メールマーケティングで重要な、PDCAサイクルの回し方

メールマーケティングを行っている企業が多い中、効果を感じられずにいる担当者の方も多いのではないでしょうか。効果的なメールマーケティングにするためには、配信後にPDCAサイクルを回し、ニーズに沿ったメール内容へと改善していくことが重要です。
この記事では、メールマーケティングの成果向上のためのPDCAサイクルの回し方についてご紹介していきます。
- ▼この記事でわかること
- ・メールマーケティングでPDCAが重要とされる理由
- ・PDCAサイクルの手順とポイント
メールマーケティングで重要なPDCAサイクル
メールマーケティングとは、見込み顧客や既存顧客に対してメールを活用して情報を発信し、商品・サービスの認知向上や購買促進、関係性の強化を図るマーケティング手法です。特にBtoBの分野では、顧客との接点を継続的に持つ手段として有効です。
このメールマーケティングを効果的に運用するために欠かせないのが、「PDCAサイクル」の活用です。PDCAとは、「計画(PLAN)」「実行(DO)」「評価(CHECK)」「改善(ACTION)」の頭文字を取った、業務改善のための基本的なフレームワークです。
メールを配信する際には、あらかじめターゲットや目的、配信内容を計画(Plan)し、それに基づいて配信を実行(Do)します。配信後は開封率やクリック率、CV率などの指標をもとに効果を評価(Check)し、その結果を踏まえて次回の配信内容や戦略を改善(Action)します。
このようにPDCAサイクルを継続的に回すことが、メールマーケティングにおいて重要となります。メールを配信後、効果測定と改善を行うことで見込み顧客のニーズに合ったコンテンツへと少しずつ近づけることができ、顧客との関係性向上だけでなく、メールマーケティング全体の成果向上へとつながっていきます。
メールマーケティングについては、以下の記事で詳しく解説しています。
【基礎から解説】メールマーケティングとは?これから始める人必見!
PDCAサイクルの手順
ここでは、メールマーケティングにおいてPDCAサイクルをどのように回すのか、具体的な手順と実践方法をご紹介します。
Plan(計画)
まずは、メール配信の「計画」を立てる段階です。
・目的と目標の設定
何のためにメールマーケティングを行うのか、メールマーケティングの最終目的を明確にしましょう。たとえば、資料ダウンロードや、問い合わせ、製品の購入など、最終的に見込み顧客に起こしてほしい行動を設定します。加えて、目的を達成するための指標となる、開封率や、クリック率、コンバージョン率など成果を判断するためのKPI(重要業績評価指標)も設定することが重要です。
・配信ターゲットの明確化
次に誰に配信するのかを設定します。ターゲットの業種、役職、課題やニーズを整理することで、それぞれの興味関心・課題に寄り添った内容を設計することができます。
・訴求内容とテーマの検討
ターゲットの設定ができたら、それぞれのフェーズに合わせた訴求内容を決めていきます。たとえば、まだ見込み度合いが低い顧客には自社に興味を持ってもらうための有益な情報の配信、自社製品を検討段階の見込み顧客には、同じ課題を持つ企業の導入事例などを紹介します。
このように見込み顧客のフェーズ段階により、訴求内容を変える必要があります。
・配信ツールの選定
メールを効率的かつ戦略的に配信するには、適切な配信ツールの選定も重要です。ツールによっては、セグメント配信やA/Bテスト機能、配信後の詳細なレポート分析などが可能なものもあります。
自社の運用体制や必要な機能に応じて、最適なメール配信やMA(マーケティングオートメーション)ツールを選びましょう。
- メールマーケティングで活用できるツール
- ・メール配信ツール
- ステップメールや一斉配信、クリック率・開封率の測定など、メールマーケティングに必要な基本機能を備えたツールです。手軽に導入でき、操作性の高いサービスも多く、初期段階から活用しやすいのが特徴です。
- ・MA(マーケティングオートメーション)ツール
- より高度なマーケティング施策を実施したい場合は、MAツールの導入がおすすめです。見込み顧客の行動履歴に応じたメール配信、スコアリング、CRMとの連携などが可能で、リードナーチャリングを自動化・効率化できます。
このように、計画段階で目的やターゲット、内容、手段までを具体的に設定することが、成果につながるメールマーケティングの第一歩です。
メールマーケティングを効率化するMAツールについては、以下の記事で詳しく解説しています。
【2025年版】MAツールとは?導入目的で選ぶタイプ別製品比較5選
