Sales Tech(セールステック)とは?主要7カテゴリーやカオスマップを紹介
「Sales Tech(セールステック)」とは「Sales」と「Technology」を掛け合わせた造語であり、ITを活用して営業活動の作業の効率化や売上アップを目指す製品やサービスのことを指します。営業のデジタル化への意識の高まりに伴い、近年日本国内でシェアが拡大しつつあります。
最近話題の「○○ Tech(テック)」という言葉を皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。ICTやクラウド、AIなど、さまざまなテクノロジーの劇的な進化により、今までアナログだった領域にも、テクノロジーを活かしていこうという新たな市場が開拓されています。
今回は、営業領域で急速に広まっている「Sales Tech(セールステック)」について詳しくご紹介します。
Sales Tech(セールステック)とは
「Sales Tech(セールステック)」とは「Sales」と「Technology」を掛け合わせた造語であり、ITを活用して営業活動の作業の効率化や売上アップを目指す製品やサービスのことを指します。
日本ではまだまだ聞きなれない言葉ですが、欧米では多くのスタートアップ企業が参入するなど、すでに市場が確立されつつあります。
Sales Tech(セールステック)の7つのカテゴリー
カオスマップを見てみよう
各企業の資金調達状況や業界レポートをVC(ベンチャーキャピタル)や事業会社向けに提供しているCB Insightsが、以下のようなカオスマップを公開しています。ここから分かるように、すでに多くの企業がこの「Sales Tech」の領域に参入しています。
▼SalesTechカオスマップ
- 出典:
- CB Insights - Blog
- Cold Call: 65+ Companies Transforming The Sales Tech Landscape
Sales Tech(セールステック)に含まれる7つの領域
カオスマップを見ると、Sales Techの中にもいくつかの領域があることが分かります。
各領域について、それぞれご説明しましょう。
1、Sales Enablement & Acceleration(セールス・イネーブルメント&アクセラレーション)
この領域には、「営業加速ツール」と呼ばれるツールが分類されます。具体的には、マーケティングオートメション(MA)とCRMなどの顧客管理ツールの間をつなぐようなツールが当てはまります。営業活動におけるさまざまな業務をデータ化し、それらをもとにより効率的な活動ができるようにします。
特にセールス・イネーブルメントは、「営業活動の改善に必要な要素」をトータルに考えようという概念で、研修やシステム、コーチングといった個別の施策をバラバラに取り組むのではなく、トータルで見ることで効率化・最適化を図ることを目的に、それらを管理するツールを指します。
2、General CRM(ゼネラルシーアールエム)
いわゆる、「顧客管理システム」の領域です。営業活動を商談、顧客ごとに追跡できるアプリケーション群が分類されます。具体的には、パイプライン管理システムやメールの追跡ツール、オンライン予約システムなどが当てはまります。
特に、外出の多い営業職にとっては、出先で簡単に確認できるCRM は欠かせないツールとなっています。 ますますモバイル化が進む現代のビジネス環境のなかで、クラウドツールを中心に成長し続けている市場です。
3、Custmer Experience(カスタマーエクスペリエンス)
顧客の体感価値を最大化するためのソリューション領域です。例えば、サイトに訪問したユーザーの訪問回数や流入経路に合わせて適切なポップアップを配信するWeb接客ツールや、チャットツールなどが当てはまります。
顧客のオンラインでの体験を価値あるものにすることで、売上をさらに伸ばしていくことを目的としているツール群です。
4、Contact & Communication(コンタクト&コミュニケーション)
こちらは、顧客とのやり取りやインバウンド対応の最適化を図るためのソリューション領域です。コールセンターシステムや顧客からの電話内容を分析してオペレーターにベストアンサーをサジェストするツールなどを用いて、お客様との直接のやり取りの質を向上させます。
5、Peaple Development & Coaching(ピープル・デベロップメント&コーチング)
ピープル・デベロップメントとは、いわゆる「人材開発」のことです。営業パーソンの教育やモチベーションの向上を図るツールやシステムが当てはまります。例えば、新卒・新人社員向けの教育資料動画プラットフォームや、オンラインでのロールプレイング、評価ができるツールなどがあります。
6、Intelligence & Analytics(インテリジェンス&アナリティクス)
営業上のデータ活用を最大化するためのソリューション領域を指します。例えば、各ツールのKPIをダッシュボード化し、GUI(Graphical User Interface)で簡単にデータ分析ができるツールや、営業パーソンの商談中の会話の分析ツールなどが当てはまります。
7、Customer Support(カスタマーサポート)
文字通り、カスタマーサポートを最適化するためのソリューション領域です。FAQサイトを簡単に構築・管理できるツールや、ヘルプデスク最適化のためのツールがこれに該当します。お客様のサービス継続率を高めるための、サポートの質の向上を測ることを目的としたツールが多く存在します。
