【図解】ファネルとは?マーケティングでの使い方や分析方法を理解しよう
ファネルとは、多数の見込み顧客が商品・サービスを「認知」してから「購入」するまで、ふるいにかけられ段々と少数になっていく様子を図式化したものです。
マーケティングに携わる人であれば、一度はこの用語を聞いたことがあるのではないでしょうか。売上をアップするには、ファネルの概念・考え方を理解して効果的な施策を打つことが大切です。今回は、ファネルの意味を図解で解説し、事例を交えながら分析方法をご紹介していきます。
BtoBマーケティングには、ファネル以外にも押さえておきたい考え方やフレームワークが多くあります。
よく使われる10個のマーケティングフレームワークを、簡単な解説とすぐに使えるテンプレートをセットにしてまとめましたので、ぜひこちらもご覧ください。
ファネルとは?
ファネルは直訳すると「漏斗」という意味です。漏斗は、逆三角形のすり鉢状の形をした器具であり、これを商品を認知してから購入に至るまでの顧客の購買フェーズに当てはめて図式化したものが、マーケティング用語の「ファネル」です。
ファネルは認知から購買の段階に経るにつれて、見込み顧客の数は減っていきます。例えば、商品の名前だけ知っている人はたくさんいるが、商品に興味を持ち、購入を検討し、実際に購入するとなると、人数が段々と減っていきます。
その様子を図式化すると、ちょうどファネル(漏斗)の形になるのです。
ファネル分析はなぜ重要?
商品やサービスをより多くの顧客に購入してもらうためには、購買フェーズのどの段階に課題があるのか明確にし、適切な改善策を講じる必要があります。
ファネル分析では、実際の売上データなどと照らし合わせながら購買フェーズを可視化するため、顧客がどこで離脱したのかが明確になり、離脱の原因や課題を見つけやすいのです。
「商品を認知したばかりの顧客に購入を促す」「とにかく広告費を使って認知度を上げる」などの的外れな施策を実施しないためにも、ただデータの数値を眺めるだけでなくファネルの段階ごとで適切なマーケティング施策を実行することが重要です。
マーケティングファネルの種類
マーケティングファネルには3つの種類があります。それが「パーチェスファネル」「インフルエンスファネル」「ダブルファネル」です。それぞれ詳しく解説していきます。
1. パーチェスファネル
パーチェスとは英語で「購入・購買」のことを指し、消費行動の流れを図式化したものです。「認知→興味・関心→比較・検討→購入・申込」という段階を経るに従って、だんだん少数に絞り込まれていく様子が、逆三角形の漏斗のような形になることを表しています。
パーチェスファネルは、購買に至るまでの心理プロセスの変化を示した略語、AIDMA(アイドマ)モデルを発展させて生まれた考え方です。マーケティングの世界でファネルというと、まずはこのパーチェスファネルを指すことが多いでしょう。
2. インフルエンスファネル
パーチェスファネルとは逆に、消費者が購入した後の行動を図式化したものがこのインフルエンスファネルです。インターネットやSNSの普及に伴い、だれでも気軽に情報を発信できるようになったことにより、実際に消費者が購入した商品・サービスのレビューなどが多く集まるようになりました。その結果、購入後の消費者が自ら商品の広告塔となりえるようになったのです。
とくにBtoCの業界では、消費者の口コミやレビューが多く集まりやすく、企業の広告などよりも大きな影響を与えやすくなっているため、「消費者にどのようなイメージを持ってもらいたいか」「周りの人に対してどのように紹介してもらえるか」を検討する際に利用する概念です。
3. ダブルファネル
これまでご紹介したパーチェスファネル・インフルエンスファネルを組み合わせ、より大きな効果を生み出そうとする考え方です。
インターネット上にレビューなどが多く登場するようになった結果、消費者が購入を検討する際に参照する情報として、口コミやレビューも入るようになりました。その結果、SNSでの発信や友人・知人への紹介を通して、商品の認知拡大や検討の後押しができるようになるという考え方も広まっていったのです。
ファネル分析の活用方法
ファネル分析の概要が理解できたら、実際に活用して効果的な施策を打っていきましょう。ここからは、ネットショッピングの例を使ってファネル分析の方法を解説していきます。
【分析例】ネットショッピングをファネル分析する
まずは、ネットショッピングで買い物をする際の行動をファネルの各段階に当てはめていきましょう。例えば、「商品一覧を見る」→「商品詳細を見る」→「カートに入れる」→「購入」が一般的なネットショッピングでの購入までの流れになります。各段階から次の段階に進んだ人の数字を集計して、ファネルに書き込んでみましょう。
