営業ロープレとは?メリットや効果的に進めるための8つのポイントをご紹介!

おそらくこの記事をお読みになっている多くの方も、新人時代に先輩とロープレをしたことがあるのではないでしょうか。あるいは、これから営業ロープレを控えているという新人営業パーソンかもしれませんね。
今回はこの営業ロープレを行うメリットや進め方、効果的に進めるための8つのポイントについてご紹介します。
- ▼この記事でわかること
- ・営業ロープレの定義と目的
- ・営業ロープレを行うメリットと活用すべきシーン
- ・基本的な進め方のステップ
- ・効果的に進めるためのポイント
営業ロープレとは
ロープレとはロールプレイング(Role Playing)の略で、現実に起こる場面を想定した疑似体験を通じて、ある事柄が実際に起こったときに適切に対応できるようにする学習方法の一つです。
テレアポや商談のシーンを再現しながら練習します。BtoB営業に限らず、顧客と接するあらゆる職種で導入されている定番の教育手法です。
営業ロープレの定義
営業ロープレとは、営業担当者が実際の商談やアポイントの場面を想定し、顧客役との対話を通じて営業スキルを磨くトレーニング方法です。実際の現場を模した環境でロールプレイングを行うことで、失敗を恐れずに試行錯誤でき、実践的な経験値を積むことができます。
営業ロープレの目的
営業ロープレの目的は、現場に近い状況で事前に経験を重ね、商談成功率を高めることです。顧客へのヒアリング力や提案力を鍛えるのはもちろん、予期せぬ質問や反論に冷静に対応する力も身につきます。
また、参加者同士でフィードバックを行うことで、自分では気づきにくい課題を明確化でき、営業力全体の底上げにつながります。
営業ロープレを実施する6つのメリット
本題に入る前に、まずは営業ロープレのメリットについて今一度整理します。
営業スキルの向上
営業ロープレは、実際の商談を想定したトークや提案の練習を行えることから営業スキルの向上が期待できます。顧客の質問に対する切り返しなど、様々な状況を想定してロープレを行うことで、座学だけでは習得が難しい実践的なテクニックを身につけることができるのです。
また、ロープレを行った後に改善点や良かった点をフィードバックしてもらうことは、さらに営業スキルを高めることにつながります。
課題の明確化
テレアポにしろ、商談にしろ、上手くいかない場合にはどこかに問題があります。ただし、何もかも全てダメというケースは実際には少なく、プロセスを分解してみると「これとこれはOK、ここはあと一歩」という風に、出来ている/出来ていない(課題)が混在していることがほとんどです。
これらを見極める手段として、営業ロープレはとても効果があります。また、課題が明確になるからこそ、教育担当者は適切な打ち手を示すことができますし、メンバー自身もやるべきことが明確になります。
商品・サービスへの理解促進
自社が売りたい商品がどういうものなのか理解できていなければ、顧客に勧めることもできません。商談を成功させるためには、特徴やセールスポイントを前もってしっかり理解しておくことが大切です。
営業ロープレでは、自分の言葉で商品やサービスについて話すことで、商品への理解を深めることができます。商品理解が深まることで、顧客に対しても自信をもって商品を勧めることができます。
トークスキル向上
自社商品・サービスの知識をインプットすることは、ある程度一人で進めていくことが可能かと思います。しかし、実際にお客様に伝えること、話すことは、相手の存在が前提になるので、普段よりも緊張してしまったり、想定外の質問があって頭が真っ白になったりと、慣れていないからこそのつまずきがあるものです。
そうならないためにも、まずは営業ロープレで話すことに慣れることで自信が付き、堂々と喋れるようになります。
事前準備の確認
このメリットは主に商談ロープレに当てはまるものですが、前述のとおり、新人のうちはお客様から想定外の質問があり、対応出来ないということが往々にしてあります。
そこで、実際の商談で想定される質問を事前に投げかけることで、準備がしっかり出来ているかのチェックをすることができます。
チームでのノウハウの共有
ロープレを複数人で実施すると、他のメンバーのトークや対応の仕方を観察できます。成功例や改善点をチーム全体で共有することで、属人的なノウハウを組織の財産として蓄積できます。
また、異なるスタイルに触れることで、自分に合った表現方法を見つけやすくなり、チーム全体のスキル底上げにつながります。
営業ロープレを活用すべきシーン
営業ロープレは、単なる新人教育だけでなく、さまざまな場面で活用できる汎用性の高いトレーニング手法です。ここでは、特に効果を発揮する代表的なシーンを紹介します。
