メールマーケティングの効果測定ガイド|KPIと改善ステップを実例で解説

メールマーケティングを成功させるには、配信したあとのデータ分析が欠かせません。開封率やクリック率、CV率などを定期的に測定・改善することで、売上や顧客エンゲージメントを高められます。
この記事では、メールマーケティングの効果測定に必要な指標・分析方法・改善ステップをわかりやすく解説します。
- ▼この記事でわかること
- ・メールマーケティングにおける効果測定の重要性
- ・主要KPI
- ・各指標を改善するための具体的な分析
- ・効果測定を効率化するツール
メールマーケティングの効果測定とは?
メールマーケティングの効果測定とは、配信したメールがどの程度ユーザーに届き、読まれ、行動につながったかを数値データで可視化・分析するプロセスのことです。単に「送って終わり」ではなく、配信結果を分析して改善を重ねることで、マーケティングROIを高めていくことが目的です。
たとえば、開封率を見れば「タイトルが興味を引いたか」、クリック率を見れば「内容が行動を促したか」がわかります。これらを定期的に測定し、仮説を立てて改善を繰り返すことで、ユーザーとの関係性を深め、売上やリード獲得につなげることができます。
効果測定を行わないと、どの施策が成果を生み、どの部分が改善すべきかが分からず、感覚的な配信になってしまうリスクがあります。データをもとにPDCAを回すことが、メールマーケティングを成果の出せる施策にすることができるのです。
効果測定で活用すべき7つの主要KPI
メールマーケティングの効果を正確に把握するためには、複数のKPI(重要業績評価指標)を組み合わせて分析することが重要です。単一の数値だけを見ても、施策全体の成果は判断できません。ここでは、効果測定で必ず確認すべき7つの主要指標を紹介します。
到達率
配信したメールが正しく受信ボックスに届いた割合を示します。到達率が下がると開封率やクリック率も連動して悪化するため、まず確実に届く状態を維持することが最優先です。
メールの到達率が低いままだと、受信側のサーバーでスパム扱いされる可能性が上がります。するとこれまで送信できていたのに送れなくなった配信先も出てきてしまうので、まずアドレス間違いや存在しないアドレスに送っていないかを確認しましょう。
エラー率
配信エラーが発生した割合です。1〜3%を超える場合は、アドレスの間違いや受信サーバーによる拒否、スパム判定などが疑われます。エラー率の上昇はメールリストの品質低下を示すサインなので、定期的なリストの精査・更新を行い、健全な配信基盤を保ちましょう。
開封率
送信したメールのうち、実際に開封された割合です。メルマガの平均開封率は9.7%〜10%前後と言われており、件名・差出人名・配信時間などの要素が大きく影響します。読者の興味を引くタイトル設計や、最も読まれやすい配信タイミングをA/Bテストで検証することが改善の鍵です。
参考:Eメールマーケティングメディア「MarketingProfs」
クリック率(CTR)
メール内のリンクをクリックしたユーザーの割合です。一般的にメール内URLのクリック率は、配信数の1%程度と言われています。CTAボタンの位置やデザイン、リンクの数などが成果を左右します。
クリック率が低い場合は、メール内容とリンク先の関連性が弱い可能性があるため、文脈に沿った導線設計を意識しましょう。
反応率
クリックや返信、アンケート回答など、ユーザーが何らかのリアクションを取った割合です。メールに対する実際の関心度を把握できます。開封率よりもユーザーのエンゲージメントを直接示すため、関係性構築の深さを測る指標として重視しましょう。
コンバージョン率(CVR)
クリックしたユーザーのうち、資料請求・購入・問い合わせなどの目的行動に至った割合です。メールとLPの内容整合性が鍵を握ります。コンバージョン率を高めるには、メール本文の訴求とリンク先のゴールを一貫させ、期待と体験のズレをなくすことが重要です。
購読解除率(オプトアウト率)
購読解除を行ったユーザーの割合を示します。上昇すると内容の不一致や配信頻度の過多が原因であることが多いです。解除率を抑えるには、配信リストのセグメント化や、ユーザーの関心に基づくパーソナライズ配信を行うのが効果的です。
その他の分析すべき指標
主要なKPIに加えて、メール施策の全体的な成果や改善の方向性を可視化する指標も確認しておきましょう。ここで紹介する3つは、単なる配信パフォーマンスではなく、「リード獲得」「Webサイトの体験」「投資対効果」といった広い観点から効果測定を行うために欠かせない項目です。
メルマガ登録数の変動
一定期間でのメルマガ登録者数の増減を確認することで、施策のリード獲得効果を把握できます。登録数が増えていれば、配信内容や導線が読者に響いている証拠です。一方で減少傾向にある場合は、登録フォームの位置や訴求内容、オウンドメディアとの連携が十分でない可能性があります。
