相手に伝わる提案書とは?構成から書き方までわかりやすく解説!

提案書は、ビジネスシーンで欠かせない重要な書類ですが、初めて作成するとなると、どこから手をつけてよいか分からないという人も多いのではないでしょうか。この記事では、提案書の基本的な意味から、構成や書き方、さらには作成を支援するツールまで、わかりやすく解説します。
- ▼この記事でわかること
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- 提案書の基本的な意味や役割
- 提案書の構成や各項目の書き方
- 効果的な提案書を書くためのコツや注意点
提案書とは?その意味と役割
提案書とは、課題解決や新しい取り組みの実現に向けて、具体的な提案内容を関係者に伝えるための文書です。主に社外のクライアントや社内の決裁者に対し、「なぜこの提案が必要なのか」「どのような内容か」「どんな効果が見込めるか」をわかりやすく示すことで、理解と合意形成を得ることを目的としています。
ビジネスの現場では、商品の導入、業務改善、外部パートナーへの営業提案など、幅広い場面で活用されています。
提案書と企画書の違い
提案書と混同されがちな文書に「企画書」がありますが、両者には明確な違いがあります。
提案書 | 企画書 | |
---|---|---|
目的 | 相手に「この内容を実施すべき」と納得させること | 自社やチーム内でアイデアを整理・検討すること |
読み手 | 社外のクライアント 上司や決裁者など | 主に社内メンバー |
内容 | 課題解決に向けた具体策・費用・効果など | 新しい企画・施策の概要や進行プランなど |
トーン | 相手視点・説得重視(営業色が強い) | 自社視点・共有重視(企画会議向け) |
つまり、企画書は「こういうことをやりたい」というアイデアを形にする資料であり、提案書は「なぜやるべきか」を説明し相手の理解を得ることを目指す資料です。
提案書が必要とされる理由
提案書が必要とされる理由は、提案内容を相手に正確かつ効果的に伝え、納得と意思決定を引き出すためです。
口頭やメールだけでは、提案の背景や目的、具体的な施策、期待される成果などの全体像を十分に伝えるのが難しく、誤解や認識のずれが生じる可能性があります。提案書にまとめることで、情報を整理し論理的に構成できるため、相手にとっても内容を理解しやすくなります。
また多くのビジネスシーンでは、提案を受けた担当者が社内で稟議を通す必要があるため、他の関係者にも伝わる客観的な資料が求められます。さらに、同様の提案が複数寄せられた場合には、提案書が比較の基準となるため、説得力のある資料を準備することが、選ばれるための重要な要素となります。
このように、提案書は単なる説明資料ではなく、ビジネスの意思決定を左右する戦略的な文書として重要な役割を果たします。
提案書の構成とは?基本を解説
提案書を作成する際に重要なのは、相手にとってわかりやすく、論理的に構成された文書を作成することです。基本的な提案書の構成は以下の通りです。
【タイトル・表紙】簡潔でわかりやすく提案の要点を伝える
提案書のタイトルや表紙は、提案の内容を簡潔に伝えるものが理想です。タイトルには、提案の目的やテーマが一目でわかるように記載し、相手が興味を持てるように工夫します。
表紙には、タイトルの他にも提案先の情報、作成日などを記載して、ビジネス文書としての体裁を整えます。
【課題・背景】なぜこの提案が必要か、現状の問題点や背景
提案書で最も重要な部分の一つが、提案が必要である理由を説明することです。現状の問題点や課題、背景を明確にし、なぜその問題に対して提案を行う必要があるのかを相手に理解してもらうことが大切です。ここで相手の現状を理解していることを示すことで、提案に対する信頼感が生まれます。
【提案内容】具体的な解決策・実施案
提案のメインとなる部分が、具体的な解決策や実施案の提示です。提案書では、課題を解決するための具体的な方法や手順を示します。
提案内容は明確かつ実行可能であることが求められ、相手が納得しやすいように説明します。商品やサービスの場合は、その特徴や利点を詳しく説明し、どのように問題を解決するかを具体的に示すことが大切です。
【期待される効果】数値目標や想定される成果、メリットの明示
