INNOVATION

インタビュー 「マーケティングイノベーター」 -BtoBマーケティングの変革事例-

ターゲットメディア株式会社

BtoBマーケティングの専門企業が SFAとリストファインダーで自社の営業改革に挑む

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ターゲットメディア株式会社は、ダイレクトマーケティング支援事業で知られる株式会社ファインドスターのグループ会社として、BtoB企業のマーケティング支援やリード獲得支援などを手がける企業だ。顧客企業の状況を踏まえてマーケティング上の課題と可能性を探り、営業部門との連携を意識した仕組みの構築を得意とする同社ではあるが、同社自身も営業とマーケティングの両面に課題を抱えているという。その克服の取り組みについて、代表取締役の佐竹正臣氏にお話を伺った。

お客様プロフィール

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ターゲットメディア株式会社

代表取締役

佐竹 正臣氏

設立 2009年6月
従業員数 16名(2015年10月末時点)
資本金 1,000万円
事業内容
  1. BtoBマーケティング支援
  2. BtoB分野の新規リード(見込み客)獲得支援
  3. ターゲットメディアの企画・運営

イノベーションのサービス利用実績

  • リストファインダー

営業プロセスの可視化と管理ができず
営業担当者の育成が大きな課題に

富田

はじめに、御社のビジネスの概要と特長について教えてください。

佐竹氏

弊社が提供しているのは、ターゲットリストの作成やリード(見込み客)の獲得、商談アポイントの取得といった受注までのプロセスを効率化して新規顧客の獲得を支援する、BtoB企業向けのマーケティングサービスです。

いうまでもなく本来、企業の営業担当者にとって、もっとも付加価値の高い活動は、契約を結ぶための商談です。ところが、BtoB企業の営業担当者の多くは、アタックリストを作成したり見込み顧客の開拓およびニーズの把握という営業プロセスのいわゆる「川上」から「川下」まですべてを1人で行っています。しかも生産性の低い「川上」の部分に多大な時間と労力を費やしてしまっている。

そこで弊社は、マーケティングによってそうした「川上」の部分を効率化し、BtoB企業の営業担当者の生産性を上げていこうと考えたわけです。

富田

弊社の理念やサービスと非常に近いですね。まるで弊社についての説明を伺っているようです(笑)。

佐竹氏

そうですね(笑)。具体的に提供しているサービスの内容は次の2つです。
1つ目は、企業担当者約200万人のネットワークと31万社の法人データを活用した、成果報酬型のリードジェネレーション支援サービス。2つ目は、獲得したリードを適切に管理・定期接触を図ることで商談アポイントまで引き上げるフォローマーケティング支援サービスです。

富田

そうしたビジネスにどのような組織で取り組んでいらっしゃるのですか?

佐竹氏

上述の提供サービス毎に部門がわかれています。リードジェネレーションを支援する部門とフォローマーケティングを提供する部門です。それぞれの部門内に営業・運用・サポートを担当するチームが存在しています。

富田

2009年のご創業から、そうした体制でビジネスを展開する中、御社内ではいったいどんな課題が浮かんできたのでしょうか?

佐竹氏

新規顧客開拓における課題と人材育成面における課題です。営業部門が4名だった2012年頃までは、先輩社員が新人をマンツーマンでフォローするOJTで何とか成立していたのですが、その後、新入社員が増えるにつれて、1人あたりの生産性が落ちてしまったのです。

当然ですが新入社員はBtoBマーケティングの経験がまったくありませんから、たとえば営業チームにおいても、受注可能性の低いお客様をリストアップしてアプローチしてしまったり、お客様の課題解決をするための方法も簡単には提案できません。結果として常に先輩社員がサポートをし続ける必要があり、なかなか1人立ちできないという状態が続きました。

富田

弊社も同じ課題を抱えているのでよくわかります。人数が増えて人間の能力でカバーできる範囲を超えた瞬間、営業活動の状況をまったく把握できなくなる。しかも、OJTといっても、実際には新人のフォロー役であるはずの先輩社員自身が商談を進めてしまっていたり……。

佐竹氏

ええ。要するに、新規顧客開拓において「誰もが同じレベルで受注できる仕組み」ができていなかったわけです。お恥ずかしい話ですが、お客様に対して、「新規営業を効率化しましょう」などと提案しておきながら、私たち自身がそれをできていなかったということです。

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“売れるリスト”と“商談の標準化”で
営業の生産性を高める

富田

そうした課題をどのように解決なさったのでしょうか?

佐竹氏

まだ解決できているわけではありませんが(笑)。営業の生産性を上げるためには、営業リスト作成・管理の効率化と“商談の標準化”が特に必要だと考えています。売れるリストが継続的に作成できて受注するための商談方法を明確にできれば、新人でも生産性の高い営業を行えるようになるはずだ、と。それ実践しようと考えています。

富田

確かに、営業担当者が7名ぐらいなら簡単に情報共有できそうな気がしますが、実際にはなかなか難しいものです。具体的にどんな手法を取り入れられたのですか?