「どのコンテンツが登録を促しているか」を分析し、効果の高い導線を強化しましょう。
直帰率
メール経由で訪れたユーザーが、リンク先ページを1ページだけ見て離脱した割合を示します。高い直帰率は、メールで期待した内容とLPの内容が一致していない可能性があります。
タイトル・本文・CTAボタンの訴求内容と、LPのメッセージを揃えることで、ユーザーの期待とのギャップを減らし、成果につながる導線を強化できます。
ROI(投資対効果)
メールマーケティングにかけたコスト(配信費・ツール費・人件費など)に対して、どれだけの売上や成果を上げたかを示す指標です。計算式は「(売上 − コスト) ÷ コスト ×100」で、100%以上を維持できれば効率的な運用といえます。
ROIを定期的に測定することで、単発の数値にとらわれず、長期的なLTV(顧客生涯価値)向上や施策の費用対効果の最適化を実現できます。
メールマーケティング効果を高める分析・改善のステップ
メールマーケティングは、配信して終わりではなく、データをもとに分析・改善を繰り返すことで成果を伸ばす施策です。ここでは、効果測定の結果を活用し、より高い成果につなげるための分析・改善プロセスを4つのステップで紹介します。
1.データを収集し、現状を把握する
まずは配信レポートや解析ツールを使い、到達率・開封率・クリック率・コンバージョン率など主要KPIを定期的に記録します。数値を一覧化して月次・四半期ごとの推移を確認することで、「どのタイミングで改善が必要か」を可視化できます。
特に開封率やクリック率が平均値を下回っている場合は、件名や配信時間、本文構成などを優先的に見直しましょう。
2.仮説を立てて改善ポイントを特定する
データを見ただけでは成果は上がりません。数値の変化から「なぜそうなったのか」を推測し、仮説を立てることが重要です。たとえば、開封率が低ければ「件名が興味を引いていないのでは?」、クリック率が低ければ「リンクが文中で埋もれているのでは?」といった形で原因を整理します。
仮説を明確にすることで、次の施策で検証すべきポイントが明確になります。
3.A/Bテストを実施して効果を検証する
仮説が立ったら、1要素ずつ変更したテスト配信を行い、どの要素が成果に影響を与えたかを検証します。件名・配信時間・差出人・本文構成・CTAボタンの文言など、影響度が高い要素から順にテストすると効率的です。
短期的な結果だけでなく、複数回のテストで一貫した傾向を確認することで、より信頼性の高い改善判断ができます。
4.改善内容を定着させ、PDCAを回す
テストで得られた成功パターンをテンプレート化し、次回以降のメール施策に反映させます。そのうえで、再びデータを収集・分析し、新たな改善ポイントを探すというサイクルを繰り返しましょう。
PDCAの流れを継続的に回すことで、メールマーケティング全体の精度が徐々に高まり、安定的に成果を出せる仕組みが構築できます。
各KPIを改善するための具体アクション
効果測定で問題点を見つけたら、次は改善アクションです。ここでは、主要な5つの指標「到達率」「開封率」「クリック率」「コンバージョン率」「配信解除率」を改善するための具体的な方法を紹介します。
1.到達率を改善する
到達率とは、送信先にメールが届いた割合のことです。メールが届かない原因には次のものがあります。
- ・メールアドレスが間違っている
- ・メールアドレスが存在しない
- ・送信先のサーバーや受信ボックスの問題
- ・スパム判定によるブロック
到達率が低下すると、配信ドメイン全体の信頼性が下がり、今後の配信でもスパム扱いされやすくなります。改善のポイントは「リスト精度」と「ドメイン認証」です。無効アドレスを定期的に削除し、SPF・DKIM・DMARCなどの認証を設定して送信元の信頼性を高めましょう。
2.開封率を高める

開封率は、メールを開封した割合を示す指標で、読者が最初に興味を持ったかを測る目安です。開封率を上げるには、まず件名の訴求力と配信タイミングを見直しましょう。件名は、以下のような構成が効果的です。
- ・メリットを提示する
- ・簡単さを強調する
- ・意外性を出す
- ・最新情報を伝える
また、配信時間と差出人も開封率に大きく影響します。BtoBメールでは、平日午前10〜11時の配信が最も開封されやすく、逆に早朝・夜間・週末は反応が落ちる傾向があります。差出人は「会社名+担当者名」など、信頼感を与える形式にするのが効果的です。
さらに、開封率の計測にはHTMLメールを活用すると正確な数値を把握できます。ただしBtoBではHTMLメールの制作工数が課題になることもあるため、テキスト風HTMLメールでシンプルに配信するのも有効です。
参考記事:これで解決!HTMLメール作成方法(テキスト類似形式)
