メールマーケティング手法の1つ「セグメント配信」とは?メリットと実施例

メールマーケティングの手法の1つに「セグメント配信」があります。セグメント配信とは、見込み顧客全体へ新製品情報やキャンペーンのお知らせを配信する「メルマガ」と違い、「どこの」「誰に」「どんな内容」を配信するかをあらかじめ設定でき、メール配信を通して細やかな対応ができるようにしてくれる方法です。
この記事では、「セグメント配信」について、メリットや実施方法を紹介します。
「セグメント配信」とは?
「セグメント配信」とは、自社が保有する見込み顧客を「地域別」「事業別」「これまで起こしてくれたアクション」などの条件で分類し、見込み顧客ごとに見合った内容を配信する、メール配信の手法です。セグメント配信の「セグメント」とは、「市場を細分化し、顧客を分類する」という意味の「セグメンテーション」が元になっています。
「一斉送信」とは何が違う?
同じメールマーケティングの手法に「一斉配信」があります。一斉配信は、宛先を絞ることなく、全ての見込み顧客へメールを配信するやり方です。
内容や配信のタイミングを考えなければならないセグメント配信に対して、一斉配信は自社の配信したい内容を、配信したいタイミングで自由に実施できます。
一斉送信とセグメント配信の上手な使い分け方
メールマーケティングで効果を上げるためには、配信する「コンテンツ内容」によって、セグメント配信と一斉配信を上手く使い分けることが重要です。使い分けの例は以下の通りです。
- 【セグメント配信に向いている内容】
- ・自社製品の導入実例集
- ・ホワイトペーパーの提供
- ・特定の見込み顧客のみに届けたいお知らせ など
セグメント配信では、配信対象の課題解決や役立てやすい内容を精査して配信します。「必要な人に必要な情報を」配信する手法です。
- 【一斉配信に向いている内容】
- ・新製品のリリース情報
- ・業界の最新トレンド
- ・自社サイトの更新お知らせ など
一斉配信では「誰でも知りたい」「どんな人でも喜ばれる」内容が向いています。「自社の魅力をより多くの対象へアピールしたいとき」に有効な手法です。
「セグメント配信」のメリット・デメリット
セグメント配信を実施すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?また実施する上でのデメリットも紹介します。
セグメント配信のメリット
セグメント配信をするメリットは、以下の点が挙げられます。
- ・伝えたい情報を必要な人にだけ配信できるため、無駄なメール数が減る
- ・コンテンツ内容を顧客のニーズに合わせて作成するため、開封率やクリック率が高まりやすい
- ・求めている情報を適切なタイミングで配信しやすいため、見込み顧客からの信頼を得やすい
- ・特別な内容を固定の顧客に配信することもでき、顧客ロイヤリティの向上が期待できる
メールを受け取る側も、興味のある内容だけ受け取れるため無駄がなく「有益な情報を得やすい」というメリットがあります。
セグメント配信のデメリット
セグメント配信を実施すると、以下のようなデメリットが挙げられます。
- ・配信対象を絞り込み、分けた対象ごとにコンテンツ内容を作成しなければならないため、配信準備に時間と手間がかかる
- ・細かくセグメントしすぎると配信数が減り、メールマーケティングの効果測定がむずかしい
- ・セグメントの方向性や判別方法を間違えると効果がない
セグメント配信は事前の準備に時間や労力がかかり、準備の仕方を間違えてしまうと期待していた結果を得られない場合があります。
セグメント配信の実用例
セグメント配信は、どのように活用するとよいのでしょうか?セグメント配信の実用例を見てみましょう。
見込み顧客の属性に合わせたセグメント配信例
見込み顧客の業種や規模などの属性に合わせて、紹介する事例を変えてみます。そうすることで、配信したメールから「自社での活用イメージ」を持ってもらいやすくなるのです。例えば、以下のような配信が考えられます。
- ・製造業の見込み顧客に、製造業のユーザ―事例を配信
- ・従業員数100名前後の見込み顧客に、中堅・中小企業の事例を配信
- ・自社セミナーを開催しようか悩んでいる見込み顧客に、セミナー開催のノウハウ資料を配信 など
Web行動履歴によるセグメント配信例見込み顧客への配信例
見込み顧客が開封しやすいメールの内容や、自社サイト内でよく閲覧しているページなどから、見込み顧客の興味・関心対象を予測し分類していきます。そしてセグメントごとに提供するコンテンツを分けていきましょう。
- ・営業効率化関連の記事をよく読んでいる見込み顧客
→営業効率化に関連するホワイトペーパーの案内 - ・メール配信に関連する記事をよく読んでいる見込み顧客
→メールマーケティングに関連するホワイトペーパーの案内 - ・製品ページをよく訪れる見込み顧客
