デマンドジェネレーションとは?概念や成功のポイントを解説!

「デマンドジェネレーション」という言葉を聞いたことはありますか?BtoB営業に欠かせないマーケティング用語で「営業案件の創出」という意味なのですが、そのまま伝えられても、どういうものなのか理解しにくいですよね。しかし、マーケティングや営業職に携わる人であれば、この仕組みを知っておいて損はありません。
今回は、BtoBビジネスを圧倒的に加速させるデマンドジェネレーションについて解説します。ぜひ参考にしてみてください。
- ▼この記事でわかること
- ・デマンドジェネレーションの概要
- ・デマンドジェネレーションの活動プロセス
- ・デマンドジェネレーションのメリットとデメリット
- ・デマンドジェネレーションを成功させるポイント
デマンドジェネレーションとは?
デマンドジェネレーション(Demand Generation)は、一言でいうと「営業案件の創出」です。展示会やセミナー、Web広告やメルマガ、DMなどのマーケティング活動を経て営業へ効果的なリストを提供するまでの活動全般を指します。その中身は大きく分けて3つのプロセスに分かれます。
- 1. 見込み顧客獲得(リードジェネレーション/Lead Generation)
- 2. 見込み顧客育成(リードナーチャリング/Lead Nurturing)
- 3. 見込み顧客の絞込み(リードクォリフィケーション/Lead Qualification)
これまでは、この3つのプロセスをそれぞれ別軸で考えていましたが、1がうまくできていなければ2を実行することはできませんし、逆にいくら2まで達成していたとしても、3で止まってしまっては営業数字を伸ばすことができません。
そこでこの3つのプロセスをひとまとめにし、最初から最後までを総合的に見ながらデータ分析し、戦略を考えていくのがデマンドジェネレーションの骨子なのです。
今はまだ新しい言葉であり、あまり馴染みのない考え方でもありますが、今後注目度が上がって行くのは間違いありません。
デマンドジェネレーションが必要とされる理由
昨今インターネットの普及により、顧客は自ら能動的に情報収集するようになりました。そのため実際に企業に問い合わせが入る頃には、顧客は粗方の導入検討を終了していることが多くなっています。そうした環境下の中で、自社の製品やサービスを購入してもらうためには、早い段階で接点を持ち、中長期的なアプローチを行い続けることで、自社製品を導入検討してもらうことが重要となっているのです。
しかし、そのような見込み顧客の獲得から、中長期的なアプローチ、さらに受注活動までのすべてを営業部門が担っていることも多く、実際にはリソース不足により、見込み顧客の検討段階で接点が持てず、機会損失となってしまっていることも多くあります。
デマンドジェネレーションは、そうした見込み顧客の獲得から、受注確度の高い案件の絞り込みをフェーズごとに明確化し、役割を分業することで、営業効率を高めることができるのです。それにより、機会損失を減らし、売上の最大化を見込めることからこれからのBtoBマーケティングに欠かせない考え方となってきています。
デマンドジェネレーションの活動プロセスとそれぞれの手法

それでは、デマンドジェネレーションの具体的なプロセスと手法についてみていきましょう。
1:見込み顧客獲得(リードジェネレーション)
将来的に自社の顧客になる可能性のある、見込み顧客の情報を獲得します。一般的な方法として、展示会での名刺交換、Webからの問い合わせなどが挙げられます。
ここでは、ただ集めるだけでは効果は薄いため、しっかりした管理をすることが大切です。集めた名刺を営業担当者個人に任せておくのではなく、会社全体で集約し、名寄せや精査をした上で、会社の資産として活用しましょう。
- 主な手法
- Web広告
- 外部メディアや、ネット上でのアクションに基づいて広告を掲載し、自社サイトへ誘導する方法です。継続的に費用の掛かる手法ですが、即効性が期待できます。
- Webコンテンツ
- 自社サイトやブログなど、自社で発信している媒体に訪問している潜在的見込み顧客情報を獲得する方法です。さらに、自社サイトから資料ダウンロードがあればダウンロードと引き換えに、見込顧客情報を獲得することができます。
- 展示会
- 展示会の出展は、一度で多くの見込み顧客情報を獲得できる手法です。来場した見込み顧客へのアンケートの実施や、名刺交換で見込顧客情報を獲得することができます。
リードジェネレーションについては、以下の記事で詳しく解説しています。
マーケティングオートメーションツールを活用し、効果的なリードジェネレーションを!
