【図解】BtoBの購買プロセスとは?特徴やBtoCの違いを解説
BtoB企業では、以前に比べターゲット顧客に商品・サービスを購入してもらうことが非常に難しくなってきています。これは市場の変化やテクノロジーの大きな発展により顧客の購買プロセスが大きく変化しているからです。
顧客企業も市場の変化に合わせて、購買対象商品の品質や価格をより吟味するようになり、購買に至るプロセスの登場人物も各フェーズに合わせて、より複雑になってきました。そのため、BtoB企業が商品・サービスを買ってもらうためには、まず顧客の購買プロセスを考えることがとても重要になります。
今回の記事では、BtoBの取引においての購買プロセスについて考えてみましょう。
BtoBの特徴とBtoCとの違い
BtoBの購買プロセスについて知るために、まずはBtoBの特長やBtoCとの違いについて把握しておきましょう。
BtoBの特徴
1.購買までの関係者が多い
BtoBの場合、商品の購入には担当者と決裁者が異なる場合がほとんどです。担当者が商品についてリサーチし、決裁者が認可をして初めて購入が決定されます。また、購入金額が大きい場合には、社内の役員稟議を通す必要があることも多く、さらに関係者が多くなります。
一方BtoCの場合、担当者と決裁者が同じです。個人の買い物なので、どんな商品を選ぶのか、また実際に購入するのかも自分で決められます。
2.検討期間が長い
BtoBは担当者と決裁者が異なるため、他部門や役職者を巻き込んで検討したうえ、最終的には社内稟議を通す必要があり、成約までには数ヶ月〜1年かかることもあります。
一方のBtoCは、車や家などの一部高額商品を除き、基本的には一人で決められるため、店頭で見たり、ネット広告で見かけたから買うといった行動になります。購買まで一瞬〜数日と検討期間が短いのです。
3.論理的かつ合理的な意思決定
BtoBで購入に至るには、「納期の明確さ」や「費用対効果の高さ」、「品質」などを総合的に見て購入の判断が下されます。このようにBtoBでは購入が論理的かつ合理的であることが求められます。
一方BtoCでは、「CMで見たから」、「好きなタレントが使っていたから」などの直感的な心理により購入が決定されることが多くあります。このようにBtoBとBtoCでは購入の意思決定にも大きな違いがあるといえます。
BtoCとの違い
さらにBtoCとの違いを図で確認しておきましょう。
このようにBtoBはBtoCと比べ、購買に至るまでが複雑で難易度が高いといえるでしょう。そこでBtoB企業では、まず顧客の購買プロセスを考えることがとても重要になります。
BtoB企業の購買プロセスとは?
それでは、顧客企業が商品・サービスの購入に至るまでのフローを考えてみましょう。BtoB企業の購買プロセスは下記の図のようにモデル化されています。
BtoBの購買プロセスは大きく分けて「知る」、「検討する」、「選ぶ」という3つの段階があります。それぞれの段階はそこからさらに3つのフェーズに細分化されています。
フェーズ1:「知る」
ありのままの状態から何かのきっかけで現状の問題を意識し、
- 「その問題はどれほど深刻なのか」
- 「同じ問題を抱えている企業はいるかどうか」
- 「その解決策とは何か」
を把握するために、情報収集・研究フェーズに入ります。ここまでは具体的な商品・サービスに対して、顧客のニーズはまだ潜在的です。
フェーズ2:「検討する」
情報収集の結果、問題の原因と解決策がある程度明確になってきました。現状を改善するために、「何をすべきか」「どのような施策を実施すべきか」という課題を整理する必要があります。
さらに、自社のリソースを参考に、要件を定義することができます。この要件が明確になると、その要件に合ったソリューションを提供している企業を探し、比較検討のフェーズに入ります。ここからは顧客のニーズが顕在化していきます。
フェーズ3:「選ぶ」
比較検討のフェーズを終えて選択肢を絞ることができました。これからは実際に営業担当者などの話を聞き、商品・サービスの理解をより深めます。案件を交渉するフェーズでは価格や機能の豊かさ、サポート体制等が勝負ポイントです。 顧客は、最終的に自社の問題を解決するために一番適切なものを選択し、導入します。
このように、顧客の課題や問題意識は無関心の状態から始まり、各プロセスを辿って商品の検討フェーズに進んでいきます。ターゲットとする顧客が現在どの段階にいるのかを理解しないと営業活動、マーケティング活動の成果に結びつけることは難しくなるといえるでしょう。
BtoBの購買プロセスを踏まえたマーケティング施策設計の手順
BtoBの購買フローを把握したうえで、ここからはマーケティング施策の設計方法についてみていきましょう。
1.購買プロセスの登場人物は誰か考える
BtoB市場はBtoCと比べ商品・サービスの購入に至るまでに様々な登場人物が出てきます。
例えばIT商材の検討の場合、情報システム担当者が検討をしていても、最終的には部門長や役員の意思決定も必要であり、セキュリティや契約書関連は企業の法務チェックも入るなど、購買に至るまでの時間やプロセスが非常に複雑です。
各購買プロセスの中で自社の商品に対して、顧客企業のどんな登場人物がどのフェーズで出てくるか認識をした上で、営業・マーケティング活動を考えることが必要です。
2.各フェーズの登場人物はどのようなことを考えているのか
購買プロセスに対して各登場人物を考えたあとはそれぞれのフェーズでどんな課題やニーズを感じているか、そしてどんな情報を求めているかを考えていきます。
同じ登場人物でも各フェーズによって必要となる情報やコミュニケーションも変わってきますし、つぎのフェーズへあげるためのハードルが出てきます。また同じフェーズで登場する人物であってもその人物の役割や立場によっても必要となる情報が違います。
もちろんこの購買プロセスは企業規模、業種などによっても顧客企業の状況は違いますので自社のターゲット顧客の状況や受注実績などの情報をもとに考えていくことが重要になってきます。
3.購買プロセスに合わせた営業・マーケティング活動を行う
ここまで顧客の購買プロセスを考えてきましたが、ここからは、それぞれのフェーズに合わせて自社の営業やマーケティング担当がどんな活動を行えば良いのか、考えていきたいと思います。
各フェーズによって営業が行うテレアポやメールマーケティングなどのPUSH型施策が必要な場合もあれば、Webサイトに集客をして様々なコンテンツを提供しながら、資料請求やデモ依頼につなげていくPULL型の施策も必要です。
特にWebコンテンツに関しては、担当者の役割やフェーズによって必要なコンテンツも違ってきますので、アクセス解析やマーケティングオートメーションツールなどをうまく活用して、どの顧客がどんなコンテンツを閲覧しているかを確認し、その興味や関心・フェーズに合わせて次の施策に結びつける活動も重要です。
常に「誰が」「どのプロセスの」「どの立場の人なのか」購買プロセスに関与する人たちの役割を理解した上で、「今回のコンテンツは担当者向けに」や「今回は決裁者向けに」というように、ターゲットを決めた上でメッセージを伝えた方がより相手の興味を引き出せます。
誰に向けたメッセージかを熟慮した上で、オンライン、オフラインからの全方位的なアプローチをすることで、相手との関係性を構築していくことができます。
最後に
企業活動をおこなう上では、自社の売上や事業拡大のために、どんなマーケティング施策を行い営業活動につなげていくか、つまり「売り方」中心の考え方になりがちです。
しかし、本記事でご紹介したように、顧客企業の「買い方」を中心に考えたマーケティング・営業活動に変えていくと、中長期的に顧客と良い関係が築け、以前よりも営業の生産性を高められ、自社の事業拡大につながるのではないでしょうか。
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