これらの7つの領域を合わせて「Sales Tech」と呼称します。
欧米でのSales Tech(セールステック)の現状
スタートアップの参入と資金調達
欧米では、Sales Techの領域に多くのスタートアップが参入しています。なかにはすでに資金調達を実現している企業も少なくないようです。CB Insightsによると、2016年に資金調達を行ったSales Tech領域のスタートアップ企業のうち、約66%がシリーズA(※)未満とのことです。
※スタートアップに対し、ベンチャーキャピタル等が出資する段階のひとつで、起業したばかりのスタートアップ企業に対してなされる投資のこと。シリーズAの投資は製品の企画/開発やそれに伴う技術開発などに対してなされる。
つまり、まだ世の中に名前の知られていないSales Techベンダーが数多く存在しており、そういった企業の成長スピードによっては、Sales Tech市場は非常に大きな市場となる可能性がありますし、営業活動を最適化してくれるソリューションが、皆さんの前に数多く現れるかもしれません。
▼ステージ別資金調達の動向
- 投資ステージ:
- 早期取引→Seed、SeriesA
- 中間段階→SeriesB、SeriesC
- 法人向けの少数株主持分と転換社債を含む「その他」→Other
- 出典:
- CB Insights - Blog
- Investing In Sales: New High In Funding And Deals To Sales Tech Startups
なぜこれほどまでにスタートアップ企業の参入が多いのでしょうか。
それは、ITサービスの価格の低下とクラウドの発達に大きな要因があります。これまでオンプレミスが主流だったシステムがクラウド化によってより安価に開発・導入ができるようになったことが、スタートアップ企業でも参入しやすくなった背景の一つと言えるでしょう。
Sales Tech(セールステック)が必要とされる背景
ここまで、Sales Techに含まれる領域についてご紹介してきました。
ではなぜ今、このSales Techが注目され始めたのでしょうか。 その要因は大きく分けて2つあると考えられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
要因1 営業活動が抱えるリソース不足
- 出典:
- 総務省「我が国の労働力人口における課題」
- http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc111110.html
これまでの営業活動は、営業の人数を増やして「数」で勝負するスタイルが主流でした。しかし上図のように少子高齢化により、年々労働人口が減少し、営業人員の拡充も困難になりつつあります。 また、昨今の「働き方改革」の潮流により長時間労働が見直され、営業パーソンはより短時間で成果を上げることが求められています。
つまり、限られた営業リソースで成果を上げるためには、営業活動をより効率的に行う必要があると言えます。そこで、人間でしかできない業務を営業担当が、ITで解決できる業務はITツールに任せるという流れが進み、Sales Techが注目されるようになったのです。
要因2 営業支援ツールのIT化、モバイル化
これまでも、SFAやCRMなどの営業支援ツールは存在していました。しかしそれらのツールは営業担当が「正確に」数字を入力していることを前提として成り立つツールであり、外出が多く忙しい営業現場では情報のアップデートが遅くなってしまったりと、なかなか定着しませんでした。
しかしモバイル端末の普及によって、外出先でも活用できる営業支援ツールが増え、忙しい営業パーソンでも簡単に入力ができるようになりました。その結果、ほぼリアルタイムにお客様情報が更新されたり、分析用のデータを蓄積することができるようになったのも、Sales Techが普及し始めた背景にあると言えます。
また、AI技術の発展もSalesTechの普及に一役買っています。過去のデータに基づいた分析・予測がより正確に行えるようになり、効率的に成果を上げるためにどんな活動をしたらよいかが分かるようになりました。
これまでの営業活動とこれからの営業活動
高度経済成長期以降、「営業活動」は経験、勘、気合いの3Kだと揶揄されていました。しかし、テクノロジーを活用することで、個人の経験や勘に頼らずに、また、根性論ではなくロジカルに行えるものに変わりつつあります。
今後の営業活動で求められるスキル
テクノロジーを活用した営業活動を実践するためには、従来の仕事の仕方に固執せず、柔軟に新しい技術を取り入れていく姿勢が必要不可欠です。 そのために、常に新しい情報を仕入れるための「アンテナ」を鍛えておく必要があります。日々情報収集を欠かさないようにしましょう。
また、営業マネージャーには数字を見て素早く判断をするスキルが求められます。ほぼリアルタイムで各営業のパフォーマンスやお客様のデータが共有されるので、その情報をもとに、チームや事業部で最大の成果を出せるよう、日々戦略を見直していきましょう。
まとめ:Sales Tech(セールステック)を活用してみよう
今回ご紹介したソリューション群の中には、まだ日本語に対応していないものも多くあります。無料で活用できるツールが多いので、まずは一度トライアルを行ってみることをお勧めします。
本ブログをお読みいただいて、「営業活動にテクノロジーの活用が全くできていないな...」と感じられた方は、これを機に導入の検討をしてみてはいかがでしょうか?
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