プレイングマネージャーとは?求められる仕事やその悩み

最近、営業担当と営業管理職の中間ポジションである「プレイング(営業)マネージャー」が増えていますが、あなたは、「営業担当の仕事」と「プレイングマネージャーの仕事」との違いを分かっていますか?
営業担当として成果を出し、上司にも認められていると、プレイングマネージャーへ昇進する可能性があるかもしれません。突然プレイングマネージャーになって困らないためにも、今のうちからプレイングマネージャーの仕事内容を把握しておきましょう。
今回は、仕事内容と合わせて、プレイングマネージャーになった先輩の悩みに対して、会社から求められていること、そして悩みに対して今からできる対策を紹介します。
プレイングマネージャーとは?
プレイングマネージャーとは、その名の通り「プレイヤー(現場の営業担当者)」と「マネージャー(メンバーのマネジメント業務)」を並行して行う役割のことを指します。その業務内容は、大きく3種類に分けられます。
部下の進捗把握・営業指導
部下が抱える営業案件の進捗を把握したり、ロープレや営業同行など部下の営業を指導したりと、「一人で売れるように部下を育て」「チームでの目標達成に向かわせる」ことがプレイングマネージャーの役割です。
新入社員からベテランのプレーヤーまで、さまざまな部下の管理をすることになります。一般的なマネージャーに求められるマネジメント能力は、この業務で必要になります。
上司への報告、予算管理など
上司への全体進捗の報告や予算管理など、社内調整も大切な仕事の一つです。部下を含めたチーム全体の動きや成果を踏まえて、事業部の目標や進捗管理を行います。資料にまとめたり、資料を元に全体会議で報告したりすることも仕事内容に含まれます。
自身の営業活動
営業担当としてお客様と商談するなど、プレイングマネージャー自身の営業活動も仕事の一つです。プレーヤーとして活躍していた頃よりも単純に活動量が減るため、目標達成が難しくなってしまうこともありますが、部下の面倒を見ながら自身の成果も追い求めることも重要です。
「プレイングマネージャー」誕生の背景
プレイングマネージャーの仕事は、日々の営業活動に加えて、部下の面倒を見たり、社内調整をしたりする管理職のような仕事をしているということが分かりましたでしょうか?では、プレイングマネージャーという役職はなぜ生まれたのでしょうか。
ひと昔前までは「プレイングマネージャー」という役職はありませんでした。管理業務をメインとする「マネージャー」がいれば十分仕事が回っていたのです。
しかしバブル崩壊後、リストラなどで人員整理が進み、管理職のポストが減りました。人員が少ない中でも売上を上げていきたい会社にとって、「売上を生み出さないマネージャー」ではなく、「売上を上げながら管理もできるマネージャー」が必要になりました。そのため、成果を出している営業担当に、個人の営業活動に加えてメンバーマネジメントの役割を与えるようになり、「プレイングマネージャー」という役職が生まれました。
よくある失敗・課題・問題点
このような背景があったからこそ、プレイングマネージャーには以下のような失敗例や問題点がある傾向が多いようです。
プレイングマネージャーとして教育されないまま活動している
プレイングマネージャーとして教育されないままだと、マネジメント能力が不足したまま活動することとなります。営業担当として成果を出していると、プレイングマネージャーへ昇進する可能性があるとお伝えしましたが、優秀であるがゆえに、不足している部分を本人のプレイヤースキルで補ってしまうことがあるのです。
部下の業務まで自分で補ってしまうことで業務量も増えるうえ、マネジメント力も高めにくくなり、人材育成の妨げにもなってしまいます。
プレイングマネージャーを適切に評価できる評価基準が定まっていない
プレイングマネージャーには、個人の目標達成だけでなく、チームとしての目標、さらには人材の育成と複数の目標があります。個人の目標は達成できているのに、チーム目標が未達だった場合どのような評価をするのか曖昧なことが多いようです。
もちろん企業によって異なりますが、こうした背景や問題点を踏まえると、経営陣やマネージャーは、プレイングマネージャーになった人と、教育体制や求める役割、評価制度について共通認識をもっておく必要があります。
プレイングマネージャーを配置するメリット
プレイングマネージャー配置による問題点や課題をお伝えしましたが、配置することで得られるメリットも多くあります。ここでは、そのメリットについてご紹介します。
・生産性の向上
成績優秀な人材がプレイングマネージャーとして配置されることで、これまでの営業ノウハウなどの情報を迅速に共有できるようになり、生産性の向上が見込めます。
またプレイングマネージャー自らが営業活動を行うことで、チーム全体としての士気を高めることにもつながります。
・組織の団結力の向上
一般的な管理職とは異なり、プレイングマネージャーは現場で活躍していることから、現場の状況や実態を把握することができます。現場への理解度の高いプレイングマネージャーは、チームのメンバーからも信頼されやすく報告や相談を受けやすい立場であるといえます。その結果、組織としての団結力を高めることとなるのです。
先輩プレイングマネージャーの悩みから、何を求められているか考えよう!
