INNOVATION

インタビュー 「マーケティングイノベーター」 -BtoBマーケティングの変革事例-

ソフトブレーン株式会社

受注に至る全プロセス可視化での好循環。 マーケティングと営業の融合で全体最適を実現。

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営業支援システム「eセールスマネージャーRemix Cloud」を主力製品として、顧客の営業課題を解決するための各種サービスを提供しているソフトブレーン株式会社。単に結果を求めるのではなく、「結果につながる営業のプロセスをマネジメントする」というコンセプトのもと、システムの導入支援コンサルティングサービスや、営業の育成サービスなどを駆使し、これまでに4,000社以上の営業改革に携わった実績を持つ。

そんな同社自身も、数年前からBtoBマーケティングの改革に取り組み、大きな成果を上げてきた。その方法について、取締役 本社営業本部長兼営業企画支援部長の長田順三氏に話を伺いました。

お客様プロフィール

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ソフトブレーン株式会社

取締役 本社営業本部長兼営業企画支援部長

長田 順三氏

設立 1992年6月17日
従業員数 連結:単体101名、連結174名(2014年12月末時点)
資本金 8億2,606万4,000円(2014年12月末時点)
事業内容 営業課題解決事業
  1. 営業支援ツールeセールスマネージャーの提供
  2. 営業コンサルティング・トレーニング

イノベーションのサービス利用実績

  • ITトレンド
  • リストファインダー
  • Webマーケティング

課題は“マーケティング部と営業部の融合”
分業体制を確立し、営業プロセスの徹底管理でゴールを目指す

富田

まずは以前に、御社がどのような課題を抱えていらっしゃったかについてお聞かせください。

長田氏

最大の問題は、マーケティング部と営業部が分断されていたことです。当時、弊社のマーケティング部は、とりあえずリードの数を集めることだけを目標としていて、それが案件化という結果につながるかどうかは営業部の力次第、という雰囲気で活動していました。

富田

それは多くの企業に共通して見られる問題ですね。

長田氏

ええ。しかし、たとえ自分たちの部門だけで頑張って、リードの目標数値を達成したところで、それはいわゆる個別最適化であって、結果につながらなければその販促コストは無駄になってしまう。その問題を解決するには、マーケティング部のコンセプトから根本的に変えなくてはならないと考えました。

富田

具体的にどんな改革をなさったのでしょうか?

長田氏

まずは、“営業の入口”として売上・受注・案件に直結する企画に取り組む部門、というコンセプトのもとに、それまでのマーケティング部という名称を「営業企画支援部」に改め、後に私が営業本部長兼任の責任者になりました。
次に、部門の目指すゴールを、従来のリード数から案件化数に変更しました。案件化数を増やすには、もちろんリード数を増やすことも必要ですが、それ以上にリードの質を高めることが重要になります。そこで、ゴールである案件化数から逆算して、セミナーやWebサイト、ダイレクトメールでそれぞれ年間どのぐらいのリードを集める必要があるかをはじき出す。そして、その達成のために、案件化に至るプロセスを分解して、プロセスごとの月次の目標を立てる。たとえば、今週はこのセミナーでこのぐらい集客して、足りなかったら来週はWebでこんな施策を打つ、という具合に、月次でプロセスをマネジメントしてゴールを目指す仕組みを整えたわけです。

富田

なるほど。目標達成のために柔軟に施策を立て直すのですね。営業企画支援部のスタッフは何名いらっしゃるのですか?

長田氏

営業企画支援部は社員8名、アルバイト15名ほどです。

富田

驚きました、ずいぶん多いですね。

長田氏

全員が同じことをしているわけではなく、それぞれの役割を担っています。それもプロセスマネジメントの考え方から来ているのですが、分業体制を確立するには、そのぐらいの人数が必要なのです。ここでいう“分業”とは、営業担当者を営業活動というコア業務に専念させること。つまり、営業企画支援部の中に、裏方となって『集客をする部隊』、『営業の代わりにアポイントを獲得する部隊』、『見積りの作成、事前資料の準備をする部隊』などがあり、営業の支援をしてあげるわけです。

富田

それは営業担当者としては助かるでしょうね。

長田氏

営業担当者のメインの仕事は商談ですから、その合間にアポイントを取ろうとしても、ちょうどそのタイミングにお客様がオフィスにいらっしゃるとは限らないので、どうしても空振りが多くなる。それが2~3回も続けば、やる気がなくなるのも当然で、結局、自然消滅してしまいがちです。
つまるところ、アポイントをなかなか獲得できないのは、多忙な営業担当者自身にその仕事をさせているからなのです。そうしたノンコア業務は、マニュアル化・標準化すればアルバイトでも十分に行えますし、実際に弊社では、アルバイト1名につき月間60~70件のアポイントを取ってもらっています。

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すべての施策をROIで管理して改善に活かす
Web経由の問い合わせ数が6倍に!

