AARRR(アー)モデルとは?事例と活用のポイントを紹介!
AARRR(アー)モデルとは、顧客行動をAcquisition(獲得)、Activation(活性化)、Retention(継続)、Referral(紹介)、Revenue(収益)の5段階に分解・可視化するフレームワークのことです。現在のビジネスステージの確認や、課題抽出に役立ち、グロースハックでも用いられる手法です。
今回は、AARRRの成り立ちや、実践例も含め、AARRRの活用方法をお伝えします。
AARRRモデルとは何か
AARRRとは、サービスの成長段階を表す5つの言葉の頭文字をつなげたものです。
それぞれ、Acquisition(獲得)、Activation(活性化)、Retention(継続)、Referral(紹介)、Revenue(収益)の5つです。その成長段階ごとに可視化する事で、現在のビジネスステージの確認や、課題を抽出しやすくできるのです。
顧客の行動モデルを表したAARRR
- Acquisition: 獲得 ユーザーをどこから獲得しているか?
- Activation: 活性化 ユーザーがどれくらい、好ましい経験をしているか?
- Retention: 継続 ユーザーは継続してサービスを利用してくれているか?
- Referral: 紹介 ユーザーは、友人や、周りに、このサービスを伝えているか?
- Revenue: 収益 全体を通じて、ユーザーの行動が的確にマネタイズされているか?
この5つの段階に、ビジネスステージを分けて、分析して行きます。
実際、顧客の獲得に集中したとしても、顧客がそのビジネスやサービスにおいて、好ましい経験が得られていないと、継続して利用されたり、紹介される、そしてビジネスが収益化されるところまで結びつきません。
逆に、幾ら素晴らしいサービスを提供していても、顧客が増えない限り、そしてそれが実際に経験、活性化されるまで、ビジネスが広がりを見せるのは難しいといえるでしょう。
AARRRが生まれた背景
AARRRは、シリコンバレーで60か国・1800社以上に投資を行っている、ベンチャーキャピタル「500 Startups」の創業者デイブ・マクルーア(Dave McClure)が提唱した言葉です。
インターネットサービスを用いた起業の多様化が加速していた2000年代を大航海時代に例え、AARRRという言葉も、海賊の叫び声(アー)を模して命名されたといわれており、海賊の為のマーケティングツール、海賊指標などと呼ばれたりもしています。
AARRRの実施例
それでは、実際にAARRRを用いて、どのようなアプローチが出来るか、AARRRの実施例を見て行きましょう。
ECサイトにおけるAARRRの実践例
今回は、イメージしやすい様に、ECサイトを例に見て行きます。
最初のA「Acquisition(獲得)」においては、まずは、サイトの訪問状況を確認、数値化し、その向上の施策を検討します。施策としては販売商品に関連したSEO対策や、LPOが一般的でしょう。
次のA「Activation(活性化)」においては、ユーザーの主体的な行動を数値化、分析していきます。施策としては、無料サンプルを提供して、その申込みの割合を測定するなど、顧客の体験に対して、活性化を図ります。
「Retention(継続)」の段階では、体験していただいた商品を再度、ご購入いただく段階です。ここでは、ポイントサービスの実施や、割引券の配布、キャンペーンの実施など、再度の利用を促す施策が良く用いられます。
「Referral(紹介)」は、周りの友人や、家族に商品を勧めていただく、広げていただく段階です。例としては、友人紹介割引や、SNSでのシェアを促す、SNS紹介者にポイントを還元する施策があります。
「Revenue(収益)」の段階は、これまでのステップがサイクル化、安定化していき、ビジネスが収益化されていく段階です。全体を通じて、更に細かな分析を行い、最適化を狙います。具体例としては、全体の施策を振り返り、より効果の高い施策にリソースを集中させ、利益率の向上を狙います。
AARRRモデルを活用する
実際にAARRRモデルを活用するためには、どういったポイントを押さえておくと良いのでしょうか?そのポイントについて説明します。
AARRR実践のポイント
AARRR実践のポイントとしては、各段階の状況や効果を適切に数値化・可視化していく事が挙げられます。
例えば、先ほどのECサイトの獲得の段階を例に取ると、単純に訪問数で分析するだけでなく、新規顧客の来客数、ページ滞在時間の長いユーザー数や、閲覧ページが2ページ以上のユーザーなど、どういった数値が最適な指標になり得るか分析し、見極める必要があります。
この見極めを、AARRRの全ての段階で行うことが重要です。、そのためには、分析スべき指標を的確に見極める事が出来るマーケティングスキルを持っていること、そして各数値に対する改善アプローチが的確におこなわれることが、重要なポイントです。
グロースハックとAARRRモデル
AARRRは、グロースハックを行う際のフレームワークとしても良く用いられます。
グロースハックは、的確なマーケティングアプローチを、高速で実験・検証して、製品やサービスを急成長に結び付けるマーケティング手法ですが、AARRRと同様に、「的確な段階」に「的確な指標」を用いて、「的確なアプローチ」を行う事が求められます。
その為、ビジネスにおける重要なステージを解りやすく示す事ができるAARRRモデルと、有効なマーケティング手法を見出すグロースハックは非常に相性が良いのです。
解説記事:グロースハックとは?その意味と成り立ち、導入事例
さいごに
実際、マーケティング活動を行っていると、その手法をどの段階に、何を目的に行っているかを見失ってしまったり、他に優先順位の高い案件があるのに、目の前の事をついつい優先させてしまう事があります。
今回のAARRRの様なフレームワークを用いると、現在の状況や、重要な対策ポイントを把握しやすくなり、それを共通言語として共有することも容易になります。
みなさんのビジネスにも、是非、AARRRモデルを用いて分析を行ってみてください。