BANTだけじゃない!顧客を見極めるMEDDICとは?
MEDDICとは、Metrics(測定指標)、Economic Buyer(決裁権限者)、Decision Criteria(意思決定基準)、Decision Process(意思決定プロセス)、Identify Pain(課題)、Champion(擁護者)という6つの項目から構成されるフレームワークです。BANTに似ていますが、購買関係者についての指標が2つあり、より詳細な分析を行うことができるという特徴があります。
営業活動において、できるだけ見込み確度の高い顧客にアプローチを行うことが成約率を向上させることにつながります。
しかし営業担当者の中には、問い合わせの件数や見込み顧客は多ければ多いほど良いと考え、フォローできないほどの案件を抱えてしまうことがあります。このような多すぎる案件は、フォローしきれないばかりか、見込み度合いの低い案件も含まれるため、受注率が下がる原因となることも考えられます。
そうならないためにも、早い段階で見込み顧客の中から、見込み度合いの低い顧客を見極め、顧客の量よりも質を重視する必要があるのです。
の見込み顧客の見極めのために活用できるフレームワークが「MEDDIC」です。この記事では、MEDDICの概要から、MEDDICを活用する手法まで詳しく解説していきます。
MEDDICとは?
まずは、見込み顧客の受注確度を判断するために活用できる「MEDDIC」について紹介します。よく似たフレームワークとして、「BANT」についてもあわせてご紹介します。
MEDDICとは
- ・Metrics(測定指標)
- ・Economic Buyer(決裁権限者)
- ・Decision Criteria(意思決定基準)
- ・Decision Process(意思決定プロセス)
- ・Identify Pain(課題)
- ・Champion(擁護者)
MEDDICとは、この6つの項目から構成されるフレームワークです。有名な営業フレームワークであるBANTに近い指標が含まれていますが、Economic Buyer(決裁権者)、Champion(擁護者)など購買関係者についての指標が2つあるなど、BANTに比べ、より詳細な分析を行うことができるのが特徴です。
相手企業の購買プロセスのすべての側面を理解する必要のあるMEDDICは、BtoBなどの金額が大きい案件や、購買プロセスが複雑で売上予測の精度を高める必要のある案件へのアプローチに効果的な手法です。
BANTとは
- ・Budget(予算)商品を購入する予算があるか
- ・Authority(決定権)購入の決定権、もしくは決裁者に許可を得ることができているか
- ・Needs(必要性)相手が商品を必要としているか
- ・Timeframe(導入時期)導入する時期が決まっているのか
BANTとは、この4つの項目から構成されるフレームワークです。条件をすべて満たす見込み顧客は、受注確度が高いと判断することができます。
4つの条件全てを満たす見込み顧客のみに絞ることで、見込み顧客数が少なくなりすぎてしまう場合には条件を緩めたり、反対に問い合わせの数が多い場合には、条件を厳しくするなど、自社の状況に応じて使い分けることが大切です。
BANT条件を用いることで、主観による判断にとらわれず、より効率的な営業活動を行うことができます。MEDDICと比べると導入難易度は低いため、まずはBANT条件の活用を自社内で徹底することから始めましょう。
MEDDICの項目ごとの活用のコツ
営業担当者は、見込み顧客をMEDDICの6つの項目に当てはめて分析することで、客観的に評価し、確度を正確に見極めることができます。ここでは、MEDDICの各項目の活用のコツについて詳しくご紹介します。
Metrics(測定指標)
測定指標とは、見込み顧客が自社製品の導入に求める効果や利益、目的を定量化した指標です。例えば、「〇%コスト削減」や「〇%売上の向上」などがあります。
ここでは、「この製品やサービスを導入することで期待する効果は何か」や「達成したいコスト削減率」といった質問をすることで見込み顧客の要望を明確にします。
Economic Buyer(決裁権限者)
決裁権限者とは、製品導入の際の最終決裁者です。
直接決裁者にアプローチを行うことができれば、複雑な決裁プロセスを省くことができる可能性もあるため、事前に決裁者を把握しておくことが重要となります。「購入予算の管轄部署」を聞いたり、直接「最終決裁者は誰か」を聞いておくことがおすすめです。
