成果につながる営業資料の作り方とは?資料作成の手順とコツ
市場の変化により、対面営業だけでなくオンラインでの営業活動を行うことも増えている昨今ですが、どちらの営業方法でも欠かせないのが営業資料です。
この記事では、営業の商談化率や受注率向上につながる営業資料の作り方と、意識しておきたいポイントについて解説していきます。
営業資料が重要とされる理由
商談の際に、口頭だけでは難しい商品説明も、自社の商品やサービスの情報をまとめた営業資料があることで、より効果的に商談を進めることができます。昨今では、新型コロナウイルスの流行により、対面での営業活動が制限される中、オンラインでの商談を行うことが主流となってきており、これまで以上に営業資料が重要視されるようになりました。
オンライン営業は、対面での営業に比べ、営業担当者の顔や表情などを見ていることが少なく、温度感が伝わりづらかったり、コミュニケーションが難しいことが課題とされています。さらに、そこで活用される資料が見にくかったり、どこを話しているのかわかりづらかったりすると商談の成功は難しいでしょう。
このような課題を払拭するためにも、口頭での説明を補完でき、提案がより伝わる営業資料の作成が求められています。
営業資料を作るメリット
属人化の防止
対面営業を行う場合、営業担当者のスキルやノウハウによっても結果は大きく左右されます。そこで提案力のある営業担当者が顧客に伝えていることや、話している内容をコンテンツ化した営業資料を作成することで、提案内容が標準化され属人化を防ぐことができます。
これにより、営業部門全体で営業の質を高めることができれば、商談化率や受注率向上も期待できます。
社内検討での活用
商談相手である営業先の担当者と、実際に購入の意思決定を行う決済者が異なることも多く、その場で契約に至らないことも少なくありません。
そうした場合に、営業資料が手元に残ることで、その後の社内検討の際にも活用してもらうことができ、営業担当者がその場にいなくても、商談化や受注へとつなげることができるのです。
営業資料作成前の準備
ここでは、資料作成に入る前に確認しておきたいポイントについて解説します。
1.ターゲットを想定する
営業資料を作るメリットでも説明したように、営業資料は営業先の担当者だけでなく、決済者などさまざまな人の目に触れることを想定して作成する必要があります。
誰が見ても理解しやすく、社内検討の際にも活用してもらえる構成や内容で作成することを意識しておきましょう。
2.AIDMAモデルを活用し利用シーンを想定する
営業資料を作る際は、利用されるシーンを想定する必要があります。そこで活用できるのがマーケティングフレームワークの1つであるAIDMAです。
AIDMAとは、
- ・Attention(注意)
- ・Interest(関心)
- ・Desire(欲求)
- ・Memory(記憶)
- ・Action(行動)
の5つの頭文字を取ったもので、顧客が購入に至るまでの興味関心度合いをフェーズごとに当てはめ、見極めを行います。顧客の興味関心がどのフェーズにあるかを理解することで、フェーズに合わせた営業資料を作成することができます。
例えば、フェーズが「A・I 」の場合、まずは自社を知ってもらうためにも、資料パンフレットなど簡潔で目を惹きやすいものがいいでしょう。
フェーズが「D」の顧客には、提案資料などといった商品について理解してもらえる資料を作成します。顧客に製品やサービスについて理解してもらうため、わかりやすい資料を作ることが大切です。
さらに「M」の場合は、個別提案書など、顧客のニーズに寄り添った内容で購買につながる資料を作成します。ここでは担当者だけでなく決済者が目を通すことを想定し、明確なメリットを明示することも重要となります。
3.利用シーンに合わせた構成とデザインを考える
使用されるシーンやシチュエーションによっても資料の構成を変える必要があります。
例えばパンフレットの場合、自社を認知してもらうための資料なので、文字ばかりの資料ではなく写真や図版を活用したほうが読む人にわかりやすく興味をもってもらえるでしょう。また利用させるシーンがオンラインの場合には、文字サイズを大きくするなどの配慮も必要となります。
このようにシチュエーションに合わせ、顧客が読みやすい資料作りを心がけることが重要となるのです。
営業資料作成の手順
営業資料作成の際、顧客が読み進めたいと思う構成にすることが重要です。サービス説明や機能説明のみの資料ではなく、課題定義や導入後の効果を明示するなど、顧客ニーズに対しての提供価値が伝わる資料にしましょう。
ここでは一般的な構成例をもとに、営業資料を作成する際に押さえておきたいポイントについてご紹介します。
- 一般的な構成例
- 表紙
- 商品・サービス紹介
- 課題の提示
- 解決策提示
- 事例紹介
- 料金・導入手順
1.表紙
営業資料の表紙は、会社やサービスの第一印象を左右する重要な役割を持ちます。
まずは、どのような製品やサービスなのか一言で簡潔に紹介しましょう。簡潔に要点を伝えるためには、キャッチコピーの活用も効果的です。顧客にとってのメリットを明示することで、資料を読みたいと思ってもらうことが大切です。
2.商品・サービス紹介
次に、サービスの概要を具体的に解説していきます。