佐竹氏

まずは既存顧客も含めて営業リストとアプローチ状況を一元管理するようにしました。弊社の場合、サービス特性上「マッチする顧客属性」がはっきりしています。そのため営業先リスト作成は難易度が高くその数は有限です。だからこそリストを「使い捨て」にせず、定期接触をすることでそのリストに対するアプローチ履歴や商談内容をSFAに入力して、共有を徹底するようにしました。

富田

現場の情報を共有できれば生産性はどんどんあがっていきますよね。ただ、一般に、SFAなどのシステムは、トップダウンで導入しても、現場であまり使われずに失敗に終わるケースが多い。SFAの利用を定着させるために何か工夫されていることはありますか?

佐竹氏

「賞賛」と「評価」を連動させていることです。営業担当者にとって、SFAに自分の行動を入力するのは手間のかかる面倒な作業ですから、その行為を何らかの形で認めてあげて、メリットを感じさせなければ、利用は広がらない。 弊社は行動指針に対する評価項目を定めているのですが、情報共有に対する貢献度も評価指標のひとつとして取り入れています。この行動指針に対する評価指標は全体の20%を占めています。

富田

評価の割合としてかなり大きいですが、それぐらい重視していらっしゃる、と。

佐竹氏

はい。情報共有に限ったものではないですが「たとえどんなに営業成績がよくても、ちゃんとすべきことをできない人は評価できないよ」というメッセージを伝えるために。

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情報共有の最大のポイントは
「顧客のニーズと課題を必ず書くこと」

富田

単にSFAというシステムを導入するだけでなく、“文化”を根づかせたことで、社内にノウハウが広まりやすくなり、営業を変革できたということですね。

佐竹氏

いえ、まだようやく情報を可視化して共有できるようになった段階で、それをもっと活用していくことこそが本当の課題だと感じています。 現状、受注率をさらに向上させるために、営業担当者が自分自身をどうマネジメントしていくべきか、という指標がない状態です。営業活動における各ステップを管理し、こういうタイミングになったらこんな行動を起こす、といった指標を確立することによって、全員が同じレベルで営業活動を行えるようにしたいと考えています。

富田

いわゆるマーケティングのファネルを管理しながら受注率を上げていこう、と。

佐竹氏

はい。今、営業担当者に対して、情報共有の際の統一ルールとしてひとつ設けているのが、「必ずお客様のニーズと課題を共有する」ということです。商談内容などの細かな情報を省略しても、それさえお客様から聞き出して書いてくれれば、周囲の人間が何かしらアドバイスしたり、チームで解決したりできるからです。

富田

そうした情報共有を始めたことで、実際に新人が成功を体験する時期は早くなっていますか?

佐竹氏

まだそこまで実感できる段階ではなく、これからだと思いますね。

富田

先ほどおっしゃった営業活動の各ステップの管理と見極めができるようになれば、自ずと成功体験の時期も早まってくるのではないでしょうか。

佐竹氏

そう期待しています。

顧客のランクごとに適切な営業活動が可能に
わずか6か月間で11件の受注を生んだリストファインダー

富田

では、インターネットを利用した営業の変革には取り組んでいらっしゃいますか?

佐竹氏

それを挙げるなら、やはり御社のサービスであるリストファインダーを活用し、弊社のターゲットとなるお客様をランクづけして管理することによって、前述の「売れるリスト」作成を始めたことですね。

富田

何社ぐらいのお客様を、どのようにランクづけしていらっしゃるのですか?

佐竹氏

売上の大きいメインのお客様約20社をA、常時お取り引きのあるお客様約100社をB、訪問接点を持っているお客様をC、展示会で名刺交換した、あるいはウェブから問い合わせがあってまだお会いしていないお客様をDとして、それぞれに適した対応を取っています。
たとえば優良顧客であるAは、ニーズを完璧に把握できている、1to1で展開しなければいけないお客様と定義づけて、営業担当者が個別に時間をかけてサポートしています。一方、B~Dのお客様に対しては、AもしくはBに上がっていただけるよう、新しい企画や事例をメールで定期的に配信しています。

富田

Aにはメールを送らないのですか?

佐竹氏

はい。Aのお客様に対してメール配信のような通り一遍の施策を行うと、むしろ雑に対応しているような印象を与えてしまいかねないので。

富田

メールの内容は、B用、C用、D用と分けていらっしゃるのですか?

佐竹氏

ええ。たとえば、C~Dのお客様向けとしては、取り引き開始まで一気に引き上げるためのキャンペーンのメールが有効ですが、そういうメールをBのお客様に送ってしまうと、「すでに取り引きしているのに何なんだ」という話になってしまいますから。各ランクのお客様に適した内容のメールをそれぞれ4種類ほど作成して、月間3~4本程度配信しています。

富田

では、リストファインダーのアクセス履歴については、どのように活用していただいているのでしょうか?