新人研修・オンボーディングの場面
営業経験が浅い新人にとって、いきなり顧客対応を任されるのは大きな負担です。営業ロープレを活用すれば、実際の商談に近い疑似体験を通じて、基本的な営業トークや商品知識を安全に習得できます。早期に自信をつけ、現場での立ち上がりをスムーズにする効果が期待できます。
新商材・新サービスリリース時
新しい商品やサービスを市場に投入する際は、顧客から予想外の質問や比較検討の声が多く寄せられます。ロープレを通じて想定問答を事前に準備することで、営業担当者が自信を持って提案できるようになります。
加えて、チーム全体で同じトークを共有できるため、メッセージの一貫性も確保できます。
チーム全体のスキル強化
営業ロープレは新人だけでなく、中堅やベテランにとっても有効です。ロープレを通じてお互いの営業スタイルを学び合うことで、成功事例や改善点を共有できます。特にグループロープレを活用すれば、顧客視点での気づきも得られ、チーム全体の営業力向上につながります。
クロージング力の強化が必要な場面
「提案まではうまくいくが、最後の契約に結びつかない」という課題を抱える場合、クロージングに特化したロープレが効果的です。契約直前での顧客の不安や反論を再現し、切り返しや背中を押すトークを繰り返し練習することで、成約率の向上を図れます。
営業ロープレの4つの種類
ロープレにはいくつかの種類があり、営業担当者が抱えている課題ごとにロープレのやり方も変えていくことが重要です。
1.ケース型ロールプレイング
ある状況を想定したロープレのことを指します。細かく顧客の業種、立場、課題を設定し、より現実に近づけることで、実際の対応の仕方を学びます。
2.グループロールプレイング
グループに別れ、役割を交代しながら進めるロープレです。営業現場では相手の立場になって考えることが重要なため、営業・顧客両方の役割を演じられるグループロールプレイングで得られる学びも多いです。
3.問題解決型ロールプレイング
現実に起こっている課題を解決することがテーマになっているロープレです。実際に起こった過去の問題をテーマとして取り上げるケースもあります。実際の対応などを違った視点で協議することで、新たな解決方法を模索することができます。
4.モデリング型ロールプレイング
誰かのロープレをそのまま模倣して行うロープレのことを指します。先輩社員や優秀な営業担当にモデルをしてもらい、それを真似することで基本的な営業の型を身につけることができます。
【基本のステップ】営業ロープレの進め方
次に実際のロープレの進め方を見ていきましょう。
- 1. 設定を決める
- 2. 役割を決める
- 3. 事前準備をする
- 4. ロープレの実施
- 5. フィードバックをする
- 6. 改善点を繰り返し練習する
1.設定を決める
どんなに準備をしても、テレアポ、商談では予想外の質問がお客様から飛んできたりするものです。ですから、ロープレでは出来るだけそのような環境に近づけるために、様々なパターンを想定し、設定をしておくことが望ましいと言えます。
具体的には「どんな企業」の「どんな部署・役職の方」で「どのような雰囲気の方」か、などになります。
2.役割を決める
次に、顧客役と営業マン役の役割を決めます。顧客役を上司や先輩が演じ、新人営業担当者が営業マン役を行うことで、トークに慣れたり、切り返しのテクニックを身につけることができます。
場合によっては逆の役割を演じることで、新人営業は先輩のテクニックを学ぶ機会にもなります。
3.事前準備をする
実際の商談を行う際も、事前準備は必要不可欠です。この事前準備もロープレの一環として行うことで、実際の商談をよりリアルにイメージすることができるでしょう。
営業担当者役は、顧客役に対してどのような提案を行うのかを考え、必要な資料を準備しておきましょう。また、フィードバック用にチェックシートを用意しておくことも忘れずに行います。
4.ロープレの実施
設定や役割分担ができたら、実際に営業ロープレを始めましょう。実際の商談に近い環境を意識し、緊張感を持って取り組むことが大切です。商談の流れを通しで再現するだけでなく、特に苦手な場面を重点的に繰り返すことで、課題を具体的に洗い出せます。
実施後はすぐに振り返りができるよう、録音・録画しておくと学びが深まります。
5.フィードバックをする
ロープレを受けたら、その感想を上司や先輩にフィードバックしてもらうことを忘れてはいけません。 フィードバックする側は、「良かった点」「こうしたらもっと良くなる点」といったGood&Moreで伝えることが望ましいです。
