マーケティングオートメーションにおいて重要なペルソナ作りのポイント

マーケティング活動をするにあたり、「ペルソナ」の作成は必須です。なぜならペルソナによってどんなマーケティングが必要なのかが異なるからです。
マーケティングオートメーションはマーケティング活動を自動化し、効率化させるためのものです。ペルソナが決まっていないと、マーケティングを自動化したところで思うような効果は得られないでしょう。
この記事では、マーケティングオートメーションだけでなくマーケティング全般において重要なペソナ作りのポイントについてお伝えしていきます。
また、「マーケティングオートメーションについて、1から教えてほしい!」という方向けに、「マーケティングオートメーションの教科書」を作りました。ぜひ、こちらからダウンロードしてください。
ペルソナとは?マーケティングに不可欠な理由
まず、ペルソナとは、自社の商品を購入するであろう典型的なユーザーモデルのことです。
ペルソナを決めると、どのような方法・タイミングでアプローチすればいいのかが絞り込めます。他部署にまたがるプロジェクトなら、資料として企画や打ち合わせがしやすくなる効果もあります。
ターゲットは「従業員数300人以下の企業」とする商品があったとして、漠然と「従業員数300人以下の企業」に届くアプローチをしても上手くいきません。「従業員数300人以下でマーケティング戦略に時間や費用をさけず、営業が伸び悩んでいる企業」のように、具体的なペルソナがあったほうが、リーチしやすくなるのです。
モノや広告があふれる現代では、顧客にやみ雲にアプローチをするだけでは商品購入まで至りません。自社製品やサービスを購入するのは誰なのか?を想定し、そのカスタマージャーニーに訴えかける必要があるのです。
ペルソナの作り方
ここからは、具体的にどのようにペルソナを作成するか解説していきます。
既存顧客をセグメントする
既存サービスがあれば、その顧客がどんな企業・人なのかを見てみてください。
社風、従業員の人数、経営理念、業界研究、業界全体の悩みや課題、顧客の業界内での立ち位置...などに顧客をセグメントしてみましょう。
データを集める
次に、ペルソナとなる人や企業の情報を集めていきます。toBでは数が限られているためアンケートが難しく、toCと比べるとサンプルが限られます。その分具体的に深く情報を集める必要があります。
以下、情報収集の方法例を挙げるので参考にしてください。
- ・近い関係にある企業からのヒアリング
- ・顧客と直接関わる機会が多い自社営業部門へのインタビュー
- ・ホワイトペーパーやHPなどから業界の情勢や企業を研究する
情報収集を通して、ペルソナへの理解を深めていきます。
集まったデータをもとにペルソナを作成する
次に、架空の企業・人物としてペルソナを作っていきます。
toB向けのペルソナシート・記入例
toB向けのペルソナシートはこちらです。
- 【会社名】
- ・業種
- ・本社・支社がある場所
- ・従業員数
- ・決裁権を持つ人・役職
- ・抱えている課題
- ・企業理念
- ・実現したいこと
- 【個人】
- ・役職
- ・部署
- ・決裁権の有無
- ・抱えている課題
- ・実現したいこと
toB向けのペルソナシートの例を作ってみました(架空の企業です)。
弊社はtoB向けにマーケティングツールを販売している企業で、マーケティング戦略が上手くいっておらず販売実績が伸び悩む会社をターゲットにしています。
- 【会社名】A株式会社
- ・業種:英語教材販売、セミナー
- ・本社・支社がある場所:東京都
- ・従業員数:100人
- ・決裁権を持つ人・役職:社長
- ・抱えている課題:社内セミナー用の英語教材を販売しているが、知名度が無く広告に費用をさけない。今年になって大手企業による競合商品が発売され、広告戦略では負けてしまう。競合との差別化に悩んでいる。
- ・企業理念:誠実に向き合う。常に挑戦し続ける。
- ・実現したいこと:グローバル化に負けない人材を育成したい。
- 【個人】
- ・役職:マネージャー
- ・部署:営業部
- ・決裁権の有無:無い
- ・抱えている課題:既存顧客にリピーターが多く1顧客あたりの単価アップはできているものの、リードジェネレーションができていない。弊社マーケティング部と上手く連携がとれず何をしているか分からない。情報共有の方法に悩んでいる。
