営業同行でスキルを磨け!押さえるべき流れとポイント

新人営業担当者が必ず通ると言ってもよいのが営業同行。一口に営業同行といっても、目的によってその内容は大きく異なります。それぞれ、どのような流れで進むのか、営業同行を効果的に行うために押さえておきたいポイントなどをまとめます。
営業同行とは?
営業同行は、新人や若手の営業担当と、先輩や上司の営業担当が一緒にお客様との商談に臨むことです。新人営業の研修後や、商談の重要な局面など、日々の営業活動の中でその機会は多いのではないでしょうか。
営業同行の目的は大きく2つ
まずは、なぜ営業同行をするのか、改めてその目的についておさらいします。営業同行の目的は、以下の大きく2つにわけられます。
新人や若手営業の教育
入社直後や、研修直後の営業担当を、すぐに一人で客先に向かわせる企業は少ないのではないでしょうか。たとえ研修で学んだとしても、突然すぐにお客様の前で商談ができるようにはならないものです。ほとんどの企業では、営業担当として独り立ちする前のOJTとして取り入れていることと思います。
営業活動は相手となるお客様があってのものです。課題や要望、担当者の立場やその場の反応など、それぞれのお客様によって状況は千差万別です。状況に応じたコミュニケーションの取り方を学ぶ機会として、営業同行が有効なのです。
振る舞いや言葉遣いといった基本的な営業マナー、商品説明の流れや資料の使い方といった営業スキルなど、同行する先輩営業とお客様とのやり取りからは非常に多くのことを学び取ることができます。また営業現場の雰囲気やお客様の反応などを目の当たりにし、商談の場に慣れることもできるでしょう。
クロージングやキーマンとの接触
もう一つは、案件を決めたい、より早く進めたい場合の同行です。
ある程度見込みが立った商談に、先輩や上司、社長が同行します。担当の営業によるクロージングだけでなく、上司や社長によるサポートで、より確実に案件を決められるようになります。
また例えば「こちらも上長を同席させますので、ぜひ決裁者の方ともお話しさせてください」というように、前もって上司の同席をお客様に伝えることで、お客様側の上司や決裁者といったキーマンを引き出しやすくなります。
このように上席の同行をうまく取り入れると、より早く、より大きな成果を出しやすくなるのです。営業同行は、教育だけでなく、営業ツールとしての側面もあると言えますね。
ただしこういったクロージングが目的の同行は、いくら商談を進めやすいからといって乱用していては、上席のありがたみも薄れてしまい効果もなくなってしまうので、頻度に注意して取り入れましょう。
営業同行に適した人材とは
新人や若手営業のスキルアップの場となる営業同行ですが、成果につなげるためには担当者がある程度のレベルに達していることなどを踏まえて、適した人材を同行させる必要があります。例えば、営業同行の目的でも解説したように、クロージングのサポートに同行してもらってもそもそもマナーや提案の準備もできない営業担当者では商談を成功させるのは難しいでしょう。
そこでまずは、営業同行させる担当者を選定することが必要となります。ここでは、同行するために必要となる素養を見ていきましょう。
最低限のビジネスマナーがある
営業に限らずビジネスマンにとって、身だしなみや挨拶ができることなど、最低限のビジネスマナーが求められます。ビジネスマナーを身につけていない営業マンでは、顧客からの信頼は得られないでしょう。また、本人だけでなく同行相手である上司や、企業の印象を悪くすることも考えられます。そのため、営業同行する担当者はビジネスマナーを身につけておく必要があるといえるでしょう。
自主性がある
まだ何もできないからといって、ただ先輩と一緒に行って黙って話を聞いているだけではなく、自分にできることはないかを考え、できそうなことは任せてもらえるようお願いしてみるなど、積極的な姿勢で取り組む自主性が求められます。
現場対応力がある
営業は、顧客の状況に合わせて臨機応変に対応する力も必要です。過去の事例などを参考に事前にロープレしておくことである程度のトラブルを想定しておくことも重要でしょう。
また、トラブルが発生した際には、誠心誠意をもって真摯に対応するなど、誠意ある対応とその後の最適な解決策を導き出すことのできる対応力が求められます。
営業同行前の事前準備
営業同行前には、事前に準備をしておくことが重要です。ここでは、営業同行前に欠かせない事前準備について見ていきましょう。
自社商品を十分に理解しておく