2:見込み顧客育成(リードナーチャリング)
リードジェネレーションにより獲得した見込み顧客情報は、顧客となる確度をより高めていかなければなりません。
基本的に、獲得した見込み顧客の全てがすぐに顧客になることはありません。ニーズがすでに明確にある見込み顧客は、すぐに案件へと発展するでしょう。大切なのは、すぐに案件には発展しないけれど、後々の可能性が見込まれる顧客です。
その見込み顧客に対してメールなどを継続的に送ることでコミュニケーションを維持します。それぞれの見込み顧客が必要としている情報を提供することで、見込み度合いを上げていくことが、「見込み顧客育成」の本質と言えます。ニーズが発生したタイミングで必ずお声がけいただけるように、しっかりと準備をしておきましょう。
- 主な手法
- メルマガ
- メール(メルマガ)配信は、代表的なリードナーチャリング手法です。見込み顧客が興味・関心のある有益な情報を定期的に配信することで、見込み顧客の購買意欲を高めていくことができます。
- SNS
- SNSを活用したリードナーチャリングは、現代において特に見逃せない手法となっています。SNSを使うことで認知度の向上やブランディング、ロイヤリティの向上が期待できるでしょう。
- リターゲティング広告
- リターゲティング広告は、自社のWebサイトを訪問した顧客や広告をクリックした顧客に対して、その顧客が閲覧している外部サイトに表示する広告のことです。 自社の商品やサービスに興味をもった見込み顧客に対して、再度広告を表示することで、ニーズを喚起したり、記憶から抜け落ちていた顧客に自社を思い出してもらうきっかけを与えることができます。
リードナーチャリングについては、以下の記事で詳しく解説しています。
ナーチャリングとは?基礎から成功のポイントまで徹底解説!
3:見込み顧客の絞り込み(リードクオリフィケーション)
とはいえ、無尽蔵にメールを送っていてもコストばかりがかさんでしまい、実際の効果の方が少ない、ということにもなりかねません。そこで重要になってくるのが、この「絞り込み」です。
例えば、会社のHPに資料などを載せておいたとして、そこを週に一回見に来てくれる見込み顧客と、一年に一回しか見に来てくれない見込み顧客がいた場合、どちらの方が案件に繋がる可能性が高いでしょうか?間違いなく前者のはずです。
しかし、これまでのマーケティングでは、とにかくすべての見込み顧客に同一量のアプローチをしている場合が多くありました。これは非常に非効率的と言わざるを得ませんし、場合によっては逆効果となり、見込み顧客が離れてしまう場合もあるでしょう。
そこで見込み顧客の中でも確度の高いホットリードとなる顧客には手厚く、確度が低いものは少々薄めて対応していくといったように、優先順位を決めてアプローチを行うことで無駄を省きつつ、より確実な営業活動をすることができるのです。
- 主な手法
- ホットリードの明確化
- まずは、どの段階の見込み顧客をホットリードとみなすのか、定義を明確にしておく必要があります。定義が定まっていないと、個人の認識の違いにより本来ホットリードではない見込み顧客にアプローチを行ってしまうなど、営業効率が悪くなってしまう原因となります。
ホットリードの定義は、企業や業種によって異なるため、自社の商品やサービスに合わせ、どのようなアクションを起こしたらホットリードとするのか、基準を明確化しておくことが大切です。 - スコアリング
- ホットリードの判断方法の一つとしてスコアリングがあります。スコアリングでは、見込み顧客の反応から購買意欲や関心度に基づいて点数をつけ、高得点となった見込み顧客をホットリードとして抽出します。このようにスコアリングでは、見込み顧客の行動を数値化することで、客観的に見込み度合いを判断することができます。
リードクオリフィケーションについては、以下の記事で詳しく解説しています。
リードクオリフィケーションとは?精度を高めるためのポイント
