休眠顧客を掘り起こす方法と効率的に行う4つのポイント

過去に自社商品の購入や検討をしてくれた顧客であっても、その後継続的に購入・検討してくれるとは限りません。特にBtoBでは、取引金額が高額なことや検討期間が長いことから休眠顧客が増えやすいという傾向にあります。
そこでこの記事では、休眠顧客となってしまう理由や、掘り起こしの方法、効率的に掘り起こしを行うコツまで詳しく解説していきます。
休眠顧客とは
休眠顧客とは、これまでに商談や取引があったものの、商談の途中で失注となってしまったり、取引中だったサービスの利用が中断され、その後一定期間購入がない顧客のことです。
BtoBビジネスにおいては、BtoCに比べ取引金額が高額なものが多いため、購入までの検討期間が長い傾向にあります。このように検討期間が中長期化することで、営業部門が全ての見込み顧客をフォローすることが難しく、休眠顧客となってしまうことが多くあるのです。
休眠顧客の掘り起こしで得られるメリット
新型コロナウイルスの影響により、これまで行っていた対面での商談や、セミナー、展示会といった多くの営業活動が制限され、新規顧客の獲得が難しくなりました。
そこで、既存顧客である休眠顧客の掘り起こしが注目されています。休眠顧客の掘り起こしは、一度は自社の商品やサービスに興味をもってくれた顧客であり、ニーズや課題などの情報を把握できているため、新規開拓よりも低コストで効率的に案件を創出することができるのです。
また、休眠までの利用状況や、休眠期間、休眠理由を把握し分析を行うことで、顧客ニーズや製品の改善点などに気が付くことができれば、それを活かし、今後の製品の改善を行うことができるのもメリットといえます。
休眠顧客となってしまう3つの理由
休眠顧客の掘り起こしには、休眠になってしまった理由を把握し、理由に合わせた掘り起こしを行う必要があります。ここではまず、3つの休眠理由について見ていきましょう。
1.商品や価格への不満
休眠顧客となる理由の1つは、顧客が求めている効果を感じられないなど、自社の商品やサービスに満足していないことです。さらに、値上げや価格改定などの価格への不満が解約の要因となることも考えられます。
2.顧客状況の変化
時間の経過や、企業のビジネススタイルの変化により商品やサービスが必要なくなった場合、休眠顧客となり得ます。
このような顧客状況の変化による解約は、自社に新たなビジネススタイルに対応する商品がない場合には、掘り起こしを行うのは難しいでしょう。
3.他社との取引により自社を忘れている
以前に自社商品を購入していたが、より良い商品を見つけ他社に乗り換えてしまった場合や、自社商品購入の検討や比較の後、他社商品の契約に至った場合に、自社の存在を忘れてしまっているケースです。
この場合、離反顧客である可能性が高いため、掘り起こしを行うのは容易ではありません。
休眠顧客を掘り起こす3つのステップ
ここでは、休眠顧客掘り起こしの3つのステップについて見ていきましょう。
1.休眠顧客を分類する
休眠顧客の掘り起こしを行う場合、ターゲットごとに合わせた適切な訴求を行うことが重要です。そのためにも、まずは休眠顧客を2つのセグメントに分類します。
・一度購入したが、その後の購入がない顧客
この場合、商品やサービスが顧客の求めるものでなかったことや、商品や価格などなんらかの不満があった可能性の高い顧客と判断できます。
・複数回購入履歴があるが、最近購入がない顧客
この場合は、商品やサービスに対して不満はなかったが、ビジネススタイルが変わったことで商品を購入する必要がなくなったなど、顧客状況の変化による離反が考えられる顧客となります。
2.休眠理由別に効果的なアプローチ法を検討する
ここでは、セグメントしたそれぞれのターゲットの休眠理由に合わせて、アプローチ方法を検討していきます。
・商品の品質への不満
商品に不満があり休眠してしまった顧客に対しては、DMやメールなどを通して自社商品の機能や利用することで顧客が得られるメリットについて、改めて訴求を行いましょう。
