メールマーケティング(メルマガ)の開封率を上げるための実践テクニック

メルマガの開封率とは配信したメールの数に対し、どのくらい開封されているかの指標です。開封率はテキストメールの配信だと確認することはできませんが、HTMLメールで送信するとこの数値を測ることができます。
メールマーケティングを実施していく中で、どれだけ良いコンテンツのメールを送ったとしても、メールを開封してもらわなければまったく意味がありません。「開封率を上げる」ということは、メールマーケティングの成果を上げるうえで、とても重要なことなのです。
今回は、開封率を上げるためのテクニックについてご紹介します。
- ▼この記事でわかること
- ・メルマガの開封率とは
- ・開封率を高めるための件名作成の具体的なテクニック
- ・開封率が下がるメルマガの特徴と改善すべきポイント
メルマガの開封率とは?
メルマガの開封率とは、送信したメールのうち、実際に受信者がメールを開いた割合を示す指標です。メールマーケティングにおける重要な成果指標であり、読者がメールを「読む意思を示した」かどうかを可視化する手段として使われます。
特にBtoBでは、忙しい業務の合間にメールを開封してもらえるかどうかが、そのメールの価値判断に直結します。そのため、開封率の向上はマーケティングROIを左右する重要な要素となります。
メルマガ開封率の計算方法
開封率は、次の式で算出されます。
開封率(%) = 開封数 ÷ メール到達数 × 100
たとえば、メール到達数が1,000通、開封数が230件の場合、「230 ÷ 1,000 × 100 」となり開封率は23%となります。
開封率を測定できる仕組み
メルマガの開封率は、HTMLメールの本文内に埋め込まれた開封検知のための見えない画像タグが読み込まれることで、「開封された」と判断されます。
しかし、テキストメールや画像非表示の設定ではカウントされないことや、Gmailなどのキャッシュ表示により、正確性がやや低下する場合もあるため、開封率は目安として参考にしつつ、クリック率やコンバージョン率と併用して分析することが重要です。
なぜメルマガの開封率改善は重要なのか
メルマガは、既存顧客との関係構築やリードナーチャリングにおいて、有効なチャネルです。しかし、いくら内容が良くても「開封」されなければ意味がありません。
開封率はクリック率やコンバージョン率にも大きく影響するため、メールマーケティングの成果を高めるうえで、まず開封率の改善が重要です。
メルマガの主なKPI
メルマガのKPI(重要業績評価指標)は、配信の効果を可視化し、改善サイクルを回すために不可欠な指標です。以下に、メールマーケティングにおいて特に重視される主要KPIを紹介します。
開封率
開封率とは、配信したメルマガのうち、実際に開封されたメールの割合を示す指標です。主に件名や差出人名、送信タイミングが影響するため、開封率は「読んでもらえるメールかどうか」を測る重要なKPIです。BtoBの場合、平均15~25%が一つの目安となります。
クリック率
クリック率は、開封されたメルマガの中で、本文内のリンクがクリックされた割合を示します。読者がメール内容にどれだけ関心を持ち、次のアクションに移ったかを判断する材料になります。コンテンツやリンクの配置、文言の工夫がクリック率の向上につながります。
コンバージョン率
コンバージョン率は、クリックされたリンクから遷移した先で、資料請求や問い合わせなどの具体的な成果に結びついた割合です。メルマガがビジネス成果にどの程度貢献しているかを測定するKPIで、最も重視される指標の一つです。
到達率
到達率は、送信したメルマガのうち、エラーやブロックが発生せずに受信者の受信ボックスへ正常に届いた割合を示す指標です。メールアドレスの有効性やリストの鮮度、配信ドメインの信頼性がこの数値に大きく影響します。メルマガの内容を読んでもらうための前提条件として、安定した到達率の維持は非常に重要です。
メルマガ開封率の平均
メルマガの開封率は、一般的にBtoBでは15〜25%程度が平均的な水準とされています。ただし、実際の開封率は、配信対象となる読者のステータスや関心度によって大きく異なります。以下に、主な3分類ごとの傾向を示します。
新規顧客向け
製品やサービスをまだ知らない新規顧客は、企業との接点が少ないため、メルマガを開封する動機が弱く、開封率は低めです。この層には「お客様の関心のある課題やテーマ」に沿ったコンテンツ設計が重要です。
平均開封率:5%前後
見込み顧客向け
営業が接触中、あるいはハウスリストに登録されている見込み顧客は、ある程度サービスに興味を持っており、開封率も新規層より高めになります。適切なタイミングで、商品特徴や事例を訴求することで、反応率が向上します。
平均開封率:5〜20%
既存顧客向け
既に取引のある既存顧客は、企業に対する信頼や関係性が築かれているため、メルマガに対する関心も高く、開封率は安定して高い傾向があります。業界ニュースやノウハウ提供など、価値のある情報を届けることがポイントです。
平均開封率:30%前後
開封率を高める3つの方法
メールを開封前に受信者が確認できるのは、次の3点です。
- ・送信日時
- ・差出人名
- ・件名