デマンドジェネレーションのメリットとデメリット
デマンドジェネレーションには、営業効率を高めたり機会損失を防いだりする大きなメリットがある一方で、成果が出るまでに時間がかかったり、体制整備やツール投資が必要といったデメリットも存在します。ここでは、導入を検討する際に押さえておくべきメリット・デメリットを整理します。
メリット
- 1.営業効率の向上
- デマンドジェネレーションでは、単にリードを大量に集めるのではなく、購買意欲の高い「ホットリード」を抽出して営業に引き渡します。これにより営業担当者は「確度の高い顧客」への提案に集中でき、商談化率や成約率の向上が期待できます。
- 2.機会損失の防止
- 多くの見込み顧客はすぐに購入するわけではありません。ナーチャリングによって長期的にフォローを続けることで、競合に流れる前に接点を維持できます。結果的に、本来逃していたはずの案件を自社に取り込める可能性が高まります。
- 3.売上最大化につながる
- 展示会で獲得した名刺や過去に失注した休眠顧客も「資産」として活用できるのが強みです。新規顧客をゼロから獲得するよりも効率的で、営業活動のROIを高め、売上増加を実現できます。
- 4.マーケティングと営業の連携強化
- デマンドジェネレーションはマーケティング部門と営業部門の役割分担を前提としています。プロセスごとに明確に分業することで、両部門の連携が強まり、社内全体で案件創出に向けた仕組みづくりが進みます。
デメリット
- 1.成果が出るまで時間がかかる
- ナーチャリングは「顧客が購入を検討するタイミング」まで関係を維持し続ける活動です。そのため、短期的な売上アップを狙う場合には成果が見えにくく、経営層や営業から即効性に乏しいと評価されるリスクがあります。
- 2.ツール導入・運用コストがかかる
- MA(マーケティングオートメーション)やCRMなどのシステムが不可欠です。導入費用や運用のための人材コストがかかり、特に中小企業では投資判断が難しい場合があります。
- 3.組織体制の整備が不可欠
- 営業とマーケティングの役割分担やKPI設定が曖昧なまま進めると、責任の所在が不明確になり、成果が出ない原因となります。組織間の連携不足はデマンドジェネレーションの失敗要因の一つです。
デマンドジェネレーション戦略を設計する手順
デマンドジェネレーションを効果的に機能させるためには、場当たり的に施策を実行するのではなく、明確な手順に沿って戦略を設計することが重要です。ここでは、基本となる6つのステップを紹介します。
1.目的を明確にする
まずは「どのような成果を得たいのか」を明確にします。新規リード獲得を重視するのか、既存リードのナーチャリングを強化するのかによって、戦略の設計は大きく変わります。
2.ターゲットを設定する
次に、自社が狙うべきターゲット像を定義します。企業規模・業種・役職・課題などを明確化し、ペルソナを設定することで、アプローチの精度を高められます。
3.コンテンツを企画する
ターゲットの課題解決に直結するコンテンツを準備します。ホワイトペーパー、事例記事、ウェビナー、ブログ記事などを組み合わせ、顧客の検討段階に応じた情報を提供しましょう。
4.リードを獲得する
展示会、Web広告、SEO、資料ダウンロードフォームなど、複数のチャネルを活用してリードを獲得します。獲得した情報は必ずシステムで一元管理し、資産化しておくことが重要です。
5.リードを育成する
すぐに案件化しないリードに対しては、メールマーケティングやSNS、リターゲティング広告を用いて長期的に接点を維持します。適切な情報提供を続けることで、購買意欲を高めることができます。
6.営業に引き渡し、連携する
スコアリングなどでホットリードを抽出したら、営業に引き渡して商談化を図ります。この際、営業とマーケティングが共通の基準を持ち、情報をリアルタイムで共有できる体制を整えることが成功の鍵となります。
