今だから知りたい「One to Oneマーケティング」

顧客との接点がテレビや新聞・雑誌に加えインターネットが占める割合が向上し、自分の情報取得手段から見てもインターネットでの情報取得・コミュニケーションの機会はここ数年で圧倒的に増えたと思います。これにより、マス・マーケティングと比較されるような形で言われるのが「One to Oneマーケティング」です。一度は聞いたことがある方が多いのではないでしょうか。
実際、黎明期と比較してもFacebookのタイムラインやバナー広告に表示される広告やそのメッセージはだいぶ説得力を持って訴えかけてくるようになったと感じます。本記事では、そのようなOne to Oneマーケティングの有効性と今後について考えてみたいと思います。
One to Oneマーケティングとは何か
One to Oneマーケティングは、その名前が表す通り、顧客一人一人に対して向き合い、最適なコミュニケーションを行う、ある意味チャレンジングな概念です。
BtoCでいうところの店頭での接客や、BtoBの場合は営業マンが行う商談など、1対1で行うコミュニケーションを、1対Nで行いながら、かつそれぞれの顧客に合わせて対応を変え、顧客にとっては自分の趣味趣向やニーズに合った物を、それこそ1対1でコミュニケーションを取っているように感じてもらうマーケティング手法で、インターネットというコミュニケーション媒体の登場によって、多く語られるようになってきました。
インターネットがOne to oneマーケティングの普及に寄与した点は、大きく2つあります。
- 1:顧客の輪郭を以前よりも捉えやすくなった
- 2:顧客毎のコミュニケーションを以前よりも低コストでスピーディに行えるようになった
1:顧客の輪郭を以前よりも捉えやすくなった
「顧客の輪郭」というのは簡単に言うと「どのようなお客様か(Btocで言えば性別や趣向、BtoBで言えば役職や業種など)」ということで、SNSに登録されているプロファイルやDMPに蓄積されているような過去の購買データやサイトの閲覧履歴を活用できるようになってきています。
ユーザー自体はあまり意識していないかもしれないですが、インターネットでのサイト閲覧履歴や購買履歴、自分のプロファイルは主にブラウザベースで収集・統合され、マーケティングデータとして活用されるようになってきました。この情報が個人情報ではないかという議論は継続して行われてはいますが、少なくともブラウザには個人情報は紐付かないため、多くのデータが活用されているのが現状です。
マーケターから見れば、あなたの利用しているブラウザの主が誰か(氏名)はわからないけれど、どのような人か(40代男性で妻子がいて、年収600万円程度でここ3ヶ月間は車に興味がある等)はわかる時代なのです。
2:顧客毎に最適なメッセージを以前よりも低コストでスピーディに行えるようになった
「ユーザーが誰か」を把握できるようになったこと合わせて、RTBやDSPといった広告技術によって、ユーザーの趣味趣向や行動などのデータに基づいて広告やメッセージを配信することができるようになりました。世の中の膨大な顧客の輪郭情報(ビックデータと呼ばれています)、そのデータに基づいて広告を配信する技術の発展、この二つが、よりOne to Oneに近い広告配信を実現しました。
One to Oneマーケティングの限界
上記の背景も手伝って、One to Oneマーケティングという概念が各所でよく言われるようになりましたが、あくまでも究極的な概念を示す言葉であり、本当に「One to One」を実現する手段には昇華していないということを踏まえておくことも、また必要かもしれません。
究極的なOne to Oneを示す手段としてはやはり接客や商談であり、現在も人を介して行われるものがほとんどです。ゆえに、今言われている「One to Oneマーケティング」は、人が対応する前の段階のマーケティング・プロセスの中で、できるだけその人に合ったメッセージを伝えるにすぎないのかもしれません。
これは、ひとえにコストとテクノロジーの問題があるのですが、それでも以前と比べれば、インターネットの登場と優秀な技術者による技術革新により、コストを抑え、One to Oneに近いコミュニケーションがとれるようになってきているのも事実です。
One to Oneマーケティングの今後
昨今登場しているMarketing Automation等のツールは、事前にシナリオを設計する事で顧客にとってのOne to One感を演出することを自動化する事にチャレンジしています。
このような技術が今後さらに発展し、パターンが解析され、技術が発展すれば、ITツール自体がマーケティング施策を決めて勝手に実行するような世の中もそう遠くないのかもしれません。そのような世の中になるとき、世の中のマーケターの仕事は、メッセージの策定やクリエイティブイメージのブラッシュアップ等、よりクリエイティブな業務になっているのではないでしょうか。
まとめ
One to Oneマーケティングという言葉は以前からありましたが、技術の進化、DSPやDMP、MarketingAutomationなどの登場により、より実用性のあるものになってきました。
だからこそ、改めて理解が必要ですし、One to Oneでの顧客とのコミュニケーション、ユーザーそれぞれに寄り添ったマーケティングを行うことの必要性を改めて考えるべきだと感じました。
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