機会損失とは?生じる要因と対策方法

本来であれば得ることができた利益を得られなかったことによる損失を、「機会損失」と呼びます。利益の最大化を図るためにも、この機会損失を最小限に抑えることが重要です。この記事では、営業や販売業において機会損失が生じる要因や、機会損失を防ぐ方法について解説していきます。
機会損失とは
まずは、機会損失とは何か詳しく見ていきましょう。
機会損失とは
「機会損失」とは、本来利益を得ることができたであろう営業や販売の「機会」を逃すことで生じる「損失」のことです。「チャンスロス」と呼ばれることもあります。
実際の売上や利益が減少するのではなく、将来的に得ることができるはずだった架空の損失となるため、見落とされてしまうことも多くありますが、企業にとってこの機会損失は大きなマイナス要因となります。
機会損失によって起こる問題
では、機会損失によって発生する問題にはどのようなものがあるのでしょう。
問題点① 売上の減少
一つ目は、売上の減少です。売れるはずだった機会を失うことで売上の減少へとつながります。例えば、商品の在庫がないことにより、本来売れるはずだった機会を失い利益を得ることができなくなってしまうのです。
問題点② 損害賠償
二つ目の問題点は、取引先の機会を損失させたことによる損害賠償の発生です。例えば、発注されていた製品を納期までに納品できず、取引先が本来得ることができた機会を損失させてしまった場合、この機会損失分を補填すべく、損害賠償を請求されることもあります。
機会損失が発生する要因
機会損失が発生する要因には、外部的要因と内部的要因の二つがあります。
例えば、クライアントからの一方的な契約解除や、社会情勢の変化による売上の減少など、自社で解決することが難しいとされる要因が外部的要因です。
対して、顧客ニーズの理解不足による在庫切れや、仕入れ不足により発生した機会損失が内部的要因となります。 機会損失を最低限に抑えるためは、この内部的な要因を解決する必要があるのです。
機会損失率の算出方法
営業活動における機会損失率は、以下の方法で算出することができます。
- 機会損失率 = 対応出来なかった問い合わせ数 ÷ 全問い合わせ数
- 機会損失額=対応出来なかった問い合わせ数×契約率×平均単価
数値で算出することにより売上や受注率との比較ができ、具体的な改善策の分析に役立ちます。
営業活動における機会損失
企業の営業活動における機会損失について具体的にみていきましょう。
体制不足による機会損失
営業部門の体制不足により、機会損失が生じてしまうことがあります。
例えば、顧客へのアフターフォローを行うことはその後のアップセル・クロスセルによる売上創出の機会となります。しかしリソース不足により適切な顧客対応ができないことから顧客が離脱してしまい、機会損失が生じてしまうのです。他にも、マーケティング部門との連携不足により、見込み度合いの高い顧客へのアプローチ漏れから機会損失へとつながることも考えられます。
そうならないためにも、業務の効率化を進め、リソースを確保したり、部門間の連携を強化するなど営業体制を見直すことが重要となるのです。
案件管理不足による機会損失
せっかく獲得したリードも、案件管理の仕方に問題があれば、適切なアプローチが行えず機会損失につながってしまうこともあります。
営業担当者ごとに案件管理されている場合、部門内での適切なフォローを行うことができず、アプローチ漏れや適切なトラブル対応ができないこともあり、機会損失が生じてしまうかもしれません。このような機会損失を防ぐためには、顧客情報を一元管理できるSFAなどのツールの活用が有効です。
販売業における機会損失
続いて、在庫を持ちながら商品を売る販売業における機会損失について解説します。
在庫不足による機会損失
販売業の代表的な機会損失として、在庫不足があります。
在庫がなかったことで本来売れるはずの商品を販売することができず、機会損失となります。また、在庫がなかったことで顧客は不便さを感じ、その後の来店に影響する可能性も考えられます。在庫不足を防ぐためには、自社の売れ筋を把握し、適切な在庫管理を行うことが重要です。
店舗オペレーションによる機会損失
飲食店などでは、店舗オペレーションの管理ができていないことにより機会損失が生じてしまうケースもあります。例えば、商品提供が遅いことで行列ができ、顧客が帰ってしまうことが典型的な例です。
こうした事態を発生させないためにも、店舗オペレーションの見直しが必要となります。
機会損失を防ぐために
機会損失を防ぐためには、改めて管理方法についての見直しを行いましょう。
在庫管理だけでなく、顧客管理や店舗オペレーションなど様々な角度から適切に管理することが重要となります。SFAなどのツールを活用することも、効率的に管理する方法の一つです。
また、機会損失を最小限に抑えるためには販売戦略の見直しも重要です。POSデータやお問い合わせ数をもとに、自社の製品やサービスについて分析し、顧客のニーズを把握することで顧客目線の最適な戦略の立案を行うことができるのです。
まとめ:自社の現状把握から始めよう
販売や営業だけでなく、あらゆる業種で起こり得る機会損失ですが、適切な管理体制の見直しやツールの活用によって防ぐことできます。
機会損失を最小限に抑え、利益の最大化を図るためにも、まずは自社で起きている機会損失について振り返り、把握することから始めてみてはいかがでしょうか。