メールでリードナーチャリングを行う手順を5ステップで解説!

リードナーチャリングにはいくつかの手法がありますが、特にBtoBにおいて有効な手段がメールを使ったリードナーチャリングです。SNSが普及した今では、メールと聞くと時代遅れに感じますが、BtoBの現場ではまだまだメールでのコミュニケーションが主流です。
この記事では、メールを使ったリードナーチャリングについて、その手法やコンテンツの作り方について解説していきます。
リードナーチャリングとは
冒頭で軽く触れましたが、まずリードナーチャリングについて理解を深めておきましょう。リードナーチャリングとは見込み顧客の購買意欲の育成を意味します。展示会で名刺交換した人やセミナーの参加者など、自社商品を購入してくれる可能性のある人=見込み顧客ですが、全員が今すぐ自社商品を購入して顧客になるわけではありません。
自社商品の存在を知らない人から興味を持ち始めた人まで、将来的に自社顧客になってもらうために、商品に関する知識や関連するノウハウの提供、購入することでどのような課題を解決できるかを伝えていくことで、商品への興味度合いを少しずつ高めていくのです。
リードナーチャリングの手法
リードナーチャリングの手法としては、今回取り上げるメール以外にもWebコンテンツや広告、SNSなどが挙げられます。BtoBにおいては、メールとWebコンテンツ(ホワイトペーパー)を組み合わせたナーチャリングを実施している企業が多いです。
メールでリードナーチャリングを行う方法
では次に、メールでリードナーチャリングはどのようにして行うのかを見ていきましょう。同じメールであっても、以下のように異なる役割や目的をもった様々な種類があります。
- ・メルマガ
- ・セグメントメール
- ・ステップメール
- ・自動返信(サンクス)メール
- ・開催告知メール
- ・開催報告メール
では、ひとつずつその役割を深掘りしていきましょう。
メルマガ
メルマガという言葉はほとんどの人が知っているのではないでしょうか。メルマガは定期的に自社に関する情報を配信するものです。BtoBにおいて企業が配信するメルマガは、自社が過去に名刺交換した人やメルマガ登録者など全員に配信するため、一部の人しか興味がないトピックよりも、多くの人が興味を持ちやすい情報の発信に適しています。
具体的には、会社の最新情報やキャンペーン情報、最新商品についてなどをメルマガで配信するのがよいでしょう。特定の人しか興味を持たないような情報については、以下で紹介する方法を使って配信します。
セグメントメール
セグメントメールとは、見込み顧客を条件ごとにグループ化し、そのグループが最も興味を持ちそうな内容を送るもののことです。
例えば「1週間以内に料金ページを2回以上閲覧した人」というグループを作り、そのグループに商品の詳細を伝えるような内容を送ります。料金ページを頻繁に閲覧している人は、本格的に商品の購入を検討していると考えられます。そこで、購入をより後押しする内容を送れば、効率よく売上を伸ばせます。
他にもセグメントする内容として、業種や職種などの属性や、Webサイト来訪などの行動履歴から分ける方法があります。
ステップメール
ステップメールとはセグメントメールの一種で、見込み顧客の状況や見込み度合いに合わせて段階的にメールを送るもののことです。
例えば、商品資料をダウンロードしたその日にお礼のメールを送り、その翌日に商品の詳しい使い方を、さらにその翌日に商品の活用事例を、最後にキャンペーンについて送るという使い方が考えられます。
1回のメールでいきなり購入まで導くのは難しいですが、ニーズのある情報を適切なタイミングで段階的に提供することができれば、上手く興味度合いを引き上げることができます。
自動返信(サンクス)メール
自動返信メールとはサンクスメールとも言われ、Webサイトのフォームからメルマガ登録や資料請求などのアクションがあった際に自動で返信されるお礼メールのことです。
申し込みができているか確認できるサンクスメールは、他のメール施策と比べ開封率や反応率が高い傾向にあります。そのため、見込み顧客を誘導したいサイトのURLや見込み顧客のアクションと関連性のある資料のURLを記載することで、さらなるアクションを促すこともできます。
開催告知メール
開催告知メールは、展示会やセミナーといったイベントの開催を案内するメールです。自社にある見込み顧客情報全てを対象に配信することが多いでしょう。
例えば、これまでメルマガ購読だけしていた見込み顧客へ開催告知メールを送付し、展示会やセミナーへ参加してもらうことができれば、自社の商品やサービスについてより詳しく知ってもらうことができ、これまでよりも見込み顧客の関心度や検討度合いを引き上げることにもつながるでしょう。
開催報告メール
開催報告メールは、展示会やセミナーを開催した後にそのイベントの内容を報告するメールです。リードナーチャリングの施策として、上述した開催告知メールを活用することはあっても、この開催報告を行わないことも多いようです。
しかし、開催告知メールにより展示会やセミナーに関心はあったが参加できなかった見込み顧客がいた場合、開催報告メールにより当日の内容を知ることができます。またこのとき、参加者の感想も記載することで、次回のイベントへの参加意欲を高めることにもつながるでしょう。
メールでリードナーチャリングを行うメリット
ここでは、リードナーチャリングにメールを活用することのメリットについて見ていきましょう。
一度に多くのリードにアプローチできる
従来の営業活動では、見込み顧客にアポイントを取り、営業担当者が一人一人直接対面して商談を行うことが一般的でした。しかし、この方法では一日にアプローチできる見込み顧客数には限りがあり、効率的な手法とは言えませんでした。
これに対してメールでのリードナーチャリングでは、自社にある見込み顧客リスト全てに一度にアプローチを行うことも可能となります。リードナーチャリングの手法の一つであるメルマガを活用すれば、まだ見込み度合いの低い顧客に対しても継続的に接点を持ち続けることができ、効率的に見込み度合いを高めていくことができます。
