インサイドセールスツール8選!目的別に見るツールの選び方

リード獲得から商談化までを効率的に進める「インサイドセールス」は、多くの企業に導入されつつあります。この記事では、インサイドセールスに役立つ主要ツールの種類やそれぞれの特徴、選定時のポイントまでをわかりやすく解説します。「どのツールを選べばいいのか分からない」「今のやり方をもっと効率化したい」と感じている方は、ぜひ参考にしてください。
- ▼この記事でわかること
- ・インサイドセールスにおける主な課題
- ・インサイドセールスに活用できる代表的なツール
- ・ツールを選定する際に押さえるべきポイント
- ・インサイドセールスで活用されているツール8選
インサイドセールスとは
インサイドセールスとは、訪問せずに電話やメールなどの手段を使って顧客とコミュニケーションを取る営業活動のことです。
インサイドセールスが注目されている背景として、購買プロセスの変化や情報収集手段の変化、安価なクラウドサービスの台頭により、営業人員を削減しても利益を出せるようになったことなどが挙げられます。このような変化から企業側は、見込み顧客の見込み度合いに合わせた対応や、そもそもの営業活動の効率化が必要になってきているのです。
特にBtoBビジネスにおいては、購入検討期間が長期化しやすいため、効率的なリード育成(ナーチャリング)が求められます。その中で、インサイドセールスはコストを抑えながら効率的に顧客と接点を持てる手段として注目されています。
インサイドセールスの課題
インサイドセールスにはいくつかの課題があります。まず、膨大なリードを管理する必要があるため、手動での対応では情報が煩雑になりやすく、対応漏れや重複対応が発生しがちです。また、営業担当者ごとに顧客情報や対応履歴が分散してしまい、情報の属人化によってチームでの引き継ぎや連携が難しくなることもあります。
さらに、見込み顧客へのアプローチが適切なタイミングで行えず、商談化率が上がらないという悩みも多く見られます。加えて、使用しているツールがバラバラで、MAやSFA、CRMなどが連携しておらず、営業活動の全体像を把握しづらいといった点も大きな課題です。
これらの問題を解決するためには、ツールの最適化と連携が不可欠です。
インサイドセールスに活用できるツール
インサイドセールスを成功に導くには、以下のようなツールの活用が効果的です。
MA(マーケティングオートメーション)
MAは、見込み顧客(リード)を自動で育成・スコアリングするためのツールです。顧客のWebサイト閲覧履歴や資料ダウンロード、メール開封などの行動データをもとに、見込み度合いの高いホットリードを判別し、最適なタイミングで自動メールを送信するなどの施策を展開できます。
これにより、インサイドセールスは「今アプローチすべき顧客」を明確にし、商談化の効率を高められます。また、マーケティング部門と営業部門の情報連携を促進する役割も果たします。
- MAの活用メリット
- ・ホットリードの可視化
- 見込み顧客の行動データを分析し、関心度の高いリードを自動でスコアリングでき、営業が優先的にアプローチすべき相手を明確にできます。
- ・ナーチャリングの自動化
- シナリオに応じたメール配信やコンテンツ提供が可能になり、リード育成を自動で進められ、人手をかけずに商談化の可能性を高められます。
- ・マーケティングと営業の連携強化
- マーケティング部門で蓄積したデータを営業部門にスムーズに引き継ぐことができるため、部門間の連携が強化され、業務の分断が解消されます。
MAツールについては、以下の記事もご覧ください。
【2025年版】MAツールとは?導入目的で選ぶタイプ別製品比較5選
SFA(営業支援システム)
SFAは、営業活動の進捗やタスク管理、商談状況などを記録・可視化するツールです。架電記録やメール対応、商談準備の内容をシステム上に残すことで、チーム全体で営業状況を共有でき、情報の属人化を防ぐことができます。
また、目標達成率やパイプラインの状況をリアルタイムで確認できるため、適切なフォローアップや戦略調整も行いやすくなります。インサイドセールスとフィールドセールスの連携にも有効です。
- SFAの活用メリット
- ・営業活動の可視化と効率化
- 誰が・いつ・どのリードに・どのような対応をしているかを一元的に把握でき、タスクの抜け漏れ防止や進捗の見える化につながります。
- ・営業プロセスの標準化
- 活動の記録や成功パターンを蓄積・共有できるため、属人化を排除し、再現性のある営業手法の確立が可能になります。
- ・マネジメントの強化
- リアルタイムでの数値確認やレポート機能により、適切なタイミングでの介入や支援がしやすくなります。