→製品の導入事例や他社との比較 など
セグメント配信のやり方
では、実際にセグメント配信を実施するにはどのような手順で行うのでしょうか?セグメント配信のやり方を紹介します。
1.見込み顧客をセグメンテーションする
まず初めに、自社が抱える全ての見込み顧客を分類しましょう。BtoBビジネスでは、見込み顧客の「属性」や、見込み顧客が起こした「行動」によってセグメントします。
「属性」とは、企業の所在地、企業の規模・従業員数、業種、役職、職種などです。「行動」とは、自社サイトに訪問した、資料請求をした、セミナーに参加した、などが挙げられます。
見込み顧客のニーズに合う内容を配信しやすくするためには、綿密なセグメントを行ったほうがよいですが、あまり細かくしすぎると配信対象がいなくなる恐れもあるため注意しましょう。
2.配信対象とコンテンツ内容を決める
例えばセミナー集客を増やしたい見込み顧客に対して有益な情報を配信する場合、担当者には集客のノウハウ、上長クラスにはセミナーを開催するメリット、などと内容を変えて配信する必要があります。
また、見込み顧客側から積極的に情報収集をしていて、導入の検討に向けて動いているような様子が見られたら、購入につながるような提案をしてみましょう。
あまり購買意欲がないと見受けられる見込み顧客に対しては、接点が途切れないよう、一度自社のアピール色を弱め、業界ニュースや課題解決に役立つノウハウなどを配信し、信頼関係を少しずつ築いていきます。
「属性」で分けた場合も「行動」で分けた場合も、配信メールは見込み顧客の立場になったとき必要かどうか、誰に向けて配信してるのかが分かりやすい内容にしましょう。
3.作成したメールを配信
作成したメールは手動で配信することもできますが、メール配信ツールやマーケティングオートメーションを活用すると便利です。予め見込み顧客ごとに「属性」や「行動」を分類するタグをつけておけば、簡単に配信リストを作ることができます。
また、リストとコンテンツを作成しておけば、適切なタイミングでコンテンツの自動配信が可能です。ツールによっては見込み顧客の行動を確認し、その行動履歴から適切な内容のコンテンツを自動で配信してくれるものもあります。
4.配信結果の効果測定
セグメント配信をしても、必ずしも思い描いた結果が出るわけではありません。セグメント内容を見直しながら試行錯誤を繰り返すことで、メール配信の精度は上がっていきます。そのためメール配信後には必ず効果測定をしましょう。
セグメント配信の効果を上げるためのポイント
セグメント配信はポイントをおさえると効果が上がりやすくなります。セグメント配信をより効果的に実施できるコツを見てみましょう。
見込み顧客の立場になって考える
誰しも「自分にとって関係がある」という内容には関心を寄せやすいものです。メール配信では自社のアピールも大切ですが、「見込み顧客の立場」になって、「どんなものを求めているのか」をくみ取り、必要な情報を提供していきます。
見込み顧客が欲しい情報を配信し続けていると「うちの会社のことをよく理解してくれる会社」と思われ、信頼関係の構築へ繋がるのです。
コンテンツ内容から「特別感」を感じさせる
セグメント配信のメリットは、多くの見込み顧客と「OnetoOne」のコミュニケーションが取りやすい点です。購入に至るまで多数の人が関わるBtoBビジネスであっても、決定するのは人間であるため、コンテンツ内容から「あなた宛て」というのが分かりやすいと効果が上がりやすくなります。
ツール利用で最適なタイミングでの配信を逃さない
セグメント配信は手動でも行えますが、人の手だけでは全ての見込み顧客の行動を確認するのは困難でしょう。
マーケティングオートメーションを利用すれば、メールから自社サイトへ飛んだ見込み顧客の行動履歴が確認できます。あらかじめシナリオ設定をしておけば、適切なタイミングで、見込み顧客の行動に合った適切なコンテンツの自動配信が可能です。
マーケティングではタイムリーな対応が重要といえますので、自動で機会を逃さないよう対処してくれるツールは重要です。
配信対象をセグメントして、メールマーケティングの効果を上げる
メールマーケティングは、直接のやり取りよりも見込み顧客に対するアプローチが弱いように思われますが、メールを通してニーズに合った提案ができれば信頼関係が築け、見込み顧客のほうからアクションを起こしてくれるケースも増えるでしょう。そのためには、見込み顧客ごとに、適切な内容を最適なタイミングで配信することが大切です。
ひとくちに見込み顧客といっても、それぞれで企業規模や業種、自社への関心が違います。見込み顧客をセグメントし個別に必要な情報を配信すれば、配信の無駄が減らせ、見込み顧客も有益な情報を得やすくなり、双方にとってメリットが生まれます。
タイムリーな配信をするためにツールを利用し、見込み顧客が欲しい情報を届けられるメール配信を目指しましょう。