【法人営業向け】営業の初回訪問に欠かせない事前準備とは?

法人営業における初回訪問の役割は、皆様の企業にとってどのようなものでしょうか。初回訪問時には、目に見える製品・サービスの内容への評価と同時に、今後この会社と付き合っていきたいか、もっと言ってしまえば、今後この営業担当と付き合っていきたいかという目に見えないジャッジが行われます。
言い換えれば、「信頼を得ることができるかどうか」ということです。そしてこの信頼へのジャッジは、ほとんどの場合初回訪問時に行われるのです。
そこで本記事では、新人でも信頼を得ることができる方法について、「初回訪問の事前準備」にフォーカスして、紹介していきます。
- ▼この記事でわかること
- ・初回訪問が法人営業において重要視される理由
- ・信頼を得るために必要な事前準備のポイント
- ・実践的なチェックシートの作り方と活用方法
- ・新人営業が準備に失敗しがちな原因とその解決策
BtoB営業にとって初回訪問が重要な理由
初回訪問は、自社の商品やサービスを提案する場であると同時に、見込み顧客が自社を取引に値する企業であるかジャッジする場ともなります。
自社の商品やサービスによっても異なりますが、単価の低いものであれば初回訪問時にその場で購入を決めてもらうことが一番のゴールになるかもしれませんし、単価の高いものや複雑なサービスであれば、まずは興味を持ってもらい次回の打ち合わせ日を決めるところがゴールかもしれません。
もちろん中には、製品やサービスにエッジがたっていたり、独自性の強い製品・サービスであったりするため、商談機会の創出そのものが成約に直結することもあります。しかし、ほとんどの場合は競合がいるため、たとえ優れたマーケティングによって多くの商談機会を得ても、「信頼」を得ることができなければ失注することになります。
つまり初回訪問では、商品やサービスの内容への評価と同時に、今後もこの会社と付き合っていきたいかといった目には見えないジャッジが行われているのです。マーケティングがどれだけ進歩しても、最終的な導入判断は「人」が下すため、企業や営業への信頼といった目に見えないジャッジは、依然重要であるといえるでしょう。
準備事項チェックシートで事前準備を効率化しよう
ベテラン営業であれば、アポイントを獲得した時点で準備のイメージができていることがほとんどですし、タイムコントロールもできるので、商談前までに準備を終わらせることができます。ところが、新人だとそうはいきませんので、悩んでいるうちに商談当日を迎え、直前になって準備が何もできていない......なんてこともあります。
そこで事前準備には、ある程度マネジメント側のチェックや働きかけが必要になります。しかし、マネジメント側も多くの場合はプレイヤーでもあることが多いため、新人一人ひとりをつきっきりでみていくことは出来ません。
そこで効果を発揮するのが「チェックシート」の活用です。たとえば、同行前日までにはチェックシートを提出してもらい、不足があれば準備を促すなどすれば、効率よく新人営業の準備を見ていくことができます。
初回訪問前のチェックシート作成方法
初回訪問を成功に導くためには、事前準備の質が重要です。商材や業界によって準備すべき内容は多少異なるものの、どんな営業現場でも共通して押さえておきたい基本項目があります。ここでは、以下の汎用性の高いチェック項目を3つに整理してご紹介します。
- ①訪問企業の情報収集
- ②提案内容の仮説立て
- ③ヒアリング事項
チェックシート項目①訪問企業の情報収集
チェックシートの作成に当たり、まずは訪問企業の情報収集を行いましょう。
- 会社について
- まずは、訪問先の企業情報についてしっかり情報収集を行いましょう。一般的な企業情報とは以下の通りです。
- ・代表者氏名
- ・設立年
- ・従業員数
- ・資本金
- ・主な事業内容
- ・拠点数
- ・組織図
- ・主要取引先
- ・グループ会社/関連会社
- 商談相手について
-
次に、商談相手となる担当者について調べておきます。部署や役職から想定されるミッションについても把握しておきましょう。Facebookやセミナーの登壇情報など、インターネット検索で調べられる情報を参考にすることができます。
- ・所属部署・役職・想定されるミッション
- ・SNSや講演登壇情報などからのパーソナリティ把握
チェックシート項目②提案内容の仮説立て
初回訪問する前には必ず、提案内容の仮説を立てておきましょう。まずは、事前に調べた企業情報や、担当者の情報をもとに訪問企業が「自社との取引を検討している理由」について把握し、それに対して「自社ができる提案」についての仮説を立てましょう。
- ・なぜこの企業が問い合わせてきたのか?
- ・どのようなニーズを想定できるか?
- ・自社のどのサービスがフィットするか?
