リードナーチャリング(見込み客育成)を始める前の心得

BtoBマーケティングで今、注目されている活動がリードナーチャリング(見込み客育成)です。「リードナーチャリング」という定義は以前からありましたが、実際に活動を行っている企業は多くはなく、まだリードジェネレーション(見込み客獲得)に予算をかけて案件の開拓をしている企業がほとんどでした。
しかし、昨今市場のグローバル化や情報チャネルの多様化などの影響もあり、特に購買まで時間を要するBtoBこそマーケティングプロセスの改善が必要であると、多くの企業が気づき始めたのです。また昨年あたりからリードナーチャリングを実現できるようなマーケティングツールが日本でも多く登場してきて、再度マーケティングツールベンダーの販促活動も活発になってきています。
なぜリードナーチャリングが必要なのか
近年見込み客を獲得する手段として、下記のような一般的なマーケティング活動が行われています。
- ・展示会
- ・セミナー
- ・リスティング広告
- ・SEO
- ・外部メディア
- ・テレアポ
上記のような活動から獲得した見込み客に対し営業がフォロー活動を行い案件創出を行っていくのですが、この施策がすべて良い案件に繋がっていくという訳ではもちろんありません。むしろ今すぐに案件化しない顧客がほとんどです。しかしBtoBマーケティングの中ではすぐに案件化しなかった見込み顧客が社内のデータベースの中で眠っている状態になっていて、新たな顧客を獲得する施策ばかりに予算を投じているのが現状です。
一方、商品・サービスを購入する顧客は企業からの情報を受け取り、すぐには検討しなかったが継続的に社内の課題解決のための情報収集は行っています。
また最近ではBtoBマーケティング活動でコンテンツマーケティングやソーシャルメディアなどで情報提供を行うようになり、見込み客のニーズに合わせたお役立ち資料(ホワイトペーパー)やメールマガジンで有益なコンテンツを届けるような手法も増えてきており、簡単に見込み客の個人情報を獲得できるようになってきました。そのため以前よりもリード獲得のハードルが下がった分、案件化する確率は低くなったと言えます。ますますマーケティング施策の見直しが必要な時になっているのです。
リードナーチャリングを始める前に
これからリードナーチャリングを始める場合、施策を成功させるために最低限抑えて置かなければならないポイントがあります。まず挙げられるのは、「長期的な視点」と「取り組む覚悟」です。そもそも、リードナーチャリングはリードが顧客になるように「育てる」わけですから、最低でも半年、または1年間、さらに商談タームが長ければ長い商品ほど、効果が見えるまでには時間が必要です。また、 マーケティング担当者は、定期的にメルマガを発信する、WEB(個人)トラッキングからリードの関心度を探るなど、最初に設定した施策を、休むことなく根気よく続ける覚悟を持つべきです。
次に、「周囲の理解」です。腰を据えて長期的に取り組むことで、じわじわと効果が表れるリードナーチャリングは、経営陣にも辛抱強さが求められます。また営業サイドは、「使えるリスト」の獲得に向け、案件化しやすいリードの傾向の情報などをマーケティング側に提供するなど、互いの連携は不可欠です。つまりリードナーチャリングは、マーケティング部門だけではなく、他部門をうまく巻き込み、各部門のスキルや強みを活かして取り組めるかどうかで成否が決まります。
そして最も重要なポイントは「施策のシンプルさ」です。各部門が連携しやすいように配慮した仕組みを設計するには、複雑さや無駄なステップをできるだけ排除すべきでしょう。
最近では「マーケティングオートメーション」を実現できるツールが日本市場にも広がっています。リードナーチャリング施策だけではなく、インバウンド施策や営業活動と連携するためのSFAなどとも連動でき非常に高機能なツールです。しかし使いこなすには非常に難易度が高く、導入コストも高額です。そもそも企業のマーケティングプロセスの基本設計や運営できる組織体制および担当者のリテラシーが高いのが前提です。まずはこれから始める企業には続けられる施策から始めてPDCAを回すサイクルを作ることが大事だと思います。
まとめ
リードナーチャリング施策はこれからのBtoBマーケティングにとっては必要不可欠な手段になってきます。しかしリードナーチャリングが実現できるマーケティングツールの導入の前に、現在のマーケティング活動の見直しを行い営業部門とマーケティング部門のコミュニケーションを頻繁に行なえる組織体制なのか、または見込み客のデータが整備されていて、メール配信が実施できたり、WEBサイトの最適化ができているのかなど、再度リードナーチャリングを始められる状況を作っていくことが必要になってきます。
是非、参考にしてみてください。
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