提案内容が実施された場合、どのような効果が期待できるのかを示すことは非常に重要です。数値目標や定量的な成果を明確にし、提案のメリットを具体的に説明します。これにより、相手が提案を受け入れる意義や、実行後の期待感を高めることができます。
【実施スケジュール】導入・実施の工程と期間
提案書には、提案を実施するためのスケジュールや工程を記載する必要があります。提案を実行する際の具体的な手順や期限を示し、提案の実現可能性をアピールします。スケジュールは現実的で、十分に詳細なものを示すことが求められます。
【費用・体制】費用の内訳、担当部署や担当者の体制
提案を実現するために必要な費用やリソースの内訳を示します。ここでは、どれくらいの費用がかかるのか詳細に説明します。また、提案を実行するための体制や担当者を明記することで、信頼性を高めます。どの部署がどの役割を担うのかを示すことも重要です。
【まとめ・連絡先】提案の要約と問い合わせ先など
最後に、提案書の内容を簡潔にまとめ、提案の要点を再確認します。その後、問い合わせ先や連絡方法を明記して、相手がさらに詳細を確認したり、質問をしたりできるようにしておきましょう。この部分で提案内容を再度整理することで、相手に強い印象を与えることができます。
提案書の構成は、相手にわかりやすく論理的に情報を提供するための重要なガイドラインです。各項目をしっかりと押さえて作成することで、より効果的な提案書を作成できます。
【提案書の書き方】読み手に刺さる文章にするコツ
1. 論理的な流れを意識する
提案書は、論理的な流れに沿って進めることが非常に大切です。特に、Why(なぜ必要か)→How(どう解決するか)→What(実際の提案内容)という順番で構成することで、読み手が納得しやすくなります。
まず、なぜこの提案が必要なのかを示し、次にどのようにその問題を解決するのかを説明し、最後に具体的な提案内容を示すという流れで、論理的に展開していきましょう。
2. 相手目線を意識して作成する
提案書は自社の立場ではなく、相手の課題解決にフォーカスすることが重要です。相手が抱えている問題を理解し、その解決方法を提示する形にすると、読み手にとっての説得力が増すでしょう。
「自社の提案がどれだけ素晴らしいか」よりも、「相手にとってどれだけ有益であるか」を強調しましょう。
3. 数値を入れて具体性を出す
数値や具体的なデータを入れることで、提案内容に説得力を持たせることができます。
たとえば、「売上を〇%増加させる」といった具体的な数値目標や、「従業員の生産性を〇時間改善する」といった具体例を示すと、提案内容が現実的であるとともに、読み手にとって理解しやすくなります。
4. 図表・箇条書きで視認性を高める
提案書の内容は、文章だけでなく図表や箇条書きを活用して、視覚的にも理解しやすくすることが大切です。
図表は複雑なデータや概念を一目で伝えるのに役立ち、箇条書きは要点を簡潔にまとめて読みやすくします。特に、数値やデータを強調する際に図表やグラフを使うと、印象に残りやすくなります。
5. 要点を簡潔に伝える
簡潔かつ明確な表現を心掛けましょう。ダラダラと長文を書くと、読み手の注意が散漫になり、伝えたいポイントがぼやけてしまいます。ポイントを絞り、曖昧な表現は避け、要点を簡潔に伝えることで、相手がすぐに理解できる提案書になります。
6. 書く前に構成を決め、全体のストーリーを設計する
構成を事前に決めておくことで、提案書の内容がぶれずに整理されたものになります。事前に「What」「How」「Why」を整理し、全体の流れやストーリーを設計してから書き始めることが、効果的な提案書作成のコツです。
各項目がどのようにつながり合い、最終的にどんなメッセージを相手に伝えるべきかを意識して書き進めると、説得力のある提案書になります。
これらのポイントを押さえた提案書は、相手にとってわかりやすく、納得してもらいやすくなるでしょう。論理的かつ簡潔に伝えることで、相手に強い印象を与えることができ、提案が採用される可能性が高まります。
提案書作成に役立つツール
提案書を効率的に作成するには、ツールの活用が欠かせません。WordやPowerPointなどの定番ソフトに加え、共同編集ができるGoogleドキュメント、さらに提案書作成を支援する専用ツールを紹介します。
1. Word・PowerPoint