Do(実行)
次に、計画に基づいて、実際にメールを配信します。
・コンテンツの作成
ターゲットに合わせて、配信するコンテンツを用意します。製品を活用した成功事例や、課題に対するお役立ち資料など、興味関心や購買意欲を高める内容のコンテンツを考えましょう。
さらに、製品名を覚えてもらえるためには、製品自体の詳細な紹介や、製品のお試しトライアルなども効果的です。
・メール本文とタイトルの作成
メールが届いたときに一番初めに目にするのがタイトルです。開封率を上げるためにも、タイトルを工夫することが重要となります。
さらに、本文でもスクロールせずに見られるファーストビュー部分に有益な情報を配置することで興味関心を引くことができます。
Check(効果測定)
配信後は、結果を数値で評価し、成果と課題を分析します。
・配信結果の測定と分析
メール配信後、「効果測定」を行います。メールマーケティングの効果を高めるために、配信の効果がどうだったかチェックすることが重要となります。
- メールマーケティングで確認すべき指標
- ・不達率
- 配信した結果、メールアドレスが間違っていたり、サーバーダウンなどによって相手に届けることができなかったメールアドレスの割合を不達率といいます。存在しないアドレスや、配信停止になっている宛先を整理することにより、不達率を改善することができます。
- ・開封率
- 読者がメールを受信後、メールを開いた割合を開封率といいます。開封率が低い場合は、メール開封前に目にするタイトルや、差出人に要因があったと考えられます。
開封するメリットとなるインセンティブの押し出しや、どこの誰からのメールなのかがわかり、安心してメールを開封できる差出人に設定することが重要です。 - ・クリック率
- 読者がどのURLをクリックしたか、またクリックされなかった割合をクリック率といいます。クリック率が低い場合は、メール開封後の本文に問題があったと判断できます。
メール本文は、「コンテンツ数」「文字色」「画像の数やサイズ」など、さまざまな要素がありますが、まずは、スクロールせずに見える部分の改善から行いましょう。 - ・コンバージョン率
- 読者がクリックしてサイトに訪れたあと、問い合わせや、資料ダウンロードなどのコンバージョンに至った割合をコンバージョン率といいます。メールと遷移先のページの一貫性や、ページ上でアクセスしやすいクリックボタンの配置などによってコンバージョン率の改善が見込めます。
- ・購読解除率
- 読者がメール受信後、配信解除を行った割合を購読解除率といいます。配信の頻度や、ターゲットのニーズに合わない内容のメールを送り続けることで配信を解除されてしまいます。ユーザーに寄り添ったコンテンツにしていくことで、購読解除率の改善につなげましょう。
Action(改善)
効果測定の結果を踏まえ、次の施策につなげる「改善」を行います。
・改善の抽出と施策の再計画
目標に対して成果が振るわなかった要因を洗い出し、次回のコンテンツ設計や配信戦略に反映させましょう。改善を実施したら、再びPlan(計画)へと戻り、PDCAサイクルを回していきます。
・A/Bテストの実施で精度を高める
効果測定の結果、洗い出された課題を改善するには、A/Bテストを行うことが効果的です。A/Bテストとは、ある特定の要素を変更したAパターンとBパターンを配信し、それぞれの成果を比較することで、より成果の高いパターンを見つけることができます。
- A/Bテストのポイント
- ・テストする箇所は1箇所にする
- A/Bテストを行うときは、テストを行う箇所を1つに絞って行います。たとえばタイトルと、配信時間を変えテストを行うと、タイトルの変更による成果なのか、配信時間の変更による成果なのか検証することが難しくなってしまいます。
- ・同じ条件下でテストを行う
- 比較箇所を1箇所にして行うことで効果測定できるA/Bテストですが、配信条件も同じにする必要があります。
たとえば、Aパターンの配信リストが既存ユーザー宛で、Bパターンに新規ユーザーが多く含まれている場合、新規ユーザーの方がレスポンスがいい傾向にあります。精度の高い結果を得るためにも、配信対象者の条件も同じにすることが重要です。
このようにPDCAサイクルを継続的に回し、データをもとに改善を重ねていくことで、よりターゲットのニーズに沿った効果的なメールマーケティングを実現できます。
まとめ
メールマーケティングでは、ユーザーが求める情報を提供していくことで、見込み顧客との関係性の向上につながります。そのためにも継続的にPDCAサイクルを回し続け、見込み顧客の課題や、ニーズに寄り添ったコンテンツにブラッシュアップし、配信を続けていきましょう。