Decision Criteria(意思決定基準)
意思決定基準は、見込み顧客が製品を導入する際の判断基準のことです。
相手企業がどのような判断基準を持っているのか把握しておく必要があります。また、例えば「使いやすさやROI、サポート体制を基準に導入を決める企業が多いです」というように、こちら側から判断基準を提示することも効果的です。
Decision Process(意思決定プロセス)
意思決定プロセスでは、相手企業が最終的な導入に至るまで、どのようなプロセスがあるのか把握することで、プロセスに沿ったアプローチを行うことができます。r>ここでは、稟議ルートや、導入までに要する時間、現段階の次のステップは何かを聞いておきましょう。
Identify Pain(課題)
見込み顧客が現在抱えている課題を把握し、その課題に対して自社製品を導入することで解決できる解決策を提示します。このとき、導入した場合としなかった場合でどれだけ利益に差があるかを具体的に提示することで、見込み顧客にリスクや自社の課題を認識してもらうことが重要です。
Champion(擁護者)
擁護者は、提示した解決策に対して関心が高く、尚且つ決裁権限者に対して影響力を持つ人物です。この擁護者は、企業の課題が解決することで影響のあるポジションであることが多く、味方にすることで成約率の向上に直結するといえます。
MEDDIC活用のメリット
ここからは、MEDDICを活用することで得られるメリットについてご紹介します。
正確な販売予測を立てることができる
MEDDICのそれぞれの項目に自社を当てはめて分析することで、自社を客観的に判断することができます。これにより、希望や主観的ではない正確な販売予測を立てることができるでしょう。企業としての業績安定のためにも、正確な販売予測を行うことは大きなメリットとなります。
進捗状況を適切に管理できる
これまで、見込み顧客の優先度合いが明確でなかった企業も、MEDDICを活用することで自社の商品やサービスを必要としている顧客の見込み度合いを正確に見極めることができます。これにより、営業担当者も自身が今取り組むべき業務が明確になり、リソースの配分を最適化することにつながるでしょう。
MEDDICCやMEDDPICCとの違い
MEDDICによく似たフレームワークに「MEDDICC」と「MEDDPIC」があります。これは、MEDDICをもとに作られたフレームワークであり、MEDDICの進化版とも言えます。ここでは、「MEDDICC」と「MEDDPIC」についてMEDDICと比較しながら見ていきましょう。
MEDDICC
MEDDICCは、MEDDICの6つの項目に「Competition」のCを加えたフレームワークです。
Competitionとは競合他社を意味し、MEDDICに加え競合他社の分析を行うことで、自社との差別化や他社と比較したときの強みや弱みを明確化することができます。
MEDDPIC
MEDDPICは、MEDDICの6つの項目に「Paper Process」のPを加えたフレームワークです。Paper Processとは契約を締結する上で必要な書類のことで、商談を進めていく中で事前に確認しておく必要のあるセキュリティチェックや、契約締結までに要する時間なども含まれます。
従来の商談は、契約締結は一番最後に行うというのが一般的でしたが、2010年以降企業のコンプライアンス強化により、商談の前半にNDA(機密保持契約書)締結やセキュリティチェックを受けることが求められるようになり、MEDDPICのPが追加されました。
このように、多様化するビジネスや市場の変化に合わせMEDDICCやMEDDPICのような概念へと進化していきました。MEDDICを含め、これらのフレームワークは自社や市場状況に合わせて使い分けることが重要となります。
まとめ:MEDDICで顧客を正しく見極めよう
効率的な営業活動を行うためには、顧客の見込み度合いを見極め、今後営業努力を続けるべき案件なのかどうか正確に判断することが重要となります。
顧客を正しく見極めるには、MEDDICやBANTを活用し分析を行うことが効果的です。自社の収益を増加させるためにも、MEDDICやBANTを活用し、担当者ごとの見極め力を高め、営業効率の向上に取り組んでいきましょう。