リードナーチャリングの効果的なシナリオ設計とは

リードナーチャリングを行う際にシナリオを作成することで、見込み顧客にいつ、どのようなアプローチをするのが効果的なのか明確にすることができます。しかし、シナリオ作成といっても何から手を付けたら良いかわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、シナリオの作成手順と、実際に応用できるメールマーケティングでのシナリオ例をご紹介していきます。
リードナーチャリングとシナリオの関係を整理しておこう
まずは、リードナーチャリングにおけるシナリオの役割について整理しておきましょう。
リードナーチャリングとは
リードナーチャリングとは、自社製品やサービスの購入検討度の低い顧客に対して、継続的に有益な情報を提供し、見込み度合いを上げていくBtoBマーケティング施策の一つです。
しかし、一概に有益な情報といっても、見込み顧客それぞれのニーズや検討度合いには違いがあります。そこで重要となるのが、見込み顧客状況ごとに合わせたアプローチを行うことです。
シナリオの役割
リードナーチャリングにおいてシナリオとは、これから実施するリードナーチャリングの手順を具体的に決めた設計図のようなものです。
見込み顧客ごとのフェーズに合ったプロセスを細かく設定することで、いつ、どのようなアプローチをするのが効果的か明確にすることができます。
リードナーチャリングにシナリオ設計が必要な理由
見込み顧客それぞれに合った情報提供を行うためには、あらかじめシナリオを設計しておくことが重要です。>br>例えば、サービスに対する理解が十分に進んでいない見込み顧客に対して、「製品のアップデート情報」や「比較事例」などが送られてきても興味喚起に繋げるのは難しいでしょう。
このように、不必要な情報を提供したり、見込み顧客のフェーズに合っていない施策を行うことは効果的ではなく、むしろ逆効果ともいえます。そこでニーズや検討度合いを把握し、それぞれに合わせた施策を行うためのシナリオ設計が重要となるのです。
シナリオ設計の手順
ここでは、基本的なシナリオの作成手順について説明していきます。
1.リード情報を分類する
はじめに、ターゲットとなるリード情報を収集し分類していきます。 例えば、アクセス解析データや問い合わせメール、セミナー参加者の名刺などを収集し、ニーズや課題別に分類しましょう。
2.カスタマージャーニーを設計する
見込み顧客が最終的に購買に至るまでの行動や心理の流れを可視化したものをカスタマージャーニーマップと呼びます。
見込み顧客がどんな課題を持ち、どのような情報を必要としているのかを考え、リードごとのフェーズに合った、カスタマージャーニーを設計してみましょう。
3.リードに合ったコンテンツを設定する
設計したカスタマージャーニーに合わせて、見込み顧客ごとにどういったアプローチをとっていくのかを決めていきます。適切なタイミングやコンテンツでアプローチをすることで、より見込み顧客の検討度合いを高めることができます。
メールマーケティングでのシナリオ例
「資料をダウンロードした」や「セミナーに参加した」など、様々なフローに合わせたシナリオを設定をしていく必要があります。それでは実際に、シナリオ例を見ていきましょう。
シナリオ例①:半年前に検討タイミングが合わず失注
半年前に、商談まで行ったが失注してしまった顧客に対して、最新事例や機能アップデートのお知らせなどの内容のメールを送り、その後の検討状況を伺う。
- メールから事例ページに遷移した場合
- →「事例について詳細をご案内したい」とアプローチするメールを配信する
- メールから機能アップデートの詳細ページに遷移した場合
- →「御社に合わせた最新機能の使い方をご案内させてください」とアプローチするメールを配信する
- メールは開いたが、何処にも遷移しなかった場合
- →数日後に、「直近開催のセミナー案内」などのメールを配信し、新たな切り口の接点を探す
シナリオ例②:2.3ヶ月前セミナーに参加
過去にセミナーには参加したが、その後商談には繋がっていない顧客に対して、新たなセミナー案内のメールを送る。
- セミナーに参加
- →「セミナー内容はどうだったか」や、「より詳しい話がしたいので打合せさせてほしい」とアプローチする。
- セミナ―に参加しなかった
- →再度、「別のセミナー案内」または、 「最新の活用事例のご案内」などのメールを配信する