仮説を持って臨むことで、ヒアリングの質も向上します。
チェックシート項目③ヒアリング設計
まずは、初回訪問の一般的な流れについて確認しておきましょう。
- ・アイスブレイク
- ・自己紹介や会社紹介
- ・ヒアリング
- ・クロージング
初回訪問は上記のような流れで進めていきますが、中でも一番重要となるのがヒアリングです。このヒアリング項目についても事前に準備しておくことでよりスムーズな商談となります。
ここでは、BANT条件を踏まえてヒアリング事項について確認しておきましょう。 まずBANT条件とは、
- ・Budget(予算)
- ・Authority(決裁権)
- ・Needs(必要性)
- ・Timeframe(導入時期)
の4つの頭文字を取ったものです。商談時のヒアリング項目としてこれらの情報を確認しておくことで、「商談成立の可能性がどれくらいなのか」を把握しやすくなります。
- ・予算
- 予算については、商談の中でもできるだけ早めに把握しておくことが大切です。顧客の予算規模によって提案する商品やサービスも変わるため、商談の初めに具体的な金額を聞き出しましょう。この時、「希望の予算に合わせて最適な提案をさせていただくため」と伝えることが効果的です。
- ・決裁権
- BtoBの場合、購入決定に至るまで様々な担当者を経ることが多いでしょう。ここでは、いきなり決裁者が誰なのか聞くのではなく、購入に至るまでにどのような稟議フローを辿るのか聞き出しましょう。
稟議の流れを把握しておくことで決裁者が誰かわからなくても、最終決裁権者を推測することができます。 - ・必要性
- 顧客が現状何に困っているのか、その課題や悩みに対して、自社の商品やサービスがどのように課題解決に貢献できるのかというように顧客視点に立って課題やニーズを引き出していきます。
顕在化された課題やニーズがない場合でも、顧客の状況や困っていることを聞き出すことで、顧客自身もまだ気づいていない潜在的なニーズの発見につながります。 - ・導入時期
- 導入時期については、早い段階ではまだ具体的に決まっていないことも多くあります。このような場合は、こちら側からスケジュールを提示することで導入時期を具体化しやすくなります。
検討、承認などの具体的なスケジュールを提案していくことで、導入時期を定めていくことができます。
このようなチェックシート項目をあらかじめ用意しておくことで、マネジメント側と新人の間で共通認識をもっておけば、効率的な事前準備をしていくことができ、また事前準備の進捗についても簡単に共有し合うことができます
事前準備が浸透しない原因とその解決法
新人が事前準備に対して漏れがあったり、モチベーションが上がらなかったりする原因としては、次の3点が挙げられます。
- ①何を準備したらいいか分からない
- ②事前準備の重要性を理解していない
- ③事前準備をしていたから上手く行ったという成功体験がない
①何を準備すればよいか分からない
新人営業が事前準備に戸惑う最大の要因は、「何を、どこまで準備すれば良いのかが分からない」という曖昧さにあります。曖昧なままでは、優先順位も分からず、結果として準備が後回しになりがちです。
そこで有効なのが、チェックシートを使った準備項目の明確化です。訪問企業情報・仮説立案・ヒアリング項目など、あらかじめ必要な準備をリストアップしておけば、迷いなく行動に移すことができます。
また、上司側もチェックシートを見ることで、「どの項目が準備できていないのか」を把握しやすくなり、指導の効率も向上します。
②事前準備の重要性が理解できていない
準備をする意義を新人が実感できていない場合、どれだけやれと言っても行動は変わりません。
この場合は、過去の商談の成否と準備の有無を結びつけて伝えることが効果的です。たとえば、「この提案が通ったのは〇〇の準備があったから」「逆に失注したのはヒアリング設計が甘かったから」といったように、成功・失敗の背景を明確に伝えることで、準備の重要性が分かります。
特に新人は経験が浅いため、準備が結果にどう影響するのかが見えにくい状態です。だからこそ、実体験ベースのフィードバックを積極的に行うことで、理解と納得を促せます。
③成功体験がない
新人が事前準備を前向きに取り組めない理由の一つに、「準備してうまくいった」というポジティブな体験がないことがあります。つまり、「やったことが報われた」と感じられる経験がまだないのです。
このような場合は、擬似的に成功体験を積ませる場を設けることが効果的です。たとえば営業チームで定期的に商談成功事例の共有会を開き、「なぜその商談がうまくいったのか」「どんな準備をしたのか」などをメンバー同士で分析・共有する仕組みをつくると良いでしょう。
「他人の成功から学ぶ→自分に置き換える→次回やってみる」この流れをつくることで、新人が準備の意義を実感しやすくなります。
さいごに
事前準備は時間もかかり、「めんどうだ」と感じる新人もいるかもしれません。ただ、初回訪問が営業においてとても重要だというのも事実です。
これらの取り組みを地道に行うことで、新人にも無理なく事前準備の重要性を伝えることができ、組織全体の営業力向上につながります。
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