低コストで始められ導入のハードルが低い
メールは、従来の営業活動でも主要なコミュニケーションツールとして活用されていました。そのため、新たなツールを導入する必要もなく、コストをかけずすぐに取り組むことが可能です。メールの内容となるコンテンツも自社で運営するオウンドメディアのコンテンツを再利用することで、コンテンツ作成のリソースも少なく始められるでしょう。
さらに、もともと自社にある見込み顧客情報を活用して始められることから、導入のハードルが低いこともメリットの一つです。
効果測定がしやすい
メールを活用したリードナーチャリングでは、メール内に挿入したURLへのアクセスなどからクリック率や開封率といったデータを取得することができ、簡単に効果測定を行うことができます。施策の反応がデータとして可視化できることから、PDCAが回しやすいこともメリットといえるでしょう。
【5ステップ】メールによるリードナーチャリング設計の手順
続いて、メールでリードナーチャリングを設計する際の手順を5ステップに分けて解説していきます。
1.ゴール(目的)の設定
メールによるリードナーチャリングだけでなく、全てのマーケティング施策において必要なのは目標設定です。目標がないと、その施策の方向性が決まらないため、施策自体が十分な効果を発揮しない可能性があります。
資料ダウンロード数を◯%増やす、など明確な数値目標を持ち、そのためにどのようにメール配信をすればよいか検討しましょう。
2.カスタマージャーニーの策定
カスタマージャーニーとは、見込み顧客がどのような行動・心情で成約まで至るのかをまとめた図のことです。行動や心情の変化を地図のようにまとめることから、カスタマージャーニーマップとも言われます。
メールによるリードナーチャリングは、あくまでマーケティング施策のひとつです。そのため、どのようにしてリードナーチャリングの段階までたどり着き、次の段階へつなげ、そして成約するのか、その全体像を把握しなければ、マーケティング施策が一貫性のないものになります。
既にカスタマージャーニーを作成しているのであれば、改めて全体像を把握しましょう。未作成の場合は、これを機に作成するのがおすすめです。
3.コンテンツを作成する
リードナーチャリングの目標設定やカスタマージャーニーの策定ができたら、メールで配信するコンテンツ作りを始めます。
カスタマージャーニーでリードナーチャリングまでたどり着いた見込み顧客がどのような情報を欲しているのか、そしてどのタイミングでその情報を提供するのかを、細かく設計するのです。
またコンテンツ作成時は、コンテンツごとに役割を設けることも重要です。商品を認知してもらうコンテンツや、興味度合いを高めるもの、検討度を高めるもの、そして購入を後押しするものなどが考えられます。
全てのコンテンツが検討度合いを高めることだけを目的に作成されている場合、そもそも商品について知らない人にとっては必要のない情報になりがちです。見込み顧客の状況に合わせたコンテンツ作りをしましょう。
4.配信タイミングを検討する
メールのコンテンツを作成したら、いつ配信するのかを決めます。特にBtoBの場合、メールが読まれやすい曜日や時間帯があります。午前中にメールチェックする人が多そうであれば、9時頃に配信し、午後にチェックする人が多いのであれば昼休み中の配信が良いかもしれません。
配信を繰り返し、どの時間帯・曜日が最も開封率が高いのか、実験・検証して最適化する必要があるでしょう。
5.効果測定を実施する
メールマーケティングだけでなく、全てのマーケティング施策において重要なのがこの効果測定です。マーケティング施策は全て仮説をもとにしたものであり、施策が効果的なものだったのかを効果測定で検証します。
効果測定を行い数値的に効果を観測しないと、前回のデータと比較して伸びがあるのか分かりません。メールによるリードナーチャリングの場合、開封率やクリック率を計測し、毎回検証する必要があります。
リードナーチャリングの成功に欠かせないKPI設定
メールを活用したリードナーチャリングを行う際、メールを送付して終わりではなく、施策の効果検証を行うことが大切です。そこで重要となるのが、「KPI設定」です。
ここでは、メールでのリードナーチャリングで設定したい4つのKPIをご紹介します。
メール配信数
メール配信数は、メールを配信した総数です。メール配信数を増やすことで、その他の指標も増加するため、ある程度の配信数を担保する必要があります。
開封率
開封率は、配信したメールが開封された割合のことです。開封率が低い場合、そもそもメールが開かれていないのでクリック率やコンバージョン率も上がりません。
開封率を高めるためには、開封するメリットとなるインセンティブの押し出しや、どこの誰から届いたメールかがわかり安心してメールを開封できる差出人に設定することが重要です。
クリック率
クリック率は、メール内のURLや画像などのコンテンツをクリックした割合のことです。
クリック率が低い場合は、メール開封後の本文に問題があったと判断できます。クリック率を高めることは、問い合わせ数といったコンバージョン率にも影響するため重要な指標の一つといえます。
コンバージョン率
メール内のURLをクリックすることで訪問したサイトからの問い合わせや、資料ダウンロードといったコンバージョンに至った割合をコンバージョン率といいます。
メールマーケティングでは、このコンバージョン率を高めることを目的に、メールと遷移先ページの一貫性や、アクセスしやすいボタンの配置などに改善することが重要です。
まとめ:メールによるリードナーチャリングは設計が重要!
この記事では、メールを使ったリードナーチャリングについて、その手法や手順についてお伝えしました。
リードナーチャリングは見込み顧客の成約率を高めるためのものであり、設計が非常に重要です。特にBtoBにおいては、メールはリードナーチャリングに有効な手段です。この記事の内容を参考に、メールでのリードナーチャリングを設計しましょう。