メルマガのクリック率を上げるには?業界別データと成功施策まとめ

メルマガはBtoBマーケティングや営業活動において、見込み顧客との接点を築く重要なチャネルです。しかし「開封はされているのに、クリックされない」という悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
クリック率は、メルマガの効果を測るうえで非常に重要な指標です。ユーザーがどれだけ興味を持ち、実際に行動を起こしたかを可視化できるため、リード獲得や商談化の成否にも直結します。
この記事では、業界別クリック率データをもとに、クリック率を改善するための具体的な施策をわかりやすく解説します。
- ▼この記事でわかること
- ・業界別の平均クリック率と開封率
- ・メルマガのクリック率を正しく測定・分析する方法
- ・クリック率を高めるための具体的な施策
クリック率の定義と重要性
メルマガのクリック率とは、配信したメール内に含まれるリンクが、どれだけクリックされたかを示す指標です。具体的には、メールを受信したユーザーのうち、リンクをクリックした人の割合をパーセンテージで表します。
この指標が注目される理由は、メルマガの効果を定量的に評価できるだけでなく、ユーザーの興味関心や反応をダイレクトに測定できる点にあります。単に開封されたかどうかではなく、「その先の行動につながったかどうか」が分かるため、BtoBマーケティングにおけるリードナーチャリングや商談化率の改善にも大きく寄与します。
特にBtoB領域では、資料請求やホワイトペーパーのダウンロードなど次のアクションへつなげることが主な目的であるため、開封率よりもクリック率の最適化がより重要なKPIとなります。
開封率との違い
開封率は、配信したメールが開かれた割合を示す指標で、件名や送信タイミング、差出人名の影響を強く受けます。一方、クリック率は「中身」に対する反応を計測するものであり、本文やCTAの設計・リンクの内容などが主な影響要因です。
| 指標 | 内容 | 影響を受ける要素 |
|---|---|---|
| 開封率 | メールが開かれたか |
|
| クリック率 | メール内リンクがクリックされたか |
|
このように、開封率は「入り口」、クリック率は「行動のきっかけ」を測る指標と考えるとよいでしょう。両者をセットで分析することで、メルマガ全体の改善ポイントが見えてきます。
開封率については、以下の記事で詳しく解説しています。
メールマーケティング(メルマガ)の開封率を上げるための実践テクニック
クリック率の現状
一般的に、クリック率は業種・業界・メールの内容によって大きく異なります。たとえば、BtoCではキャンペーンやクーポンを含むプロモーションメールの反応が高くなる傾向があり、BtoBでは情報提供型やノウハウ提供型のコンテンツで高いクリック率が見られます。
また、近年はパーソナライズされたメルマガやセグメント別配信を行う企業が増えており、平均クリック率はやや上昇傾向にあります。とはいえ、受信者側の情報過多や「メール離れ」により、施策の質がそのままクリック率に反映される時代になっているともいえるでしょう。
クリック率の計算方法
クリック率は、以下のように計算されます。
クリック率(%)= クリック数 ÷ 配信数 × 100
ただし、「配信数」ではなく「開封数」を分母とする場合もあり、その場合は「開封者あたりのクリック率」となります。これはより正確に「開封後の行動」を測定する指標です。
- 例
-
- ・配信数:1,000通
- ・開封数:400通
- ・クリック数:80回
→ 配信数ベースのクリック率:8%(80÷1000×100)
→ 開封数ベースのクリック率:20%(80÷400×100)
使用するメール配信ツールや計測設定により定義が異なるため、指標の算出方法を明確にしておくことが分析の精度向上に不可欠です。
業界別クリック率の平均と傾向
メルマガのクリック率は、業界やメールの目的によって大きく異なります。また、BtoBとBtoCの違いによっても、ユーザーの反応傾向に明確な差があります。ここではそれぞれの特徴と、最新の平均値傾向について解説します。
業界別の平均クリック率
以下は、Benchmark Emailが公開している2024年度の業種別ベンチマークデータです。業種ごとの平均クリック率と開封率が確認できます。NPO・不動産・医療・広告業界などが比較的高水準である一方、教育・ファイナンス業界ではやや低めに出る傾向が見られます。
| 業種別 | 平均クリック率 | 平均開封率 |
|---|---|---|
| 広告/マーケティング/PR/メディア/デザイン | 1.60% | 26.41% |
| 建築・建設 | 0.81% | 16.86% |
| 観光/エンターテイメント/ホスピタリティ | 1.30% | 27.59% |