ここで重要なことは、顧客にとって使用する価値があるのかどうか伝えることです。使用することで得られる効果やメリット、さらに他社と比べたときの強みなどを明示しましょう。
3.課題の提示
顧客の抱える課題や問題点を具体的に提示することで、購入の動機づけを行います。また、課題が顕在化していない顧客でも、よくある課題を提示することで潜在的な課題に気づくこともあるでしょう。
顧客が自社に置き換えて製品やサービスの使用を想定できるよう、状況や課題を具体的に提示することがポイントです。
4.解決策の提示
解決策の提示は、購入意欲の向上につながります。課題の提示により顧客が課題を認識したら、自社製品を使用することでその課題を解決できることを提示しましょう。
5.事例紹介
顧客にとって魅力的なサービスだとわかっても、実際にそのような効果が得られるかどうか信頼できなければ購買にはつながりません。 そこで導入事例や実績の紹介で訴求ポイントの理由付けを行いましょう。
そうすることでより相手に安心感を与えられ、信頼の獲得に繋がります。また、顧客と事業領域の近い事例を紹介することでより主体性を持たせることができます。
6.料金・導入手順
次に、商品・サービスの利用料金を提示します。顧客が社内での稟議を通す際にも、明確に価格を提示しておくことが大切です。商品の価値に合う価格であることを踏まえ、きちんと説明しましょう。
複数のプランがある場合には、高価格プラン・中価格プラン・低価格プランといった料金表を記載することで、金銭的な抵抗感を払拭し、予算に合わせた商品を選定しやすくなるでしょう。
さらに、料金が発生するタイミングや作業工程といったサービス導入までの手順を記載しておくことで、顧客は契約までの流れを想像しやすくなります。
7.次のアクションを提示
営業資料を読んでもらい、顧客の購買意欲が高まったのにも関わらず、商品を購入するための連絡先やコンタクト方法が書かれていなければ購買には至りません。
そこで営業資料の最後には、会社情報や問い合わせ先など、顧客が次のアクションを起こせる連絡先の明示を忘れずに行いましょう。
資料作成時のポイント
ここまで資料作成について解説してきましたが、最後に意識しておきたいポイントについても押さえておきましょう。
読み手に寄り添った資料作成
自社が販売したいサービスの売り込みをするだけの資料ではなく、顧客の悩みや課題に寄り添った資料作成を意識しておくことが大切です。
解決の手助けとなるサービスを紹介をすることで、顧客の興味を引く可能性が高まります。また資料内で顧客が抱くであろう不安や、疑問についても先回りして予測し、記載しておくことが信頼性を図ることにもつながります。
見やすいページ作成
営業資料を作る際、読み手がわかりやすい資料づくりを心がけましょう。
- ・1ページの内容は、1メッセージに絞る
- ・オンライン上でも見やすい文字サイズの設定
- ・ビジュアルメインで文字数は減らす
- ・フォントを統一する
- ・使用するカラーは3色までにする
営業資料では、たくさんの情報を詰め込みすぎると伝えたいことがわかりづらくなってしまいます。上記のポイントを押さえ、視認性を確保した見やすいページを作成しましょう。
数字でインパクトを与える
数字を入れることで、内容に具体性を持たせ、インパクトを与えることができます。たとえば「生産性30%向上」や「10万円のコスト削減」といったように、具体的な数字で伝えることで説得力が増します。
また、反対に数字を使わない抽象的な表現は、顧客との認識の相違にもつながり兼ねません。顧客との齟齬をなくすためにも、数字で具体性を持たせましょう。
複数の資料を作成する
営業資料は、顧客の興味喚起のためのツールです。営業資料は1種類だけでなく顧客の興味や関心に合わせて、資料の内容を変えるなど複数作成しておく必要があります。閲覧率の高い資料活用を増やすことで、見込み顧客の資料閲覧率が高まり、結果、商談獲得数の向上につながるのです。
また、複数作成した資料それぞれの閲覧率を確認しましょう。閲覧率の高いものはメイン資料に活用し、閲覧率の低いものは資料の見直しを行います。
商談後の活用も考慮する
商談時に決裁者が同席していなくても、資料は決裁者にアピールできる貴重なチャネルです。営業担当者が商談時に担当者に上手に伝えられても、その担当者が社内に同じ質で展開できるとは限りません。
口頭で説明した内容は残りませんが、資料は残ります。資料が決裁者の手に渡る機会は十分にあります。資料の内容や体裁を見て、企業やサービスへの信用を判断する人が一定数存在するため、それを踏まえた資料を作成することが必要です。
定期的にブラッシュアップをおこなう
市場や競合を含め、世の中の変化スピードは上がっているため、定期的に資料を見直す必要があります。そこで、常に最新の情報となるよう最低でも四半期に一度は営業資料の見直しを行うようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。営業資料を作る際は、まず誰のための資料なのかしっかりと見極めたうえで作成に取り組むことが大切です。作成前にターゲットを明確にしておくことで、課題や不安を把握し、顧客に寄り添った内容の営業資料を作ることができます。
自社の製品やサービスを売り込むのではなく、あくまで顧客のメリットを明示した営業資料を作成することが、自社の成果へとつながっていくのです。