また、ロープレを受ける側が指摘した事項などは、メモをして残しておきましょう。そうすることで、同じ事象が再度出てきた際に、苦手な部分が見えてきたりもします。
6.改善点を繰り返し練習する
ロープレは1回の実施で終わりではなく、指摘された改善点をもとに何度も繰り返すことが重要です。毎回のロープレで課題を修正し、小さな成功体験を積み重ねることで自信と実力が定着します。
改善プロセスを繰り返す習慣をつければ、商談本番での応用力も自然と高まり、営業成績の向上につながります。
営業ロープレを効果的に進める8つのポイント
ここからは、本記事のメインである「営業ロープレを進める上での8つのポイント」についてご紹介します。
1.ゴールとスケジュールを明確にする
営業ロープレの目的はもちろん営業スキル向上にあり、この点においてはみなさん納得のいくところと思います。
ただし、意外と盲点なのがスケジュールを立てることです。具体的には、「いつまでに」「何ができるようになっているか」というスケジュールを立てて取り組むことが重要です。
2.短い時間で区切って行う
一度のロープレ時間が長くなると、指摘や気付きのボリュームが多くなり、全てを吸収できないまま次回のロープレを迎えることになります。
そこで、商談の最初から最後まで全てのロープレを毎回行うのではなく、前回の反省を踏まえ、苦手な提案だけ、クロージングだけといったように部分的に行うことが効果的です。内容にもよりますが、15分〜30分程を1セットで進めていくといいでしょう。
3.まずは「型」を示す
これは皆さんも実践されていることと思いますが、先輩ができないことは、普通であれば新人もできないものです。事前にしっかりと先輩がやり方などをやってみせることが重要です。
まずは、基本的な流れを落とし込んだトークスクリプトを作成しておきましょう。また、先輩営業マンの成功トークなどを取り入れることで、より効果的なロープレを行うことができます。
4.ロープレを録画して振り返る
ロープレの様子を動画で撮影することで、ロープレ後に内容を確認できるのはもちろん、何度でも振り返ることができます。
フィードバックされた内容だけでなく、客観的に自身の良かった点や、改善点を把握することも大切です。また、会話のスピードや話し方など自身で確認することで気づけることもあるでしょう。
5.オブザーバーを入れる
営業ロープレは、顧客役と営業マン役の二人いれば実施することができますが、オブザーバーを入れた三人一組で行うことが効果的です。
顧客役と営業役の二人だけで行った場合、教育担当も役を演じながらフィードバックする内容をチェックすることになります。そのため、チェックの抜け漏れもあるでしょう。そこで、第三者目線でオブザーバーがチェックすることで、より正確にフィードバックを行うことができます。
6.形骸化を避ける
営業ロープレは、単に回数を重ねるだけでは効果を発揮しません。「とりあえずやった」という状態では学びが定着せず、時間だけが過ぎてしまいます。重要なのは、毎回のロープレの目的を明確にし、終了後に「何ができたか」「どこを改善すべきか」を整理することです。
改善点を意識して次に臨むことで、実際の商談に活かせる「血の通ったトレーニング」となり、組織全体の営業力強化にもつながります。
7.参加者全員が本気で取り組む
営業ロープレは営業役と顧客役の二人がいれば可能ですが、練習効果を高めるには全員が真剣に役割を演じる姿勢が不可欠です。顧客役が適当に対応すると、実際の商談とのギャップが生まれ、練習の意味が半減してしまいます。
オブザーバーも含めて「リアルな顧客体験を再現する」意識を持つことで、緊張感のある実践的な場が生まれ、より現場に近いスキルを磨くことができます。
8.定期的に実施する
営業ロープレは一度きりでは十分な効果を得にくく、時間が経つと習得したスキルも薄れてしまいます。定期的に繰り返すことで、改善点を段階的に克服し、確実に成長を積み重ねられます。また、定期開催は学習を習慣化させ、チーム全体での学びの共有にもつながります。
短時間でも継続して実施することが、営業力を持続的に強化するための最大のポイントです。
さいごに:営業ロープレを受ける側のスタンスが大切
参考までに、山本五十六(やまもと いそろく)の名言で「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」というものがあります。
ロープレを受ける側(顧客役)のスタンスも、まさにこれに通じるものがあるのではないでしょうか。みなさんの営業ロープレを行う際の参考になれば幸いです。
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