営業スキルとは?成果を上げる10のスキルと伸ばし方

営業で成果を上げ続けるためには、単なる話術や経験だけでなく、論理的思考や課題発見力、顧客との信頼構築といった多様なスキルが欠かせません。しかし、日々の営業活動の中で「自分のスキルがどの程度なのか」「チームとしてどこを強化すべきか」を把握できていないケースも多いのではないでしょうか。
この記事では、営業職に求められる代表的なスキルを整理し、それらを効果的に伸ばす方法と組織全体で底上げする仕組みづくりをわかりやすく解説します。
- ▼この記事でわかること
- ・営業の仕事内容
- ・営業に求められる代表的なスキル10選
- ・営業スキルを効果的に伸ばす方法
営業の仕事内容
営業とは、自社の商品やサービスを顧客に提案し、契約や購入につなげる仕事です。単に「売る」ことが目的ではなく、顧客の課題を理解し、最適な解決策を提案することが営業の本質といえます。
営業の主な業務には、顧客や市場の情報収集、商談やプレゼンテーションの実施、見積もりや提案書の作成、契約手続き、そしてアフターフォローまでが含まれます。これらの業務を通じて、顧客との信頼関係を築き、継続的な取引につなげることが営業の重要な役割です。
また、近年の営業活動は単なる訪問営業にとどまらず、オンライン商談やデジタルツールを活用した顧客管理、マーケティング部門との連携など、業務の幅が広がっています。営業は企業の売上を支える中心的な存在であり、顧客理解力や提案力、課題解決力など、さまざまなスキルが求められる職種です。
営業に求められる主要スキル3選
前述したように、営業担当の日々の活動には、商談以外にもさまざまな仕事があります。これらの活動はそれぞれ必要な「スキル」が異なります。その中でも、特に営業に求められるスキルは何なのか、転職サイト「リクナビNEXT」が実施したアンケートの結果をもとに見ていきましょう。
1.課題発見力
一つ目は現状を分析し、課題を明らかにする「課題発見力」です。営業といえば「コミュニケーション」というイメージを持っている方にとっては意外な結果かもしれません。しかし、営業という仕事において、顧客が抱える課題を発見するスキルはコミュニケーション能力と密接に関連しています。
ヒアリングをしても、そこで終わりになってしまっては、商品やサービス提案において苦戦を強いられます。ヒアリングした情報をもとに、顧客がまだ気づいていない潜在的な課題を発見し、その課題を解決するための商品・サービスを提案することで、はじめて「この人は信頼できる」という認識を持ってもらうことができるのです。
さらに、この課題発見力は顧客の課題だけでなく、自分や自社の営業活動の課題を発見することにも役立つので、自身の成長に大きな影響を与えてくれるでしょう。
◆課題発見力を身につける方法
- ・常に改善できることがないか課題を探す
- 課題発見のためには、当事者意識をもって常に自ら課題を探しに行く姿勢が重要です。また、この課題発見力は一朝一夕で身につけられるスキルではなく、商談の場だけで身につけようとしても経験がどうしても足りません。
そのため、商談以外の場面でも課題について考え続けることが重要になります。通常見逃してしまいがちな小さなことにも、まずは目を光らせる習慣を作ることからはじめてみてください。 - ・新聞やニュースを日々チェックして情報収集をしながら整理する
- 課題の発見には、発想力や直感力も大切ですが、そのもとになる知識を日ごろからインプットしておくことが重要です。種がないところから芽が出ないのと同じように、自分が持っている知識の幅が狭いと、それだけ新しい課題を発見することも難しくなります。
日ごろから新聞やニュースなど最新の情報を仕入れ、整理しておくことで、自分の課題発見の引き出しを増やしておきましょう。
2.ヒアリング力
ヒアリング力とは、相手が話しやすい場づくりを行い、適切な質問によってお客様が抱えているニーズを聞き出すスキルです。
ヒアリング力は、対人コミュニケーション能力の一つです。営業における商談の場では自分が話す時間よりも相手の話を聞く時間のほうが長く、自社の商品・サービスを適切に説明するよりも、「相手のニーズを聞き出す」ほうが難しいといえます。
商談という限られた時間の中で、相手がおしゃべりな人でも無口な人でも提案に結びつく情報を聞き出すヒアリング力は営業担当にとって必須スキルであることは言うまでもありません。
◆ヒアリング力を身につける方法
- ・事前準備をしっかりと行う
- 孫氏の言葉に「彼を知り己を知れば百戦危うからず。彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず危うし」という言葉があります。これをビジネスの営業の場面に当てはめて考えると、「自社の商品・サービスの特徴を知らず、さらに顧客の状況も知らなければ商談はうまくいかない。
