マーケターの仕事内容とは?向いているのはどんな人?
マーケティングの専門職で働く「マーケター」は、就職先として人気の職種です。華やかな職場という印象も強いマーケティング部門で働くマーケターたちは、ある意味若者たちの憧れの存在とも言えるでしょう。しかしその一方で、「じゃあマーケターって具体的に何をするの?」という問いには、言葉を詰まらせてしまう人も多くいるものです。
今回は、マーケティングの仕事について掘り下げていき、マーケターに必要とされる素養についても解説していきます。
マーケターってそもそも何?
マーケターとは、マーケティング業務を手がける人たちを指します。つまり「製品」を「商品」として売るための仕組みづくりを行うことが目的です。
いくら良い製品を作ったとしても、それがお客様の手に届かず、倉庫で埋もれたままになってしまっていては意味がありません。人々の手に渡り、そのメリットを理解してもらい、満足してもらう。それができて初めてその製品は価値あるものになったと言えるでしょう。
そこで必要とされるのが、マーケティングです。「製品」に商いの要素をプラスすることで、「商品」へと変える。そして、お客様の手元に届くサポートをすることで、会社としての成長はもちろん、社会全体によりよいサービスを提供していくことこそ、マーケターが担う使命なのです。
マーケターの職種
一言でマーケターと言っても、その業務内容は多岐にわたります。例えば、ネットを使わずにマーケティング活動を行うオフラインマーケティングと、メールやWebサイトを活用するオンラインマーケティングというように、マーケターにはいくつかの職種があります。
- ・Webマーケター
- Webマーケターは、自社サイトやWeb広告、メールといったWebチャネルを用いて、見込み顧客の集客や販売につなげます。
Webマーケティングは、オンラインマーケティングの1つで、自社サイトのSEO対策や、リスティング広告・ディスプレイ広告などのWeb広告の運用が主な業務です。また、運用後のデータ分析や、改善も重要な役割となります。
- ・SNSマーケター
- SNSマーケターとは、SNS領域を専門に担当するマーケターのことです。Facebook・Twitter・Instagram・YoutubeといったSNSを活用して自社や自社商品の認知拡大やブランディング、広告の運用を行います。
近年スマートフォンの普及に伴いSNSの利用者は急増しており、顧客はSNSから情報を得たり、SNSからの情報に影響を受けるようになってきています。
そのため、企業がSNSを活用し、より近い距離で顧客とのコミュニケーションを図ることのできるSNSマーケターが必要とされています。
- ・リサーチャー
- 企業からの依頼を受け、市場調査を行うのがリサーチャーの仕事です。新商品の企画や開発の際に、実施されます。
ヒット商品を生み出すことを目標とし、依頼主の求める消費者のニーズや関心、業界の動向などの情報を、インタビューやアンケート、統計調査をもとに収集し、分析・報告を行います。
- ・コンテンツマーケター
- 近年主流となってきているコンテンツマーケティングは、オウンドメディアやペイドメディアといったコンテンツを活用してマーケティングを実施します。顧客心理に寄り添い顧客にとって価値のあるコンテンツを提供することで企業の知名度向上や、集客につながります。
コンテンツマーケターは、戦略の策定や、SEO対策、SNS投稿などのコンテンツ制作、配信などが主な役割です。
- ・CRMマーケター
- CRMとは、Customer Relationship Managementの略であり顧客管理システムとも呼ばれます。既存顧客との良好な関係維持のために、顧客情報の管理、分析を行うツールです。CRMマーケターは、このCRMを活用してマーケティング戦略を実行する役割を担います。収集した顧客データの分析結果をもとに、既存顧客との関係をより強化するための戦略を策定します。
また、紹介した5つのマーケター業務の経験が複数あり、人材配置や、スケジュール管理といったマーケティング領域を統括する管理者を「マーケティングディレクター」と呼びます。
マーケターの仕事内容
