INNOVATION

インタビュー 「マーケティングイノベーター」 -BtoBマーケティングの変革事例-

株式会社富士通マーケティング

新たなWebマーケティングに取り組み続けた6年間。 試行錯誤を経て見つけた手法とは?

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富士通グループの中堅中小企業向け市場でのビジネスを担う中核会社である、株式会社富士通マーケティング。
中堅中小企業のお客様に、富士通グループのICTプロダクト/サービスをはじめ、「GLOVIA smart」シリーズや「AZSERVICE」など、最適なソリューションをワンストップで提供することで、製造・流通・サービス・公共・医療など様々な分野のお客様のビジネス戦略の成功を支援している。

今回はWebプロモーション推進部 部長の桜井浩氏に、高いレベルでWebマーケティングを実践されている同社のここ数年の取り組みについて話を伺いました。

お客様プロフィール

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株式会社富士通マーケティング

ビジネスパートナー本部 ビジネス推進統括部 Webプロモーション推進部 部長

桜井 浩氏

設立 1947年4月23日
従業員数 連結:3,428名(2015年3月末)
資本金 122億2,000万円
事業内容
  1. コンサルティングから、機器販売、ソフトウェア開発、設置工事、保守までの一貫したサービスの提供
  2. 民需市場向け商品の企画、開発
  3. 販売パートナー支援

イノベーションのサービス利用実績

  • ITトレンド
  • テレマーケティング
  • 企業ターゲティング広告
  • リストファインダー

2012年まではリスティング広告など、一般的なネット広告を実施。
徐々に数と質の低下が問題に。

富田

このたびはお時間をいただきまして、誠にありがとうございます。
さっそくですが、これまでマーケティングの課題をどうやって解決してきたか?というお話をお聞かせいただければと思っております。

桜井氏

私自身は、2010年頃からプロモーションに関わっているのですが、当時は富士通GLOVIAのWebマスターという機能をこちらの部署が担っていました。Webサイトに商品情報を掲載し、ネット広告を出して集客する。お客様から資料請求や問い合わせをいただくということが目的で、2010年から2012年まで実施していました。
GLOVIAという製品を知っての問い合わせのうち、これから導入を検討したいというお客様の、半数は見積もりレベルまではいっていました。

富田

それはすごい確率ですね。

桜井氏

営業に渡したあとの成約率も高かった。その後、Webのプロモーションを強化し、ディスプレイ広告やリスティング広告などいろいろ実施してみたのですが、GLOVIAを知らない方へメッセージを出していくということになるので、それほど多くのコンバージョンには至りませんでした。

富田

2010年から2012年くらいまでは高いコンバージョン(成果)だったものが、だんだん下がって、そこが問題になってきたということですね。

桜井氏

ええ、いかに案件をつくっていくか、ということがわれわれのミッションでしたが、質に課題はありました。
Web広告などのメディアを使ったプッシュ型の施策で数はそこそこ獲得できるのですが、営業からあまり質が良くないのでは?という話も出ていました。

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2012年からは質の改善に向けて、メールマーケティングを導入。
多くの反響を得るも、新たな課題を発見。

富田

2012年からは新たにどのような取り組みを始められたのですか?

桜井氏

組織もWebプロモーション推進部という名前になって、全体のWebプロモーションをしっかり考えていくことになりました。当時、GLOVIAのお客様が中心になっているメールマガジンがあって、月1回の頻度で配信していました。

富田

見込み客への配信ですか?

桜井氏

GLOVIAに興味がある、というお客様向けにです。
それより以前は、お客様に役立つ情報の配信をし、問い合わせを頂くという目的ではなかったのですが、その目的を変更しました。
公式サイトとは別にクローズドサイトを作り、元のお客様と、展示会やセミナーで名刺を頂いたお客様などに対して、課題を解決した事例などを中心に月に一度メール送信をしました。興味をもったお客様がサイトに訪問して、内容によってお客様をスコアリング(点数化)する。スコアリングした後には、当社にあるテレコールの専門部隊から電話をかけていました。

富田

このテレコールでは、アポとりだけではなくて、ニーズを把握して、ニーズありのお客様であれば、営業にエスカレーションをあげるということですか?

桜井氏

そうです。これも当初はかなりのアポが取れていました。結果も良かったので、2013年の後半くらいまで運用をしていました。

富田

これは比較的うまくまわっていらしたのですね?

桜井氏

そうですね。しかし、実は少し複雑で、富士通と富士通マーケティング、そしてパートナー、3つの営業部門にテリトリーが分かれているのです。
ある見込み客もすでに富士通やパートナーと取引をしている可能性もあるので、テレアポをかける前に確認作業をしておかないと、営業がクロージングに入った段階でトラブルになるリスクが発生していました。
そのための確認作業が必要なのですが、アポを取る前にリストを100件くらいスクリーニングをする、その確認作業が終わるのに2週間もかかってしまっていたのです。

富田

それは大変ですね。

桜井氏

メールの反応があって、そのあとに電話をかけるのが2〜3週間後ではお客様も覚えてないのです。
そのような事情もあり、今は『インバウンド、問い合わせをたくさんもらうという原点に戻ろう』となりました。

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2014年以降はWebinarやコンテンツマーケティングを開始。
ナーチャリングの成果が出始めている。

富田

最近ではどのような取り組みを始められたのですか?

