マーケットインとプロダクトアウトとは?両者の違いや、メリットとデメリットを解説!
マーケットインとプロダクトアウトは、どちらも商品開発する際に使われるマーケティングの基本概念です。対比的な概念として捉えられることも多い両者について今回は、それぞれの概念や、メリット・デメリットについて詳しくご紹介します。
マーケットインとプロダクトアウトの違い
まずは、マーケットインとプロダクトアウトとは何か、解説していきます。
マーケットインとは
マーケットインは、顧客の意見やニーズについて調査し、それに基づいて製品開発を行うことです。自社が売りたいものではなく、顧客が求めているものを作ることで顧客満足度を高めることを目的とした概念となります。
プロダクトアウトとは
プロダクトアウトは、企業が作りたいものや得意とする技術を基準に製品開発を行うことです。企業側の考えが反映された製品を作ってから販売方法を考えるプロダクトアウトは、マーケットインとは真逆の概念とされています。
マーケットインとプロダクトアウトの違いは?
マーケットインが顧客のニーズに沿うことで「売れるものを作る」といった考え方に対して、プロダクトアウトは、「企業の作りたいものを作り販売する」ことが両者の大きな違いです。このことから、プロダクトアウトは昨今のマーケティングの考え方に沿わない古い考え方と言われることもあります。
しかし、マーケットインが顕在ニーズに応える概念であるのに対して、プロダクトアウトは顧客がまだ気づいていない潜在ニーズを掘り起こす概念であるとも考えられます。
両者のメリットとデメリット
ここでは、マーケットインとプロダクトアウトそれぞれのメリットとデメリットについて解説していきます。
マーケットインのメリット
メリット①顧客の要望に応えれられる
マーケットインは、あらかじめターゲットとなる顧客のニーズをしっかりと調査することで、顧客の要望に応えることのできる製品を開発できます。その結果、顧客は自社に対して信頼感を持ち、顧客満足度の向上へとつながります。
メリット②売上予測が立てやすい
ニーズに沿った製品開発を行い販売することで、売上予測を立てやすいこともメリットの1つです。また事前の調査により、ターゲット層が把握できていることから、最適なマーケティングを行うことができます。
メリット➂開発目標が設定しやすい
マーケットインでは、顧客のニーズが明確なことから、開発目標もそれに沿って設定することができます。明確な目標が立てられることで、製品開発がスムーズに進められることもメリットの1つです。
マーケットインのデメリット
デメリット①大ヒットの期待は薄い
マーケットインでは、ターゲットが明確になっており、顧客の求めるものを提供することから、ある程度の売上は期待できるでしょう。
しかし、斬新さや革新的なものとして大ヒットする可能性は低いことがデメリットともいえます。
デメリット②競合他社が増える可能性がある
他社が似た商品を開発・提供することで、自社の競合となるリスクがあります。さらに、自社よりも優れた製品が開発されれば、自社の売上に影響することも考えられます。これは市場のニーズがあり、独自の技術を必要とせず開発できる製品の場合には想定しておく必要があるでしょう。
デメリット➂企業イメージとのズレも
市場ニーズを満たすことで、新規顧客の獲得ができる一方、企業イメージとのズレが生じてしまい、これまでの既存顧客離れが起きることも想定しておく必要があります。顧客が求めるものを優先した結果であることから、仕方ないことではありますが、マーケットインのデメリットの1つといえるでしょう。
プロダクトアウトのメリット
メリット①自社の強みを発揮できる
企業が作りたいものを製品化するプロダクトアウトでは、他社が真似できない技術や自社の強みを活かすことで、他社製品との差別化を図ることができます。また他社との差別化を図ることで、製品そのものが企業としてのイメージとして、自社のブランディングにつながることもメリットの1つです。
メリット②爆発的にヒットする可能性がある
プロダクトアウトの考えのもと開発する製品は、これまで市場に存在しなかったものを開発することもあります。 市場に存在しなかった製品の売上予測を立てることは難しいものの、新しい製品として多くの人の目に留まれば、爆発的なヒットとなる可能性を秘めています。
メリット➂コストを削減できる
企業がすでに持っている技術力や、強みを活かして製品開発を行うプロダクトアウトでは、市場調査にかかる人的コストや時間的コストを軽減することができます。
プロダクトアウトのデメリット
デメリット①ニーズに合わず売れないこともある
企業の作りたいものを製品化するプロダクトアウトは、顧客のニーズとマッチしなかった場合、売上が伸びないことも予想されます。その際、製品開発にかかるコストの回収が難しく、企業の損失が大きいことがデメリットといえるでしょう。
デメリット②売れなかった場合の改善コストは膨大になる
製品が売れなかった場合、製品に問題があるのか、販売方法に問題があるのか、売れない原因について分析、改善を行う必要があります。
しかし、この分析や改善には多くの人的コストや、時間的コストが必要となり、デメリットといえるでしょう。
まとめ:自社を選んでもらう為の手段として優劣はない
マーケットインが顕在ニーズに応える概念であるのに対して、プロダクトアウトは、顧客がまだ気づいていない潜在ニーズを掘り起こす概念であるとお伝えしました。
どちらも顧客のニーズを鑑みた考え方であり、明確な優劣がある訳ではありません。
マーケティングを行う上で最も重要なことは、「自社商品を選んでもらうこと」です。マーケットイン、プロダクトアウトはともに大切な考え方ですが、いずれも自社を選んでもらうための手段でしかないため、「選ばれるための製品開発」をすることが重要となります。