展示会出展を成功させるためのKPI策定たとは?"出て終わり"にしないためのポイント

BtoBの展示会は5月~10月ごろが最も開催数が多いため、BtoBのマーケティング担当者の方は、毎年時期が近づくにつれて対応で忙しくなるのではないでしょうか。
弊社も毎年複数の展示会に出展していますが、近年ではWeb施策を中心とした他のマーケティング施策との連動の重要性と、そこまで想定したKPI設定や効果測定の必要性を感じる場面が増えています。
今回は、そう考える背景と、我々も実践しているKPI設定と効果測定の方法についてご紹介いたします。
展示会に出展するメリット
展示会への出展は、次のようなメリットがあります。
- ・一度に多くの見込み顧客に会える
- ・認知拡大効果がある
- ・既存顧客とのコミュニケーションの場になる
展示会の一番大きなメリットは、一度に多くの見込み顧客に会えるということです。
規模によりますが、多ければ数万人単位の人が展示会には参加します。多くの参加者と接点を持つことで、名刺交換ができたり、うまくいけばそのまま商談につながる可能性もあるのです。
また展示会には企業やサービスの認知拡大効果もあります。展示会参加者の目的は情報収集であることが多いので、うまく興味を引く打ち出し方をすれば多くの人に存在をアピールできます。
さらに、展示会の出展は新規顧客の開拓だけではなく、既存顧客とのコミュニケーションの場としても活用可能です。「今度展示会に出展するので、ぜひご来場ください」と声かけすることで、連絡を取る動機にもなり得ます。
展示会マーケティングを成功させるうえで必要な考え方
とはいえ、展示会にはただ出展すればいいというものではありません。展示会マーケティングを成功させるためには次の考え方が大切です。
- ・展示会の目的をはっきりさせる
- ・展示会をマーケティング活動の一環として捉える
展示会の目的をはっきりさせる
多くの企業が陥りがちなのが、展示会の出展自体が目的となってしまっていることです。
展示会は多くの見込み顧客と直接コミュニケーションが取れる場です。すぐには受注につながらずとも、継続してフォローすることで受注につなげることができます。
そのため、本来の展示会の目的は、「できるだけ多く名刺やアポを獲得すること」になります。単純に話を聞いてくれた人が多かったから成功というわけではないのです。
目的をはっきりさせることで、どのような訴求をするべきか、どのような配布物を用意するべきなのかが明確になります。これは展示会だけでなく、全てのマーケティング活動においても言えることです。
展示会をマーケティング活動の一環として捉える
冒頭でも少し触れましたが、展示会の効果測定で大切なのは、展示会を単体の施策と捉えるのではなく、他の施策と連動したマーケティング活動の一環として捉えるということです。
色々なデータを見ても、現在BtoBの製品購買において最も重要な情報源はインターネットです。展示会でお会いしてすぐに受注するケースもあるとは思いますが、多くの方は展示会に来場する前後にインターネットで情報収集をしたり、資料請求をしたりしてから検討が始まります。
あるいは、1年後に検討がスタートするかもしれません。定期的に接点を持っていれば、そこから受注に繋げることも可能です。
展示会に来場する見込み客の方の、製品への興味度合いや購買フェーズはさまざまなので、そのフェーズに合わせた対応が必要です。
展示会の時間的な捉え方とKPI
展示会を時間的にどのような施策として捉えるか、考え方は2つあります。
- 1:直近の受注を獲得するための施策
- 2:中長期で受注する見込み客の情報を獲得する施策
1の考え方はわかりやすいですね。展示会に出展して、その後3ヶ月以内程度で受注に至る案件を狙う施策という見方です。しかし、このようなすぐに受注しそうな見込み顧客は、そう簡単に見つけられません。
一方、2は1と比べると運用するのが難しいですが、中長期でフォローをして受注につなげるための施策です。しかし、展示会で名刺交換をした人のほとんどがこの2に該当するので、成約率を上昇させるには中長期のフォロー体制を整えるのが有効的な手段でしょう。
2の施策については、現在ではインターネットの登場によって体系的なマーケティング活動として格段に進めやすくなっています。
インターネット登場以前は営業が属人的に名刺を管理しアプローチをしていましたが、今は顧客接点の多くはインターネットに置き換わり、インターネット上でのコミュニケーションは1対nで行うことができること、履歴やデータを蓄積できることにより大幅に実施しやすくなりました。
展示会マーケティングはこの短期・中長期、両方の受注を創出できる施策です。展示会で獲得した名刺情報はすぐに案件化しなければ放置される傾向にありますが、きちんとした方法でフォローすれば中長期で案件創出に寄与できます。
では、短期と中長期、それぞれのKPIについて見ていきましょう。
1:直近の受注を獲得するための施策としての展示会とKPI
直近の受注を実現するためには、名刺を獲得した後の即フォローが重要です。展示会には同業他社も出展していることも多いでしょう。直近の受注がありそうな見込み客は同業他社のブースに立ち寄っている可能性も高いです。
この時、ほぼコンペは避けられません。展示会が終わったら(名刺交換したら)できるだけ早く次の商談の機会を頂きましょう。
ごく短期で受注が見込める場合のKPIとして、「すぐ商談になりそうな名刺の数」をAグループの名刺の数として追っていきます。この名刺はすぐに商談になる可能性が高いですが、同時にコンペになる可能性も高いです。
直近の受注=Aグループの名刺の数からの商談数×受注率となるケースが多いです。
ちなみに、A以外の名刺はB・Cに分類します。
- B:すぐに商談にならないが、ターゲットである
- C:ターゲットではない
という分類です。
B・Cは展示会場ではすぐに商談にならないと判断していますが、極力フォローを早く行うことで直近の受注につながる可能性があります。
具体的にはお礼メールを送付し、その後のサイト来訪状況を確認することで興味の高い顧客にアプローチでき、直近の受注につながるというケースがあります。
2:中長期で受注する見込み客情報を獲得する施策
上記のB・Cの名刺で直近の受注にならなかった名刺が中長期でフォローすべき名刺です。このような名刺群に対してもメール配信と営業によるコールを展示会後に行います。
このような中長期での受注が見込める場合のKPIは、A・B・Cグループごとの名刺獲得数・商談数・受注数です。これらの数字を展示会ごとに把握し、施策の改善をします。
例えば、Aからの商談化率を上げるために、Aの名刺の方とは展示会場でアポイントをFIXしていまうという施策が考えられます。そしてその施策を実行するために、展示会場で営業のスケジュールを確認できるように準備する必要もあるでしょう。
また商談化・受注率については、どれくらいの期間を一区切りにするかによって変わります。参考として弊社では6ヶ月で一旦振り返る事にしています。半年で振り返った時の数字をもとに、どの数字を上げるためにどのような施策をとるか、を考えています。
必ずしも6ヶ月である必要はありません。しかし、一定期間で同じ指標で振り返りを続けることで、毎年展示会の運用が改善できます。もっと中長期で施策の費用対効果をレビューしたいということがあれば、更にその期間を伸ばしても良いと思います。
展示会を活用したマーケティングで成果を上げよう
展示会場に何年も足を運んでいると、毎年同じようなブースで同じようなメッセージで、あまり人員も投下せずに同じように運用している企業様のブースを拝見します。今回ご紹介したようなKPIと一定期間での振り返りをもとに施策を考えると、展示会からの効果が変わってくるのではないでしょうか。
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