SFAについては、以下の記事もご覧ください。
SFAとは?概要や役割、導入時の選定ポイントまで
CRM(顧客関係管理システム)
CRMは、顧客の基本情報、接触履歴、契約状況などを一元管理するためのツールです。これにより、顧客ごとの対応状況や属性を把握しやすくなり、個別に最適化された営業アプローチが可能になります。
CRMはSFAやMAと連携することで、リードから既存顧客までを一貫して管理できる営業・マーケティング基盤を構築します。また、カスタマーサポート部門との情報共有にも役立ち、長期的な顧客関係の構築に寄与します。
- CRMの活用メリット
- ・顧客情報の一元管理
- 名前・企業情報・過去のやり取り・購買履歴などを一か所に集約し、チーム全体で情報を共有できます。
- ・パーソナライズされた対応が可能
- 顧客ごとのニーズや状況を把握できるため、より精度の高い提案・フォローが可能になります。
- ・長期的な関係構築が可能
- 過去の接触履歴に基づいた継続的なアプローチができるため、単発の営業ではなく、顧客との関係性を育てる営業活動がしやすくなります。
CRMについては、以下の記事もご覧ください。
顧客満足度の向上にはCRM!機能やメリットと選定ポイントを解説
Web商談ツール
Web商談ツールは、オンラインでの商談やプレゼンテーションを実現するためのコミュニケーションツールです。ビデオ通話に加えて資料共有、録画、メモ機能などが搭載されており、訪問せずとも対面に近い商談体験を提供できます。
インサイドセールスはWeb商談ツールを活用することで、時間・距離の制約を受けずに多くの顧客にアプローチでき、営業効率の大幅な向上が期待されます。また、商談履歴をチーム内で共有しやすくなるメリットもあります。
- Web商談ツールの活用メリット
- ・時間や場所の制約を超えた営業活動
- 訪問の必要がなく、全国どこにいる顧客とも即時に商談できるため、営業回数を増やしやすくなります。
- ・対面に近いコミュニケーション
- 顔を見ながら話せるビデオ通話は、電話やメールよりも関係構築がしやすく、説明やプレゼンの説得力も高まります。
- ・商談の履歴管理と共有が容易
- 録画機能やチャットログにより、商談の振り返りやナレッジ共有がスムーズに行えます。新たな担当者への引き継ぎも容易です。
Web商談ツールについては、以下の記事もご覧ください。
対面商談からWeb商談へ!Web商談ツール選定のポイント
自社に最適なインサイドセールスツールを選ぶための6つのポイント
インサイドセールスツールを導入する際は、自社の業務や課題に合ったものを選定することが重要です。以下のポイントを押さえることで、導入後の効果と運用の定着率を高めることができます。
1.インサイドセールスの課題を明確化する
最初にすべきことは、自社のインサイドセールス活動における課題を洗い出すことです。たとえば「ホットリードをうまく抽出できない」「営業活動の進捗が可視化できていない」など、業務上のボトルネックを特定しましょう。課題が明確であれば、必要な機能も自ずと見えてきます。
2.必要な機能を確認する
課題に対して必要な機能をリストアップし、それを備えているツールを候補として絞り込みます。MAであればスコアリングやステップメール、SFAであれば案件管理や活動履歴の可視化など、機能の過不足がないかを確認しましょう。
3.ツールの連携性を確認する
インサイドセールスでは、MA・SFA・CRM・Web商談ツールなど複数のシステムを併用するケースが一般的です。それぞれのツールがAPIや外部連携機能を備えているか、スムーズに情報を行き来できるかは、業務効率化に大きく影響します。
4.コストパフォーマンスを考慮する
ツールは高機能であるほど価格も上がる傾向がありますが、必要以上に多機能なツールを導入しても使いこなせなければ意味がありません。自社の業務規模・体制に応じたプランを選ぶことで、適正コストで効果を引き出すことができます。
5.サポート体制を確認する
導入後の初期設定や運用中のトラブル対応など、ベンダーのサポート体制は非常に重要です。とくにITリテラシーに不安がある企業は、導入支援やカスタマーサクセスが充実しているツールを選ぶと安心です。
6.フィールドセールスとの共用のしやすさを考慮する
インサイドセールスとフィールドセールスが同じ顧客を引き継いで対応する場面は多いため、ツールが両者で共用しやすいかどうかも確認ポイントです。顧客情報や商談履歴が一元化され、シームレスに連携できる設計であることが望ましいでしょう。
インサイドセールスで使える主要ツール一覧
ここでは、インサイドセールスに活用できる具体的なツールをカテゴリごとに紹介し、それぞれの特徴や強みを簡潔にまとめました。
