ペルソナとは?BtoBマーケティングでの役割と設定手順

マーケティング戦略を行う上で重要なことは、顧客のニーズに寄り添った施策を行うことです。顧客のニーズや課題を明確にするためにも、自社の製品やサービスを購入するユーザー像であるペルソナの設定が必要となります。
そこでこの記事では、ペルソナの役割や、設定の手順について詳しく解説していきます。
また、マーケティング活動で押さえるべきフレームワークの中でも特に重要な10のフレームワークの解説と、印刷して使えるテンプレートをご用意しました。ペルソナ設計に使えるテンプレートもありますので、ぜひ御覧ください。
ペルソナとは?
まずは、マーケティングにおけるペルソナの役割、さらには似た用語であるターゲットとの違いについて見ていきましょう。
ペルソナの役割
マーケティングにおけるペルソナとは、自社の製品やサービスを購入する顧客像のことです。架空の顧客像となりますが、氏名や年齢だけでなく、職業や役職、ライフスタイルなどさまざまな角度から詳細な設定をし、実在する人物のように仮説します。
このようなペルソナを設定しておくことで、自社の製品を購入してもらうための戦略や施策の立案を的確に行えるようになるのです。
ペルソナとターゲットの違い
ペルソナと似ている用語として、「ターゲット」があります。ターゲットもペルソナと同じく顧客像を表すときに活用されますが、両者の違いは設定される人物像の詳細さにあります。例えばターゲットは、
- ・年齢
- ・性別
- ・居住地
といった情報から顧客をセグメントします。
これに対してペルソナは、
- ・氏名
- ・所属部署
- ・役職
- ・経歴
- ・決裁権の有無
- ・チームの人数
- ・目標や課題
といったようにセグメントされたターゲットの一人をより詳細に、架空の人物像として設定します。
BtoB企業とBtoC企業で異なるペルソナ設定
BtoCの場合、購入検討者と決裁者が同一なことが多いため、ペルソナもその一人を設定することで効果的なアプローチを行うことができます。
これに対してBtoBは、担当者が商品についての情報収集を行い、決裁権を持った別の担当者が認可をして初めて購入が決定されるというように、商品の購入に至るまでの過程が複雑なことが多く、BtoBにおいてはペルソナ設定が不要だといわれることもありました。
しかし、それぞれの立場を想定した複数のペルソナ設定をすることで、購入までに関わる全ての人に適切なアプローチを行うことが可能となります。また担当者だけでなく、所属する企業のペルソナも設定することで、組織としての課題を明確にすることにもつながり、BtoBにおいてもペルソナ設定は効果的であるといえます。
BtoBでペルソナを設定するメリットとデメリット
ここではBtoBでペルソナを設定することで得られるメリット、さらにデメリットについても確認しておきましょう。
メリット
・顧客像の共通認識が持てる
ペルソナを設定することで、プロジェクトに関わるメンバー間での顧客像の共通認識をもつことができます。
ターゲットの認識の違いをなくすことで、認識のズレから生じるトラブルを減らすことにつながり、効率よくプロジェクトを進めることができるのです。
・ユーザーの視点に立った製品開発、施策の立案ができる
典型的な顧客像であるペルソナを設定することで、顧客の視点に立ち、ニーズに寄り添った製品やサービスの開発につなげることができます。
また顧客視点に立つことで、製品開発だけでなく、その後の販促などマーケティング戦略の立案の際にもより効果的な施策を打つことができるでしょう。
デメリット
・ペルソナ作成には時間とコストがかかる
ペルソナは、精度が高いことで効果的に活用することができます。精度の高いペルソナを設定するには、顧客データを一定数収集する必要があることや、そのデータに基づいて分析を行う必要があるなど、作成には時間やコストがかかります。
・幅広いユーザー層がいる企業での活用は難しい
