限られた予算で、効果最大化を目指す。 リスクを取って試してきた様々なWebマーケティング手法とは。

1997年の設立以来、確かな技術でネットワーク、サーバ構築からシステムの開発・保守・運用を提供してきた株式会社エイネット。2005年に国際標準のテレビ会議・WEB会議システム『Fresh Voice』を自社で開発して以来、9年連続でオンプレミス型Web会議システムの導入社数 No.1を記録(富士キメラ総研調べ)。官公庁や研究機関、大学など信頼性が求められる現場で数多く利用され、今では3000社以上の導入実績を誇っています。少数精鋭の企業ながら、様々なWebマーケティング手法を試みてきたエイネット様の取り組みについて、代表取締役の西畑博功氏に話を伺いました。
お客様プロフィール

代表取締役
西畑博功氏
設立 | 1997年7月22日 |
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従業員数 | 31名 |
資本金 | 1億610万円 |
事業内容 |
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少数精鋭の企業ながら、
9年連続で導入社数 No.1を誇る『Fresh Voice』を自社開発。
- 富田
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最初に御社の事業について教えていただけますか。
- 西畑氏
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来年20周年を迎えます。当初はオタク気質が強く、ものづくりに専念してきました。そこから生まれたのが、テレビ会議・WEB会議システム『Fresh Voice』です。加えてITコンサルや情報システム部門のアウトソーシングなども行っています。
- 富田
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売上の割合を教えて頂けますか?
- 西畑氏
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『Fresh Voice』が9割です。もともとはビジュアルコミュニケーション、映像全般を扱っていきたいと思っておりましたが、非対面でのWeb接客ツールを20年前に考えまして、結果的にそれがテレビ会議システムに至りました。
- 富田
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『Fresh Voice』はずっと業界の導入社数No.1とのことですが、その秘訣はどんなところにあるのでしょうか。
- 西畑氏
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そうですね。2005年から9年間導入社数No.1で、3000社以上のユーザーにご利用いただいています。選ばれている理由は、安価で使いやすいからです。パソコンをベースにしたテレビ会議システムなので、専用機と比べても導入や保守の費用が圧倒的に安い。増設も簡単ですし、マニュアルが不要の簡単操作もポイントだと思います。
- 富田
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マーケティングの力も大きいと思いますが、営業組織についてお伺いできますか?
- 西畑氏
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31名の社員のうち、営業5名で、うち1名がマーケティング専任です。あと、地方は主に代理店に営業を任せています。現状の売上割合としては半々くらいですが、代理店の数は徐々に減ってきています。
- 富田
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マーケティングが強くなると、代理店の位置づけは変わってきますね。昔は情報システム部にご提案して、受託開発で大きな商談になる可能性もあり、パッケージソフト代理店のメリットが大きかったですが、クラウド化して現場で使えるようになり、かつ単価が低くなると、代理店にもSIベンダーにもメリットがなくなってきます。たぶん、構造的に代理店販売は減っていくのではないのでしょうか。
- 西畑氏
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そうですね。ですから、クラウドサービスを提供する会社とはOEM提供という形で自社サービスとして販売してもらう取り組みもしています。
いち早くリスティングを実施。
成功体験を経て、様々な媒体でのマーケティングに挑戦。
- 富田
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これまでにどんなWebマーケティングに取り組み、どんなご苦労をされてこられたのでしょうか。
- 西畑氏
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2004年頃からリスティング広告を始めました。最初は私も疑心暗鬼なところもあったのですが、「テレビ会議」というキーワードで早く始めたことがよかったと思います。問い合わせの質もよく、うまく言っていたといえるでしょう。当社サービスはリスティングに向いていたのだと思います。
- 富田
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当時はどれくらいのコンバージョンが取れていたのですか?
- 西畑氏
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100万円前後をかけて、月60件が目標。そこから半分の30件が商談になり、そのうちの5~6件が受注につながるという流れでした。
- 富田
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リスティング広告を早くから使って、ある程度成功をされたことが、いろんなことをトライするきっかけになったのですね。もしうまくいってなければ、躊躇されていましたか?