また顧客が不満に思う要素がわからない場合には、アンケートなどで意見や不満を直接聞くことも効果的です。顧客の意見を聞くことで、顧客は「自分の意見を聞いてくれた」と顧客満足度の向上につながったり、その意見をもとに商品のブラッシュアップができれば、休眠顧客の掘り起こしとなる可能性が高まります。
・価格への不満
商品の価格に対して不満を持っている顧客に対しては、お得な料金プランの提示や割引、クーポンの配布など、価格面でのメリットを訴求しましょう。
価格に対して、商品やサービスが見合うと感じてもらうことで再購入の可能性が高まります。
・ビジネススタイルの変化
ビジネススタイルの変化により、自社商品が必要なくなってしまった場合には、新たな使い方の提案や、別商品の提案を行いましょう。
・以前の購入を忘れている
自社での過去の購入を忘れてしまっている場合には、まず自社での購入があったことを思い出してもらえるよう、メッセージを送ることが効果的です。
さらに、他社での契約により休眠してしまった場合には、他社商品との差別化を図るメッセージを送ることも一つの手です。
3.アプローチ手段の選択
アプローチ方法が決まったら、休眠顧客にどのような手段でメッセージを届けるか選択しましょう。ここでは、有効的な3つの手段をご紹介します。
・メール
比較的低コストですぐにとりかかれるのがメールのメリットですが、開封率を高めるためには、開封したくなる件名の設定や、メリットを伝える本文にすることを意識する必要があります。また顧客の休眠理由に合わせて、内容を変えることも重要です。
メール配信後は、不達率、開封率、クリック率を分析し、PDACサイクルを回していくことも重要となります。
・DM
デジタル化が進む昨今ですが、オフラインの施策であるDMも根強い人気があります。手元に現物が残ることから、特別感を演出することができます。
メール同様、開封率を高めるための文言や、クーポンの添付やDM特典を付けるなどし、効果的な訴求を行いましょう。
・電話
メールに比べ、手間やコストはかかりますが、休眠顧客の状況や温度感が直接わかることから有効な手法といえます。会話の中で、休眠理由を明確にすることができれば、それに応じた商品の提案や、サービスの改善に役立てることができます。
休眠顧客を効率的に掘り起こす4つのコツ
ここでは、休眠顧客を効率的に掘り起こす4つのコツについてご紹介します。
1.休眠期間が短いうちにアプローチを行う
休眠期間が長くなるとそれだけ顧客は、自社商品に対しての興味が薄れていきます。そこで休眠期間ができるだけ短いうちにアプローチを行える体制づくりが重要です。
そのためにはまず、「休眠顧客」の定義を明確にしておきましょう。例えば、最終購入日から〇か月や〇年など、明確な期間を定めておくと管理しやすくなります。
2.顧客理解を深める
休眠顧客の掘り起こしを行うためには、「なぜ自社での購入を辞めてしまったのか」という原因を知ることで、効果的な施策を行うことができます。解約の原因を明確にするためにも、まずはしっかりと顧客心理に寄り添って理解を深めることが大切です。
3.優先順位を決める
全ての休眠顧客に対して、施策を実行するのは効率的ではありません。同じ休眠顧客の中でも、休眠期間や、休眠理由によって見込み確度の違いがあるため、確度を見極め、見込み確度の高い顧客にターゲットを絞ってアプローチを行うことが重要です。
4.ツールを活用する
休眠顧客を効率的に掘り起こすためには、適切な顧客管理が重要です。
SFAやCRMなどのITツールでは、顧客ごとの休眠期間、休眠理由、休眠までの利用状況などさまざまなデータを一元化して管理し、分析を行うことができます。このように顧客情報を適切に管理することで、それぞれの休眠顧客に合わせ、より効果的にアプローチを行うことができるようになります。
まとめ:休眠顧客の掘り起こしは売上向上への近道になる
新規顧客の獲得が難しいとされている昨今で、既存顧客である休眠顧客の掘り起こしは、売上の向上に大きく影響します。
顧客ごとの休眠理由をしっかりと把握し、それぞれに合わせた施策を行うことで効果的に掘り起こしを行えるでしょう。まずは、休眠顧客の情報を精査し、アプローチ方法や、手段について検討していきましょう。