相手に売り込みたいものが何なのかが理解できていないと、そもそも営業なんてできません。商談でも内容が理解できず、せっかくの同行もただその場にいるだけで終わってしまいます。特徴やセールスポイントなど、どういったサービス・商品なのかを前もってしっかり理解しておきましょう。そうすることで、先輩営業がどう売り込むのか、お客様に響くポイントはどこかなど、多くの学びが得られます。
議事録の確認
過去の議事録を確認しておくことで、これまでの取引の記録や提案内容を把握することができます。初めての訪問先で議事録がない場合でも、これまでの電話やメールのやり取りを振り返っておくことで情報を頭に入れておくことが大切です。
商談を進めるうえで、事前の情報があるとスムーズな会話につながります。
資料の準備
営業先に訪問する前の資料の準備も欠かせません。アポイントを獲得するまでの電話や、メール内容といったコミュニケーション履歴や、営業先の企業情報をまとめておきましょう。
また、過去にも商談があった場合には、そのときの議事録も確認しておきます。議事録には、これまでの提案内容、お客様の要望、質問などが記載されています。どのような状況だったか把握しておくことで、当日の会話の内容をスムーズに理解することができます。
目的地や移動手段を調べる
営業先へは事前に場所や移動手段を調べてから訪れることも大切です。商談当日の遅刻というようなミスを犯さないためにも、初めて訪れる場所は特に入念な下調べをしておき、営業先へスムーズに到着できるように準備しておきましょう。
営業同行の流れ
では実際に、どのような流れで営業同行を進めればよいのでしょうか。上司・先輩営業が主に商談を進める場合と、若手・新人営業が主に商談を進める場合、それぞれのパターンを見てみましょう。
上司・先輩が主に商談を進める場合
教育の目的で先輩や上司の営業に同行する場合、若手・新人の営業はどう臨めば良いのでしょうか。同行中と同行後のポイントをまとめました。
同行中:積極的な姿勢で臨む
例えば、その日の商談で必要と思われる資料を用意し、商談中にタイミングを見て提示したり、商談の冒頭で簡単な商品説明をさせてもらったり、新人でもできる部分は様々あります。実際の経験を積むことで、同行がより実のあるものになります。
同行後:議事録をまとめる
営業同行の後は、その日のうちに議事録をまとめましょう。商談中に適宜メモを取っておき、議事録にその日の商談の目的、提案内容、お客様の要望、質問、次回までの宿題などを記録としてまとめます。
そうすることで、商談の成果や課題、今後何をするべきなのかなどが整理されて、正しく理解できます。自分が理解できていなかった部分も見えてくるので、出てきた疑問は先輩に確認すると、より知識が深まります。
また作成した議事録は、自分が勘違いしていたり、流れを読み違えたりしている部分がないかを、同行した先輩営業にチェックしてもらうと良いですね。営業として押さえておくべきポイントなども教えてもらえるでしょう。
新人・若手社員が主に商談を進める場合
一方、先輩や上司が新人・若手社員の商談に同行する場合のポイントは、情報の共有です。ただ一緒に営業に行ってもらうだけでは、同行の効果は半減してしまうでしょう。せっかく先輩・上司に同行してもらえる機会なので、商談中の要所要所でその力を借りたいですよね。そのためには、以下のポイントをまとめ、事前にしっかりと共有しておきましょう。
商談の目的を共有する
金額の大きな提案や、謝罪、決裁者が同席するクロージングなど、先輩・上司に同行してもらう商談は、通常の商談ではできない、違う目的があるものですよね。今回はどういった目的の場なのかを共有することで、上司の準備や振る舞いも変わってきます。
商談の背景を共有する
これまでの営業の経緯、お客様の課題や要望、謝罪であればトラブルの原因など、同行する商談に関わる背景を共有しましょう。せっかく同席した上司が何も状況をわかっていなかったり、既に担当の営業が提案した内容を繰り返してしまったりしては、お客様の印象が悪くなり、同行も逆効果になります。
力を借りたい点を伝えておく
上記2点を踏まえた上で、商談の流れの中のどのタイミングでどのようにサポートして欲しいのかを伝えておきます。クロージングするための最後の後押しや、関係強化のための上長同士のコミュニケーションなど、どこでどのように力を借りたいのか打ち合わせておくことで、同行の目的がより確実に達成できます。
営業同行するときに押さえておきたいビジネスマナー
営業同行するときに、新人や若手社員が意識しておくべきポイントについて解説していきます。
【商談中】
挨拶とお礼は欠かさない
