ユーザー行動を可視化するヒートマップ。4つの機能と活用方法

サイトのクリック状況やマウスの動きを、色でマッピングしてくれるヒートマップツール。PCでの閲覧解析に用いられることが多いヒートマップですが、昨今のスマートフォンの普及に伴い、モバイルサイトにも適用され、注目が集まっています。
今回は、ヒートマップの機能とサイト改善のための活用法について解説します。
ヒートマップとは
ヒートマップとは、「データを可視化するために、データを行・列の型に落とし込み、強弱を色での濃淡で視覚化する方法」を指します。
ヒートマップでは、これまでの数字データのアクセス解析ではできなかった、マウスの動きやクリックの動作といったユーザーの反応を可視化し、各ページの細かいデータを集計することができます。色で表現することで、専門的な知識がなくても、直感的に課題を発見することができるのです。
ヒートマップで分析できること
ヒートマップには主に以下の4つの機能があります。
アテンションマップ
アテンションマップは、ページのどこの箇所がよく読まれているかといった「熟読エリア」の可視化ができます。良く閲覧されている箇所は赤く表示され、緑、青と寒色になるほど閲覧率が低いことがわかります。
クリックマップ
クリックマップは、ユーザーがどこをクリックしているのか「クリック位置」の可視化ができます。クリックされた割合が多い箇所は赤く表示され、クリックされた割合が少ない箇所は、緑や青で表示されます。
スクロールマップ
スクロールマップでは、ユーザーがどこまで読んだのか「終了エリア」の可視化ができます。一般的な縦長のページでどこまでスクロールし、どこで離脱したのかがわかります。
マウスフローヒートマップ
マウスフローヒートマップは、マウスのカーソルの動きやカーソルを置いた場所を可視化できます。ユーザーの視線はマウスの動きと言われており、ユーザーの行動や興味をもっている部分がわかります。
クリックはされなかったけどボタンにマウスは集まっている、というクリックマップではわからなかった情報も可視化されます。
導入のメリットとデメリット
メリット
アクセス解析ツールよりも、よりユーザーの細かい動きを把握できるヒートマップツールの導入は、自社サイトの運用や改善に効果的です。
また色で可視化されるため、専門知識がなくても容易にユーザー行動の課題の発見ができるのもメリットの一つです。
デメリット
ヒートマップツールでは、1ページごとの解析のため、サイト全体での分析や把握をすることができません。そのため、ページごとの最適化や改善のみで終わってしまうことも多く、サイト全体としての最適化の視点を忘れてしまいがちになってしまうことがデメリットといえます。
ヒートマップ活用方法
ヒートマップを活用してWebサイトを解析する目的は、コンバージョン率の改善です。ヒートマップにより、ユーザー行動を把握できたら、その結果をもとにコンバージョンに至らなかった要因を改善していきましょう。
ここでは、それぞれのヒートマップの活用方法と分析結果をどのような改善に役立てるのか解説します。
アテンションマップの活用
アテンションマップでは、「よく読まれている熟読エリア」や、反対に「読まれていない箇所」の可視化を行います。
読まれない要因として考えられるのは、
- ・ユーザーの検索意図とコンテンツが合っていない
- ・テキストばかりで読みづらい
などが挙げられます。
これらを改善するためには、今一度ユーザー視点に立ち、ユーザーの求めるコンテンツは何か分析し、読めれていない箇所の削除や改善を行いましょう。また、よく読まれていた箇所はユーザーの知りたい情報であったと推測できます。
スクロールマップの活用
スクロールマップでは、「どこまで読まれているか」、「どこで離脱したか」終了エリアを可視化します。
離脱につながった要因として考えられるのは、
- ・ユーザーの検索意図に合っていない
- ・コンテンツの配置の順番が適切でなかった
などが挙げられます。
アテンションマップの併用で、注目度が高いと判断できる熟読箇所のコンテンツを上部に配置するなどの改善が有効です。
クリックマップの活用
クリックマップの活用により、よくクリックされている箇所を可視化することができます。申し込みボタンや、問い合わせボタンなどクリックしてほしい箇所をタップされているか確認しましょう。
また、クリックマップではリンク先がない場所をクリックした「誤クリック」箇所の把握も可能です。誤クリックは、コンバージョンの機会損失につながるため早急に改善を行う必要があります。
リンク先がない場所をクリックされている場合は、リンク先の設置やクリック位置をわかりやすいデザインにするなどの改善を行いましょう。
ヒートマップツール選定のポイント
ここではヒートマップツールを選定する際に、押さえておきたいポイントについてご紹介します。
必要な機能が搭載されているか
ツールによって利用できる機能はさまざまなため、自社に必要な機能が搭載されているか確認しておきましょう。まずは、先ほどもお伝えした主な機能で自社に必要なものはどれか、把握しておきましょう。
対応デバイス
PCでのヒートマップの他に、スマートフォン、タブレットなどマルチデバイスに対応しているツールがあります。自社サイトに訪れるユーザーがスマホユーザーが多い場合には対応デバイスについても確認が必要です。
サポート体制の有無
選定するツールのサポート体制の有無についても確認しておきましょう。導入後のトラブルや不具合の際の問い合わせ先や、海外のツールの場合には、日本語に対応しているかなども確認が必要です。
併用すべきツール
ヒートマップの活用の際には、アクセス解析ツールの併用がおすすめです。
デメリットでもお伝えしたように、1ページごとの解析しかできないヒートマップですが、解析ツールを併用することでユーザーが直前に閲覧していたページや、移動先のページまで把握することができます。
例えば、アクセス解析でサイト全体の中から改善すべきページを見つけ出し、ヒートマップでそのページの改善を行うことができます。その結果、サイト全体としての最適化を行えるようになるのです。
ヒートマップツールは、いわゆるアクセス解析の部類に入りますが、ツールの併用は、ヒートマップツールだけではわからなかったユーザー行動を、より深く理解することができます。
まとめ
ヒートマップでは「見てほしい箇所が実は見られていない」「予想外のところをクリックされている」「まったくスクロールされていない」などの情報を簡単に可視化することができます。
ヒートマップの導入は、これまで把握できていなかったユーザー行動を理解することができ、自社サイト改善に大きく役立つツールと言えるでしょう。
まずは自社にはどのような機能が必要なのかしっかりと洗い出しを行い、自社に合ったヒートマップツールの導入を進めましょう。