富田

では、リード獲得のために、具体的にどんな施策を打っていらっしゃいますか?

長田氏

Web経由の問い合わせを増やす施策はもちろんですが、それ以外に、セミナーの実施やダイレクトメールの送付、休眠顧客の掘り起こし、Web媒体への出稿などに力を入れています。昔は展示会にも参加していましたが、今はほとんどしていません。

富田

なぜおやめになったのですか?

長田氏

当社では他の手段と比較して明らかにROI(投資対効果)が低く、優先度が低いと判断したからです。だいたいどんな企業でも、WebについてはROIを計測していると思いますが、弊社では、Webを含めたすべての媒体や手段についてROIを明らかにし、各々のリード獲得の難易度や案件化率を予測して、どの媒体でどんな方法を選択すべきかを検証しながらマーケティング施策を決定しています。全ての会社が展示会出展のROIが悪いという訳ではありませんし、認知度向上などブランディングの一環で取り組む場合も多いとは思います。

富田

Web対策というとリスティング広告やSEO対策などがありますが、そのあたりで何か工夫なさっていることは?

長田氏

普通といえば普通ですが、あえて言えば、かつては10個ぐらいだったチェックポイントを50個ぐらいまで増やしたことでしょうか。

富田

チェックポイントが50個というのは普通ではない気がしますが(笑)。

長田氏

昔は社内にノウハウがなかったので、自社でチェックするのは予算とCPA(顧客獲得単価)ぐらい。あとは業者任せにしてしまっていて、なぜうまくいったのか、あるいはいかなかったのかという検証をしっかりと行っていませんでした。

富田

自社でチェックして検証するからこそ改善につながるということですね。たとえばこんな数値に注目すると改善に役立つ、といった御社独自のチェックポイントはありますか?

長田氏

やはり、CPAごとの受注に至るまでの各プロセスに関する数値ですね。どの問い合わせがどのぐらいの率で受注につながるかを把握すれば、受注率の高い層を維持しながら、潜在層の受注率を上げられるよう、全体を見て調整しつつ改善することができるからです。

富田

先ほど、「ゴールは案件化数」というお話がありましたが、案件化のさらに先の受注まで見るのがポイントだということですね。

長田氏

そうですね。最終的に受注にまでつながらなければ、結局、集客しても意味がありませんから。

富田

そうした点に注目して改革を進めた成果についてはいかがですか?

長田氏

改善前と比べ、Web経由の問い合わせが約6倍になりました。

富田

BtoB検索全体のボリュームは増えていないどころか、近年若干減っているぐらいですから、その中で6倍というのは驚異的ですね。問い合わせ数をなかなか増やせずに諦めてしまう企業が多い中、御社がそこまで数字を伸ばせた理由は、やはりこだわり続けたことにあるのでしょうか?

長田氏

というより、やらざるを得なかったという方が正確ですね。実は、弊社もかつて、何をやってもダメなのではないか、と心が折れかけたことがありました。しかし、市場にはまだまだ潜在的なニーズがあるはずなのに、それを掘り起こせていないのは、自分たちがその方法を知らないだけだ、と思い直した。それから、業者にいろいろとノウハウを教えていただきつつ、徐々に取り組んでいった感じですね。

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セミナーはあくまで“ニーズ喚起の場”
受注までのプロセス可視化が社内に好循環を生み出す