- ・実現したいこと:社会人1年目に外国人スタッフと仕事をして、英語力の無さを実感して猛勉強した。グローバル化する社会にとって英語力は絶対必要だと思う。英語を話せる社会人を増やしたい。
この例では、リードジェネレーションの獲得が伸び悩む・マーケティング部と連携が取れていないA株式会社に対して、弊社がどんな提案をできるか考えていきます。
提案先は「会社」であっても、決定者や決裁者は「人」であることを忘れてはなりません。BtoBでは、企画者・決裁者・導入者・利用者などが異なるので、購入決定プロセスに複数のキーマンが関わる可能性があります。部署や役職ごとにペルソナを作ってみましょう。マーケ担当者だけでなく、開発部門や営業部門など他部署を巻き込んで設定してください。
toC向けのペルソナシート・記入例
以下にtoC向けのペルソナシートのテンプレートを用意しました。
- ・年齢
- ・性別
- ・居住地
- ・職種や役職
- ・勤続年数
- ・結婚・子供の有無
- ・移動時間・手段
- ・趣味
- ・よく見るメディア・SNS
- ・フォローしているインフルエンサー
- ・自由に使えるお金
- ・スマホを見る時間
- ・信頼する情報源
- ・悩み
- ・実現したいこと
シートをもとに、架空の化粧品メーカーでペルソナの例を作ってみます。(架空の人です)
弊社の主力商品は1本4,000円前後の化粧水。40代向け、美白をウリにしていて、プチプラ化粧品から脱却したい主婦がターゲットとします。
- ・年齢:42歳
- ・性別:女性
- ・居住地:東京都足立区
- ・職種や役職:専業主婦
- ・結婚・子供の有無:既婚で子どもは3人。小学4年生、小学1年生、年中。
- ・移動時間・手段:電車やバス、電動自転車。車はあるが運転できない。
- ・趣味:ハンドメイド、節約
- ・よく見るメディア・SNS:インスタグラムの家計簿アカウント
- ・自由に使えるお金:月に5,000円。化粧品はプチプラ。
- ・スマホを見る時間:子どもが登園し帰ってくるまでの10:00~14:00、子どもが寝た22時以降
- ・信頼する情報源:インフルエンサーのSNS投稿、雑誌〇〇
- ・悩み:自転車に乗っているので日焼けが気になる。年齢が上がったのでそろそろ1本1,000円くらいのプチプラ化粧水では限界かもしれない。若い頃と比べて肌のたるみや乾燥が気になるので、化粧品のラインをワンランク上にしたいが、働いていないし子どもの塾代がかかるので迷っている。
- ・実現したいこと:教育費が気になるので下の子が小学校に上がったらアルバイトをしたい。趣味のハンドメイドを仕事にしてみたい。年1回沖縄に行きたい。
高額商品でない限り、toCの利用者と決裁者は1人(もしくは家族)であることがほとんどです。
作成したペルソナをマーケティングオートメーションに活かすには
ペルソナを作ることで、マーケティングオートメーションの設計もしやすくなり、一貫性が出てきます。
まず、登録フォームの回答や展示会で獲得したリードをペルソナに振り分けてみましょう。会社、業種、担当者の役職、会社の規模、問い合わせ内容・悩みなどをラベリングしていきます。
リード獲得にいたらない問い合わせもペルソナにしておくと、マーケティングオートメーションで排除できより効率化がはかれます。
ペルソナ作成後の注意点
続いて、ペルソナ作成後の注意点を確認しましょう。
定期的にペルソナを見直す
ペルソナは一度作って終わりではありません。以下の点に沿ってズレがないか定期的に見直しましょう。
- ・業界や世の中の情勢
- ・季節に合っているかどうか
- ・ペルソナの理念や悩みの変化
- ・自社製品やサービスはペルソナの悩みや自己実現を助けるものなのかどうか
理想を追い求めすぎない
ペルソナは理想を追い求めすぎず、現実のデータをもとにペルソナを作っていくべきです。「こんな顧客に購入してほしい」という理想像ではなく、「実際に購入する顧客」をイメージしましょう。
そのためには、現実のデータに沿って、どんな人が自社製品を欲しているのかを分析していく必要があります。
まとめ
ペルソナの設定はマーケティングの基礎ともいえるところで、カスタマージャーニーの設計においても重要です。できるだけ具体的に理想的な顧客を想定していきましょう。
ペルソナを作成できたら、マーケティングオートメーションでも活用してみてください。