| 教育(大学、社会人) | 0.54% | 12.77% |
| コンサルタント/HR/人材 | 0.94% | 20.33% |
| ファイナンス | 0.75% | 17.94% |
| 医療 | 1.80% | 28.14% |
| 保険 | 0.71% | 17.92% |
| 製造/物流/エンジニアリング | 1.06% | 17.03% |
| NPO/行政サービス | 2.59% | 32.65% |
| 不動産 | 2.40% | 26.65% |
| 小売/消費サービス | 1.34% | 24.28% |
| 教育(小中高) | 1.02% | 16.73% |
| テクノロジー/通信 | 1.19% | 20.33% |
| フィットネス | 1.27% | 24.46% |
| 業種不明 | 2.16% | 21.44% |
引用元:https://www.benchmarkemail.com/jp/email-marketing-benchmarks/
BtoBにおけるクリック率の傾向と特徴
BtoBのメルマガは、専門性の高い情報提供やナーチャリングが目的となることが多く、開封後の熟読率が比較的高い傾向があります。商談につながる情報やホワイトペーパーなど、「価値ある情報を求めてクリックする層」が存在するため、BtoCと比べてクリック率は高めに出る傾向があります。
- 平均クリック率(目安)
- ・2.0〜5.0%が標準的
- ・高い業種では5超のケースも
- 傾向とポイント
- ・製造業・IT業界・コンサルティング業などは情報感度が高く、クリック率も高め
- ・営業支援・マーケティング支援系のメルマガは、施策の内容次第で大きく変動
- ・リード段階ごとに反応率が変わるため、セグメント配信やパーソナライズが成功要因となる
BtoCにおけるクリック率の傾向と特徴
BtoCのメルマガは、キャンペーンやセール情報、クーポンの案内など即効性のある内容が中心です。そのため、一時的に高いクリック率を記録するケースもありますが、配信対象が多くなる分、全体としての平均値はBtoBより低めになります。
- 平均クリック率の目安(参考)
- ・1.2〜2.5%が一般的
- ・会員限定情報や定期購入案内では3~4%台
- 傾向とポイント
- ・モバイルからの閲覧率が高いため、ファーストビューやCTAボタンの設計が重要
- ・セールや限定性の訴求で短期的な高クリック率が得られる反面、長期的に開封率・エンゲージメントが下がる傾向もある
- ・一斉配信よりもパーソナライズや自動化施策の導入でクリック率の底上げが可能
引用元:
https://inboxparrot.com/email-marketing-benchmarks-2025/?utm_source=chatgpt.com
https://growth-onomics.com/email-marketing-benchmarks-2025-open-rates-ctrs/?utm_source=chatgpt.com
引用した数値は、あくまで平均的なものであり、自社の業種・サービス・ターゲット層によって最適値は異なります。平均値は参考にしつつも、自社メルマガのクリック率を定点観測し、PDCAで継続改善していくことが重要です。
メルマガの効果測定に重要なその他の指標
クリック率は、メルマガの成果を測定するうえで最も重要な指標の一つですが、それだけでは全体像を把握することはできません。メルマガ施策を最適化するためには、複数の指標を組み合わせて分析することが不可欠です。ここでは、クリック率以外に注目すべき4つの指標を解説します。
開封率
開封率は、配信したメールがどれだけ開封されたかを示す指標です。件名や送信者名、配信タイミングなどが主な影響要因であり、読者の第一印象を測る指標とも言えます。
ただし、HTMLメールに埋め込まれた画像の読み込みによって開封がカウントされる仕組みのため、画像を表示しない設定のユーザーは計測対象外となるなど、完全な精度ではない点に注意が必要です。
反応率
反応率は、クリックや返信、資料請求、アンケート回答など何らかの「アクション」を起こした割合を指します。メール内のCTAに限らず、多様な成果指標に柔軟に対応できるのが特徴です。たとえば、以下のようなケースが該当します。
- ・問い合わせフォームの送信
- ・アンケート回答
- ・資料ダウンロード
- ・メールへの直接返信
定義は企業によって異なりますが、クリック率より広い意味でのエンゲージメント指標として使われます。
エラー率
エラー率は、配信したメールのうち、受信者に届かなかった割合を示します。アドレスの間違いやドメインエラー、受信拒否などが主な原因です。
