これだけは押さえる!訪問前に営業がすべき事前準備のフレームワーク

商談は、お客様の貴重なお時間を頂く機会です。その時間を有意義にするためにも、しっかりと準備をして訪問することが必要です。以前、当ブログの「初回訪問で必要な事前準備チェックシート」という記事で、事前準備チェックシートをご紹介したことがありますが、実際に運用をしてみると以下のような問題が生じてきました。
- ・チェックシートを埋めはするが、単純作業と化して頭に入っていない
- ・調べたことの繋がりがないまま商談の準備を終えてしまう
これは営業経験のない新人が特に陥りがちな問題です。そこで今回は、以前紹介した事前準備チェックシートでの課題を基に、これだけ抑えておけばまずはOK!というシンプルな事前準備のフレームワークを作成したのでご紹介します。
商談の事前準備が必要な理由
商談の事前準備とは、スムーズな商談を行うための情報収集や資料作りなどです。成約率を高めるためには、あらかじめ相手企業や商談相手の情報収集を行い、課題やニーズを把握し、自社の商品やサービスで解決できることを提示できるようにしておくことが重要です。
このような事前準備をしておくことで、商談当日も落ち着いて、スムーズに会話を進めることができるでしょう。
また売り込みではなく、顧客視点に立った商談を行うことで見込み顧客から信頼を得ることにもつながります。このように商談では、顧客との信頼関係の構築にも深く関わってくるため、事前準備が欠かせないのです。
営業フレームワークの重要性
商談準備の際には、営業フレームワークの活用が効果的です。フレームワークを活用することで商談の成果を高める事前準備ができるようになるでしょう。
例えば、せっかく事前準備をして挑んだ商談なのに、必要な情報が収集できていなかったり、抜け漏れがあったということもあります。これは、営業担当者自身の感覚で準備を行うことで起きてしまい、とくに経験の浅い新人営業にとって、感覚での準備は非常に難しいでしょう。
そこでフレームワークを活用すると、必要な情報を抜け漏れなく収集することができ、効果的な事前準備を行うことができます。しかしここで重要となるのが、適切なフレームワークを使えているかどうかです。商談相手や状況に応じて効果的なフレームワークが異なるのです。
商談準備に使えるフレームワーク
ここでは、商談準備で活用できるフレームワークを3つご紹介します。
- ・3C分析
- 3C分析とは、Customer(顧客)・Competitor(競合他社)・Company(自社)の3つの要素から競合他社や市場環境を分析するフレームワークです。
分析のポイントを3つに絞ることで比較的少ない情報量から分析を行うことが可能となります。企業の置かれている状況を客観的に見た成功要因や課題を発見し、自社が今取り組むべきことを明確にすることができます。 - ・SWOT分析
- SWOT分析とは、市場環境を分析するフレームワークです。内部環境に当たる強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)と、外部環境に当たる機会(Opportunities)・脅威(Threats)の4つの頭文字から構成されています。
市場分析において注目しがちな強みだけでなく、課題となる弱みなど、さまざまな角度から客観的に自社を判断することができ、提案の際に、自社が取るべき立ち位置や戦略を明確にできます。 - ・BANT分析
- BANTとは、Budget(予算)・Authority(決定権)・Needs(必要性)・Timeframe(導入時期)の4つの頭文字を取ったものです。
商談時のヒアリング項目としてこれらの情報を確認しておくことで、「商談成立の可能性がどれくらいなのか」を把握しやすくなります。商談の事前準備の段階では、情報整理に効果的です。
新しいフレームワークの採用
事前準備の内容をもっと「分かりやすくシンプルに」、「本質的な準備をしてきてもらう」ものにするためにはどうすればいいかを悩んだ末、以下のようなフレームワークを作成しました。
IT系BtoB企業との商談がメイン(弊社)の場合
- ①「なにを?」売っているのか
- お客様が売っている製品・サービスのことを指します。複数の製品・サービスを扱っている場合には、それぞれの概要やメイン商材について把握しておくこともこちらに含まれます。
- ②「どこに?」対して売っているのか
- お客様の製品・サービスのターゲット顧客層を指します。どんな業種の、どれくらいの規模の企業をターゲットとしているか(あるいはしていそうか)について把握することです。
- ③どうやって?
