顧客満足度が高まる?インターナル・マーケティングとは

「マーケティング」というと、将来お客様になってくれそうな見込み顧客へのマーケティング施策をイメージするのではないでしょうか。ただ、いくら社外へのマーケティングが出来ていたとしても、それだけでは不十分かもしれません。あなたは「社内向けのマーケティング」を行っていますか?
従業員向けにマーケティングを行っていないと、顧客満足度が下がってしまう可能性があります。今回は、顧客満足度が高まる従業員向けのマーケティングの重要性と施策について、一緒に考えていきましょう。
「サービス・プロフィット・チェーン」を理解しよう!
「従業員向けにマーケティングを行っていないと、顧客満足度が下がってしまう」可能性があると言いましたが、この因果関係は「サービス・プロフィット・チェーン」というフレームワークで説明できます。
サービス・プロフィット・チェーンとは、1994年に提唱されたフレームワークで、『従業員満足(ES=Employee Satisfaction)が高まれば、顧客満足(CS=Customer Satisfaction)も高まり、企業の利益も高まっていく』という因果関係を示しています。
上図を見ると、従業員満足度が高まれば、顧客満足度と業績が高くなることが分かりますね。ではサービス・プロフィット・チェーンはどのようなサイクルになっているのでしょうか?
サービス・プロフィット・チェーンのサイクル
- ①給料や福利厚生といった社内サービスの質が高まれば、従業員満足度が高まる
- ②従業員満足度が高まれば、その企業に対する従業員のロイヤルティが高まる
- ③従業員のロイヤルティが高まれば従業員の生産性が高まる
- ④従業員の生産性が高まれば、サービスの質が高まる
- ⑤サービスの質が高まれば、顧客満足度が高まる
- ⑥顧客満足度が高まれば、その企業に対する顧客ロイヤルティが高まる
- ⑦顧客のロイヤルティが高まれば、リピート率が高まり、クチコミで評判が広がり、企業の業績が向上する
従業員満足度を高めることができれば、顧客満足度や企業業績が上がるという流れが理解できたかと思います。では、従業員満足度を高めるには、何をすればよいのでしょうか?
「インターナル・マーケティング」で従業員満足度を高めよう!
インターナル・マーケティングとは、社内の人たちに向けたマーケティングのことで、従業員満足度を高める施策を指します。「サービス・プロフィット・チェーン」のフレームワークで考えると、顧客満足度や企業業績を高めるには、従業員満足度を高めることが必要だということが分かっています。
ただ、フレームワークを抜きにしても、従業員満足度は重要です。なぜなら、企業を支えている製品/サービスを作ったり売ったりしているのは、機械ではなく人、従業員だからです。不満が蓄積されている従業員からは、いい製品/サービスは生まれませんし、販売しても売れないでしょう。
つまり、インターナル・マーケティングで従業員満足度を高めることが大切なのです。インターナル・マーケティングは、以下のような流れで実施します。
インターナル・マーケティングの実施の流れ
- ①「顧客に最高のサービスを提供したい」と考えている意欲的で優秀なスタッフを採用する
- ②スタッフに、サービスを提供する目的と意味をもたらすようなビジョンを提供する
- ③スタッフが、質の高いサービスを提供できるように、技術や知識が習得できるようなトレーニングを施す
- ④チームプレーを強調する
- ⑤スタッフにサービスの自由裁量を与える
- ⑥スタッフを評価して、それに見合った報酬を与える
- ⑦調査に基づいて、職場とスタッフの職務設計を行う
従業員の採用からキャリア設計まで、一連の流れでインターナル・マーケティングを行っていきましょう。
現場からインターナル・マーケティングをやってみよう!
インターナル・マーケティングが重要であることは理解できたかと思います。では、具体的に何をすれば従業員満足度は高まるのでしょうか?
(1)営業担当・マーケティング担当からできることはこれだ!
従業員の満足度は、給料や福利厚生、仕事へのモチベーションなどの要素から構成されており、このうち「仕事へのモチベーション」は営業担当やマーケティング担当からでも高めることができます。
仕事へのモチベーションが高い状態の要因の一つに、「自社の製品/サービスが好き」であることが挙げられるので、「現場から製品/サービスを好きになってもらう施策」はできそうですね。
(2)実際に「インターナル・マーケティング」をやってみよう!
①「お客様の声」を共有しよう
営業担当やマーケティング担当が現場で聞いた「お客様の声」を会議で共有してみましょう。営業担当であれば、以下のような声を聞く機会が多いと思います。
- ▼契約にならなかったお客様からの応援の声
- 「御社のサービスは競合A社と比べて◯◯機能が素敵なので、これからも頑張ってね」
- ▼契約したお客様からの喜びの声
- 「導入してからすごく効率が良くなった、今ではこのサービスなしには活動できないです」
こういった声を、営業担当一人の胸の中に収めておかずに部署全員に共有することで、改めて自社製品/サービスの良いところを認識することができ、他の営業担当にも「また頑張って営業しよう」という前向きな気持ちを持たせることができるのです。
朝のミーティングや定例会議などで、5分ほど時間をとって実践してみてはいかがでしょうか。
直接、声に出して伝えよう!
社内の共有ツールに書き込むだけでは、確認しない人も多いでしょう。直接会議の場で共有できれば、本人の熱量やお客様から聞いたときの嬉しい感情が伝わって、さらに周りの社員のモチベーションも高まりますね。
②「競合他社の情報」を共有しよう
競合他社の製品/サービスの内容を会議などで共有することも、自社の製品/サービスを好きになることに繋がります。
営業担当やマーケティング担当であれば、日々の情報収集やお客様からの意見などを通して、競合の状態も把握することができると思います。それらの情報を部署全体に共有して、競合と比較した自社の製品/サービスのポジションや善し悪しを確認しましょう。
改めて自社製品/サービスの良いところを見つめたり、足りないところを全体に共有して、全体で前向きに進んでいく気持ちを統一させたりする機会にできますよ。
競合との比較で、従業員の仕事へのやる気をアップ!
「自社製品/サービスは他社と比べてここが優れているんですよ」ということを従業員全員に共有してみましょう。
なかなか売れない営業担当なら、改めて製品/サービスの良さに気付けたり、マーケティング担当なら、他社とは違う良さを打ち出す広告などの方針が変わったりするかもしれません。
③「事業部新聞」を発行して共有しよう
もし直接共有することが難しければ、週一回事業部単位でミニ新聞を発行してみましょう。製品/サービスを好きになったポイントやお客様の声を書いて、目に留まる場所(部署のドア、お手洗いの個室の壁など)に貼ってみるのもよいですね。
目に留まるところにポジティブな情報を!
読んで気分が暗くなるような新聞を作成しても意味はありません。
事業に関わる従業員全員が読んで、仕事に対するモチベーションが高まる内容を掲載することを意識して作成してください。
さいごに
いかがでしたでしょうか。インターナル・マーケティングの重要性は分かりましたか?
つい社外のマーケティングに力を入れがちですが、社内マーケティングを通して従業員満足度を高めることも重要なのです。従業員満足度が高まれば、顧客満足度や企業業績が高まるので、注力する価値はありますね。
今回は営業担当やマーケティング担当が実施できることをご紹介したので、ぜひ参考にして一緒に従業員満足度を高めていきましょう!
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