ここでは、マーケターの仕事である「製品」を「商品」に変えるための、具体的な仕事内容について見ていきましょう。
市場・ターゲット調査
商品を考えるためにはまず、市場のニーズを把握する必要があります。
ターゲットとするユーザーの趣味嗜好や行動パターンを分析することで、どんな商品を提供するべきかが見えてくるでしょう。
商品コンセプト・企画設計
市場やターゲットを分析した後は、提供する商品の企画を行います。
企業によっては企画設計にマーケターが関わらないケースもあります。
販促手法の考案
商品が企画できたら、何を使ってどのように販売を行うのかを考えます。
ここもマーケターの腕の見せ所でしょう。実際の販促活動には、マーケターのみならず営業やサポート担当など様々な役割の人間がかかわるため、社内の調整も必要となります。
広告運用やSEOなどの実務
販促方法を決めた後は実際に手を動かしてその計画を実行していきます。広告運用やSEO対策など、マーケターには多岐に渡った知識が求められます。
もちろん企業によって業務の範囲は様々ですが、調査、分析、提案が主な業務内容と言えるでしょう。様々な調査やアンケートなどの情報から、市場やターゲットユーザーの傾向や思考を分析します。その結果を元に、新商品の企画や商品コンセプト、広告宣伝の戦略を決定し、他部門への提案や実行に移していきます。
売れる・売れないは、マーケターの腕次第と言っても過言ではありません。強い製品を強い商品に変える、責任重大なポジションなのです。
マーケターに求められる素養とは?
ここからは、マーケターとして活躍するために求められるスキルについても見ていきましょう。
トレンドを把握する情報収集能力と分析力
マーケターには、世の中の流行や流れを敏感に察知するアンテナの高さが必須と言えます。時代遅れのことばかりしていても、強い商品は生まれません。そしてまた、アンテナを高く張って入手した情報を、うまく言葉や資料に落とし込む分析力も必要となってきます。
「今はこんなのが流行っているからこれで!」という短絡的なアイデアでは、誰も首を縦に振ってはくれませんし、そもそも流行を後追いするような形で戦略を立てても所詮は二番煎じに過ぎません。これでは、社会にインパクトを与えることはできないでしょう。商品が売れなければ、それこそ企業にとっては死活問題にもなりかねないのです。
「今はこれが流行っているが、その原因はこれで、これをすると売れるようになる」というように状況を細かく分析し、相手を納得させる力が必要不可欠になるでしょう。
成果へと導くマネジメント能力
プロジェクトやチームの目標達成のためにも、マネジメント能力は欠かせないスキルの1つとなります。
マーケティング活動はチームで行われることが多く、リソースやタスクの割り当て、スケジュール管理、メンバーの指導やモチベーション維持といった、さまざまなシーンでマネジメントスキルが求められます。
また、プロジェクト進行中に発生したトラブルや問題に対して、リーダーシップを発揮し、迅速かつ効果的な解決策を見出す能力も必要でしょう。
社内外を問わないコミュニケーション力
マーケターは、お客様を筆頭とした社外に向けた戦略はもちろんのこと、社内に向けた提案や調整も同時にしていかなければなりません。
例えば、製作サイドが推したい強みと、お客様が喜ぶ強みが必ずしも一致するわけではありませんから、時には敢えて機能を削減させたり、全く別の機能を付け足す指示を出したりしなければいけないこともあります。
製品を商品に変える際のコンセプトも、全員が全員納得してくれるわけではありません。そこで、なぜそのコンセプトがお客様に刺さるのか、そのコンセプトがどんな効果をもたらすのか。想像だけではなく、裏付けとなる根拠や資料を用意し、役員などの経営陣を説得していかなければならないシーンも出てくるでしょう。
社内外の様々な立場、職種の相手に提案を受け入れてもらうための熱意や説得力、コミュニケーション力を備えてこそ、一人前のマーケターと言えるのです。
熱意と度胸
根拠が大切だからと言って、データや過去の実績にこだわりすぎるのも良くありません。時には自分のアイデアや感覚を信じ、突き進むことも大切です。
