MECEとは?マーケターなら押さえておきたい"超"分解術
マーケターなら押さえておきたい「MECE」の考え方。用語は知っているけれど、どのように考えたらよいか分からないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、この「MECE」の考え方について、おさらいをしていきます。マーケターの皆さま必見の内容ですので、ぜひご覧ください!
MECEとは
MECEは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略語で、「モレなく、そしてダブりなく」という意味です。「ミッシー」または「ミーシー」と読みます。MECEはロジカルシンキング(論理的思考)の基本とも言える重要な概念で、戦略用語やマーケティング用語としてよく使われます。それではMECEの例を日本の切り分け方を取り上げてみていきます。
- ・日本を「東日本」「西日本」に切り分ける→MECEな状態
- ・日本を「東北地方」「関東地方」「中部地方」「近畿地方」「中国・四国地方」「九州地方」に切り分ける→「北海道地方」がモレているためMECEでない
- ・日本を「東日本」「西日本」「関東」に切り分ける→「東日本」と「関東」にダブりがあるためMECEでない
◆MECEのメリットは論理的な整理
ビジネスにおいてMECEを用いるメリットはさまざまあります。その中でも一番のメリットは、主観的になってしまいがちな思考に客観性をもたせ、論理的に整理できる点にあります。
相手になにかを説明するとき、その対象にモレやダブりがあると、説得力に欠け、こちらの結論をスムーズに理解してもらえなくなってしまいます。そこで、このMECEを意識して論理を組み立てることで、相手に納得感を与える強力な論理展開を可能にすることができるでしょう。
特に、考え事をしていると視野がどんどん狭くなってしまう人や細かいところにこだわり過ぎてしまう人は、MECEを意識することで部分から全体へと思考を広げることができるため大変効果的です。
◆マーケターに必要な「ロジカルシンキング」に有効
ビジネス全体におけるMECEのメリットは客観性を持った思考により論理的な整理を実現することでした。それではマーケターにおいて特に必要だと言われるのはなぜでしょうか。
それは、マーケターが分析をする対象のほとんどは複雑で、一見して互いの因果関係が分かりづらいからです。そのため、一つ一つの事象をシンプルに整理していく必要があります。そもそもロジカルシンキングとは、主張と根拠をロジックで積み重ねていく思考方法で、マーケターには必要不可欠な考え方です。
ロジカルに思考を重ね、結論を導いていくためには、その結論を支える主張が必要十分である必要があり、ヌケモレがあってはロジカルシンキングは実現できません。そこでMECEを用いることで、結論への説得力を高めることができるのです。
MECEを実践してみよう
ここからは、実際に仕事においてMECEを用いるための2つのアプローチをご紹介します。
・トップダウンアプローチ
全体から詳細へとブレークダウンしていくのがトップダウンアプローチです。全体を見て大枠を決め、そこに要素を当てはめていく手法で、「演繹的なアプローチ」とも言えます。
例えば、「営業に求められるスキルとはなにか?」を考えるとしましょう。そのときに「聞く力」「話す力」「思考力」などと分類していくのがトップダウンアプローチです。
トップダウンアプローチが有効なのは、全体を見たときに分解の方向性が見える場合や全体像自体が明確な場合です。逆に、分解の方向性が見えない、全体像が不明確といった状況で分解してしまうと、分類にヌケモレが発生してしまう可能性が高くなるため注意が必要です。
・ボトムアップアプローチ
トップダウンアプローチとは逆に、詳細を集め全体像を描いていく手法がボトムアップアプローチです。「演繹的アプローチ」と対照的に、「帰納的アプローチ」とも言えるでしょう。
例えば、営業のコツについて社内でアンケートを取り、そのアンケート結果から営業に求められるスキルを考えていくのがボトムアップアプローチです。「お客様の話をきちんと聞く」「お客様の目を見て話しを聞く」「相手の話に応じて適切な相づちを入れる」というアンケート結果から、「営業に求められるスキルは『聞く力』である」というようにグルーピングを行うのです。
事前にどのような分類をしていいのかわからない場合や、各要素をブレーンストーミングで洗い出していくような場面では、有効なアプローチだといえるでしょう。しかし、要素自体に偏りがある場合は、分類にダブりが出る可能性が高まってしまうため気をつけてください。また、グルーピングの精度が粗すぎるとヌケモレが発生してしまうため、MECEになるよう訓練が必要です
この2つのアプローチはどちらが優れているということはありません。双方の特徴を正しく理解したうえで、使い分ける・組み合わせることが重要です。MECEの精度を向上させるためにも、2つのアプローチを両方使いこなせるようにしておきましょう。
◆4つの切り口
MECEに考えるためには「どのような切り口を設定するか」が肝です。MECEにさえなっていれば、ビジネスですぐに役に立つというわけではありません。思考をする対象である課題や目的に合わせて適切な切り口を設定するためには4つのポイントがあります。それぞれ見ていきましょう。
- (1)要素分解
- 思考の対象を要素へと分解していき、分解した要素の総和が全体になるように切り分けるのが要素分解です。総和が全体になるため「足し算型」や「積み上げ型」と言われることもあります。
- (2)因数分解
- 要素分解は「足し算型」でしたが、因数分解は「掛け算型」とも言われます。例えば、企業の売上を「顧客数×顧客単価」などと分解するのが因数分解です。
- (3)時系列・ステップ分け
- 時系列やステップで分解する方法です。例えば、業務を行うときの手順に切り分ける、プロジェクトを準備・実行・改善のフェーズに分けるなどが該当します。
- (4)対称概念
- 課題を相反する概念によって分解する方法です。「質/量」や「クオリティ/スピード」などの対になる概念から、マーケティング活動や営業活動を分析します。
MECEを活用するうえでの注意点
マーケターが分析を行ううえで重要なMECEですが、注意点もあります。特にMECEを活用してマーケティング活動や営業活動を分析すると、うまくグルーピングできない場合があります。
たとえば、IT企業に向けたメルマガリストを作る時、「IT企業だけど、コンサルティングや不動産をしている」など、複数の事業をする企業も出てくるでしょう。IT事業のみをしている企業をグルーピングするのは簡単ですが、IT企業だが、いくつかの事業があるのでIT企業のリストとしてグルーピングしてよいか迷ってしまいます。
このようにうまくグループ化できない場合、あまり効果的ではありません。正確にグルーピングするためにも「基準」をつくったうえで「ヌケ・モレ・ダブリ」をなくしましょう。
さいごに
マーケターにとってMECEを押さえておくことがなぜ重要なのかご理解いただけましたでしょうか。各手法の特徴やポイントを正しく理解し、MECEを意識した分析を心がけてください。
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