図のように、商品一覧を100人として、商品詳細が80人、カートに入れるが20人、購入が10人だったならば、「商品詳細までは見たが購入意欲を持てなかったユーザーが多い」ということや、「カートに入れたにも関わらず購入しなかった人が5割もいる」ということが分かります。
分析結果から、改善施策を考える
分析の結果、「もっと商品詳細の情報を魅力的にしよう」「カートに入れたら、最短距離で購入できるようなボタン配置にしよう」という改善施策が立てられます。また、そもそもの商品一覧100人という数字が少ないと感じるのであれば、「より認知量を増やしていくための施策を打つ必要がある」と考えることもできます。
このように、ファネル分析で購買行動を可視化することによって、ゴールとなるアクションに至るまでの課題が明確になり、商品やサービスの売上アップのために適切な施策を打つことができるのです。
【参考】BtoBでの各段階(フェーズ)の目的と施策・コンテンツ例
今回は、ネットショッピングという身近な例を取り上げましたが、ファネルはBtoBマーケティングで有効な分析方法です。各段階から次の段階へ少しでも多くの見込み顧客を遷移させる(ナーチャリングする)ためには、適切なコンテンツを提供する必要があります。
ここでは、各段階ごとの具体的なコンテンツ例を参考としてご紹介します。
- 【認知】
- イベント登壇、オウンドメディア、展示会、レスポンシブ広告、ディスプレイ広告、SNS、外部メディアへの掲載
- 【興味・関心】
- メルマガ、ホワイトペーパー、セミナー
- 【比較・検討】
- Webサイト、サービス詳細資料、導入事例、レビューサイトの口コミ
- 【購入・申込】
- 無料トライアル
ファネルは古い考え方?
最近では、「マーケティングファネルは古い考え方だ」といった意見も聞かれるようになりました。その理由の一つが「消費者行動の多様化」にあります。
ファネル分析は、消費者が購買に至るまでの「認知」から「購入」のフェーズを直線的に進むことを前提とした手法です。しかし、インターネットの普及などによって顧客が収集できる情報量は急増し、複数の商品を比較・検討することが容易になりました。その結果、現在では顧客の購買に至るまでの行動は多様化し、直線的ではなくなってきていることから、ファネル分析は今では通用しない古い考え方という意見が聞かれるのです。
ただし、上述した内容は主にBtoCでの話であり、BtoBにおいてファネルはいまだ有効な価値のある考え方とされています。
例えばBtoCでは、商品の情報収集をしている間に別の商品に興味が出て、当初求めていた商品ではないものを購入することもあります。しかしBtoBでは、商品の選定者や決裁者など関係者が複数おり、企業の予算で購入をするため、個人の興味で商品の変更や購入が決まることはありません。
このように、BtoBの購買フェーズはBtoCに比べてシンプルで直線的であり、マーケティングファネルは今でも有効な考え方であるといえます。
ファネル分析は営業部門でも活用できる
ここまで、マーケティング活動におけるファネル分析について解説してきましたが、ファネル分析は営業部門でも活用することができます。
例えば、マーケティングでは「認知」→「興味関心」→「比較検討」→「購入」としていたフェーズを営業部門では「テレアポ」→「訪問」→「クロージング」→「成約」のように設定し、各フェーズに顧客数を当てはめることで、どの段階に課題があるのか可視化することができるのです。
例えば、訪問からクロージングの段階で購買検討者の割合が下がっている場合、「営業資料の内容をわかりやすくする」「プレゼンスキルを高めるために先輩とロープレを行う」「サービス知識を深め、顧客からの質問に的確に答えられるようにする」などの対策が考えられます。
このように、営業部門でもフェーズごとの課題を明確にすることで、段階ごとに応じた効果的な施策を講じることができるようになります。
ファネルの活用で適切なマーケティング施策を
闇雲に広告配信を強めたり、商品の魅力を長々と語ったりしても、それ相応の結果が出るものではありません。場合によっては何の効果もないものに、一生懸命コストやマンパワーを掛けてしまった、ということもあります。
しかし、しっかりとファネル分析していけば、どの段階の顧客に対してどのような施策を打つべきかが明確になります。さらに、各段階の顧客心理の移り変わりに注目すれば、ターゲットの特性が具体的になり、例えば広告配信時の訴求先をさらに絞っていくこともできるかもしれません。
ファネルを上手に活用してマーケティング活動で成果を出しましょう。