SaaSビジネスにおけるオンボーディングを成功させる為のポイント

継続的に商品を利用し続けてもらうことが自社に収益をもたらすSaaSビジネスにおいて、オンボーディングというプロセスが重要とされています。
そこでこの記事では、SaaSビジネスにおけるオンボーディングとは何か、取り組む目的や、具体的な施策について解説していきます。
SaaSビジネスにおけるオンボーディングとは
オンボーディングとは、顧客がサービスの利用を開始してから、自身でサービスを活用できるようになるまでの導入支援プロセスのことです。SaaSビジネスにおいて、継続的に商品を利用し継続してもらうことが自社に収益をもたらすため、このオンボーディングのプロセスが重要となります。
オンボーディングの目的
ここでは、オンボーディングに取り組む目的についてご紹介します。
解約防止
1つ目のオンボーディングを行う目的は、解約を回避することです。オンボーディングを行うことで、顧客がぶつかる課題や不安を先回りして解決することができます。
SaaSビジネスの場合、解約率を下げ継続率を上げることで利益を生み出すことができるため、解約率の軽減が重要となるのです。
アップセル・クロスセル促進
2つ目のオンボーディングを行う目的は、アップセル、クロスセルによる顧客単価の引き上げです。
アップセルとは、顧客が購入したサービスの上位品に乗り換えることで、ク゚ロスセルとは、購入したサービスの関連商品などをさらに追加購入することです。
オンボーディングにより、商品やサービスに満足してもらうことができれば、その効果をさらに高め拡大したいと考え、アップセルやクロスセルにつながる可能性が高まります。
LTV最大化
3つ目のオンボーディングを行う目的は、LTVの最大化です。
LTVとは1人の顧客と取引を始めてから終了するまでに得られる総利益のことです。
SaaSビジネスでは、継続して長く利用していただくことがLTVの最大化につながります。
オンボーディングにより継続的にコミュニケーションを取り続けることで、顧客ロイヤリティの向上につながりLTVの最大化を図ることができます。
顧客へのオンボーディングを始める前に整理しておくべきこと
顧客へのオンボーディングを実施する前に、まずは社内で整理しておくべき点について解説します。
自社製品の理解を深める
オンボーディング施策を始める際には、自社の製品について理解し整理することで、目的の達成までにどのようなフローがあるのか洗い出しましょう。
まずは、実際に製品を使用し、自分自身が自社製品について深く理解することが必要です。使ってみることで、顧客が利用したときにぶつかる課題や疑問に気が付くことができます。
オンボーディングのゴールを決める
次に、オンボーディングが完了したと判断するための基準を設定します。
例えば、「初期設定が完了している状態」や「〇日間連続で利用している」など明確に定義できるものを設定しましょう。
具体的なオンボーディング施策
自社の製品について理解し、オンボーディングの完了の定義が定まったら、具体的な手段を決め、実際に顧客にオンボーディング施策を行います。
ここで重要となるのが「タッチモデル」です。オンボーディングを行う上で、すべての顧客に同じ施策を行うにはリソースやコストがかかり現実的ではありません。
そのため今後自社にもたらされる収益の大小に応じて、顧客を「ハイタッチ」・「ロータッチ」・「テックタッチ」の3つに分類し、それぞれ異なるアプローチ方法で対応します。
ハイタッチ
ハイタッチ層は、継続的な購入が見込めたり、企業の収益に大きな影響をもたらす顧客層です。ハイタッチ顧客には定期的な訪問や、導入支援、個別勉強会などコストをかけて手厚い対応で、サービスを確実に使いこなせるようにサポートを行います。
ロータッチ
ロータッチ層は、ハイタッチとテックタッチの中間に位置する顧客層です。中間層のロータッチ顧客には、セミナー開催や活用事例を配布するなど、一度に多くのユーザーにアプローチを行います。
しかし、顧客数の多いロータッチ層の解約は企業に大きな影響があるため、定期的な接点を持ち、継続的なサポートを行うことが重要です。
テックタッチ
テックタッチ層は、見込まれる収益率が一番低い顧客層となりますが、顧客数が一番多い層です。そこでテックタッチ層には、FAQの設置のようなWeb上での情報提供などコストをかけずにサポートを行うことで、業務の最適化を図ることができます。
オンボーディングを成功させるポイント
最後に、オンボーディングを成功へと導くポイントについてご紹介します。
継続的なコミュニケーション
用意した施策を実行して終わりではなく、その後も継続的にサービスに対する意見や、不満などを聞くことで、改善点が明確になります。その結果、顧客の求める情報を、顧客が必要とするタイミングに合わせて提供することができるようになります。
このように顧客視線に合わせた情報提供が、オンボーディングを成功に導くうえで重要となるのです。
データを分析し精度を上げる
これまで行った施策のデータを分析し、ブラッシュアップしていくこともオンボーディングを成功へと導く重要なポイントとなります。
これまでのオンボーディング成功事例のみならず、解約に至ってしまった原因や、製品を利用する際の躓きやすい点などを明確化することで、オンボーディング施策をブラッシュアップすることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。SaaSビジネスにおいて、その後の継続利用に関わるオンボーディングプロセスは重要な役割を担っています。
自社の利益だけでなく、顧客にとっても大きなメリットを感じてもらうことができるため、まずは自社製品についてしっかりと社内で理解を深め、顧客視線に寄り添ったオンボーディングを行いましょう。