【営業心理学シリーズ】相手の本音を聞き出せ!「サトルクエスチョン」とは?

皆さんは「サトルクエスチョン」という心理学のテクニックをご存知ですか?よく占い師なども使っているこのテクニックは、警戒心を与えることなく、相手の本音を引き出していくときに使われます。営業における商談等の場面でも使えますので、ぜひこの機会に学んでみましょう。
サトルクエスチョンとは?
営業の商談ではお客様と良い関係性を築いたうえで、相手が抱えている真のニーズを引き出すことが求められます。相手との関係ができていない状況で「御社の~~についての課題はなんですか?」「現在はどの業者とお付き合いしているのですか?」といったコアな質問をしてしまうと、適当な答えではぐらかされてしまうか、相手が質問ではなく尋問のように感じてしまい関係性が悪くなってしまう恐れがあります。
しかし、本音を語ってくれるほどの関係性を短時間で構築するのは簡単ではありません。そこで関係性ができていないお客様からでも本音を引き出しやすくするためのテクニックがサトルクエスチョンです。「質問していることを相手に悟られずに質問する」心理学のテクニックで、相手はこちらに警戒心をもたずに話してくれるため、本音を聞き出しやすくなるテクニックです。
サトルクエスチョンの具体的な方法
ではここからは具体的なサトルクエスチョンの方法について見ていきましょう。サトルクエスチョンの方法は大きく2種類に分けられます。
◆相手に仮説をぶつけて訂正してもらう
「~~ということは、xxx(仮説)なんですよね?」
仮説をぶつけるとその仮説が合っていたかどうかで、相手はYESかNOで返事をしてくれます。YESであれば、そのまま話を進めていくことができます。NOの場合、「いいえ、違います。当社では~~なんです」と相手が訂正をしてくれます。この訂正をしてもらうというのがサトルクエスチョンのポイントです。相手にとっては質問に回答しているのではなく、誤りを訂正するために話してくれるので心理的負荷が下がります。その結果、シンプルに質問するよりも相手の本音を聞き出しやすくなるでしょう。
- 【例】
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- 営業「御社くらいの規模の企業様だと、〇〇(仮説)という課題があるのではないでしょうか?」
- ・YESの場合
- 顧客「そうなんですよ。当社でも〇〇という課題はありますね」
- ・NOの場合
- 「いえ、当社ではそういった課題はありませんが、〇〇という別の課題があります」
◆否定疑問文を用いて相手を肯定する
「~~のことで心当たりありませんか?」
否定疑問文とは英語で「Don't you ~~」「Aren't you ~~」からなる文章です。日本語では「~~ではありませんよね?」「~~には心当たりありませんか?」となります。この否定疑問文の一番の特徴は、相手に「自分のことを分かっている」と感じさせる点です。
その理由のひとつに、質問に対する相手の答えがYESであってもNOであっても、自分の質問を肯定できることが挙げられます。仮に相手の答えがNOの場合は、ほぼ答えがYESになるような追加質問をすることによって、相手を肯定することができるでしょう。それでは、ひとつ例を見ていきます。
- 【例】
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- 営業「御社は素晴らしい施策をたくさんやっていらっしゃるので、〇〇というお悩みはありませんよね?」
- ・YESの場合
- 顧客「そうですね。当社では今のところ〇〇といった悩みはないですよ。まあ他の悩みはありますけどね」
- 営業「やはり〇〇はできているんですね。本当に素晴らしいです。ちなみに他の悩みというのは具体的にどういうお悩みなんですか?」
- ・NOの場合
- 顧客「いや、実は当社でも〇〇という悩みがあるんですよ」
- 営業「そうなんですね。でも御社のことなんで△△については大丈夫なのではないですか?」
- 顧客「確かに、△△については対応できていますね」
- 営業「やはりそうですか。御社であればきちんと対応できていると思ってました。ちなみに〇〇のお悩みはどういう状況なんでしょうか」
サトルクエスチョンを使える場面
ここまではサトルクエスチョンの概要と具体的な方法についてご紹介してきました。続いて、どのような場面で使えるのかをご説明します。
◆初対面の相手と早く打ち解けたいとき
商談の場において、まず相手と打ち解ける際に「アイスブレイク」と呼ばれる雑談の時間があります。そこで共通の話題を見つける際にこのサトルクエスチョンが有効です。
- 【例】
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- 営業「がっしりされていますね!学生時代は野球部とかですか?」
- 顧客「いえ、学生時代はラグビー部でしたよ」
- 営業「そうでしたか。私も運動部だったのですが、上下関係厳しかったんじゃないですか?」
- 顧客「あー、そうですね。でもまあ、社会人になってあの上下関係を経験しておいてよかったとは思いますよ」
- 営業「同感ですね。私も~~」
◆お客様の役に立てる提案ができる可能性を探るとき
本格的に提案を始める前に、自分がお客様の役に立てる提案ができる可能性があるかを確認する必要があります。提案できる余地が全くなければ「見込み顧客」にならないため、サトルクエスチョンで相手の状況を探っていきます。
- 【例】
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- 営業「御社はABC株式会社さんのSFAをお使いですので、弊社のこのMAツールと連携してお使いいただけますよ」
- 顧客「あっ、うちはXYZ商社さんのSFAを使っていますよ」
- 営業「失礼しました、XYZ商社さんしたか。それであれば、丁度、来月くらいに弊社ツールとの連携が開始される予定なので、ぜひご紹介をさせてください」
使いすぎに注意!
サトルクエスチョンが有効なのは、質問に対してなかなか本音で返答がいただけないような「関係構築が浅い初期の段階」です。関係性ができている相手にサトルクエスチョンを使ってしまうと、「御社はこんなこともわかってないのか?」と不信感を与えてしまう可能性があります。相手との関係性を考慮したうえで活用するようにしましょう。
またサトルクエスションを乱用してしまうと、ビジネスでは「何度も間違いをするビジネスマンは信用できない」と思われてしまいます。ここぞ!というタイミングで活用することが効果的です。
さいごに
サトルクエスチョンを商談で使えるイメージはお持ちいただけましたでしょうか?適切なタイミングで使うことができれば、商談の成功率を高めることができます。ぜひ「使いすぎない」という注意点は考慮して、実際に使ってみてください。
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