富田

次に、セミナーの活用方法についてお聞かせください。

長田氏

弊社では、年間100本ほどセミナーを実施していますが、その役割は大別して2つあります。1つは、見込み客を継続的にフォローし、お客様にとって有益な情報を提供していくための受け皿としての役割。もう1つは、そこから案件化につなげる役割です。一般に、集客から見込み客フォローまでのプロセスは分断されがちです。なぜなら、ほとんどの企業において、マーケティング部門は、セミナーの参加者リストを営業部門に引き渡したあと、きちんと営業部門でフォローされているかをチェックしないからです。それでは、せっかくセミナーでリードを獲得しても、結局アポイントを獲得できずに終わってしまいます。
なぜそういう現象が起きてしまうのか? 集客用のシステムと営業用のシステムがバラバラでパスができていないからです。そこがボトルネックになって、引き渡し後の状況を可視化できないわけです。

富田

つまり、セミナーの参加者リストの管理と、そこから先の管理が別システムになっているせいで、リストをExcelで引き渡して以降のことはマーケティングからは見えなくなってしまうと。まさに先ほどおっしゃっていた部門間の分断ですね。

長田氏

そうです。そこで弊社では、自社のシステムと他の情報管理プラットフォームを連携させ、問い合わせ・メール配信・申し込み・架電状況・訪問履歴・受注といった各プロセスのデータを自動的に取り込む仕組みを構築し、アポイントの獲得状況の可視化を実現しました。
それによって、どんな施策がどれだけの効果を生み出したか、というROIが見えるようになり、当然ながら経営陣は、どこに投資すべきかを判断しやすくなりました。同時に、マーケティング部門は、自分たちの仕事がどれだけ成果につながったかが可視化されてモチベーションが高まり、かたや営業部門は、どの問い合わせの効果が高いかを分析した上で作戦を練ることが可能になりました。

富田

マーケティング部門と営業部門を融合させ、システムを一本化することで、そういう好循環が生まれて、全体最適化されたわけですね。そのほかに、セミナーで何か工夫なさっていることは?

長田氏

一番意識しているのは、自社の商品説明会のような、いわゆるプロダクトアウトな内容にならないようにするという点です。自社製品を売りたい気持ちはよくわかります。しかし、特に弊社のeセールスマネージャーのような製品が、1回のセミナーで売れるなどというケースは非常に稀ですから、セミナーはあくまで“入口作り”ととらえています。

富田

耳の痛いお話です。というのも、弊社も多くのセミナーを実施しているものの、直接受注に至ることはほとんどありませんので……。そんな弊社に対して、何かセミナーに関するアドバイスをいただけませんか?

長田氏

おこがましくもあえて申し上げるなら、「そのセミナーに本当に参加していただきたいお客様を集めていますか?」という点でしょうか。まさに弊社もそうなのですが、やはり集客の段階から、決裁権のあるキーマンのアポイント獲得率を意識しないと、ただの数集めになってしまって、なかなか案件化につながりません。

富田

本当におっしゃる通りですね。弊社のサービスについても少々伺います。現在、ITトレンドをご利用いただいておりますが、どのような印象をお持ちでしょうか?

長田氏

ITトレンドのユーザー層はそもそもニーズが顕在化しつつあるお客様が多い、という点を割り引いても、案件化率は非常に高いですね。必ず押さえたいメディアのひとつと考えています。

富田

お褒めの言葉をいただきありがとうございます(笑)。
最後に、BtoBマーケティングを変革したいとお考えの方へのアドバイスをお願いいたします。

長田氏

今は、「人員は増やせないし、残業も減らして売上を上げろ」というご時世です。そういう難しい課題を解決するには、ツールを入れるだけでも、また組織を変えるだけでもダメで、両者をうまく組み合わせていかなければならない。ただ、そういう前提で改革に臨むと、力み過ぎて余計に体が動かなくなってしまうものです。どちらが先でもいいので、まずは一歩踏み出してみることが大切ではないでしょうか。

富田

マーケティング・営業両部門のトップが、組織改革やインターネットの活用によって、法人営業はまだまだ効率化できるということを認識して、当たり前のことからきっちりとこなしていくのが大切なのだと改めて痛感いたしました。大変勉強になりました。

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編集後記

さすがCRMベンダーのマーケティング部門。多くの企業が抱えている『マーケティングと営業部門との融合』という課題を真正面から捉え、改革を図った好事例だと思います。長田様を中心とする皆さんの強い問題意識と大胆な組織改革、徹底したROI(投資対効果)マネジメントが、成果を出す仕組みをつくりだしました。多くを学ばせて頂きました。ありがとうございました。

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