デマンドジェネレーションを成功させる3つのポイント
1.中長期的なアプローチで顧客を育成する
リードの購買プロセスは長期化しているため、営業でフォローをしても直近で案件化するリードはわずか15%とされています。しかし、リードを長期的にフォロー出来なかった場合、なんとその80%は2年以内に競合から製品やサービスを購入しているという調査結果がでています。これは大きな機会損失といえます。
そこで最初に接点を持った時点ではまだ見込み度合いの低い状態であったとしても、継続的に接点を持ち続け、顧客が「欲しい」タイミングで自社を候補として思い出してもらうことが大切です。
また継続的に接点を持ち続けることは、一度失注してしまった休眠顧客からも案件を創出できる可能性も高めることができます。新しい見込み顧客を獲得するには、それなりの費用や工数がかかりますが、休眠顧客からニーズを創出できれば、休眠顧客という"資産"を活用できます。
2.検討段階前から接点を作り関係を築く
先述したように、現在ではインターネットが普及し、顧客が自分で能動的に情報収集するようになったため、実際に企業に問い合わせが入る頃には、顧客は粗方の導入検討を終了しています。
そこで、まずは自社を検討の候補に入れてもらう必要があるのです。そのためには、顧客が製品やサービスの検討を始める前に顧客との接点を持ち、関係性を構築しておくことが重要となります。
3.営業とマーケティングの連携を強化する
デマンドジェネレーションはマーケティングだけで完結するものではなく、営業との連携が不可欠です。マーケティングが創出したリードを営業が有効に活用できなければ、せっかくの取り組みも成果につながりません。
そのためには、リードの定義や評価基準を両部門で統一し、情報共有の仕組みを整えることが重要です。また、共通のKPIを設定し、案件創出から受注までを一貫した流れとして管理することで、部門間の溝をなくし、成果を最大化できます。
MAツールを活用してデマンドジェネレーションを効率化する
デマンドジェネレーションでは、リードジェネレーションにより獲得した顧客情報の管理から、見込み度合いに合わせたリードナーチャリング、さらに、リードクオリフィケーションと多くの工数が存在します。
これらをすべて手作業で行うことは、膨大なリソースが必要となり、現実的ではなく、リソース不足や機会損失につながるケースも少なくありません。そこで有効なのが、マーケティングオートメーション(MA)ツールの導入です。
MAツール導入によるメリット
MAツールを導入することは、これまで手作業で行っていた活動を自動化し、効率的にデマンドジェネレーションを推進できます。たとえば、見込み顧客へのメール配信やスコアリングを自動で行えるため、精度の高いリード管理が可能になります。
また、工数削減によって営業やマーケティング担当者がより戦略的な活動に時間を割けるようになり、生産性向上にもつながります。さらに、作業をシステム化することで人的ミスを防止し、安定した運用を実現できる点も大きなメリットです。
MAツールについては、以下の記事で詳しく解説しています。
【2024年1月更新】マーケティングオートメーション(MA)とは? 効果、特長...基礎知識を解説!
さいごに:デマンドジェネレーションを活用して効率的な営業活動に
より多くの名刺集めに躍起になる企業営業は多いものの、一方でその名刺を100%活かせている企業はそこまで多くありません。
しかし、このデマンドジェネレーションを意識して、名刺を有効に活用し、顧客を育てるということに注目しながら活動することで、営業効率はこれまでのレベルより引き上げられるでしょう。場合によっては、「特別新しいことに手を出さずとも、そのときが来れば見込み顧客が自らやってくる」という状況を作り出すこともできるかもしれません。
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