- 西畑氏
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そうだと思います。広告費をかけた分だけ問い合わせを獲得できるのでやめられなかったですね。
- 富田
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当時抱えていた問題はありますか?
- 西畑氏
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営業担当のスキルに大きな差があったことです。売れる営業は売れるし、売れない営業は売れない。この差を埋めて営業全体の成果を高めることが必要でした。
- 富田
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それは大手でもベンチャーでも変わらないですね。営業のスキルを補完する意味ではできるだけ見込み度合の高いリードを獲得できれば、トップ営業でなくても売れるということだと思いますが、どのような工夫をされましたか?
- 西畑氏
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多くの広告媒体を活用し、トライ&エラーを重ねました。
- 富田
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いつから広告掲載をはじめられましたか?
- 西畑氏
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創業当時からキーマンズネットにお世話になり、最近はITmedia、ITpro、ITトレンドなど、種々の広告を試してきました。やはり広告費の限られた中小企業としては、今すぐ案件化する媒体を優先しています。キーマンズネットやITproなど潜在層を刈り取るタイプの媒体には、「今すぐ」のお客様はいないのですが、企業規模が大きいところを発掘できる可能性もあるので、目的を変えてセミナー集客などに使っています。
自社ツールも活かしながら、
コミュニケーションの濃さと営業効率を両立したい。
- 富田
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リードを集めたあとに課題はありますか?
- 西畑氏
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リードからアポイントに繋げることができていないと感じています。PVやUU情報などの確認にはGoogleアナリティクス(GA)を使っていますがGAでは分からない個人プロフィールや、どういう属性の方が多いのかなどの情報についてはリストファインダーを参考にさせていただいています。 まだまだ、リストファインダーを使った営業体制を確立できていないため、「これはこういうアプローチをしてください。」「とにかくアポイントをとってください」と私から営業に指示を出しています。
- 富田
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リードの一次対応は社長が指示をされているのですね。我々の話になりますが、リードに対して、ホワイトペーパーダウンロードがあった3分以内にご連絡をするようにしたら、アポ獲得率が10倍以上になりました。早い対応ですとお客様もうれしいし、お席にいらっしゃるので電話やメールでも連絡が繋がる可能性が高いからです。
- 西畑氏
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それはすごい。引越しサイトの問い合わせ対応と同じですね(笑)。
- 富田
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そうです。BtoCもBtoBも同じだと思います。たとえば、ITトレンドのリードが入ったら、営業グループ全員にアラートが飛ぶようにして、気づいた人が真っ先に一次対応をする。お見合いしないように、対応を一人にする方法もあります。この「速攻対応」よろしかったら、ぜひトライしてみてください。 リードナーチャリング(見込み客育成)では、どのような工夫をされていますか?
- 西畑氏
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メルマガは8年前から始めましたが、始めは四苦八苦しました。社員には経験者もいないので、最初は私がやるしかないかな?と。この流れは、そのままオウンドメディア運営にも続いていきます。まだまだ私がコンテンツを作成しているような状況です。
- 富田
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少数精鋭で売上をあげていこうと考えると、余裕のある方もいらっしゃらないでしょうし、社長が自ら手を動かしてきたというのがポイントでしょうね。同規模のIT企業で、ここまでマーケティングに力を入れているところは少ないと思います。
最後に、伺いたいのですが、今後、インターネットをどう活用していきますか。インターネットで法人営業を効率化できると思いますか。 - 西畑氏
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インターネットを活用した効率化といってもお客様とのコミュニケーションを薄くしたくはないので、非訪問で同レベルの営業体制を整えたいと考えています。 広告は新しいものにもチャレンジしながら、引き続きいろいろと取り組んでいきたいと思っています。
- 富田
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本日はありがとうございます。長いお付き合いですが、ぜひこれからもよろしくお願いいたします。
編集後記
少数精鋭の中小・ベンチャー企業にとってマーケティング担当を専任で起用するのは大変なことだと思います。エイネット様も創業当初から社長が自ら手を動かし、トライアンドエラーを重ねて今に至っていると思います。実は社長が一番よく知っているということもあるのでしょう。今回のお話も多くの中小企業の参考になればと思っています。 ありがとうございました。