MA
- Account Engagement(旧Pardot)
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セールスフォース・ジャパンが提供するBtoB向けMAツールです。SalesCloudとの連携がスムーズで、リードのスコアリングやステップメール、キャンペーン管理に強みがあります。営業との連携を重視する企業に最適です。
株式会社セールスフォース・ジャパン
https://www.salesforce.com/jp/marketing/automation/
- Marketo Engage
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アドビが提供するMAツールで、複雑なシナリオ設計や、細かいセグメント設定、ABM(アカウントベースドマーケティング)への対応が可能で、BtoB・BtoC問わず活用されています。
- List Finder
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国産MAツールのList Finderは、株式会社Innovation X Solutionsが提供するサービスです。海外製MAツールは多機能かつ日本人には使いづらいという声もありますが、List Finderは日本のBtoB企業にとって必要な機能を搭載しながらシンプルで使いやすく、初めて導入するMAツールにぴったりです。
株式会社Innovation X Solutions
https://promote.list-finder.jp/
SFA
- BALES CLOUD
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インサイドセールス業務に特化したSFAツールです。架電管理やスクリプト管理、アポ取得の進捗把握など、インサイドセールスの運用実態に合わせて設計されています。
スマートキャンプ株式会社
https://balescloud.jp/
- SalesCloud
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Salesforceの中核製品で、世界中の企業に導入されているSFAツール。営業活動の可視化、予実管理、ワークフロー構築など、高い拡張性と柔軟性が魅力です。
株式会社セールスフォース・ジャパン
https://www.salesforce.com/jp/
- Mazrica Sales(旧Senses)
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日本企業向けに設計された直感的なUIが特徴のSFAです。カード形式で商談を管理でき、ITリテラシーが高くないチームでも運用しやすい設計です。データ入力の自動化機能も充実しています。
CRM
- Sansan
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Sansanは、名刺・企業情報・営業履歴といった顧客に関するデータを一括管理し、社内全体でスムーズに共有できるようにするサービスです。名刺のスキャン精度が非常に高く、正確な情報をもとに顧客対応を行えるのが特長です。
Sansan株式会社
https://jp.sansan.com/
Web商談ツール
- ZOOM (ズーム)
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オンライン商談・会議ツールのZOOMは、最大1,000人まで参加できるため、通常の商談だけでなく、大規模なウェビナーやイベント配信にも適しています。ビジネスの規模や用途に応じて柔軟に使えるのが大きな魅力です。
ZVC JAPAN株式会社
https://www.zoom.com/ja
これらのツールを自社の営業スタイルや課題に合わせて選び、適切に連携・運用することで、インサイドセールスの生産性と成果を大きく引き上げることができます。導入検討時には、実際の業務フローや使い方に照らし合わせて、ツールが自社でスムーズに活用できるかどうかを事前に確かめることが大切です。
まとめ
インサイドセールスを効果的に推進するには、MA・SFA・CRM・Web商談ツールなどのITツールを目的に応じて使い分けることが不可欠です。それぞれのツールには独自の機能と強みがあり、適切に活用すれば業務の効率化、情報の一元管理、営業精度の向上につながります。
ツールを選定する際は、自社の課題を明確にしたうえで、必要な機能、他システムとの連携性、コスト、サポート体制などを多角的に検討しましょう。