「根拠は薄いけど絶対に成功する確信がある。」そういった時は、周囲の反対を押し切ってでても自分の意見を通す熱い想いが大切になってくるでしょう。「もしものことがあれば自分が責任を取る!」という度胸も持ち合わせていなければ、大きな仕事をこなすことはできないかもしれませんね。
未経験者がマーケターとして働くには
ここまでマーケターについて解説してきましたが、実際にマーケターとして働くにはどのような方法があるでしょうか。
社内のマーケティング部門への異動を希望する
今はマーケティング以外の職種である場合でも、社内にマーケティング部門があれば異動を希望することで、マーケティング職に就けることもあるでしょう。転職とは異なるため比較的低リスクであることがメリットといえます。
しかし、マーケティング部門にすでに専任の人材が揃っている場合には、簡単に異動希望が通らないことも考えられます。そうした場合にも、自ら勉強し「マーケティング・ビジネス実務検定」や「ウェブ解析士」といった資格を取得しておくと、自身のアピールポイントになるでしょう。
マーケティング部門のある企業へ転職する
マーケティング部門のある企業への転職は、実務経験者の採用が一般的なため、未経験者が転職するハードルは高いといえるでしょう。
そこで上述したように、今いる企業で実務経験を積むことや、資格を取得することで知識を増やすことが必要となります。
マーケティング支援会社へ転職する
企業のマーケティング活動の支援を行うマーケティング支援会社は、マーケティング戦略の立案、Web集客やSEO対策の支援などさまざまな分野の支援を行います。
また支援を行う企業の状況により、それぞれ異なるマーケティング業務を経験できるため、幅広い経験を積むことができるでしょう。多くのマーケティング知識やスキルを習得できる環境であり、自身のスキルアップにつなげることができます。
マーケターとしてのやりがいとは?
ここでは、マーケターとして働くことで得られる「やりがい」について見ていきましょう。
影響尾力のある仕事ができる
自身のアイデアや立案した企画により、新商品や新サービスが生み出されることは、マーケターの魅力の1つと言えるでしょう。
またマーケティング業務は、製品やサービスの売上だけでなく、企業イメージやブランドイメージにも影響を与えます。そのため戦略が成功し、企業の成果に直結した際には、大きな達成感を得られるでしょう。
仕事の成果が可視化できる
マーケティングの成果は数値として可視化できるものも多く、数字や実績を見てやりがいを感じることができるでしょう。
例えば、「自社の認知度向上のために施策を行ったことで自社サイトのアクセス数が高まった。」など施策の成果が数値に反映されます。このように仕事の成果が可視化されることで、自身だけでなくチーム全体としてモチベーションが高まります。
自身の成長を実感できる
マーケティング業務は、トレンドや競合他社の動向に合わせ常に変化していきます。こうした環境下で、迅速に対応することが求められます。
このような変化に日々対応し続けることで、自然とスキルや知識を身につけることができるのもマーケターの魅力といえるでしょう。
責任重大!だからこそ面白いマーケティング
製作サイドが汗水たらし、最新の技術を用いて作られた製品が、売れる商品になるかどうかはマーケターの手に掛かっているとも言えます。もし商品が全く売れなければ、会社としての存続も危ぶまれてしまいますから、マーケティング部門は会社の生命線とも言える、責任重大なポジションなのです。
プレッシャーは相当なものになるかもしれませんが、その分自分の戦略が当たった時の喜びは、他の職種では味わえないほど大きなものになるでしょう。時には社会全体を巻き込んだ一大ムーブメントを起こすきっかけになるかもしれません。
さいごに
社会全体に自分のアイデアやセンスを武器に戦っていくマーケターは、非常に格好良い仕事であることは間違いないでしょう。
これからマーケターを目指す人はもちろん、今まさにマーケターとして働いている人も、どちらも意識を高く持ち、「世の中に衝撃を与えてやるんだ!」という強い意志を持って仕事に臨むことができれば、とても刺激的な毎日を送ることができるようになるでしょう。