3.クリック率を向上させる
クリック率は、メール本文中のリンクをクリックした割合で、読者が「次の行動」に進んだかを示します。このクリック率が低い場合は、CTA(行動喚起)や導線設計を見直す必要があります。改善のポイントは次の通りです。
- ・リンク位置を上部にも配置する
- ・複数の関連リンクを用意する
- ・クリック計測を設定する
クリックデータを蓄積すれば、どのコンテンツが興味を引いたかが可視化でき、より効果的なコンテンツ設計が可能になります。
4.コンバージョン率を改善する
コンバージョン率とは、メールに貼ったリンク先で資料請求や商品購入など、目的が達成された割合のことです。コンバージョン率はメールの配信数を目的達成数で割って計算できます。コンバージョン率が低い場合、次のような原因が当てはまる可能性があります。
- ・リンク先の内容に問題がある
- ・メールの内容とリンク先の内容にズレがある
改善の鍵は「メッセージの一貫性」と「CTAの明確化」です。メール本文で伝えたベネフィットが、リンク先でも同じトーンで伝わるように整えましょう。また、LPに入ってすぐ行動できるように、CTAボタンの配置やデザインも最適化します。
5.購読解約率を下げる
購読解約率(オプトアウト率)とは、メルマガの購読が解約されてしまった割合です。オプトアウト率は解約数を配信数で割ると計算できます。オプトアウト率が高い場合、次のような可能性を考慮しましょう。
- ・配信頻度を最適化する
- ・セグメント配信を徹底する
- ・有益情報を中心に構成する
解除理由をアンケートで取得すれば、ユーザー離脱の根本原因を特定し、より長期的なエンゲージメント維持が可能になります。
効果測定に役立つおすすめツール
メールマーケティングの効果測定を正確に行うには、データを自動的に収集・可視化できるツールの活用が欠かせません。ここでは、クリックや開封などの成果を把握するために役立つ3つの代表的ツールを紹介します。
Google Analytics
Google Analyticsは、メール経由でサイトに訪れたユーザーの行動を追跡できる無料ツールです。リンクにパラメータ(URLタグ)を付与することで、どのメールからアクセス・コンバージョンが発生したかを分析できます。
- 例:Google Analyticsの場合
- GoogleのURL生成ツールを使うと簡単にパラメータが作成できます。
各項目は、以下のように設定すると良いでしょう。
utm_source=【メール名称を設定】
utm_medium=【mail】
utm_campaign=【日付を入れる】
これにより、Analytics上で「メール経由の流入数」「コンバージョン率」「離脱率」などを可視化できます。さらにGA4(最新版)では、イベントトラッキング機能を使ってCTAクリックやフォーム送信も自動で計測可能です。
メール配信ツール
メール配信ツールの機能には、クリックカウントができるものがあります。メールに貼ったURLを、ツールがクリックカウント用のURLに変換し、そのURLをクリックした数が分かる仕組みになっているのです。このようなツールの中には、クリックした人の個人名まで確認できるものもあります。
ツールを選ぶ際は、「配信規模」「レポート精度」「CRM連携の有無」などを基準にすると良いでしょう。クリックや開封結果を自動取得できる仕組みを構築しておくことで、手作業の分析を減らし、改善サイクルを高速化できます。
MAツール
MAツールは、メール配信だけでなくリードナーチャリング全体の効果測定を行いたい企業に最適です。Google Analyticsやメール配信ツールでは見えない「ユーザー単位の行動履歴」を可視化できるのが特徴です。
MAツールでは、メール効果を単体で見るのではなく、「どのメールがどのフェーズの顧客を動かしたか」を分析できます。つまり、クリック率やコンバージョン率の向上だけでなく、売上貢献やROI分析まで一元的に管理できるのが大きなメリットです。
MAツールについては、以下の記事で詳しく解説しています。
【2024年1月更新】マーケティングオートメーション(MA)とは? 効果、特長...基礎知識を解説!
まとめ
この記事では、コンテンツがユーザーに届く効果的な方法や、計測方法について紹介しました。メルマガは簡単に始められますが、読んでもらえるために工夫を凝らしたり、効果を計測し、データに基づいて改善を続けることで、より効果的なマーケティング手法にできます。
みなさんのメールBOXに眠っている他社のメルマガからも何か参考になるものがあるかもしれません。改善を続け、効果の高いメルマガを目指していきましょう。
これを読んでもっとUrumo!
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