営業先では、挨拶とお礼は欠かせません。初めて訪問する場合には、初めの挨拶で印象が決まることもあるため、はっきりと笑顔で挨拶することを心がけましょう。 また、営業先の方との会話の中でお礼するタイミングがある場合にも、言葉でしっかりと伝えることが大切です。
行動の順序
商談の際は、基本的に上司や先輩の行動のあとに自分が行動します。例えば、会議室への入退室や名刺交換、挨拶においてもまずは上司が先であることを意識しておきましょう。 また、営業先の担当者が複数人いる場合でも、まずは上司が名刺交換をし、そのあとに続いて交換するのが一般的です。
メモを取る
営業先では、常にメモを取る習慣を付けておくことが大切です。商談中の提案内容、お客様の要望、質問、次回までの宿題などをメモしておき、商談後には、報告書や議事録にまとめましょう。
他にも営業同行では、上司から学べることは多くあります。感じたこと、疑問点などもメモを取ることで、自身の成長へとつなげることができるでしょう。
【商談後】
商談相手へお礼メールを送る
商談を終えた後は、必ず営業先の担当者にお礼のメールを配信します。このお礼メールは商談当日に送ることが大切です。
またこのとき、商談内容の要点や、次回までの課題などを整理して記載しておくことでより丁寧な印象を与えることができます。
上司にお礼を伝える
商談後、同行してくれた上司や先輩社員には必ずお礼を伝えましょう。また、当日の内容を踏まえて、学んだことや疑問点などを質問することも大切です。
商談後にきちんとコミュニケーションを取ることで、自身の理解も深まります。また、学んだことを営業の現場で活用することがスキルアップへとつながるでしょう。
営業同行を効果的に行うためのポイント
営業同行はおそらくほとんどの企業で行われていることと思いますが、より効果的に行うためには、どうすれば良いのでしょう。ここからは、押さえておくべきポイントをご紹介します。
目的と役割を整理しておく
先にも触れましたが、営業同行は通常の営業ではできない、違った目的があるはずです。しかし、新人が入った際や季節の挨拶など、慣習として営業同行を行っている場合、その目的があいまいになっていることも多いのではないでしょうか。
せっかくの営業同行を意味のあるものにするためには、目的を前もって明確にしておきましょう。「若手・新人の育成なのか」、「上司同行によるクロージングなのか」など、目的によって事前の準備や商談の進め方も変わってきます。共通の目的に向けて意識を合わせておくことで、より確実に高い成果が得られるはずです。
目的と併せて、商談の場でのそれぞれの役割も整理しておきましょう。商談は誰が主導で進めるのか、部分的に話してもらう場合は、どのタイミングで何を話せば良いのかなどを決めておきます。商談の目的と、同行する営業それぞれの立場とスキル、また相手がどういった立場なのかを元に分担すると良いですね。
例えば、若手営業の場慣れとスキルアップを目的にした場合、資料の提示や商品説明、スケジュールの確認などは若手営業が行い、お客様からの質問対応やフォローを上司が担当するといった整理ができます。若手・新人営業にも役割がある場合は、事前にスキルに応じてロールプレイングなどの練習をしておきましょう。
適切なフィードバック
営業同行が終わってからは、先輩・上司から若手・新人営業へできるだけ早くフィードバックをしましょう。お互いの記憶が新しいうちに、商談の流れや説明の仕方、振る舞いなど全体を振り返り、良かった点、気になった点などを共有します。必要に応じてアドバイスやフォロー、次回に向けての練習をしましょう。
教育のためには、上司から伝えるだけでなく、若手営業が自ら考える反省点、改善ポイントを尋ねても良いですね。また自身についてだけでなく、商談自体の評価やこの先の見込みについてどう思うか質問することで、若手営業の全体を俯瞰して見る訓練になります。
フィードバックは、若手・新人のためだけではありません。先輩・上司にとっても、自らの営業を改めて振り返り、より良くする機会になりますし、アドバイスした内容は他の新人営業の教育にも役立つでしょう。ただ行って帰って終わりにするのではなく、営業同行を実のあるものにするには、素早く適切なフィードバックが重要なのです。
さいごに
営業同行は、通常の営業と比べて2倍の人件費がかかるものです。また複数人で商談に臨むため、こちら側の目的や役割が整理されていないままでは混乱が起き、お客様にも迷惑がかかる可能性があります。
営業同行を教育、アプローチどちらの観点でも効果を最大化させるために、またお客様にとっても良い商談となるように、ポイントを押さえておこないましょう。
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