これらの情報が受信ボックスの一覧に表示され、「必要なもの」「興味のあるもの」などから順番に開封されていきます。ですので、この3点を工夫することでメールの開封率は向上させることができます。
では、それぞれを設定するポイントを見てみましょう。
1.開封されやすい送信タイミングを設定する
「送信タイミング」を工夫することで、まずは受信者の目に留まることができます。そのためにはメールがチェックされやすいタイミングで送信する工夫が必要です。送信日時の工夫については、次の3つの指標について考えましょう。
- ・時間帯
- ・曜日
- ・時期
時間帯
メールを開封する時間帯は「仕事を始める前」や「昼休み明け」などにまとめて確認することが多いようです。
筆者自身も、朝出勤してから30分ほどはメールのチェックと、業務整理の時間にしています。メールを見てもらうためには、一般的に8~9時、12~13時あたりが望ましいと考えられます。
曜日
BtoBの場合、月曜日などの休み明けはメールが溜まりがちなので、火曜〜木曜の午前中が高開封率を狙える傾向にあります。
また、金曜日は「業務時間中に来たメールは確認し、すっきり休日を迎えよう」という心理が作用するので、15時以降に送信しても、読んでもらえる可能性があります。
時期
月末や月初だと契約、請求の処理など社内があわただしく動くので、メルマガは見落とされがちです。また、年末年始やゴールデンウィーク、夏季休暇などの大型連休や、その前後も同様にあまり効果は期待できません。
2.信頼される差出人名を設定する
「差出人名」は「警戒心」を解き「開封しても大丈夫だよ」という安心感を与えることが大切です。ダイレクトメールの多くは「担当者」「○○部」などの名前で、「info@」や「marketing@」のようなグループアドレスから送信されています。
普段から、そのメールアドレスでやり取りをしていたり、メールアドレスからご連絡をしていれば警戒されることは少ないですが、全く面識のない企業、知らない人からのメールは、読まなかったり、そのまま破棄してしまうことが多いのです。
たとえば、展示会やセミナー、個別の営業活動等で名刺交換をした担当者がはっきりしている場合は、担当者名、担当者のメールアドレスで送ったほうが警戒されにくく、開封してもらいやすくなります。可能な限り個人の名前で送信するのが望ましいといえます。
あるいは、企業名や製品名を差出人に組み込めば、ブランド浸透にも貢献できる可能性があります。送信する内容によって変えてみて、反応を確認しながらコツをつかんでいくのがよいでしょう。
3.件名を工夫する
送り先の目に留まることが出来たら、今度はいよいよ開封してもらえるかどうかです。開封してもらえるかどうかは、「件名」にかかっています。
メルマガにおいては、本文よりもむしろ「件名」の方が重要であるといっても過言ではありません。「自分に関係あるかも」「読んでみたいな」と思わせる工夫が必要です。メールの件名を決めるときには以下の点に気を付けると開封してもらいやすくなります。
- ・4Uの原則を活用する
- ・適度な長さにする(全角15~20文字が目安)
- ・メールの内容と自分の関連性が分かる
- ・最低限必要な情報を記載する
- ・興味を引く表現を用いる
- ・具体的なメリットや数字を入れる
4Uの原則を活用する
4Uの原則とは、以下の4つの要素の頭文字を取ったもので、コピーライティングや広告見出しでも使われるフレームワークです。
- Urgency(緊急性):今すぐ読むべき理由がある
- Usefulness(有益性):読者にとって役立つ情報がある
- Uniqueness(独自性):他とは違う独自の価値がある
- Ultra-specificity(超具体性):内容が具体的でイメージしやすい
たとえば、「本日締切」「今だけ限定」といった緊急性を持たせることで、読者の行動を促しやすくなります。また、「すぐ使える」「簡単に導入できる」といった有用性を示す言葉を盛り込むことで、「読む価値がある」と感じさせることができます。
他にも、他社では得られないような独自性や、数字や内容を具体的に表現することで、読者の関心を引きつけることが可能です。件名に「3つの方法」「5分でできる」などの要素を入れると、内容のイメージがしやすくなり、クリックされやすくなります。
このように、件名を考える際は、「読みたくなる要素」が4つの視点で含まれているかをチェックすることで、開封率を効果的に高めることができます。
適度な長さにする
件名が一覧からはみ出てしまうと、メルマガの内容が想像しづらく、すぐに開封するということにはなりません。一般的なメーラーでは、約20文字以上の件名は省略されてしまう傾向にあります。また、何が書かれているかを一目見て判断できる適度な長さは全角で15文字が目安とされています。
メールの内容と自分の関連性が分かる
本文に何が書いてあるのかを端的に表現することで、受信者が自分に関係のあることか、必要なことかを見てすぐに確認することができます。たとえば、以下の2つの件名を比べてみてください。
- ・リストファインダーセミナーのお知らせ
- ・リストファインダー新機能解説セミナーのお知らせ