これらのMicrosoft Officeツールは、提案書作成で基本的に使われる定番ツールです。各ツールの特長を活かして、提案書の内容を効果的に作成できます。
- Word
- 提案書の文章作成に最適です。見出しや段落を使って構成を整え、箇条書きやフォーマットを活用して、わかりやすく整理することができます。また、テンプレートも豊富で、見た目にも美しい提案書を作成可能です。
- PowerPoint
- 提案書の要点や重要な部分をプレゼン形式で示すために使用します。視覚的に訴求する要素を加えるために、スライドで提案内容を伝えることができます。
2. Googleドキュメント・スライド
Googleの無料ツールも、リアルタイムでの共同作業ができるため、チームで提案書を作成する際に便利です。
- Googleドキュメント
- Wordと同じように文章作成が可能ですが、Googleドキュメントの最大の利点は、複数人で同時に作業できる点です。オンラインでの作業ができ、ドキュメントの共有やコメント機能が便利です。
- Googleスライド
- PowerPointと同じように、提案書の内容をプレゼンテーション形式で作成することができます。Googleスライドもリアルタイムで編集ができるので、チームメンバーがその場にいなくても効率よく作業を進められます。
3. 提案書作成支援ツール
Canvaは直感的にデザインができるオンラインツールで、提案書のデザインを簡単に美しく整えることができます。さまざまなテンプレートが用意されており、カスタマイズして本格的なデザインを作成できます。
ツールを活用することで、提案書作成が効率化されるとともに、より完成度の高い提案書が仕上がります。特に、チームで作業する場合やデザイン性を重視する場合には、オンラインツールが便利でしょう。
提案書でよくある3つの失敗
提案書を作成する際に注意すべきポイントは多いですが、特によくある失敗を避けることが重要です。以下に、よく見受けられる3つの失敗例とその改善方法を解説します。
失敗例①提案の目的や背景が曖昧
提案書において、なぜその提案が必要なのかが不明確であると、読み手が提案内容を理解しづらくなります。目的や背景が曖昧だと、提案書全体に説得力がなくなり、相手にその価値を伝えることが難しくなります。
- 改善方法
- 提案書の冒頭で「なぜこの提案が必要か」を明確に説明しましょう。具体的には、現在の状況や課題を明示し、その課題を解決するためにどのような提案を行うのかを簡潔に伝えることが重要です。
背景に関する情報は必要な部分だけを絞り込み、説得力のあるデータや実績を交えて説明します。
失敗例②情報が多すぎて読みづらい
提案書に情報を詰め込みすぎると、読み手がどこに注目すべきか分からなくなり、提案書の意図が伝わりにくくなります。特に数字や詳細なデータを多く含めすぎると、読み手が混乱し、重要なポイントが埋もれてしまいます。
- 改善方法
- 情報は簡潔で焦点を絞った内容にまとめましょう。重要な情報を強調し、詳細なデータはグラフや表、箇条書きでわかりやすく整理します。提案書は、相手がすぐに必要な情報を得られるようにすることが大切です。曖昧な説明は避け、要点を抑えた文章にすることが求められます。
失敗例➂相手の立場を無視した一方的な内容
提案書が自分の視点や企業の目的に偏りすぎると、相手にとって関心のない内容が含まれたり、相手のニーズや状況を無視した提案になってしまいます。このような提案書は、相手に魅力的に映らないため、採用される可能性が低くなります。
- 改善方法
- 提案書を作成する際には、必ず相手の立場に立って考えましょう。相手の課題やニーズを理解し、それに対してどのように自分の提案が役立つのかを示すことが重要です。
相手が求めている成果やメリットを中心に提案を組み立て、相手にとっての価値が何かを意識して伝えることが大切です。
これらの失敗を避けることで、提案書はより説得力を持ち、相手にとって有益な内容に仕上がります。
まとめ
この記事では、提案書の基本から具体的な書き方まで、解説しました。提案書は、目的や背景を明確にし、相手の立場に立った内容で構成することが重要です。さらに、簡潔でわかりやすい文章を心がけ、図表や箇条書きを活用することで、より効果的な提案が可能になります。提案書を作成する際は、必ず相手目線で内容を組み立て、数値で具体性を持たせることが求められます。