これから始めるインバウンドマーケティング
近年注目されている、"インバウンドマーケティング"をご存じでしょうか。
2006年にアメリカのHubspot社によって提唱された概念で、自分から情報を求めてやってきた消費者の目に留まるようなプラットフォームを整え、自発的に購買へと向かわせることを目的としたマーケティング手法全体を指します。
テレアポや広告出稿を中心とした従来のマーケティング手法(アウトバウンドマーケティング)との大きな違いは情報提供のスタンスです。従来の手法では受動的な消費者を相手にこちらから情報を届けにいくのに対し、インバウンドマーケティングは、自ら情報を探す能動的な消費者を相手に情報を提供します。
本記事では、このインバウンドマーケティングが注目された背景から、これから始める際に気をつけなければいけない点などをまとめました。「インバウンドマーケティングって必要なの?」「これから始めたいけど、何に気をつければいいの?」といった疑問をお持ちの方は、是非ご一読ください。
インバウンドマーケティングが注目されるワケ
消費者の購買行動の変化
2000年ごろを境に世の中の情報流通量は爆発的に増加しました。しかし、人間が消費できる情報量はそれほど急速には増加しません。その結果、消費者は溢れかえる情報に辟易し、必要かどうかも分からない情報を押しつけられることに抵抗を示すようになりました。また、インターネットの普及に伴い、誰でもいつでもどこからでも世界中の情報にアクセスできるようになり、企業からの一方的に発信される情報には見向きもせず、自ら能動的に情報を検索し比較検討をするようになりました。
マーケティング先進国のアメリカでは、新しいマーケティング手法が模索されてきました。その中で生まれたのがインバウンドマーケティングの考え方です。こちらから情報を届けにいくことで認知を得るのではなく、情報を探している消費者に立ち寄ってもらい、それぞれの消費者の疑問に応える中で自社について知ってもらうことで認知を獲得しようというものです。
この消費者行動の変化は世界に目を向けても同様で、アメリカに限らずヨーロッパ・アジアでも同様の現象が認められていて、広告に代わる新たなマーケティング手法の一つとして世界中で注目を集めるようになったのです。
インバウンドマーケティングを始めてみよう
インバウンドマーケティングにおいては、用いられる手法は限定されていません。出発点はコーポレートサイト、自社ブログ、メールマガジン等、なんでもかまわないのです。
しかし、どのような形であれインバウンドマーケティングを始める際には注意しなければならないことが3点あります。以下では、その3つのポイントをまとめます。
Point1:消費者へ最適なコンテンツを提供する
誰に向けての情報発信かを整理する(ペルソナ設計)
インバウンドマーケティングを実施する上でまず大事なのは、「企業の発信したい情報」ではなく、「顧客が欲しい情報」を制作・発信するという視点です。その「顧客が欲しい情報」を考える上でまず行わなければならないのが、顧客になりうるユーザーは誰なのか(ペルソナ)を決める事です。
ペルソナとは、読者がどのような人間であるかを具体的に想定したものです。ブログの記事であれば、その記事に興味を持って読みに来る人はどのような職種の人で、どのような課題を抱えている人なのか、できるだけ具体的に想定しておきましょう。読者によって、次に提供すべきはホワイトペーパーなのか、製品資料なのかが変わってきます。
消費者の購買プロセス・フェーズに合ったコンテンツを考える
ペルソナが決まったら、その人が購買に至るまでのプロセスやフェーズに合わせて、どのようなコンテンツが適切かを考える必要があります。
下記の図は横軸に「商材の導入検討フェーズ」を、縦軸に「ミッション」を記載した導入プロセスの流れです。BtoB(法人営業)サービスの場合、導入までの検討プロセスが非常に複雑かつ、時間がかかります。 この検討プロセスの中で、「どの導入検討フェーズ」で「どのミッション」のユーザーに情報を提供するのかをしっかりと決めなければ、ユーザーが求めている情報を提供する事は決して出来ません。
このように、消費者の関心が製品の購買へと向かうように内容を構成しましょう。
CTAを設置して、スムーズな導線をつくる
CTA(Call to Action)とは、読者の行動を喚起させるような具体的な仕掛けのことです。多くの場合はボタンやリンクといった形式をとっていて、「お問い合わせ」や「資料ダウンロード」といった行動を取ってもらう為に設置しています。
当然、マーケティング活動の最終目標は製品・サービスの購入ですので、ユーザーの関心が高まった時に問い合わせや資料請求、購買がスムーズにできなければなりません。人間の関心というのは冷めやすいもので、関心が高まった瞬間に行動へ移せる導線が目の前にないと購買には至りません。ですので、このCTAが十分に設置されているかには注意をしましょう。
Point2:見込み顧客を育成する
インバウンドマーケティングで用いられる媒体の多くは、多種多様のコンテンツを取りそろえられるため、幅広いターゲットにアプローチできます。そのため、訪れる読者の多くは、直近の購買には至らない見込み顧客になっていると思われます。
こういった購買意欲がまだ低い見込み顧客に対して製品を無理に売り込んでも、煙たがられて離れていってしまうでしょう。まずは見込み顧客の疑問に応え、課題への解決策を提示し、信頼関係を育みながら徐々に自社の顧客へと育成していかなければなりません。この過程はリードナーチャリングと呼ばれます。
インバウンドマーケティングを始めるにあたっては、ただやみくもにコンテンツを増やすのではなく、各コンテンツが連携していて見込み顧客を購買へと誘導できている状態を目指しましょう。
Point3:見てもらうための工夫をする
どんなに有用な情報が発信されていても、消費者の目にとまらなければ意味がありません。コンテンツを充実させると同時にそれらが見てもらえるような工夫が必要になります。
WebサイトであればSEO対策が必要になりますし、メールマガジンであれば件名を変えただけで開封率が大きく向上することもあります。また、そういった技術的な施策だけでなく、製品には一見関係ない「業界の最新動向ブログ」といったお役立ち情報を発信するコンテンツを作ることも有効な手段とされています。
読者に「この筆者はいつも私の知らない情報を届けてくれる信用のおける人物だ」と思ってもらえれば、製品に関するメールマガジンの登録もしてくれるかもしれません。
消費者の目に留まり、思わず何度も訪れチェックしてもらうような工夫を考えてみましょう。
おわりに
本記事では、インバウンドマーケティングの概要と目的について紹介し、始めるにあたっての注意点をまとめました。
インバウンドマーケティングでは、コンテンツが充実して注目度を獲得するまで、なかなか効果が現れません。地道な作業の繰り返しになりますが、長い目で見れば費用対効果の良い有効な施策になりえるものです。是非、みなさんも始めてみてはいかがでしょうか?
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