上段の件名では、どんなセミナーなのか、自分にとって必要なのかどうかを一目見て判断することはできません。下段の件名には「新機能解説」というセミナー内容の説明を入れることで、受信者が「必要か必要でないか」を判断しやすくなります。
「自分と関係がある」「必要な情報だ」と思わせることができれば、詳細を見てくれる可能性は高まります。伝えたいことよりも、受信者が必要としていそうなことを想像して件名を設定することが大切です。
最低限必要な情報を記載する
セミナーや展示会、イベントごとのお知らせの場合は開催日時や開催場所を件名に記載してしまうのも良いでしょう。受信者がそのイベントに参加できるかどうかを一目で確認することができます。一方で、開封率が大きく下がる可能性もあるため、注意が必要です。
興味を引く表現を用いる
上記の方法を押さえたうえで、メルマガのタイトルに興味を引く表現を加えましょう。
- ・緊急性(例:「緊急開催!マーケティング効率を上げるためのセミナー」)
- ・限定感(例:「本日まで!○○の商品10%オフキャンペーン」)
- ・簡易性(例:3分で導入できるメールマーケティングのコツとは)
これらのようなコピーライティングの基礎を抑えることで、メルマガの開封率を上昇させられる可能性があります。また、「○○様におすすめの情報」と件名に名前を入れられると、自分宛てに向けられたメールと認識され開封率がアップします。
具体的なメリットや数字を入れる
抽象的なタイトルよりも、読者にとってのベネフィットや、具体的な数字を含んだ件名が効果的です。「読むことで何が得られるのか」が明確になると、開封する価値を感じやすくなります。
たとえば、
- ・「問い合わせ数が3倍に増えた施策を公開!」
- ・「5分で読める|今すぐ使えるSNS広告の裏技」
のように、数字とベネフィットの組み合わせにより、読者の「読む動機」を強く刺激することができます。
開封率が上がらないメルマガの特徴
開封率はメルマガのタイトルや送信タイミングだけでなく、過去に配信された内容の質によっても大きく左右されます。以下では、開封率が低下しがちなメルマガに共通する特徴を紹介します。
開封率はメルマガの内容にも左右される
ここまではメルマガを開封される前の工夫についてお伝えしました。しかし、メルマガの内容によっても今後の開封率が変化します。
たとえば、魅力的なタイトルのメルマガが届き、あなたがそのメルマガを気になって開封したとします。しかし、タイトルとメルマガの内容がズレていると、「この会社のメルマガはあまり参考にならない」と判断されてしまうのです。
一度そのような印象を与えてしまうと、そのあとに配信するメルマガの開封率は一気に下がってしまうでしょう。そのため、メルマガの開封率向上には時間帯やタイトルだけでなく、内容も非常に重要なのです。
配信頻度が多すぎる or 不定期すぎる
毎日のように届くメルマガは、読者に「ノイズ」として扱われがちです。一方で、不定期すぎると認知されにくく、ブランドとしての定着が難しくなります。配信頻度の最適化も、長期的な開封率を維持するうえで重要な要素です。
パーソナライズされていない
すべての読者に同じ内容を一斉配信するスタイルでは、読者一人ひとりの関心を引くことが難しくなります。セグメント分けや名前の差し込みなど、個別性・関連性の高い情報提供がないメルマガは、スルーされる確率が高まります。
メルマガの開封率を測定できるツール
メルマガの開封率を測定するにはツールを使います。測定には次のようなツールを使用しましょう。
Googleアナリティクス
GoogleアナリティクスはWebサイトのアクセスを測るツールだと思われがちですが、メールの開封率も測定できます。無料で導入できるうえ、開封率以外にも到達率やクリック率も測定可能です。
ただし、Googleアナリティクスで測定するにはHTMLメールを使用する必要があります。メール用にHTMLを組むのに手間がかかるうえ、コードの埋め込みに失敗して測定できないこともあります。
メール配信システム
あまりITの知識がない方にはメール配信システムの利用がおすすめです。メール配信ソフトは簡単に設定でき、HTMLメールの作成が簡単にできます。
メール配信システムの中には、LPの作成や顧客管理の機能も付属した「マーケティングオートメーション」というものがあります。このマーケティングオートメーションはあらゆるマーケティング業務を効率化できるため、メールマーケティングだけでなくマーケティング全般に注力したい会社にはおすすめです。
メール配信システムやマーケティングオートメーションについては以下の記事で詳しく解説しています。
どちらを選ぶ?MAツールとメール配信システムの違いとは
まとめ:ポイントを押さえてメルマガの開封率を上げよう
普段なんとなく受け取っているメルマガですが、開封率を上げるために、これだけの改善ポイントがあります。一つひとつチェックしながら、自社のメルマガの開封率を改善していきましょう。
地道な作業になりますが、自社のメルマガにとってどこがポイントになるのか、内容や送り先を見直すことでさらにメルマガの効果は高まっていきますので、さまざまなパターンでどんどん試していくことが大切です。
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