しかし、自社の商品・サービスの特徴をきちんと把握していれば、うまくいくケースが出てくる。さらに、顧客の業界情報や現在力を入れている取り組みを調べ、抱えている課題の仮説を立てていれば、毎回うまくいく可能性が高くなる」という風に捉えられます。
何も準備をせずに商談に臨むのではなく、事前準備を行うことで商談におけるヒアリングを少しでも成功に近づけましょう。 - ・5W1Hの要素を聞き逃さない
- ヒアリングの基本は「5W1H」です。「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」を理解しながらお客様の話を聞き、課題の仮説を立てていきます。
5W1Hの中でも特に深掘りすべき項目は「なぜ(Why)」です。理由を遡っていくことで、顧客の本質的な課題に近づくことができます。しかし「なぜ(Why)」だけを繰り返すと、気づいたら質問が尋問になってしまい、相手が不快に感じてしまうことも少なくないため、注意が必要です。きちんと相手の感情に配慮した聞き方を心がけましょう。
3.対人コミュニケーション能力
コミュニケーション能力と一口に言っても話す力や聞く力、交渉力などさまざまな能力が複合的に絡み合っています。具体的には、「相手の話の意図をきちんと汲み取れている」「相手に興味・関心を持っている」「相手に伝わりやすく話している」などが求められるスキルとして挙げられます。
しかし、コミュニケーションができているかどうかは数値で測れるものではありません。コミュニケーションをとった相手が「この人に話してよかった、信頼できる、また相談したい」と思わせることができていれば、コミュニケーション能力が高いと言えます。
◆対人コミュニケーション能力を身につける方法
- ・バランスの良い会話を心掛ける
- 「ついつい自分が話し過ぎていないか」「相手は本音で話してくれているか」をまずは振り返ってみましょう。コミュニケーションは、相手と自分の「話す(伝える)」と「聞く」のバランスが取れている状態が理想です。
もしイメージが湧かない方は、商談の最初から最後まで自分がどんな質問をして、どんな話をしているかを分単位で書き出してみると、現状を理解しやすくなります。 それでも上手くいかない方は、一度上司や先輩社員に同行してもらい、客観的なフィードバックをもらうのが効果的です。 - ・できる人を真似する
- 上司や先輩社員の中に、コミュニケーションスキルの高い方がいませんか?その人がお客様にどのような話を、どのタイミングで、どれくらいの時間をかけて行っているかをしっかりと観察してみましょう。そして、自分と大きく異なっているところから真似をしてみてください。
出典:営業職1500人に聞いた「16分野別」絶対不可欠スキル/リクナビNEXT[転職サイト]
営業で必要とされるその他のスキル
営業で求められるスキルの上位3つをご紹介しましたが、実際の営業活動ではそれ以外にも多様なスキルが求められます。ここでは、営業成果を支える代表的なスキルを紹介します。
ロジカルシンキング
ロジカルシンキングとは「論理的思考力」のことです。物事を道筋立てて情報を整理し考えるスキルで、営業担当者だけでなく、ビジネスマンにとって重要なスキルの一つです。
営業活動において論理的に根拠を持って話すことで説得力が増し、商談において相手を納得させやすくなります。
タイムマネジメント
タイムマネジメントとは「時間管理能力」のことです。営業では、1日に複数の商談を行うことも多く、限られた時間を有効的に使うスケジュール管理が求められます。
営業担当者は他にも、資料の作成や日報入力など多くの業務に追われており、これらの業務を限られた時間の中で効率的に行うためにも、タイムマネジメント能力は必要なスキルといえるでしょう。
マーケティング能力
効率的な営業活動を行うためにも身につけておきたいのが、マーケティング能力です。マーケティングの「商品を売るためにはどのような訴求を行えばいいか」という観点は営業活動にも生かすことができます。
たとえば、マーケティングに使われるフレームワークは自社の分析や、顧客分析を行えるものが多くあります。それらを活用することで、より営業確度の高い見込み顧客へのアプローチを行えるなど営業戦略の立案にも活かすことができるのです。
交渉力
営業には、交渉力も求められます。商談の際、価格や納期など顧客からの要望に全て応えてしまうと、自社にとって不利益となってしまうこともあります。
そこで、顧客の要望を満たすと同時に、自社の不利益とならないよう、お互いの落としどころを見つけ交渉を行う力が求められるのです。
クロージング能力