- お客様の営業手法、販促・マーケティング活動のことを指します。
- ④どんな提案をする?
- 提案したい製品・サービスを通し、お客様にどんなメリットがあるのかを説明できるようになることを指します。
- ⑤お会いするきっかけ/お客様のミッション
- これは言葉の意味の通りです。どこで名刺交換をしたのか、社内で昔誰が会っていたのか、お客様は社内でどんな仕事をしていて、どんなお立場なのか、事前に把握しておくことでアイスブレイクや提案の方向付けの参考になります。
事前準備ができているかがわかるチェック方法
実際に準備ができているかどうかのチェックは、上述したフレームワーク①〜⑤の通りに、実際に説明をしてみることです。
- (例)
- お客様の状況は○○なので
- →自社の製品・サービスが
- →お客様の[売上を上げるorコストを下げるorリスクを下げる]ことに役立つと思います
- →お客様とは展示会で名刺交換をして、3年前に社内の●●さんが営業をしていました
これがスラスラと言えるようであれば、ある程度事前準備はできていると思って問題はないと言えるでしょう。
このときのポイントが「会話の中でスラスラと言えるようになる」ことです。事前に調べてチェックシートを埋めるなり、ノートに残すなりするだけでは、事前準備ができているとは言えません。
特に新人営業パーソンは「わかっているけど話せない」「上手く伝えられない」ということが多々あります。そこでこの段階で話し言葉でも伝わるレベルまで準備しておくことが大切です。
フレームワークを定着させるコツ
これは事前準備のフレームワークに限った話ではありませんが、フレームワークを定着させるには同じ言葉を同じ認識のもと、繰り返し使用してコミュニケーションを取ることが重要です。
以前ご紹介した事前準備のチェックシートがなかなか運用に乗らなかった理由としては、私自身がメンバーとコミュニケーションを取る際に「フレームワーク通りの質問を投げかけなかった」という点にもあったと思います。そのため、普段のコミュニケーションの中でもフレームワーク通りの質問を投げかけるように努めました。
- (例)
- 「明日行く会社の"なにを" "どこに" "どうやって"を教えて」
- 「どんな提案をするの?」
- 「お会いするきっかけは?」
- 「お客様のミッションは?」
これをしばらく続けていくと、「事前準備を共有して」の一言でも"なにを" "どこに" "どうやって"の通りに返ってくるようになり、事前準備という仕事に対して共通の認識を持って取り組んでもらえるようになりました。
商談ロープレで事前準備を定着させよう!
事前準備のチェックに効果的なのが、商談ロープレです。商談ロープレでは、自分以外の人にクライアント役をやってもらい、商談の練習をします。
よりリアルな商談ロープレにするためには、顧客像の設定が必要になりますよね。その際に、事前準備のフレームワークが必須となります。どんなサービスを取り扱っていて、どんなミッションを持っている人を演じてほしいのか相手に伝えられないと、定型のロープレになってしまい本番の空気感は掴めません。また、実際に人を前にすることで、商談時にどんなことを聞けばよいのかチェックすることができます。
また商談ロープレの際に、想定外の質問に対してうまく答えられなくても、ロープレは中断せず、まずは実際の商談同様、クロージングまでもっていく練習をしましょう。
さいごに
今回紹介したフレームワークは、業界が変われば少しずつ内容が変わってくると思いますが、BtoBであれば大きくハズレてはいない項目だと思います。
もし、事前準備のマネジメントに難しさを感じたら、一度試してみてはいかがでしょうか。
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