エラー率が高いと、配信元ドメインの信頼性が低下し、スパム判定を受けるリスクが高まります。効果的なメール配信を実現するには、リストの状態を常にチェックし、不要なアドレスを定期的に整理することが不可欠です。
配信停止率
配信停止率は、受信者がメールの購読を解除した割合を表します。高すぎる配信停止率は、コンテンツの質や配信頻度への不満を示唆する一方で、ターゲットと合っていないリストを自然に削る機会ともとらえられます。
この指標を定期的に確認することで、「読者がどこで離脱しているか」「どのメルマガが嫌われているか」などの傾向分析が可能です。
クリック率の計測方法
メルマガのクリック率は、配信後の効果測定や改善に欠かせない重要な指標です。正確なクリック率を把握するには、以下の2つの方法が一般的に用いられます。
アクセス解析ツールでの計測
クリック率を計測する方法の一つが、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールを活用する方法です。この手法では、メルマガ内のリンクにパラメータを付与することで、メール経由で自社サイトにアクセスしたユーザーの行動を追跡できます。
アクセス解析ツールを使えば、どのリンクがどれだけクリックされたかだけでなく、その後のページ閲覧、コンバージョン、離脱までを可視化することができるため、クリック後のユーザー行動を詳しく分析するのに適しています。
ただし、ツール側の設定ミスや、URLにパラメータを付け忘れた場合には、正確にデータが取得できない可能性もあります。また、開封率やエラー率など、メール配信自体に関する情報は取得できない点に注意が必要です。
メール配信システムでの計測
もう一つの方法が、MAツールやメール配信システムを用いた計測です。これらのツールには、メール内リンクのクリック数を自動で記録する機能が備わっており、クリック率を簡単に把握することができます。
メール配信システムでは、誰がどのリンクをクリックしたかといったユーザー単位のデータも取得できるため、セグメント別の反応や興味関心の傾向分析にも役立ちます。また、開封率やエラー率、配信停止率といった関連指標もあわせて確認できる点も大きなメリットです。
一方で、HTML形式で配信しないとクリックの追跡が正確に行えなかったり、クリック率の算出ロジックがツールごとに異なったりするため、使用するツールの仕様や定義を事前に確認しておくことが重要です。
クリック率を改善する具体施策5選
ここでは、メルマガの反応を改善し、読者の行動を促すために効果的な5つの具体的施策を紹介します。
1.行動を促すCTA設計
クリック率を高めるうえで最も重要な要素の一つが、CTAの設計です。CTAは、読者に「このリンクをクリックしよう」と思わせる決定的な要因となります。単に「こちらをクリック」と書くのではなく、「今すぐ資料をダウンロード」「無料で使ってみる」など、具体的かつ行動を促す文言にすることが効果的です。
また、CTAボタンの配置やデザインも重要です。メールの中で目立つ位置(ファーストビューや文末)に配置し、ボタン形式で視認性を高めることで、クリック率の改善が期待できます。
2.反応率が上がるセグメント配信
すべてのユーザーに同じメルマガを送るのではなく、属性や行動履歴に応じて内容を変える「セグメント配信」は、反応率とクリック率を飛躍的に向上させる有効な施策です。たとえば、業種別・職種別・購買履歴別などに応じた情報を届けることで、読者にとってより関連性の高いコンテンツを提供できます。
BtoBにおいては、営業プロセスの各段階に応じて、適切な情報提供を行うことが成果につながります。パーソナライズされた情報は、読者の興味関心にマッチしやすく、クリックにつながりやすくなるでしょう。
3.効果的な配信タイミングの見極め
どんなに優れた内容でも、読むタイミングが合わなければメールは見逃されてしまいます。クリック率を高めるには、読者の閲覧習慣に合った時間帯・曜日を見極めることがポイントです。
BtoBでは、月曜午前や金曜夕方を避け、火〜木の午前10時前後や午後2時台が効果的とされることが多いです。ただし業種や役職により最適なタイミングは異なるため、自社のデータをもとに分析し、配信時間を調整することが重要です。
4.A/Bテストによる継続的改善
クリック率を向上させるには、一度の配信で終わらせるのではなく、複数のパターンを比較検証する「A/Bテスト」の実施が不可欠です。件名、CTAの文言や配置、コンテンツの構成、デザインなど、1回のテストで1要素に絞って変化を検証すると、改善ポイントが明確になります。
テスト結果に基づいて施策を調整し、PDCAサイクルを繰り返すことで、メールの成果を継続的に高めていくことができます。
5.件名と本文コンテンツの工夫