佐竹氏

リストファインダーの閲覧リード情報にもとづいて、たとえばサービスページを長い時間閲覧した方には営業担当者が電話をかけるようにしています。逆に、訪問してもすぐに離脱している方には、まだ興味・関心度が低いと判断してアプローチはしていません。

富田

つまり、閲覧者すべてにではなく、受注につながりやすい方を中心に営業をかけるわけですね。具体的な成果は出ていらっしゃいますか?

佐竹氏

それはもう、実際に受注につながっていますからね。リストファインダー経由の受注は、導入後の6か月間で11件ほどあって、とても嬉しく思っています。

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“見捨てられたリスト”からアポイント率15%を達成!
「営業担当者が生産性の高い商談に専念できる環境を整えるのが経営者の仕事」

佐竹氏

実は弊社のお取引先の中にも、弊社からリストファインダーの導入を提案して、成果を上げているお客様がたくさんいらっしゃいますよ。

富田

それはありがたいですね。たとえばどんな事例がありますか?

佐竹氏

あるお取引先の企業に、営業担当者に使い古されて見捨てられた約1万人分のリストがあったので、そこから何とかリードを掘り起こせないかと考えて、魅力のあるコンテンツを作ってメールを配信し始めました。ところが、クリック率は上がったのですが、問い合わせにまではつながらなかった。

そこで今度は、サービスページにリストファインダーの閲覧リードを付与して、訪問者がそれを閲覧したタイミングで電話をかけることにしました。すると、その見捨てられたリストから、定期的に約15%のアポイント率を稼げるようになった。結果、ROIは年間で約150%も向上したのです。

富田

リストファインダーが御社のビジネスになって、お客様にとっても効果的だった、と。

佐竹氏

そうですね。そのように、ニーズが顕在化した瞬間にリードを拾い上げられるのがリストファインダーの最大のメリットだと思います。営業資料をダウンロードした方がいたら、各営業担当者にアラートが自動的に送信される仕組みになっているので、すぐに電話をかけることができる。

富田

リストファインダーを見ていると、だんだん閲覧者がいつ来るか予測できるようになってきますよね。

佐竹氏

そうですね。ただ、営業担当者はとにかく多忙ですから、そこからリードをちゃんと釣り上げられる人もいれば、できない人もいる。顧客リストを常時管理し、営業担当者へリードをパスする業務の専任者を置いて、営業担当者が本来の営業活動に集中できる仕組みが必要だと感じています。

富田

おっしゃる通りですね。そういう専任者を置かないと、結局、営業担当者のスキルに依存してしまうことになりますから。最低レベルを引き上げるという意味でも、いかに営業担当者の能力に頼らない仕組みを作るかがマーケティングの仕事でしょうね。

最後の質問になりますが、今後、インターネットをどのように活用して、御社及びお客様の営業活動を変革していきたいと考えていらっしゃいますか?

佐竹氏

弊社はメディアを運営していて、インターネット経由で月間約40件のお問い合わせをいただいていますが、お客様への情報発信にさらに力を入れることによって、その数をもっと増やしたいと思っています。
同時に、インサイドセールスに関しては、先ほど申し上げたように、せっかくSFAで営業担当者の知見や成功体験を共有できるようになったわけですから、営業プロセスをステップごとに管理しつつ、受注率を向上させる仕組みを実現していこうと考えています。

富田

そのあたりは、どうしても営業担当者の力量に依存してしまいがちですからね。日本の企業経営者は、営業担当者を重視しているといえば聞こえはいいですが、言い換えれば、単に大変な仕事を営業担当者に押しつけているだけで、そこを変えようとはあまり考えていない。

佐竹氏

ええ。しかし、経営者の本来の仕事は、営業担当者が生産性の高い商談や関係作りに専念できる環境を整えてあげることだと思っています。

富田

私も先日アメリカで開催されたContent Marketing Worldに参加して、そのことを痛感しました。御社と弊社は目指すところが同じですし、今後も今回のような情報交換を続けられたらと願っています。

佐竹氏

それはもう、ぜひ。つたないお話ばかりで恐縮ですが……。

富田

いえいえ。本日はとても勉強になりました。ありがとうございました。

編集後記

多くの試行錯誤を通じて成長を遂げているターゲットメディア様。多くの企業様がぶつかる若手営業スタッフの教育。新人中心の組織を「成功体験の共有」と「賞賛の文化」で組織マネジメントを行い、SFAの定着を図ってこられたところはとても参考になりました。またリストファインダーも工夫してご利用いただき成果をあげているうれしいお話もお伺いできました。 弊社と企業理念が非常に近く、日本の法人営業を変革するパートナーとしてともに成長できればと思います。

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