このように、シナリオに沿って顧客ごとにアプローチをしていきます。分岐していく顧客フェーズも踏まえたシナリオ設計が重要です。
リードナーチャリングを成功させるシナリオ設計4つのコツ
ここでは、シナリオ設計の際に意識しておきたいポイントを4つご紹介します。
シンプルなシナリオにする
ナーチャリング対象が多くない場合は、無理して複雑なシナリオを作ったとしても、見込み顧客が思うように動かないことがあります。
例えば、自社の見込み顧客リストが2,000名の場合、1回のメール配信からの開封率が40%、サイトに流入するのが30%とすると、流入者はおよそ240人となります。 その内、各アクションをする割合がそれぞれ10%だとすると、結果は0人となります。このように綿密なシナリオ設計をしたとしても、優良見込み顧客が何ヶ月も見つからない、ということも起こり得てしまうのです。
結果的に、メール配信からサイトに来訪した人を営業が個別にフォローするなど「手動」フォローの方が、工数対効果が良いこともあります。
そこで、はじめから複雑すぎるシナリオを作成するのではなく、まずは単純なシナリオ設計からはじめ、できることから進めていくことが大切です。
既存顧客を参考にする
シナリオ作成のためにリード情報を収集し、カスタマージャーニーを作成しても思ったように顧客行動をイメージできないこともあります。
そうした際に活用できるのが、既存顧客の声です。すでに自社の商品やサービスを購入している既存顧客にヒアリングを行うことで、自社製品やサービスに関心を持ったきっかけを知ることができるでしょう。そこでまずは既存顧客をペルソナとしてイメージし、課題に対して製品をどのように提案するかを考えることが効果的です。
見込み顧客の課題やニーズは日々変化していくので、定期的にヒアリングを行いシナリオを改善していくことも必要でしょう。
ペルソナを設定する
より精度の高いリードナーチャリングを行うには、事前にペルソナを設定してからシナリオ作成を行うことも重要です。
シナリオは、自社のマーケティングをベースに考えるのではなく、顧客の購買行動をベースに設計していくため、まずは見込み顧客の輪郭となるペルソナを想定しておく必要があるのです。BtoBの場合、ペルソナは「企業」と「購買に関わる担当者(決裁者)」の2軸で考えます。
「企業」のペルソナでは、事業規模や業種といった企業属性や自社製品に関わる業務課題の状況、製品の導入状況を想定しましょう。一方、「担当者」については、企業内で自社製品を検討する際に関わる人を洗い出し、どういう人がどのような課題を持っているかを想定します。
もし、ターゲット企業の規模・業種などが幅広いのであれば、規模・業種、担当者の課題別など、さまざまなペルソナを考えましょう。
スコアリングを行う
効率的にリードナーチャリングを行うためにも、見込み顧客の状態に合わせてアプローチの優先順位を決める必要があります。そこでスコアリングを行うことが効果的です。
スコアリングとは、顧客が起こした行動を点数化したものです。例えば、「資料請求を行ったら1点」、「Webサイトに◯回アクセスしたら1点」、「セミナーに参加したら2点」など、対象となるすべての行動にスコアを用意しておきます。
スコアリングできた顧客に対して「1点でセミナーのお知らせを送る」、「4点を超えたら電話をかける」など点数別で自社がとるべきアクションを設定していきます。
このようにスコアリングを行い顧客状況を把握し続けることで、適切なアプローチ方法を明確にすることができるでしょう。
シナリオ設計後も効果検証を!
シナリオは一度作って終わりではありません。実際にシナリオに沿ってフローがしっかりと流れているか確認し、もし流れていない場合にはどこが問題点なのか、原因を考える必要があります。
例えば、「コンテンツはリードに合っているか」、「提供タイミングは合っているか」など改善点を洗い出し、より効果的な施策を考えましょう。
このように、効果検証を繰り返し、作成したシナリオを向上させていくことがリードナーチャリングの成果へと繋がります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。リードナーチャリングにおけるシナリオ設計で重要なことは、見込み顧客の情報をしっかりと精査し、リードに寄り添った情報が提供できるようにシナリオを作成することです。
しかし、シナリオ設計ばかりに気を取られてリードナーチャリングの本質を見失わないよう、まずはシンプルにスモールスタートしてみることをおすすめします。