案件を創出できる、という点でも非常に重要です。新しい見込み顧客を獲得するには、それなりの費用や工数がかかりますが、休眠顧客からニーズを創出できれば、休眠顧客という"資産"を活用することができます。
また、「リードのナーチャリング=見込み顧客の育成」なので、ニーズがある程度顕在化し、見込み度合いが高まった顧客のみアプローチできます。
そうすることで「営業のリソースが割けない」、「どこからアプローチすれば良いのか分からない」という課題も解決でき、何よりも営業の効率化に貢献できます。
このように、今後はリードジェネレーションと並行してリードナーチャリングも実施することが重要なのです。
リードナーチャリングのメリット
今までお伝えしてきたことをまとめて、改めてリードナーチャリングのメリットを3つお伝えします。
1、長期フォローが仕組み化できる
リードの購買プロセスが長期化していることから、現在では長期に渡ってリードをフォローし続ける必要があります。しかし、営業担当が継続的にフォローし続けるのには限界がありますし、決して効率的な施策とはいえません。
ここでリードナーチャリングを仕組みとして組み込んでしまえば、営業担当の記憶や勘、長年の経験に頼ることなく、効率的にリードのフォローができます。
2、すでにある資産を活用できる
貴社では、リード獲得にどれくらい投資をしていますか?展示会や広告配信など、リードジェネレーションの手法は様々ですが、日本企業の平均的なリード獲得単価(CPL:Cost Per Lead)は8000~1万3000円/1リードと言われています。
出典:ITmediaHP
この価格が高いか安いかは扱う商材によってもまちまちでしょう。リードナーチャリングを実施すれば、既に獲得している休眠顧客情報という資産を活用して、見込み顧客の創出ができます。
また、休眠顧客とはいえ、一度は貴社の商材に関心を寄せていたお客様です。高額をかけて新たなリードを獲得するよりも確実であり、コストメリットも高い施策と言えます。
3、適切なタイミングで再アプローチできる
リードナーチャリングの各プロセスで、見込み顧客の行動や興味が可視化できます。ツールを使う必要はありますが、ニーズが顕在化した時点で逃さず再アプローチができるようになります。これは見込み顧客にとっても企業にとっても大きなメリットです。
まず見込み顧客からすると、必要なときに必要な情報が送られてくるので、受動的な情報収集が可能になります。また、検討段階以前の状態で不必要にしつこい営業を受けることも無くなります。
そして企業からしても、営業担当の業務効率およびモチベーションの向上に寄与します。リードナーチャリングを通じて見込み度合いが上がったお客様にのみアプローチするため、無駄なテレアポ、訪問、飛び込みなどが減ります。
営業担当は、その時間をよりニーズの高いお客様への対応に費やすことができます。このような仕事が増え、無駄な業務が減ることは営業担当のモチベーションにも大きな影響を与えます。モチベーションの高い社員が増えることは企業にとってもプラスに働くでしょう。
このように様々なメリットがあることから、リードナーチャリングはリードジェネレーションと並行して取り組むべき施策なのです。
具体的なリードナーチャリングの手法とは?
リードナーチャリングの手法には次のようなものがあります。
- ・メール
- ・SNS
- ・オウンドメディア
- ・セミナー
リードナーチャリングの手法①メール
メールを使ったリードナーチャリングの手法は、次のようなものがあります。
- ・メルマガ
- ・ステップメール
- ・セグメントメール
メルマガはおそらくどんな人でも聞いたことがあるでしょう。かなりメルマガは普及していますが、特にBtoBのビジネスにおいてはメルマガは有効的な手段です。
メルマガのコツについては、こちらの記事を参照ください。
ステップメールとは、見込み顧客に対して段階的にメールを配信する手法のことです。例えば、特定の商品に興味を持っていると想定される見込み顧客だけに、その商品についての知識や使い方などを日替わりで送るといった使い方があります。
セグメントメールは、特定の属性の人だけに絞ってメールを配信する手法を指します。例えば、以前送ったメールに貼った商品のURLをクリックした人だけに、その商品のキャンペーンメールを送るといったものです。
リードナーチャリングの手法②SNS
SNSマーケティングは現代において特に見逃せない手法となっています。
SNSはBtoCのみ有効から思われがちですが、実はBtoBに対しても有効なリードナーチャリングの手法です。SNSを使うことで認知度の向上やブランディング、ロイヤリティの向上が期待できるでしょう。
BtoB企業がSNSマーケティングをするべきメリットについては、次の記事で深堀りしています。
リードナーチャリングの手法③オウンドメディア
オウンドメディアとは、自社で運営するブログのようなものです。オウンドメディアでためになる情報を発信することで、会社の認知度やロイヤリティの向上ができます。今まさにご覧いただいている「Urumo!」もひとつのオウンドメディアです。
オウンドメディアを作るには、SEOの知識やWebマーケティングの知識が必要です。そのため短期的に効果が出るものではありませんが、軌道に乗ればリードナーチャリングの手法としてだけでなく、リードの獲得もできます。
リードナーチャリングの手法④セミナー
セミナーを使ったリードナーチャリングも、かなり多くの企業が実施している手法です。オウンドメディアやSNSを使った手法と比較して、対面でのコミュニケーションに特化しているという特徴があります。
セミナーはメールやSNS、オウンドメディアとも組み合わせが可能なので、リードナーチャリングをするうえではぜひ取り入れたい手法です。
リードナーチャリングの第一歩は「名刺のデータ化」
まず取り組むべきは名刺のデータ化です。データ化といっても、大がかりなCRMを導入する必要はありません。例えばEXCELに企業名、氏名、電話番号、アドレスをまとめるだけでも充分です。もちろん、ゆくゆくは顧客管理ツールや名刺管理ツールも必要になってくる可能性もありますが、まずはできるところから始めてみることが大切です。
リードナーチャリングを始めよう
この記事では、リードナーチャリングについて、重要視されている背景やそのメリット、具体的な手法についてお伝えしました。
リードナーチャリングは、目の前の売上にすぐに結び付くわけではなく、コツコツとした地道な作業を必要とします。
しかし、リードナーチャリングを実施することで休眠顧客を復活させられたり、業務効率化、さらには営業のモチベーション向上にもつながります。まだリードナーチャリングを実施していないという方は、まずは見込み顧客の情報からまとめてみてはいかがでしょうか。
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