桜井氏

昨年の10月末に『ICTのmikata』というマーケティングのサイトを、富士通マーケティングのサイトとは別に立ち上げました。
先ほどお伝えしたクローズドのサイトを拡張して、一般のオープンのサイトにしました。月に1回、5つのセグメントに分けたメールを配信しており、そのほか、検索エンジンから「マイナンバー×収集方法」のようなキーワードで来訪したお客様が、セミナー申し込みや資料請求ができるようになっています。

富田

時流に合わせたICTのコンテンツを載せていくわけですね。いわゆる顕在化する前のお客様が中心というイメージでしょうか?

桜井氏

潜在的なお客様と、顕在化しているものの解決策が分からないというお客様までがターゲットになっています。
サイトに毎月何回も来ていただいて、富士通マーケティングという会社やサービスを理解していただき、5年、10年後の最終的な調達のときに、富士通マーケティングが比較の土俵に乗っている状態にしていくことを、このサイトでは目指しています。

富田

まさにコンテンツマーケティングをうまく実践されているということですね。今、Webのことを中心にお話いただきましたが、セミナーや展示会といった施策についても教えていただけますか?

桜井氏

昨年まではリアルな来訪型のセミナーが8割くらいだったのですが、今年は基本的にWebセミナー(Webinar)にて実施しています。昨年はWebセミナーと来訪型のセミナーを合わせて年間約200本くらいでしたが、上期のWebセミナーだけで昨年の受講者数を上回っています。

富田

欧米ではWebセミナーは当たり前ですが、日本はまだまだ来訪型のセミナーが多いのが現状です。お客様の反応はいかがですか?

桜井氏

最初は社内でも「大丈夫かな?」と言われていましたが、テーマさえお客様に合えば、問題はありませんでした。また、途中で離脱する人も多いかなとも思っていたのですが、予想以上に最後まで見られる方が多かったです。
実は、ほとんどのWebセミナーは1時間近くもあるのですが、特に最近では、マイナンバー関連が非常に好調で、多いときには1000人以上の方が受講されています。会場のことを考えるとリアルではできない数です。

富田

そもそもなぜWebセミナーに切り替えたのですか?

桜井氏

とにかくコストが下がるというのが一つ。あとは、お客様がどこでも受けられるのも利点で、地方のお客様の比率が増えてきました。
これまで大規模なものは、東京、大阪、名古屋くらいでしか実施できませんでした。また、セミナーの前にアンケートをとることで、お客様がどんな課題感を持っているかがわかるのも大きな魅力です。
アンケートは事前も事後もやっていますが、Webセミナーは事前の方が沢山書いてもらえるケースが多いのも新しい発見でした。

富田

コンテンツマーケティングからリードナーチャリングするポイントはありますか。

桜井氏

まず、リードの時点では営業には渡しません。すぐに案件化するものばかりではないですし、既存のお客様を対応している営業にリードを渡してしまうと案件化までフォローができません。
私のWebプロモーション推進部と、ソリューション推進部で連携をしながら案件化まで持っていくという体制です。

BtoBマーケティングの変革に向けて、次に取り組みたい課題とは。

富田

インターネットを活用した法人営業の効率化はできていますか?

桜井氏

どこをKPIとしてみるか、というところだと思うんですね。ゴールを受注に置くと、効率化されているというまでの成績はまだ出ていないと私は思っています。
ただし、その手前の案件化しそうな見込み顧客の絞り込みをする、ターゲットになりそうだ、というところまでは少しずつ自動化でき、効率化されてきているという実感はあります。全体としては“道半ば”というところです。

富田

受注での課題はどんなところにあるのでしょうか?

桜井氏

現状では、Webが貢献して受注に至ったかは営業に聞かないと分からないのです。社内にはデータベースがあるのですが、分散しているものもあって、すべてをマーケティングに活かすというところまで到達していない。
今はそこの改善が、一番の課題ではないかと思っています。

富田

なるほど。あと、最後に当社に望むことは何かございますか?

桜井氏

ITトレンドからは、富士通では獲得できないようなお客様を集めて頂いているので、サービスを強化してほしいと思っています。
他には、顕在化しているお客様に対しては今のITトレンドでいいと思いますが、まだ悩んでいるお客様にもアプローチできるといいなと思っています。潜在層に早めにアプローチすることで、他社とは違う土俵で戦いたいなと常々思っているので、そこはイノベーションさんにも期待したいところです。

富田

わかりました。本日はどうもありがとうございました。

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編集後記

早い段階からWebマーケティングに取り組み、試行錯誤を繰り返されている富士通マーケティング様。現在では高いレベルでのコンテンツマーケティングやリードナーチャリング(顧客育成)に取り組まれています。特にWebセミナーの開催はまさにイノベーションです。低コストで多くのセミナーを実施しそれを売りにつながる仕組みを構築されています。
少しずつでも新たな取り組みを実施し改善し自社の仕組みを構築していく。中小企業でも参考になるお話をお聞きできました。貴重な情報をありがとうございました。

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