メールの件名は、開封率に最も影響を与える要素ですが、それはクリック率にも間接的に作用します。開封されなければクリックもされないため、「読んでみたい」と思わせる件名が前提となります。「数字を入れる」「質問形にする」「限定感を出す」などの工夫が有効です。
また、本文はシンプルに構成し、「1メール1メッセージ」が基本です。情報を詰め込みすぎると、読者が行動する意欲を失ってしまうため、伝えたいことを一つに絞って、導線を明快に設計することがポイントです。
クリック率を上げるデザインと表示の最適化
メルマガのクリック率を高めるには、内容だけでなく視覚的なデザインやレイアウトの工夫も重要な要素となります。特に、メールを開いた直後の印象や、ユーザーの閲覧環境に応じた表示最適化が、行動率を大きく左右します。
ここでは、視認性と操作性を高めるための3つのデザイン施策について解説します。
1.ファーストビューにCTAを配置する
読者がメールを開いた瞬間に最初に目にする領域、いわゆる「ファーストビュー」は、クリック率を左右する最も重要な要素です。ファーストビューに伝えたいメッセージやCTAを明確に配置することで、読者の行動を促しやすくなります。
ファーストビューが文章で埋もれていたり、情報が散らかっていたりすると、離脱の原因になります。キャッチコピー、画像、ボタンの3点をシンプルに配置する構成がおすすめです。
2.HTML構造はシンプルにし、最適化
HTML形式のメルマガは、HTML形式はデザイン性は高い反面、構造が複雑になると一部のメールクライアントでレイアウト崩れや表示エラーが起きる可能性があります。そのため、軽量かつシンプルなHTML設計を心がけることが重要です。
3.モバイル端末向けにレスポンシブ設計を行う
モバイル端末での閲覧が主流となりつつある今、スマートフォン対応を前提としたメルマガ設計は欠かせません。PC表示を前提にしたデザインでは、文字が小さすぎたり、ボタンが押しづらかったりして、クリックのチャンスを逃してしまいます。
モバイル対応のポイントは、レスポンシブ対応のHTML構造を使うこと、文字サイズや行間を広めに設定すること、ボタンは親指で押しやすいサイズにすることなどが挙げられます。また、モバイルビューではファーストビューの領域が狭くなるため、スクロールせずにクリックできる導線を1つ用意しておくのも有効です。
クリック率を評価する際の3つの注意点
ここでは、クリック率を評価する際に押さえておくべき3つの注意点を紹介します。
1.ターゲット層の違いを考慮する
クリック率は、配信する相手の属性によって大きく変動します。たとえば、役職者や経営層を対象としたメールは慎重に読まれる傾向があるため、クリック率が低くても内容がしっかり読まれている可能性があります。一方で、現場担当者向けの実務的な内容であれば、比較的反応が得られやすい場合もあります。
このように、数値の高低だけではなく、誰に向けたメールかという前提を踏まえて評価することが重要です。
2.配信タイミングによる数値変動
同じメールでも、送信する曜日や時間帯によってクリック率が大きく変わることがあります。たとえば、月曜朝のような忙しいタイミングでは開封率・クリック率ともに下がる可能性があり、逆に水曜の午前中や木曜午後などは反応が安定しやすい傾向があります。
また、営業期末や大型連休前後など、ビジネスカレンダー上の変動も考慮すべきです。比較や改善を行う際は、配信タイミングが一致しているかを確認したうえで数値を見比べましょう。
3.計測環境・ツール仕様の影響
クリック率は、使用しているメール配信ツールやアクセス解析ツールの設定によって計測結果が変わる可能性があります。たとえば、HTMLメールでのリンク計測が有効になっていない、URLパラメータが正しく付いていないなどの理由で、クリックが正確にカウントされないケースもあります。
また、開封後すぐに離脱したユーザーや、自動で開封・クリックを行うセキュリティソフトの影響なども、数値を歪める要因となります。可能であれば複数の指標やツールを併用し、異常値がないかをチェックすることも重要です。
このように、クリック率はあくまで「ユーザーの一部の反応を示す指標」であり、その背景や前提条件まで理解して初めて、正しい分析と改善が可能になります。数値に振り回されず、常に全体像を把握する視点を持つことが大切です。
まとめ
メルマガのクリック率は、読者が「興味を持ち、実際に行動を起こしたかどうか」を測る重要な指標です。特にBtoBマーケティングにおいては、ナーチャリングや商談化の起点となるため、単なる開封率以上に重視すべき指標といえるでしょう。
また、クリック率の数値だけにとらわれず、「なぜ上がったのか・下がったのか」を正しく解釈し、他の指標とも合わせて総合的に分析する視点も欠かせません。
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