では、先輩プレイングマネージャーは、一体どんな悩みを抱えているのでしょうか?仕事内容ごとの悩みから、「プレイングマネージャーに求められていること」「今からできる対策」を3つご紹介します。
悩み1:部下が成果を出せない
社内のトップ営業担当がプレイングマネージャーになることが多いため、成果を出せない部下に対してついイライラしてしまうことがあります。
部下が成果を出せない原因は、「部下とのコミュニケーション不足」や「指示命令型の教育」、「自身が部下離れできていない状態」などが指摘されています。ここでの「部下離れできていない状態」とは、部下の実力を信頼できず自分で商談したくなるような状態で、気付けば部下のやる気を削ぐ行動をしていることが多いようです。
▼求められていること
プレイングマネージャーに求められていることは、自分さえ成果を出せればよいという状態ではなく、自分が成果を出しながら「人を育てる」状態です。その過程を通して、自分の営業スタイル以外の考え方ややり方を知っていくことも大切です。人の適性を見極めて指導できるマネジメントが求められているのです。
▼今からできる対策
教育スタイルの手本になるような人を見つけたり書籍で学んだりすることが、今からできる対策の一つでしょう。コミュニケーションについても、今から関係構築しておくこともできますし、先輩の教育手法を見ながら良し悪しを学んでいくこともできると思います。
悩み2:頑張っているのに上司に評価されない
プレイングマネージャーとして、自身の営業活動を進めながら部下の指導などもこなしているにも関わらず、上司からは適切に評価されないこともあります。
そもそも、チームの営業成績や売上目標の達成率などの数値で評価が決まることが多いため、どんなに部下が成長していたとしても、自分やチームの目標を達成できていないと、マネージャーとして評価されない可能性もあるのです。
▼求められていること
プレイングマネージャーとして、「自分の目標の達成」と「チームの目標の達成」が求められています。上司に評価されないのも、どちらかが達成できていないからでしょう。いくら部下の成長の手助けをして教育やマネジメントに長けていたとしても、数字で達成できなければ評価されることは難しいでしょう。
▼今からできる対策
上司であるマネージャーが「どのような基準でプレイングマネージャーを評価しているのか」を把握しましょう。業界や業種、企業によって、評価の対象が異なるため、あなたの会社が何に重きを置いて評価しているのかを知ることは重要です。
もし成果の数値重視の評価であれば、マネージャーと話す機会を設けて、業績評価だけでなく営業スキル評価も指標に加えることを提案できるとさらによいですね。
悩み3:自分の営業に集中できない
プレイングマネージャーに昇進して、部下の進捗把握や教育、上司への報告業務に追われてしまい、自分の案件に集中できないこともあります。マネージャーの仕事に慣れることができれば、自身の営業成果を出すことはできるはずですが、軌道に乗るまでに時間がかかる場合も多いようです。
▼求められていること
営業担当として個人の目標を達成することが求められています。部下のマネジメントや報告業務がある中で、どうやって個人の目標も達成できるようになるのかを考えると、「無駄の削減」が必要だと分かると思います効率よく部下の進捗管理をし、資料作成や報告会議を無駄のないものにすることが求められています。
▼今からできる対策
今の営業活動に無駄が発生していないか確認しましょう。マネージャーの役割が追加される前に、自身の営業の無駄を把握し潰しておくことができれば、営業に割く時間を減らし、教育や報告資料作成に時間をかけられるようになります。
プレイングマネージャーに必要なスキルとは?
ここまで、プレイングマネージャーに求められることやその対策についてご紹介してきました。さいごに、プレイングマネージャーに必要なスキルを見ていきましょう。
・コミュニケーション能力
プレイングマネージャーになると部下を持つことになります。また、上司ともより深く会社の業績や計画などに関する話をする機会も増えるでしょう。その際にコミュニケーション能力は必要不可欠です。
このコミュニケーション能力には、部下を一人前に育て成績を上げさせるための教育スキルや、上司と円滑に話を進めるための交渉スキルなども含まれます。
・管理能力
プレイングマネージャーは、会社全体やチームの業績や業務遂行の状況を管理しなければなりません。複数のプロジェクトを推進したり、様々な人と連携して業務を進めることも多いでしょう。その重要な役割を担うプレイングマネージャーに管理能力がなければ、業務もプロジェクトもうまく進みません。
・決断力
プレイングマネージャーは、日々決断を迫られることが多い立場です。その多くは小さな決断かもしれませんが、チームや事業の方向性にも関係する重要なものです。いかに会社や事業の方針をしっかりと理解しているか、それをもとにすぐに決断を下せるかが重要になります。
・バランス感覚
プレイングマネージャーは、プレイヤーとマネジャー業務の両方をバランスよく進める必要があります。このバランスが崩れてしまうと、どちらかの業務が疎かになってしまったりするため、重要なスキルと言えます。
このように、プレイングマネージャーに求められるスキルは大変幅広いため、一気に身につけるのはもちろん難しいでしょう。少しずつ学習し、身につけていくことをおすすめします。
さいごに
プレイングマネージャーになると、さまざまな悩みが出てくるでしょう。今から実施できる対策をしておくことで、いざプレイングマネージャーになったときにでも慌てずに、適切な評価を受けながら成果を出すことにつながるでしょう。さらに、マネジメントを通して、自身の新たな一面に気付くこともできるかもしれません。