営業活動の中でも重要な、受注を左右するのがクロージング能力です。購買意欲が高まっていても、なかなか決断できない顧客に対して、購入に踏み切れない障壁となっている不安を解消したり、追加の提案を行うなどし、購入の後押しをすることで、受注へとつなげます。
クロージング能力があれば、押し売りではなく顧客に納得して購入してもらうための適切なアプローチを行うことができるのです。
トラブル対応力
営業は、顧客の状況に合わせて臨機応変に対応する力も必要です。また、トラブルが発生した際には、誠心誠意をもって真摯に対応することで顧客からの信頼を得ることができます。表面上の謝罪ではなく、誠意ある対応とその後の最適な解決策を導き出すことのできる対応力が求められます。
デジタルスキル
近年はCRMやSFA、オンライン商談ツールなど、営業活動にデジタル技術が欠かせません。ツールを使いこなすことで業務効率が上がり、顧客管理やデータ分析によって提案の質も高められます。ITリテラシーの高さは、これからの営業パーソンの大きな武器になります。
営業スキルを効果的に伸ばす4つの方法
ここまで、営業で必要とされるさまざまなスキルをご紹介してきましたが、これらのスキルを実際に身につけるのはどうしたらよいでしょうか。ここでは、営業スキルを身につけるために取り組むべきことを見ていきましょう。
1.自己分析で強み・弱みを把握する
スキルアップのためには、日々の営業活動を振り返り、自身の改善点や反省点を洗い出すことが大切です。
たとえば、「アポ獲得や提案まではうまくいっているものの、商談時のクロージングで成約に至らない」や「そもそもアポが獲得できていない」など、自身が苦手とするプロセスを洗い出すことで、今後の改善策を具体的に講じることができます。
反対に、成果やよかった点を洗い出すことで自身のモチベーションを高めることにつながるでしょう。客観的に自己分析を行うことで、前向きに今取り組むべきことを見つけ、スキルアップにつなげていきましょう。
2.目標設定とPDCAの実践する
自身が達成すべき目標を明確に設定することで、取るべき行動を具体的に定めることが習慣化できます。結果として、日々効率的な営業活動を行うことにつながるでしょう。
目標が達成できているかどうか判断するためにも、成果を数値で判断できる目標設定を行いましょう。また、受注件数などの成果目標のみならず、成果を達成すべきために行う訪問数や、架電数などの行動量を目標とすることも重要です。
3.学習と実践を繰り返す
スキルアップのためには、日々の学習が欠かせません。営業研修や、セミナーへの参加、先輩や上司の商談への同行など学習できる機会には積極的に参加しましょう。自分以外の営業スタイルを知ることで、自身の営業で見直すべき点を発見することにもつながります。
4.フィードバックを得る環境をつくる
自分一人で改善点を見つけるのは限界があります。上司や同僚、時には顧客からのフィードバックを積極的に求めましょう。他者の視点を取り入れることで、自分では気づけない癖や課題を発見できます。
特に上司との定期的な振り返り面談を設けると、客観的なアドバイスを得やすく、成長スピードを早めることができます。「学び続ける姿勢」と「周囲からのフィードバック」を両立させることが、営業スキルを長期的に伸ばすための重要なポイントです。
組織として営業スキルを底上げする重要性
営業スキルの向上は、個人の努力だけでなく、組織として体系的に取り組むことが重要です。個々の営業担当者がスキルを磨いても、部門全体で共有・活用されなければ、組織としての営業力はなかなか伸びません。
たとえば、トップセールスの成功事例や提案ノウハウを共有することで、他のメンバーのスキル向上にもつながります。また、ロールプレイ研修やフィードバック面談などを定期的に実施することで、現場の知見を組織全体に循環させることができます。
さらに、営業支援ツール(SFA・CRMなど)を活用すれば、データに基づいた営業活動が可能になります。属人的な営業スタイルから脱却し、チーム全体で成果を再現できる体制を整えることが、組織力強化の鍵です。
営業スキルの底上げは、単に個々の成果を高めるだけでなく、企業全体の売上拡大・顧客満足度向上・人材育成の効率化にも直結します。継続的な教育と仕組みづくりを通して、個人が成長し、チームが強くなる営業組織を目指しましょう。
さいごに
営業に求められるスキルと、身につけるときのポイントはご理解いただけましたでしょうか。もちろんすべてのスキルを身につけることが理想ですが、まずは自身の営業スキルの現状を理解することが大切です。優先順位をつけて、自分のできるところからコツコツと努力を積み重ねていきましょう。
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