SFAとは?概要や役割、導入時の選定ポイントまで

SFA(Sales Force Automation)ツールとは、「営業支援システム」と呼ばれ営業業務効率化に欠かせないシステムとされています。ここ数年で導入する企業が増えているSFAですが、どのSFAを導入するべきかお悩みの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、SFAの概要やCRMとの違い、さらにツールの選定ポイントまで詳しく解説していきます。
SFAとは
SFAとは、Sales Force Automationの略で、営業プロセスを可視化したり、営業業務を管理したりと、営業パーソンの仕事を効率化することがメインの「営業支援システム」です。営業が商談を開始してから受注に至るまでの進捗状況をデータ化し、管理・分析を行います。
「これまでにどのような営業活動をしたか」、「その際の見込み顧客の反応はどうだったのか」など営業活動履歴の蓄積や共有が可能になることで、次はどのようなアプローチが有効なのか明確になり、業務の効率化や受注率の向上を図ることができます。
また、属人的になりがちだった営業活動をデータとして共有することで、ノウハウシェアや円滑な引継ぎも可能となり、チーム全体としての成果の向上にもつながります。
SFAが誕生した背景
SFAが誕生したのは1993年。米国の「シーベル・システムズ」が始まりです。
営業活動は個人の資産(獲得した名刺やコネクションなど)に依存する部分が多く、属人的になりがちです。また、外出も多く、バックオフィス系の業務に比べて管理しにくいという課題がありました。この営業活動の課題を打破すべく開発されたのがSFAです。この頃のSFAは人員の入れ替わりがあっても営業スキルを下げないことが目的で、営業のマニュアル化が主な機能でした。
その後、SFAでこれまでブラックボックス化していた個々人の案件ごとの進捗を管理したり、アポ率・案件化率といった数字を見える化することによって、業務の漏れや抜けを防いだり、営業活動の標準化だけでなく、もっと効率のよい営業活動をするためのツールとして使われるようになりました。
SFAが日本に上陸した1997年頃は、オンプレミス型が主流で高価であったことや、パソコン自体に慣れていない人も多く、入力に時間がかかってしまうことが理由で普及が進みませんでした。しかし近年ではクラウド化による低価格での提供が実現したことや、ノートパソコンの軽量化やスマホの普及により、広く使われるようになりました。
SFAの主な機能
顧客管理
顧客情報を一元管理する機能です。
顧客の社名や担当者だけでなく、過去の商談履歴なども管理することができます。
案件管理
営業活動における各案件の詳細情報を記録・管理する機能です。
案件ごとの担当者、進捗度、受注見込み確度、売上金額などの情報をまとめて管理し、記録・共有することができます。
プロセス管理
営業担当者が行った営業活動のプロセスを管理するための機能です。
テレアポ数や訪問数、商談回数、成約率などの行動と結果を数値化して管理します。担当者の評価基準としても役立てることができます。
予実管理
予算と実績を管理することができる機能です。
これまでのデータをもとに、売上予測と実績を可視化したり、目標到達度の測定も行うことができます。
スケジュール管理
担当者ごとのスケジュールを管理することで、管理者のマネジメントに役立ちます。また、営業担当者同士で予定を共有することで、より効率的な連携を可能にします。
SFAを導入するメリットとデメリット
SFAの導入により、これまで属人的になりがちだった営業活動を可視化することができます。ここでは、営業活動が可視化されることで得られるメリットについて見ていきましょう。
メリット
課題がすぐに発見できる
これまで口頭や紙ベースで管理されていた担当者ごとの行動や進捗状況をリアルタイムに把握できることで、早い段階でのボルトネックの発見につながります。また、受注確度に合わせた的確なアドバイスやフォローもリアルタイムに行えることも大きなメリットと言えます。
属人化の回避
あらゆる情報を一元管理できることで、これまで担当者ごとに管理されていた情報が、部署内外でも容易に把握することができるようになります。それによって、担当者の不在時や、他部署への問い合わせの際にも安定した顧客対応を行うことができるようになるのです。
また優秀な営業担当者の成功パターンやノウハウの共有もできることから、これまで属人的だった営業活動の標準化を図ることにもつながります。
正確な売上予測
部署全体で情報が可視化・共有され蓄積されていくことで、簡単に集計や分析を行うことができます。営業担当別、商材別、案件別など様々な角度から分析や比較を行うことで、現状を的確に把握し、正確な売上予測や戦略の立案を行うことができます。
デメリット
導入コスト
SFA導入には、初期費用や月額費用などの金銭的コストがかかります。そのほかにも、導入のための業務フローの見直しや、社員がツールを活用するための研修などといった人的コストも必要となるでしょう。
またツールを安定して運用できるようになるには一定の時間がかかることなど、導入の際には、こういったコストについても見込んでおく必要があります。
入力業務の負担
導入したばかりの頃は、慣れない入力業務を負担に感じることもあります。しかしこの入力業務を怠ると、情報が蓄積されずSFAの定着が進まなくなってしまいます。
クラウド型のツールであれば、スマホやタブレットからの入力も可能であるため、移動時間などを活用して入力を行うなど、工夫しながら運用を定着させる必要があります。
「CRM」との違い
SFAと似た機能を持つツールとして、「CRM」があります。ここでは、SFAとの違いを見ていきましょう。
CRMとは
まずは、「CRM」について改めて確認しておきましょう。
CRMとは、カスタマーリレーションシップマネジメントの略で、顧客情報を管理するためのツールです。顧客の情報を収集・分析して顧客満足度の向上につながるアプローチをする仕組みのことで、システムでそれを支援することができます。