ペルソナ設定を行うことで、自社の顧客像が明確になり、効果的な施策を打てるようになります。しかし、ユーザー層が幅広い場合には1つのペルソナだけでは有効でないことも多く、活用が難しいこともあるでしょう。
・ペルソナは変化することもある
昨今では顧客ニーズが変化するスピードが早くなっていることもあり、商品やサービスによっては、顧客層が変化することもあります。その場合、変化に合わせてその都度ペルソナも変更する必要があります。
ペルソナ設定の手順
それでは、実際にBtoB企業のペルソナ設定の方法をご紹介します。
1.バリュープロポジションの設定
バリュープロポジションとは、「顧客が求める、自社に提供できる価値」のことです。さらに、「競合他社の商品では得ることができない」ことが顧客にとって自社商品を選ぶ理由となります。
このバリュープロポジションを明確にすることで、誰に向けて自社の商品を提供するべきか明確になり、より適切なペルソナを設定することができます。
2.ターゲットを設定する
ターゲット設定には、既存顧客の情報を活用することが効果的です。既存顧客の業種や規模、これまでに問い合わせのあった企業の課題やニーズなどを基にすることで似た性質の企業をセグメントしていきます。
他にも競合他社の情報、社内にあるヒアリング情報やアンケート結果など様々な情報を参考に、自社のターゲットとなり得る企業を絞り込みましょう。
3.企業ペルソナと人物ペルソナを設定する

ターゲットの設定ができたら、ペルソナ設定に移ります。
BtoB企業では最終的な顧客は個人ではなく企業となるため、まずはペルソナが所属する企業の属性を明確にする「企業ペルソナ」を設定します。さらに企業の担当者である個人の「人物ペルソナ」も設定していきます。
・企業ペルソナ
企業ペルソナに入れる情報例は以下の通りです。
- ・企業名
- ・業種
- ・商材
- ・売上規模
- ・従業員数
- ・業界の動向
- ・業界での立ち位置
- ・企業が抱えている課題など
・人物ペルソナ
人物ペルソナには以下の情報を入れていきます。
- ・氏名
- ・所属部署
- ・役職
- ・経歴
- ・決裁者かどうか
- ・担当業務
- ・チームの人数
- ・目標
- ・自身やチームが抱える課題
ペルソナ設定時の注意点
さいごに、ペルソナを設定する際に意識しておきたい注意点について確認しておきましょう。
ペルソナは複数人必要
上述したようにBtoBでは、商品の購入に至るまでに担当者と決裁者が異なることが多く、複数の人物が関わるため、ペルソナが1人では不十分な場合があります。
そこで、それぞれの立場を想定し、複数のペルソナ設定をすることで、購入までに関わる全ての人に適切なアプローチを行うことが可能となります。
理想像ではなく現実的な顧客像を設定する
ペルソナ設定の際、企業側の理想や思い込みで顧客像を設定してしまうと、実際の人物像とはズレが生じてしまいます。
現実的で正確なペルソナ設定のためにも、企業の理想像ではなく、事前に収集した情報をもとに根拠のある設定を行いましょう。
必要な情報のみで設定する
多くの情報をもとに作成するペルソナは、情報量が多いゆえに複雑になりすぎる場合があります。
設定の際は、抽象的な表現は避け、その人物像を想定できる必要最低限の情報のみに絞ってシンプルに設定しましょう。
定期的に見直しを行う
一度作成したペルソナも、市場の変化とともに顧客像は変化していきます。作成して終わりではなく、定期的に見直しを行いブラッシュアップすることで変化に対応していくことが大切です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。マーケティング戦略で重要なことは、ユーザーに寄り添った施策を行うことです。
企業側の理想ではない、リアルなユーザー像であるペルソナのニーズを理解することで、効果的なマーケティング戦略の立案へとつながります。
またBtoB企業では、組織の課題を解決できることが製品やサービスの購入へとつながるため、人物ペルソナだけでなく企業ペルソナも合わせて作成していきましょう。