CRMでは、すでにサービスや商品の購入の履歴がある既存顧客を対象とし、これまでの購入履歴のほか、要望や問い合わせなど、自社とのコミュニケーション情報をベースに管理し、既存顧客のニーズに沿ったアプローチを図ります。
CRMの主な機能
顧客管理
顧客情報の管理及び分析機能です。
顧客のプロフィールや属性、購買履歴や購入目的の管理のほか、メールや電話の履歴や内容も記録することができます。
メール配信機能
顧客一人ひとりに合わせたマーケティングを行い、ニーズに合わせた施策を行う機能です。
購買金額や購買頻度、直近の購買日など、さまざまな条件で顧客を抽出し、最適なプロモーションを行うことができます。
問い合わせ管理
顧客からのクレームや問い合わせをサポートする機能です。
顧客データベース管理機能を用いて、どの商品に対する問い合わせなのか把握し対応することができます。
キャンペーン管理
セミナーやクロスセルを目的とした活動など、実施したキャンペーン(施策)を管理する機能です。
キャンペーンに参加した顧客を管理することで、各キャンペーンの効果が可視化できるようになるので、それをもとに振り返り・改善をすることでより成果につながるキャンペーンを実施することができます。
SFAとCRMの違い
SFAは営業パーソンの活動に特化しているのに対し、CRMは顧客との関係構築、顧客情報を管理することに重きを置いています。CRMではメール配信やセミナー開催のための機能といった顧客アプローチに関わる機能が多く、SFAではスケジュール管理やプロセス管理など営業の効率化を実現する機能が多いことがわかりますね。
しかし、顧客管理機能や活動履歴など、SFAもCRMも共通して扱う機能もあるため、混同されることが多いようです。そういった背景から、SFA機能を備えたCRM、CRM機能を備えたSFAが誕生し、現在ではCRM/SFAツールとして提供しているサービスもあるのです。
しかし、すべてを兼ね備えたシステムを導入するとなるとそれだけ高額となってしまいます。SFAかCRMを選ぶ上では、どの部署の課題をメインで解決したいのかが大きな軸となります。
SFA導入時の注意点
ここまで「SFA」の概要やメリットについて解説してきました。「CRM」との違いも理解し、いよいよ導入を検討する際の注意点について確認しておきましょう。
導入の目的が明確になっているか
導入する前にはまず、自社の導入目的を明確にしておきましょう。ツール導入自体が目的となってしまっていたり、目的が明確でない段階で導入すると、運用がうまくいかないことが多くあります。
導入時にはSFAを活用してどのような目的を達成したいのか、自社の課題と照らし合わせて明確にしておきましょう。
ツールを活用できる人材の確保ができているか
ツール導入の本来の目的である営業力の強化や効率化を行うためには、ツールを使いこなし、データを分析、活用できる人材の確保が必要です。そのためツール導入時には、社内での運用体制を整備しておきましょう。
多くの業務が発生するツール導入時に、スムーズに運用を行うためにも管理者を設定しておくのが良いでしょう。
担当者が使いやすいツールであるか
多機能なツールが多く、担当者に十分なスキルがないことから、運用前の設定の段階で挫折してしまい、使いこなせなかったということもあります。
自社の状況に合っていないツールは、効率化どころではなく、作業効率も費用対効果も悪くなってしまいます。まずは自社に必要な機能を洗い出し、必要最低限の機能が備わったツールを選択するのが良いでしょう。
SFA選定のポイント
自社の課題や目的を整理したら、それに合うツールを選定していきます。ここでは、様々なツールがある中で自社に最適なツールを選ぶポイントを解説していきます。
自社に必要な機能か
ツールによって備わっている機能は異なります。シンプルなものから高機能なものまで様々で、それにより費用も異なります。まずは導入目的に合わせて必要な機能は何かを洗い出し、課題解決につながる必要最低限の機能があるツールを選び、スモールスタートするのが良いでしょう。
セキュリティ体制は問題ないか
顧客情報も管理するSFAでは、セキュリティ体制についても必ず確認をしておきましょう。大切な顧客情報が漏洩するようなことがあっては、企業として大きな損失につながる恐れもあります。
サポート体制は十分か
導入後のサポート体制についても確認しておきましょう。ツールを導入した後も、定期的なサポートや、問題があった場合に即時対応してもらえるかなど、トラブルがあったときにサポートしてもらえる窓口の有無なども重要な選定ポイントとなります。
他ツールとの連携はできるか
SFAには、CRMやMAと連携できるものがあります。自社で他に導入しているツールがある場合には、そのツールとの連携の可否なども確認しておきましょう。
また連携することで、ツールとしての効果を最大限に発揮できることもあるため、今後導入するかもしれないツールなども想定し、選定を進めていきしょう。
「MA」との連携で効果的なSFA導入へ
MAツールとは、マーケティング活動を自動化するためのツールです。見込み顧客の獲得、育成、抽出までの一連のマーケティング施策を自動化し、業務の効率化を図ることができます。
SFAが営業部門で活用されるツールであるのに対し、MAは主にマーケティング部門で活用されるツールとなります。この2つのツールを連携して使用することで、顧客情報を部門間を通して一元管理することができるのです。
これによりマーケティング部門がリードナーチャリングを行い、見込み確度の高まったリードを、MAから連携しているSFAを介して営業担当者に引き継ぐことができます。MAとSFAを連携することでタイムリーな情報共有が可能となり、より効率的な営業活動が行えるようになるのです。
まとめ
SFAの概要からツール選定のポイントまで解説してきました。自社の課題や目的によって、必要なツールは変わってきます。導入を進めるためには、改めて自社の課題を洗い出し、その課題を解決してくれるツールを選定することが重要となります。